雲ゆき
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驚いて振り返ると、チャラチャラした雰囲気の20代くらいの男だった。
私の行く先とは逆の方向へ強引に引っ張っていこうとする。
「や、大丈夫です!
一人で帰れますから!!」
その瞬間、恐怖のあまり……急に意識がはっきりする。
どうにかして逃げなきゃ!
「いや、フラフラしてたし、一人は危ないよ~
ほら、遠慮せずにさぁ……」
見知らぬ人間に腕を触れられ、肌がゾワゾワと粟立つ。
「やだ!
触んないで、気持ち悪い!」
手を放してもらおうと暴れてみるが、男の力に敵わない。
「おい、うるせぇな!
人が親切で言ってるのに、大人しく 着いてこい!!」
私の態度に腹を立てた男は、更にすごい力で駐車場の方へと引き釣っていく。
このままじゃ、車に押し込まれるのも時間の問題だ。
「放してっ!
誰かっ、助けてっ!!」
誰かに気付いてもらおうと懸命に抵抗するが、こういうときに限って近くに誰もいない。
「『助けて』って、失礼なヤツだな。
お前みたいなヤツ、構ってもらってるだけでも有り難いと思え。」
あぁ……
変なところで我慢なんかしたから、バチが当たったんだ。
理解のある彼女の振りをしたせい。
こんなことになるなら、素直に「会いたい」って言えばよかった……
喧嘩になってもいいから、何度も電話して起こして デートすればよかった。
後悔しても、もう遅いけど。
「……夏乃っ!」
諦めかけそうになった私の名を誰かが叫んでいる。
誰?
顔を上げて、辺りを見回す。
その声は駅とは逆の商店街方面から反響して聞こえる。
「夏乃!」
気付いたときには、街頭も疎らな商店街からこちらに向かう鉄朗の姿が見えた。
「助けてっ!」
必死になって叫ぶと、
「夏乃っ!!」
鉄朗はすごい形相、恐ろしい程のスピードを上げ、こちらへ走ってくる。
その瞬間、私の手を掴んでいた男は彼の殺気に怯んだのか?
突然 私を突き飛ばすと、
「お前みたいなブス、誰が本気で介抱するかよっ!
ばーーかっ!」
御粗末な捨て台詞を残すと、慌てて車に乗って逃げ出した。
◇◇◇◇◇◇◇
「……すみません。
俺が着いていながら……」
鉄朗の声がする。
ゆっくりと瞼を開くと、こちらを背に 窓辺に立つ鉄朗の後ろ姿が見えた。
スマホ片手に小声で誰かと話をしている。
「はい、起きたら責任持って送っていきますんで。」
いつもの口調じゃない。
恐らく、うちの親にでも連絡しているのだろう。
「あ、はい……本当にすみませんでした。」
悪いのは私で、鉄朗じゃない……
男から解放され、鉄朗に助けてもらった私。
彼に抱き起こされた途端、極度の緊張状態と体調不良(多分……)により意識を失ったのか、記憶がない。
次に気付いたときは鉄朗の部屋……ベッドの上。
頭の下には氷枕、身体の上には毛布や布団が首元までしっかり掛けられていた。
私の行く先とは逆の方向へ強引に引っ張っていこうとする。
「や、大丈夫です!
一人で帰れますから!!」
その瞬間、恐怖のあまり……急に意識がはっきりする。
どうにかして逃げなきゃ!
「いや、フラフラしてたし、一人は危ないよ~
ほら、遠慮せずにさぁ……」
見知らぬ人間に腕を触れられ、肌がゾワゾワと粟立つ。
「やだ!
触んないで、気持ち悪い!」
手を放してもらおうと暴れてみるが、男の力に敵わない。
「おい、うるせぇな!
人が親切で言ってるのに、大人しく 着いてこい!!」
私の態度に腹を立てた男は、更にすごい力で駐車場の方へと引き釣っていく。
このままじゃ、車に押し込まれるのも時間の問題だ。
「放してっ!
誰かっ、助けてっ!!」
誰かに気付いてもらおうと懸命に抵抗するが、こういうときに限って近くに誰もいない。
「『助けて』って、失礼なヤツだな。
お前みたいなヤツ、構ってもらってるだけでも有り難いと思え。」
あぁ……
変なところで我慢なんかしたから、バチが当たったんだ。
理解のある彼女の振りをしたせい。
こんなことになるなら、素直に「会いたい」って言えばよかった……
喧嘩になってもいいから、何度も電話して起こして デートすればよかった。
後悔しても、もう遅いけど。
「……夏乃っ!」
諦めかけそうになった私の名を誰かが叫んでいる。
誰?
顔を上げて、辺りを見回す。
その声は駅とは逆の商店街方面から反響して聞こえる。
「夏乃!」
気付いたときには、街頭も疎らな商店街からこちらに向かう鉄朗の姿が見えた。
「助けてっ!」
必死になって叫ぶと、
「夏乃っ!!」
鉄朗はすごい形相、恐ろしい程のスピードを上げ、こちらへ走ってくる。
その瞬間、私の手を掴んでいた男は彼の殺気に怯んだのか?
突然 私を突き飛ばすと、
「お前みたいなブス、誰が本気で介抱するかよっ!
ばーーかっ!」
御粗末な捨て台詞を残すと、慌てて車に乗って逃げ出した。
◇◇◇◇◇◇◇
「……すみません。
俺が着いていながら……」
鉄朗の声がする。
ゆっくりと瞼を開くと、こちらを背に 窓辺に立つ鉄朗の後ろ姿が見えた。
スマホ片手に小声で誰かと話をしている。
「はい、起きたら責任持って送っていきますんで。」
いつもの口調じゃない。
恐らく、うちの親にでも連絡しているのだろう。
「あ、はい……本当にすみませんでした。」
悪いのは私で、鉄朗じゃない……
男から解放され、鉄朗に助けてもらった私。
彼に抱き起こされた途端、極度の緊張状態と体調不良(多分……)により意識を失ったのか、記憶がない。
次に気付いたときは鉄朗の部屋……ベッドの上。
頭の下には氷枕、身体の上には毛布や布団が首元までしっかり掛けられていた。