all night long
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✽✽✽✽✽✽✽
「はい、いらっしゃい!
コロッケ揚げたて、夕飯のおかずにどう?
美味しいよ~」
大学の最寄り駅近くの商店街。
肉屋、魚屋、八百屋に総菜屋といろんな店が軒を連ね、夕方の買い物客で賑わっている。
私はそれをやり過ごすように通りを一本 中に入ると、路地裏の年季の入った洋風の建物へと向かう。
築何十年だろうか?
外壁のレンガには蔦が貼り巡り、表の商店街と全く異なった趣がある。
夕方のこの時間、このカフェはうちの大学の学生の溜まり場になる場所。
私もアイツから何度か、ここへ連れてきてもらったこともあって、鉢合わせする確率が高かった。
私は近くの窓から中の様子をそっと眺めたが、
「よかった……来てない。」
客も疎らで空席がちらほら見える。
私はホッと胸を撫で下ろし、カフェのドアを開くと乾いたベルの音が店内に響き、
「いらっしゃいませ~
空いてる席へどうぞ。」
元気の良い声に出迎えられ、私は客のいないカウンターへと向かう。
そこには一昨日、いろいろ気を遣わせてしまった店長さんがコーヒーを入れていた。
✽✽✽✽✽✽✽
店長はカウンター席に着いた私に気が付いたのか、
「いらっしゃいませ~」
こちらへ伏し目がちに一瞥くれるも、一昨日の騒ぎを起こした当事者だとは気付いてないらしい。
そりゃそうだ。
この前と全く違う格好してるんだから、目の前の私がびしょ濡れになった女とは誰も気付くまい。
「あの……」
意を決して店長に話し掛けようとした瞬間、
「いらっしゃいませ。
あの、一昨日は大丈夫でしたか?」
お冷のグラスと共に優しい言葉が投げ掛けられた。
ふと隣を見ると、一昨日にオーダーを取りに来てくれた店員さんがニッと微笑んでいる。
どうやら、この店員さんだけは私に気が付いたようだ。
✽✽✽✽✽✽✽
「随分、思い切ったことしたね~
髪型と洋服でこんなにも変わるとは……」
カウンターの店長さんは私を感心したように眺めている。
「ははは……
そんなに違いますか?」
私はその視線に気恥ずかしくなって、俯きがちにオーダーしたアイスコーヒーのストローに吸い付いた。
すると、店長さんは首を何度もコクコクと縦に振り、その隣にいた皿洗いしていた店員さんも、
「更に可愛くなってます。」
と同調する。
今の私を誉めてくれたのが、御世辞だったとしても凄く嬉しい。
「あ、ありがとうございます……」
とりあえず、その言葉を素直に受け取っておいた。
「それにしても、あれから大丈夫だった?
相手の人から、DV的な事とか……されなかった?」
店長は周りに気遣って、少し小声で話し掛ける。
多分、アイツに何かされてないか、心配してくれているのだろう。
「あ、はい。
お恥ずかしい話ですが、あの騒ぎが最後だったので。
彼とはあれきり会ってませんし、向こうから連絡もありません。」
そう答えると、二人してホッと安堵した表情になった。
「そう……
別れてよかったのかもしれないね。
ま、女の子にあんなことするなんて、ロクなもんじゃないよ。
よかったね、菅原くん!」
店長はニッと笑い、隣にいた店員『菅原くん』の肩をポンポン叩く。
「あっ、店長!
止めてくださいよ……」
それと同時にその店員さんの頬が真っ赤になった。
何だ?
このやり取り。
私は訳もわからず、それをぼんやり眺めていると、
「ねぇ、お客さん……
次に付き合うなら、菅原くんみたいな子にしなよ。
凄く大事にしてくれるよ~」
店員・菅原くんを猛プッシュしてきた。
「あの日……お客さんが帰ってからずーっと、暇さえあれば『あの子は大丈夫だったかな?』って心配していたんだよ!」
「ちょっ、店長っ!!!」
すると、彼の顔が更に赤く染まっていく。
「はい、いらっしゃい!
