これは恋ではない
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◇◇◇◇◇◇◇
「では、皆 クジは引いたな。
じゃ、廊下側の先頭から順に並んで。」
担任の指示を受け、皆 自分の荷物を持ち、移動を始める。
「ね、何番?」
「うわっ、ここか……微妙。」
「席近いね~」
クジの番号の書かれた紙を手に、悲喜こもごも……
賑やかな光景が広がる。
今日、数ヶ月に一度の席替えは担任の気まぐれで突然始まった。
岩泉くんと離ればなれになる瞬間は一刻一刻と近付いている。
少し前までは『早く席替えしないかな……』とか考えていたのに。
今となっては少し寂しい気もする。
全く、現金なもんだ……
「……平岩……」
背後から岩泉くんの声が聞こえる。
「お前、何番?」
その声はいつもより小さくて、周りの声に掻き消されそう。
振り向き様に彼の表情を窺いながら、手にした紙を差し出すと、
「窓際か。
日頃の行いがいいんだな……」
岩泉くんの表情は曇ったまま、ぼやいているように見えた。
「でも、前から2番目だけどね……」
どうやら、彼の席は私の窓際の席を羨ましく思えるような場所(例えば、教卓の真ん前とか……)なのだろう。
「……席 変わる?」
岩泉くんと離れてしまう今、私の席がどこになろうと関係ない……
最後のご奉公のつもりで申し出たが、彼は首を横に振った。
「私、別に窓際じゃなくてもどこでも大丈夫だから……」
気を遣ってくれる彼のことだから、遠慮してるのだろう。
気にしないでほしくて そう伝えるが、彼は手にした紙を私に差し出してきた。
「あ……」
岩泉くんの番号は私の隣の席。
「窓際の列の隣、前から2番目……
でも、お前も一緒なら楽しいかもな。」
彼の顔が自然と微笑んでいく。
それが嬉しくて、私の顔の筋肉もつられるように緩んでしまう。
◆◆◆◆◆◆◆
「岩ちゃん……」
放課後、教室に及川の声が響く。
「ちょっと、ちょっと……あれ?
席替えしたの?」
いつもと違う席に困惑した様子で近付いてくる。
「ああ。」
「俺、聞いてないよ。」
「それ、担任に言ってくれ。」
荷物をまとめながら、いつものように軽くかわす。
相変わらず、うるさいヤツだ。
「ああ、そうする………………」
言いたいだけ言って満足したのか?
突然、静かになったと思い、ふと顔を上げるとすごい形相で隣の席に座る平岩を睨んでいる。
色男と呼ばれている野郎がする顔じゃねぇな……
恐らく、この前のラーメンの一件を思い出したのだろう。
逆恨みもいいとこだ……
「おい、クソ及川行くぞ。」
コイツが平岩に変なちょっかいを出す前に教室を出ようと席を立つ。
すると、ムッとしていた及川だったが、渋々俺の後を着いてくる。
廊下に出た途端、
「岩ちゃん、どういうこと?
あの子、誰かと席 変わったの?
っていうか、しつこいよね、あの子!!」
ネチネチと質問攻めに合う。
どうやら、及川は平岩が俺を追っかけてクジに細工をしたと思い込んでいるようだった。
「ばーか。
アイツがそんなことする訳ねぇだろ。
偶然だ、偶然。」
俺のことなんて想ってくれてるはずなんかない。
この感情は……
恋ではない。
自分で否定した瞬間、更に胸がギュッと締め付けられる。
「はぁ?
偶然??
