これは恋ではない
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◇◇◇◇◇◇◇
今週からケーキバイキングを始めた駅前のカフェ。
デザートの置かれたテーブルには甘いものに群がる女子が蟻の如く、美味しそうなケーキを物色している。
甘い香りに包まれながら、その列を眺めていると、
「何、あれ!
ちょっと自分が顔が良いからって、あの態度はないわー」
少し前までお熱だった及川くんを非難する亜沙美は口を忙しく動かす。
さっき取ってきたパンケーキとフルーツの盛り合わせは、あと少しで平らげてしまいそうだ。
「普通、『いいよー、気にしないでー』くらい言うでしょ?
なのに、ガン無視って。
本当にカンジ悪い!」
私は彼女の言葉を聞きながら、温くなったミルクティを口に運ぶ。
「そう言えば、この前のボールぶつけたときだって岩泉くんは謝ったけど、あの人謝らなかったんでしょ?
どういう神経してんだか、本当にバカにしてる……」
及川くんのこと……
『あの人』だなんて、離婚した奥さんが元の旦那さん呼んでるみたい。
こんなこと彼女に言うと怒られるだろうから、黙っていよう。
それにしても、あんなに及川くんのこと『好き』だったのに告白を受け入れてもらえなかったら、『嫌悪』へと変わっていくのだろうか……
可愛さ余って、憎さ百倍ってことか?
「及川くん、たまたま ご機嫌斜めだったのかもしれないよ。」
気にしていても仕方ない。
体育の一件はある意味、不可抗力だし。
謝るのも謝らないのも、その人次第だから。
「だったとしても、あんな態度取ることないじゃない?
だって、岩泉くん呼ぶときはいつもの猫なで声でご機嫌だったのに!
夏乃、ムカつかないの?」
亜沙美は同調しない私に首を傾げながら、フォークに串刺しにしたクリームまみれの苺を一口にする。
「ん……
ムカつくけど、もういいの。
ほら、折角 美味しいケーキ食べに来たんだから、この話は止め。」
「またそんなこと言って!
そんなんじゃ、いつまで経ってもバカにされるよ!」
私……バカにされてるのかな?
及川くんには端から相手にされてないのに……
それに岩泉くんのことで彼に挑もうなんてこれっぽっちも思ってないし、ご機嫌をいちいち気にしてても始まらない。
◇◇◇◇◇◇◇
「……おはよう。」
翌朝……
教室に向かうと、既に登校していた岩泉くんがノートを手渡してきた。
「……はよっす。
これ、ありがとな。
助かった。」
良かった……
微力でも岩泉くんの役に立てて。
「あ、うん。」
私がノートを受け取ると、彼はいそいそと教室から出ていく。
「あれっ……」
書いてた訳がちゃんと読めたのか、確認したかったのに……
ま、後からでも聞いてみよう。
そう思いつつ、ノートをパラパラと捲っていくと、一枚の小さな紙がふわりと落ちてゆく。
何だろう?
レシートかな。
手に取って眺めると、そこには決して綺麗ではないが、丁寧に書かれた携帯番号と思われる数字とメールアドレスが記されていた。
今週からケーキバイキングを始めた駅前のカフェ。
デザートの置かれたテーブルには甘いものに群がる女子が蟻の如く、美味しそうなケーキを物色している。
甘い香りに包まれながら、その列を眺めていると、
「何、あれ!
ちょっと自分が顔が良いからって、あの態度はないわー」
少し前までお熱だった及川くんを非難する亜沙美は口を忙しく動かす。
さっき取ってきたパンケーキとフルーツの盛り合わせは、あと少しで平らげてしまいそうだ。
「普通、『いいよー、気にしないでー』くらい言うでしょ?
なのに、ガン無視って。
本当にカンジ悪い!」
私は彼女の言葉を聞きながら、温くなったミルクティを口に運ぶ。
「そう言えば、この前のボールぶつけたときだって岩泉くんは謝ったけど、あの人謝らなかったんでしょ?
どういう神経してんだか、本当にバカにしてる……」
及川くんのこと……
『あの人』だなんて、離婚した奥さんが元の旦那さん呼んでるみたい。
こんなこと彼女に言うと怒られるだろうから、黙っていよう。
それにしても、あんなに及川くんのこと『好き』だったのに告白を受け入れてもらえなかったら、『嫌悪』へと変わっていくのだろうか……
可愛さ余って、憎さ百倍ってことか?
「及川くん、たまたま ご機嫌斜めだったのかもしれないよ。」
気にしていても仕方ない。
体育の一件はある意味、不可抗力だし。
謝るのも謝らないのも、その人次第だから。
「だったとしても、あんな態度取ることないじゃない?
だって、岩泉くん呼ぶときはいつもの猫なで声でご機嫌だったのに!
夏乃、ムカつかないの?」
亜沙美は同調しない私に首を傾げながら、フォークに串刺しにしたクリームまみれの苺を一口にする。
「ん……
ムカつくけど、もういいの。
ほら、折角 美味しいケーキ食べに来たんだから、この話は止め。」
「またそんなこと言って!
そんなんじゃ、いつまで経ってもバカにされるよ!」
私……バカにされてるのかな?
及川くんには端から相手にされてないのに……
それに岩泉くんのことで彼に挑もうなんてこれっぽっちも思ってないし、ご機嫌をいちいち気にしてても始まらない。
◇◇◇◇◇◇◇
「……おはよう。」
翌朝……
教室に向かうと、既に登校していた岩泉くんがノートを手渡してきた。
「……はよっす。
これ、ありがとな。
助かった。」
良かった……
微力でも岩泉くんの役に立てて。
「あ、うん。」
私がノートを受け取ると、彼はいそいそと教室から出ていく。
「あれっ……」
書いてた訳がちゃんと読めたのか、確認したかったのに……
ま、後からでも聞いてみよう。
そう思いつつ、ノートをパラパラと捲っていくと、一枚の小さな紙がふわりと落ちてゆく。
何だろう?
レシートかな。
手に取って眺めると、そこには決して綺麗ではないが、丁寧に書かれた携帯番号と思われる数字とメールアドレスが記されていた。