これは恋ではない
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◆◆◆◆◆◆◆
一時間目、数学。
いつもより見通しのいい景色に違和感を感じていた頃……
授業開始5分後、教室の後ろの扉が開く音がした。
ふと振り返ると、休みかと思っていた平岩が申し訳なさそうな顔して入ってくる。
何だかいつもよりヨレヨレしてるけど、大丈夫か?
思わず、声が出そうになり、口元を押さえた。
「……すみません、遅れました。」
その声はいつもより掠れていて、少し呼吸も乱れている。
恐らく走ってきたのだろうか。
額からは汗が流れ落ちていく。
「あら……平岩さん、どうしたの?
遅刻って、珍しいわねぇ……」
授業を担当する教師が出席簿に書き込みをしながら尋ねると、動揺している平岩は扉の前で固まる。
その様子をクラス一同、固唾を飲んで見守っていると、
「……ね、寝坊しました……」
平岩は顔を真っ赤に染め、小さな声で答えた。
その瞬間、教室内はどっと笑いが起き、彼女は急いで俺の前の席へと腰掛ける。
「寝坊ね……
次回は気を付けなさい。
じゃ、授業再開するわよー。」
着席した後、注目されたのが恥ずかしかったのか……
俺の目の前で身体を小さく丸め、必死にやり過ごしているように見えた。
その姿が可愛い小動物……
ウサギとかハムスターみたい。
俺が平岩のことをこんな風に見つめているなんて、誰も思わねぇんだろうな……
そんなことを考えているから、当然 授業の内容は全く頭に入ってこない。
及川が見たら、またバカにすんだろうな……
「……はぁ……」
俺は平岩夏乃の存在が気になっている。
及川が言う『好き』とか、『恋』とか『愛』とか……
そういう名前の付いたもんじゃねぇ。
ただ、見てるだけでいい……
そんな存在。
彼女を知ったのは一年前くらい、練習試合や公式戦の客席で観戦している姿を見てから。
学校の応援団より少し離れた場所に友達と腰掛けて、試合をただ静かに見てるだけ。
及川目当ての女かと思ったが、純粋に試合を観戦しているようだった。
時折、視線が合うことがあり、それを及川に言うと、
『岩ちゃんファンの子な訳ないじゃない!
それ、気のせいだから。
目が合っただけでファンなら、あそこに座ってる女子全員 俺のファンだよー(うるさいので後半省略)ー』
……等とソッコーで否定された。
そっか……
偶然か。
そう思った途端、一度も喋ったことのない彼女のことがどんどん気になっていった。
特に容姿が美しい訳でも、好みの顔でもない。
それでも惹かれる理由……
そんなもん、今 思い返してもわからない。
一時間目、数学。
いつもより見通しのいい景色に違和感を感じていた頃……
授業開始5分後、教室の後ろの扉が開く音がした。
ふと振り返ると、休みかと思っていた平岩が申し訳なさそうな顔して入ってくる。
何だかいつもよりヨレヨレしてるけど、大丈夫か?
思わず、声が出そうになり、口元を押さえた。
「……すみません、遅れました。」
その声はいつもより掠れていて、少し呼吸も乱れている。
恐らく走ってきたのだろうか。
額からは汗が流れ落ちていく。
「あら……平岩さん、どうしたの?
遅刻って、珍しいわねぇ……」
授業を担当する教師が出席簿に書き込みをしながら尋ねると、動揺している平岩は扉の前で固まる。
その様子をクラス一同、固唾を飲んで見守っていると、
「……ね、寝坊しました……」
平岩は顔を真っ赤に染め、小さな声で答えた。
その瞬間、教室内はどっと笑いが起き、彼女は急いで俺の前の席へと腰掛ける。
「寝坊ね……
次回は気を付けなさい。
じゃ、授業再開するわよー。」
着席した後、注目されたのが恥ずかしかったのか……
俺の目の前で身体を小さく丸め、必死にやり過ごしているように見えた。
その姿が可愛い小動物……
ウサギとかハムスターみたい。
俺が平岩のことをこんな風に見つめているなんて、誰も思わねぇんだろうな……
そんなことを考えているから、当然 授業の内容は全く頭に入ってこない。
及川が見たら、またバカにすんだろうな……
「……はぁ……」
俺は平岩夏乃の存在が気になっている。
及川が言う『好き』とか、『恋』とか『愛』とか……
そういう名前の付いたもんじゃねぇ。
ただ、見てるだけでいい……
そんな存在。
彼女を知ったのは一年前くらい、練習試合や公式戦の客席で観戦している姿を見てから。
学校の応援団より少し離れた場所に友達と腰掛けて、試合をただ静かに見てるだけ。
及川目当ての女かと思ったが、純粋に試合を観戦しているようだった。
時折、視線が合うことがあり、それを及川に言うと、
『岩ちゃんファンの子な訳ないじゃない!
それ、気のせいだから。
目が合っただけでファンなら、あそこに座ってる女子全員 俺のファンだよー(うるさいので後半省略)ー』
……等とソッコーで否定された。
そっか……
偶然か。
そう思った途端、一度も喋ったことのない彼女のことがどんどん気になっていった。
特に容姿が美しい訳でも、好みの顔でもない。
それでも惹かれる理由……
そんなもん、今 思い返してもわからない。