これは恋ではない
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◇◇◇◇◇◇◇
「ふぁ……」
風呂上がり、さっぱりした気分でベッドに横になる。
身体を動かしたせいか。
寝そべった瞬間、背中がマットに沈み込んでいく感覚に落ちていく……
「あ……ダメダメ。」
眠たい目を擦り、側にあったスマホを手に取った。
アルバムのフォルダにある亜沙美が撮ってくれた動画を再生してみる。
最初の動画は本当に酷くて見てられない。
こうして自分のフォームを見るとどこが悪いのか、わかる。
「跳ぶ前から逃げてるんだよね……」
助走しながら、踏み切る前に失速して身体の軸が歪んでいる。
この動画、人から色々言われるよりショックだった。
自分の中ではもっと綺麗なフォームだと思い込んでいたから。
「……こりゃ、跳べる訳ないわ。」
一人で練習してたら、それすら気付きもしなかっただろうし、目標の高さをクリアすることも出来なかった。
『じゃ、これ最後ね!』
今日最後に跳んだ動画。
画面に映る私はどこか緊張した面持ちでバーを見つめている。
『わかった。
じゃ、行くね。』
私は『1、2、1、2、3!』とステップのタイミングを口ずさみながら、バーの寸前で強く踏み切って跳んでゆく。
最後の踏み切り足もバーを越え、無事にマットへと着地。
『あっ……!』
『『跳べたっ!!』』
マットから起き上がった私とスマホを構えていた亜沙美の声が重なり、二人の歓声が響く。
それを眺めながら、自分が跳べたことを改めて実感する。
「亜沙美に付き合ってもらって良かった……」
放課後遅くまで残してしまったし、ちゃんとお礼しないと申し訳ない……
帰り際、亜沙美の好物 フルーツパンケーキを奢ろうとしたが、「お礼なんて、いいから……」とやんわりかわされ、それと同時に気になることを言われた。
「『私より、夏乃をいつも見てくれている人に感謝すべき』……か。」
亜沙美はその人から、私の走り高跳びの改善点を教えてもらったらしい。
「体育の先生?」と尋ねると首を横に振り、鼻で笑われた。
ヒント:私をいつも見てくれている人。
亜沙美は意味ありげな微笑みを浮かべるだけで、ヒント以外教えてくれなかったけど、一体 誰のことを言っているのだろう?
わからないと告げるが、
「あんないい人、早く見付けてあげなきゃ可哀想よ。」
……だって。
端から教えるつもりはないらしい。
思い当たる人が浮かばない。
「誰のことよ……」
私は諦めて、両目を瞑った。
その瞬間、岩泉くんの顔がふっと浮かぶ。
今日も放課後、教室からグラウンドに向かう私をすごく怖い顔して見てたっけ……
「いやいや……私のことなんて見てたのかな?
っていうか、睨まれているって感じか……」
まだ、及川くんのことで怒っているのかな……
岩泉くんって、意外に嫉妬深い人なのかも。
ゆっくりと目を開き、
「あーーー、やめやめ!」
煩悩を掻き消すように自分に言い聞かせる。
今はそれどころじゃない!
しっかりしろ、夏乃!!
勢い良く身体を起こして、ベッドサイドにある充電器にスマホをセットすると部屋の電気を消す。
「早く……席替えしないかな……」
ベッドに横たわり、天井を眺めながらポツリと呟く。
近くにいるから、無駄に期待するんだ。
彼が視界から消えてしまえば、これ以上 気にすることもない。
「一番前の席とか……立候補してみようか……」
独り言を呟いた途端、私の意識は夢の国へと羽ばたいていた。
「ふぁ……」
風呂上がり、さっぱりした気分でベッドに横になる。
身体を動かしたせいか。
寝そべった瞬間、背中がマットに沈み込んでいく感覚に落ちていく……
「あ……ダメダメ。」
眠たい目を擦り、側にあったスマホを手に取った。
アルバムのフォルダにある亜沙美が撮ってくれた動画を再生してみる。
最初の動画は本当に酷くて見てられない。
こうして自分のフォームを見るとどこが悪いのか、わかる。
「跳ぶ前から逃げてるんだよね……」
助走しながら、踏み切る前に失速して身体の軸が歪んでいる。
この動画、人から色々言われるよりショックだった。
自分の中ではもっと綺麗なフォームだと思い込んでいたから。
「……こりゃ、跳べる訳ないわ。」
一人で練習してたら、それすら気付きもしなかっただろうし、目標の高さをクリアすることも出来なかった。
『じゃ、これ最後ね!』
今日最後に跳んだ動画。
画面に映る私はどこか緊張した面持ちでバーを見つめている。
『わかった。
じゃ、行くね。』
私は『1、2、1、2、3!』とステップのタイミングを口ずさみながら、バーの寸前で強く踏み切って跳んでゆく。
最後の踏み切り足もバーを越え、無事にマットへと着地。
『あっ……!』
『『跳べたっ!!』』
マットから起き上がった私とスマホを構えていた亜沙美の声が重なり、二人の歓声が響く。
それを眺めながら、自分が跳べたことを改めて実感する。
「亜沙美に付き合ってもらって良かった……」
放課後遅くまで残してしまったし、ちゃんとお礼しないと申し訳ない……
帰り際、亜沙美の好物 フルーツパンケーキを奢ろうとしたが、「お礼なんて、いいから……」とやんわりかわされ、それと同時に気になることを言われた。
「『私より、夏乃をいつも見てくれている人に感謝すべき』……か。」
亜沙美はその人から、私の走り高跳びの改善点を教えてもらったらしい。
「体育の先生?」と尋ねると首を横に振り、鼻で笑われた。
ヒント:私をいつも見てくれている人。
亜沙美は意味ありげな微笑みを浮かべるだけで、ヒント以外教えてくれなかったけど、一体 誰のことを言っているのだろう?
わからないと告げるが、
「あんないい人、早く見付けてあげなきゃ可哀想よ。」
……だって。
端から教えるつもりはないらしい。
思い当たる人が浮かばない。
「誰のことよ……」
私は諦めて、両目を瞑った。
その瞬間、岩泉くんの顔がふっと浮かぶ。
今日も放課後、教室からグラウンドに向かう私をすごく怖い顔して見てたっけ……
「いやいや……私のことなんて見てたのかな?
っていうか、睨まれているって感じか……」
まだ、及川くんのことで怒っているのかな……
岩泉くんって、意外に嫉妬深い人なのかも。
ゆっくりと目を開き、
「あーーー、やめやめ!」
煩悩を掻き消すように自分に言い聞かせる。
今はそれどころじゃない!
しっかりしろ、夏乃!!
勢い良く身体を起こして、ベッドサイドにある充電器にスマホをセットすると部屋の電気を消す。
「早く……席替えしないかな……」
ベッドに横たわり、天井を眺めながらポツリと呟く。
近くにいるから、無駄に期待するんだ。
彼が視界から消えてしまえば、これ以上 気にすることもない。
「一番前の席とか……立候補してみようか……」
独り言を呟いた途端、私の意識は夢の国へと羽ばたいていた。