コロッケ揚げたて、夕飯のおかずにどう?
美味しいよ~」
大学の最寄り駅近くの商店街。
肉屋、魚屋、八百屋に総菜屋といろんな店が軒を連ね、夕方の買い物客で賑わっている。
私はそれをやり過ごすように通りを一本 中に入ると、路地裏の年季の入った洋風の建物へと向かう。
築何十年だろうか?
外壁のレンガには蔦が貼り巡り、表の商店街と全く異なった趣がある。
夕方のこの時間、このカフェはうちの大学の学生の溜まり場になる場所。
私もアイツから何度か、ここへ連れてきてもらったこともあって、鉢合わせする確率が高かった。
私は近くの窓から中の様子をそっと眺めたが、
「よかった……来てない。」
客も疎らで空席がちらほら見える。
私はホッと胸を撫で下ろし、カフェのドアを開くと乾いたベルの音が店内に響き、
「いらっしゃいませ~
空いてる席へどうぞ。」
元気の良い声に出迎えられ、私は客のいないカウンターへと向かう。
そこには一昨日、いろいろ気を遣わせてしまった店長さんがコーヒーを入れていた。
✽✽✽✽✽✽✽
店長はカウンター席に着いた私に気が付いたのか、
「いらっしゃいませ~」
こちらへ伏し目がちに一瞥くれるも、一昨日の騒ぎを起こした当事者だとは気付いてないらしい。
そりゃそうだ。
この前と全く違う格好してるんだから、目の前の私がびしょ濡れになった女とは誰も気付くまい。
「あの……」
意を決して店長に話し掛けようとした瞬間、
「いらっしゃいませ。
あの、一昨日は大丈夫でしたか?」
お冷のグラスと共に優しい言葉が投げ掛けられた。
ふと隣を見ると、一昨日にオーダーを取りに来てくれた店員さんがニッと微笑んでいる。
どうやら、この店員さんだけは私に気が付いたようだ。
✽✽✽✽✽✽✽
「随分、思い切ったことしたね~
髪型と洋服でこんなにも変わるとは……」
カウンターの店長さんは私を感心したように眺めている。
「ははは……
そんなに違いますか?」
私はその視線に気恥ずかしくなって、俯きがちにオーダーしたアイスコーヒーのストローに吸い付いた。
すると、店長さんは首を何度もコクコクと縦に振り、その隣にいた皿洗いしていた店員さんも、
「更に可愛くなってます。」
と同調する。
今の私を誉めてくれたのが、御世辞だったとしても凄く嬉しい。
「あ、ありがとうございます……」
とりあえず、その言葉を素直に受け取っておいた。
「それにしても、あれから大丈夫だった?
相手の人から、DV的な事とか……されなかった?」
店長は周りに気遣って、少し小声で話し掛ける。
多分、アイツに何かされてないか、心配してくれているのだろう。
「あ、はい。
お恥ずかしい話ですが、あの騒ぎが最後だったので。
彼とはあれきり会ってませんし、向こうから連絡もありません。」
そう答えると、二人してホッと安堵した表情になった。
「そう……
別れてよかったのかもしれないね。
ま、女の子にあんなことするなんて、ロクなもんじゃないよ。
よかったね、菅原くん!」
店長はニッと笑い、隣にいた店員『菅原くん』の肩をポンポン叩く。
「あっ、店長!
止めてくださいよ……」
それと同時にその店員さんの頬が真っ赤になった。
何だ?
このやり取り。
私は訳もわからず、それをぼんやり眺めていると、
「ねぇ、お客さん……
次に付き合うなら、菅原くんみたいな子にしなよ。
凄く大事にしてくれるよ~」
店員・菅原くんを猛プッシュしてきた。
「あの日……お客さんが帰ってからずーっと、暇さえあれば『あの子は大丈夫だったかな?』って心配していたんだよ!」
「ちょっ、店長っ!!!」
すると、彼の顔が更に赤く染まっていく。