それ、もっとムカつく!!」
そんな俺の気も知らぬ及川がヒステリックにキーキー騒ぐ。
「『絶対、運命!!』とか思って、調子に乗ってそうだよねー
岩ちゃん、付きまとわれないように気を付けなよ。」
席が隣になったとき、一瞬『運命』って思った俺。
及川の言葉は容赦なくこの胸にグサグサ刺さる。
まるで、俺のことを見透かしているようだった。
「では、皆 クジは引いたな。
じゃ、廊下側の先頭から順に並んで。」
担任の指示を受け、皆 自分の荷物を持ち、移動を始める。
「ね、何番?」
「うわっ、ここか……微妙。」
「席近いね~」
クジの番号の書かれた紙を手に、悲喜こもごも……
賑やかな光景が広がる。
今日、数ヶ月に一度の席替えは担任の気まぐれで突然始まった。
岩泉くんと離ればなれになる瞬間は一刻一刻と近付いている。
少し前までは『早く席替えしないかな……』とか考えていたのに。
今となっては少し寂しい気もする。
全く、現金なもんだ……
「……平岩……」
背後から岩泉くんの声が聞こえる。
「お前、何番?」
その声はいつもより小さくて、周りの声に掻き消されそう。
振り向き様に彼の表情を窺いながら、手にした紙を差し出すと、
「窓際か。
日頃の行いがいいんだな……」
岩泉くんの表情は曇ったまま、ぼやいているように見えた。
「でも、前から2番目だけどね……」
どうやら、彼の席は私の窓際の席を羨ましく思えるような場所(例えば、教卓の真ん前とか……)なのだろう。
「……席 変わる?」
岩泉くんと離れてしまう今、私の席がどこになろうと関係ない……
最後のご奉公のつもりで申し出たが、彼は首を横に振った。
「私、別に窓際じゃなくてもどこでも大丈夫だから……」
気を遣ってくれる彼のことだから、遠慮してるのだろう。
気にしないでほしくて そう伝えるが、彼は手にした紙を私に差し出してきた。
「あ……」
岩泉くんの番号は私の隣の席。
「窓際の列の隣、前から2番目……
でも、お前も一緒なら楽しいかもな。」
彼の顔が自然と微笑んでいく。
それが嬉しくて、私の顔の筋肉もつられるように緩んでしまう。
◆◆◆◆◆◆◆
「岩ちゃん……」
放課後、教室に及川の声が響く。
「ちょっと、ちょっと……あれ?
席替えしたの?」
いつもと違う席に困惑した様子で近付いてくる。
「ああ。」
「俺、聞いてないよ。」
「それ、担任に言ってくれ。」
荷物をまとめながら、いつものように軽くかわす。
相変わらず、うるさいヤツだ。
「ああ、そうする………………」
言いたいだけ言って満足したのか?
突然、静かになったと思い、ふと顔を上げるとすごい形相で隣の席に座る平岩を睨んでいる。
色男と呼ばれている野郎がする顔じゃねぇな……
恐らく、この前のラーメンの一件を思い出したのだろう。
逆恨みもいいとこだ……
「おい、クソ及川行くぞ。」
コイツが平岩に変なちょっかいを出す前に教室を出ようと席を立つ。
すると、ムッとしていた及川だったが、渋々俺の後を着いてくる。
廊下に出た途端、
「岩ちゃん、どういうこと?
あの子、誰かと席 変わったの?
っていうか、しつこいよね、あの子!!」
ネチネチと質問攻めに合う。
どうやら、及川は平岩が俺を追っかけてクジに細工をしたと思い込んでいるようだった。
「ばーか。
アイツがそんなことする訳ねぇだろ。
偶然だ、偶然。」
俺のことなんて想ってくれてるはずなんかない。
この感情は……
恋ではない。
自分で否定した瞬間、更に胸がギュッと締め付けられる。
「はぁ?
偶然??
それ、もっとムカつく!!」
そんな俺の気も知らぬ及川がヒステリックにキーキー騒ぐ。
「『絶対、運命!!』とか思って、調子に乗ってそうだよねー
岩ちゃん、付きまとわれないように気を付けなよ。」
席が隣になったとき、一瞬『運命』って思った俺。
及川の言葉は容赦なくこの胸にグサグサ刺さる。
まるで、俺のことを見透かしているようだった。
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