これは恋ではない
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平岩なら、俺なんかが見てなくても大丈夫だ。
プリントの解答欄に書き込みながら、一昨日の休憩時間の出来事を思い返す。
『あ、岩泉くん!』
一昨日……
購買でパンを買いに行った帰り、突然 背後から声をかけられた。
振り返ると、平岩の親友(名前、忘れた……)が俺の元へと走り寄る。
『この前はありがとう。
岩泉くんのアドバイスのお陰で夏乃、あれから目標クリア出来ました。』
嬉しそうにそう告げ、ペコリと一礼した。
『良かったな。』と伝えると、彼女が恐縮した表情で俺の顔をまじまじと見ながら、
『ねぇ、本当に言わなくても良かったの?
夏乃、岩泉くんからのアドバイスって聞いたら、すごく喜ぶと思うけど……』
そう切り出してきた。
だが、黙ったままでいる俺の表情から、彼女は『わかった、黙ってる……』と苦笑いを浮かべ、歩き出した。
この少し前、平岩が走り高跳びのことで悩んでいた様子を見て、廊下で出くわしたこの子にアドバイスした。
直接言ってやればいいのだろうが……
この前 送ったメッセージの既読無視で、話し掛けるタイミングを逃してしまっていた。
少しずつ距離も縮まって、仲良くなれた……
そう感じていたのは自分だけだったのか。
柄にもなくショックを受けてしまったのだ。
大して親しくもない(雑談する程度の)俺がしゃしゃり出るより、親友の言葉の方が耳に入り易いだろう……
そういうこともあり、『俺からのアドバイス』というのは伏せてもらった。
アドバイスなんて、しなくても良かったのだろう。
だが、元気のない平岩を見ているのは堪らなく嫌だった。
「あ……」
窓の外に夢中の及川だったが、突然 気の抜けたような声を出す。
ヤツを横目で盗み見ると、悔しそうな表情で眼下を睨み付けていた。
平岩は跳べたのだろう。
「ちょっと……勘弁してよ。」
『彼女が跳べるはずない』と思い込んでいた及川。
今度の月曜は花巻達にラーメンをおごることが決定し、思わぬ出費に頭を抱えている。
ま、これも自業自得。
努力してる人間を賭けの対象にして、悪趣味極まりない。
「おい、いい加減 課題やれよ。」
その腑抜けた根性、今日の放課後に叩き直してやる。
◇◇◇◇◇◇◇
「……あっ。」
その瞬間、私の身体はバーの向こう側、マットの上に降り立っていた。
周りにいた同じクラスの子達がキャーと騒ぐ声で我に返る。
「はい、次。」
体育教師のホイッスルの音に慌ててマットを避け、飛び終えた女子達の元へと向かうと、
「跳べたね!」
「やったぁ、夏乃!」
放課後、練習していたのを知っている子達が自分の事のように喜んでくれた。
皆、私がやってきたこと……
ちゃんと見てくれていたんだと思うと、気恥ずかしい……
だけど、すごく嬉しい。
「ありがとう。」
今回はまだ本番じゃないけど、さっきのジャンプでいいイメージが掴めた気がした。
「この調子で頑張らなきゃ……」
プリントの解答欄に書き込みながら、一昨日の休憩時間の出来事を思い返す。
『あ、岩泉くん!』
一昨日……
購買でパンを買いに行った帰り、突然 背後から声をかけられた。
振り返ると、平岩の親友(名前、忘れた……)が俺の元へと走り寄る。
『この前はありがとう。
岩泉くんのアドバイスのお陰で夏乃、あれから目標クリア出来ました。』
嬉しそうにそう告げ、ペコリと一礼した。
『良かったな。』と伝えると、彼女が恐縮した表情で俺の顔をまじまじと見ながら、
『ねぇ、本当に言わなくても良かったの?
夏乃、岩泉くんからのアドバイスって聞いたら、すごく喜ぶと思うけど……』
そう切り出してきた。
だが、黙ったままでいる俺の表情から、彼女は『わかった、黙ってる……』と苦笑いを浮かべ、歩き出した。
この少し前、平岩が走り高跳びのことで悩んでいた様子を見て、廊下で出くわしたこの子にアドバイスした。
直接言ってやればいいのだろうが……
この前 送ったメッセージの既読無視で、話し掛けるタイミングを逃してしまっていた。
少しずつ距離も縮まって、仲良くなれた……
そう感じていたのは自分だけだったのか。
柄にもなくショックを受けてしまったのだ。
大して親しくもない(雑談する程度の)俺がしゃしゃり出るより、親友の言葉の方が耳に入り易いだろう……
そういうこともあり、『俺からのアドバイス』というのは伏せてもらった。
アドバイスなんて、しなくても良かったのだろう。
だが、元気のない平岩を見ているのは堪らなく嫌だった。
「あ……」
窓の外に夢中の及川だったが、突然 気の抜けたような声を出す。
ヤツを横目で盗み見ると、悔しそうな表情で眼下を睨み付けていた。
平岩は跳べたのだろう。
「ちょっと……勘弁してよ。」
『彼女が跳べるはずない』と思い込んでいた及川。
今度の月曜は花巻達にラーメンをおごることが決定し、思わぬ出費に頭を抱えている。
ま、これも自業自得。
努力してる人間を賭けの対象にして、悪趣味極まりない。
「おい、いい加減 課題やれよ。」
その腑抜けた根性、今日の放課後に叩き直してやる。
◇◇◇◇◇◇◇
「……あっ。」
その瞬間、私の身体はバーの向こう側、マットの上に降り立っていた。
周りにいた同じクラスの子達がキャーと騒ぐ声で我に返る。
「はい、次。」
体育教師のホイッスルの音に慌ててマットを避け、飛び終えた女子達の元へと向かうと、
「跳べたね!」
「やったぁ、夏乃!」
放課後、練習していたのを知っている子達が自分の事のように喜んでくれた。
皆、私がやってきたこと……
ちゃんと見てくれていたんだと思うと、気恥ずかしい……
だけど、すごく嬉しい。
「ありがとう。」
今回はまだ本番じゃないけど、さっきのジャンプでいいイメージが掴めた気がした。
「この調子で頑張らなきゃ……」