これは恋ではない
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◇◇◇◇◇◇◇
「夏乃、気を付けてね。
ボヤボヤしながら帰らないでよ。」
いつも別れる三差路に差し掛かると、亜沙美はポンコツと化した私を心配してくれる。
「はーい。
またね、バイバイ。」
これ以上、心配させたくなくて無理矢理笑うと、彼女に手を大きく振った。
だが、家路に向かうにつれ、その仮面は呆気なく壊れてしまう。
「……っく……」
気づけば、涙が止まらなかった。
ショックだったんだ……岩泉くんのこと。
他の誰かと話すだけで機嫌が悪くなる程、及川くんのことを大事にしてるなんて。
今まで岩泉くんが及川くんのちょっかいに対して、目に見える形で応える姿を目撃したことなかったから……
実は心のどこかで安心していたんだ。
これは『及川くんの一方的なプラトニックな片想い』であって、『岩泉くんは友達として及川くんが好きなんだ』って。
でも、今日の彼の様子を見て気付いた。
「バカ……私。」
岩泉くんと及川くんとの間に誰も割って入ることなど出来ない。
互いの代わりなんて居ない……
唯一無二の存在。
「初めから、わかっていたはずなのに……」
席替えで距離が近くなって、いい気になって……
気兼ねなく話も出来るようになって、心の奥底で岩泉くんに『もしかしたら好きになってもらえるかも』だなんて夢のような事を考えて……
本当にバカだ……
岩泉くんの隣にはいつも及川くんがいるじゃない!
私は何を期待していたのだろう?
◇◇◇◇◇◇◇
『今、お前の好きなバンドがテレビ出てるぞ。』
岩泉くんのメッセージを既読無視した翌朝、私は寝坊してしまった。
メッセージが届いたときは何かの間違いだと思って、文章を何度も読み返した。
音楽番組も見ずに、暗い部屋で制服を着た状態でベッドに寝転がってスマホを掴んだまま……
放課後、怒っていた彼からいつも通りメッセージが来るのか?
不思議に思いつつ、深夜まで返事を考えていたが寝落ち。
そして……
「夏乃、起きなさい!
あと5分で8時よ!!」
母親の怒鳴る声で目が覚めたが、まだ悪い夢でも見てるのかと呆然とした。
「えっ?
今からシャワー浴びるの?」
「だってお風呂に入るの忘れて寝てて……」
「却下!
それじゃ一時間目は完全に間に合わないじゃない。
顔洗って、歯磨きしたら行ってらっしゃい!!」
激怒した母親から新しいシャツと下着を手渡され、渋々着替えて身支度を整える。
昨日、泣いたせいで目元も腫れてるし……本当に最悪だ。
溜息をつきながら、洗面所から出ると母親が凄い形相で待っていた。
また怒られると思ったら、温かい弁当箱とラップに包まれたおむすび2つを差し出される。
「ありがと……」
それを受けとると、寝癖で飛んでいる前髪を母親が手櫛で整え、
「ほら、ボーッとせずに鞄にしまって。
いつもみたいにだらだら歩いてたら間に合わないから、今日は自転車で行きなさい!
貸してあげるから。」
目の前に鈴のキーホルダーに着いた自転車の鍵を突きつけた。
自宅から学校まで飛ばせば10分位で着く。
ホームルームには間に合わないけど、岩泉くんと話さなくて済むからちょうどいい。
「あ、ありがとう。」
私は考える間もなく、母親の愛車 ママチャリで登校することになった。
「夏乃、気を付けてね。
ボヤボヤしながら帰らないでよ。」
いつも別れる三差路に差し掛かると、亜沙美はポンコツと化した私を心配してくれる。
「はーい。
またね、バイバイ。」
これ以上、心配させたくなくて無理矢理笑うと、彼女に手を大きく振った。
だが、家路に向かうにつれ、その仮面は呆気なく壊れてしまう。
「……っく……」
気づけば、涙が止まらなかった。
ショックだったんだ……岩泉くんのこと。
他の誰かと話すだけで機嫌が悪くなる程、及川くんのことを大事にしてるなんて。
今まで岩泉くんが及川くんのちょっかいに対して、目に見える形で応える姿を目撃したことなかったから……
実は心のどこかで安心していたんだ。
これは『及川くんの一方的なプラトニックな片想い』であって、『岩泉くんは友達として及川くんが好きなんだ』って。
でも、今日の彼の様子を見て気付いた。
「バカ……私。」
岩泉くんと及川くんとの間に誰も割って入ることなど出来ない。
互いの代わりなんて居ない……
唯一無二の存在。
「初めから、わかっていたはずなのに……」
席替えで距離が近くなって、いい気になって……
気兼ねなく話も出来るようになって、心の奥底で岩泉くんに『もしかしたら好きになってもらえるかも』だなんて夢のような事を考えて……
本当にバカだ……
岩泉くんの隣にはいつも及川くんがいるじゃない!
私は何を期待していたのだろう?
◇◇◇◇◇◇◇
『今、お前の好きなバンドがテレビ出てるぞ。』
岩泉くんのメッセージを既読無視した翌朝、私は寝坊してしまった。
メッセージが届いたときは何かの間違いだと思って、文章を何度も読み返した。
音楽番組も見ずに、暗い部屋で制服を着た状態でベッドに寝転がってスマホを掴んだまま……
放課後、怒っていた彼からいつも通りメッセージが来るのか?
不思議に思いつつ、深夜まで返事を考えていたが寝落ち。
そして……
「夏乃、起きなさい!
あと5分で8時よ!!」
母親の怒鳴る声で目が覚めたが、まだ悪い夢でも見てるのかと呆然とした。
「えっ?
今からシャワー浴びるの?」
「だってお風呂に入るの忘れて寝てて……」
「却下!
それじゃ一時間目は完全に間に合わないじゃない。
顔洗って、歯磨きしたら行ってらっしゃい!!」
激怒した母親から新しいシャツと下着を手渡され、渋々着替えて身支度を整える。
昨日、泣いたせいで目元も腫れてるし……本当に最悪だ。
溜息をつきながら、洗面所から出ると母親が凄い形相で待っていた。
また怒られると思ったら、温かい弁当箱とラップに包まれたおむすび2つを差し出される。
「ありがと……」
それを受けとると、寝癖で飛んでいる前髪を母親が手櫛で整え、
「ほら、ボーッとせずに鞄にしまって。
いつもみたいにだらだら歩いてたら間に合わないから、今日は自転車で行きなさい!
貸してあげるから。」
目の前に鈴のキーホルダーに着いた自転車の鍵を突きつけた。
自宅から学校まで飛ばせば10分位で着く。
ホームルームには間に合わないけど、岩泉くんと話さなくて済むからちょうどいい。
「あ、ありがとう。」
私は考える間もなく、母親の愛車 ママチャリで登校することになった。