眠れぬ夜
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バスを降りた途端、何だか変な胸騒ぎがした。
早く、戻らなくちゃ……
更にそんな気持ちにかられる。
バスの停留所から急げば、3分くらいで家に着く。
「急ごう……」
自分に言い聞かせるように呟き、走り出した。
早く、早く……
約束の時間も優に過ぎ、待たせているという焦り……
それだけではなかった。
さっき、断り切れずに出演が決まった朗読劇が引き金となり……
そんな私の中で得体の知れない何かが渦を巻き、不安がますます大きくなっていく。
『居候の身で自分の好きなこと、
ましてや演劇なんて出来る立場じゃない。』
東京を離れる前に諦めよう……
膨れ上がった欲は必死でコントロールしようとすればするほど乱れ、空回っていく。
だから、縁下くんに会って、この気持ちを早く切り替えたかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……た、ただいま……」
息を切らし、戸を開いて玄関へと入る。
そこには見慣れないスニーカーがきっちり揃えて置かれていた。
縁下くんが来ている。
それを横目に私も靴を脱ぎ、台所へと向かう。
すると奥から祖母の声が聞こえてきた。
「そうね」「ええ」等、相槌を打ちながら、一人で喋っている。
……どうやら、電話で誰かと話をしているのだろう。
私は台所に立ち寄らず、廊下から直接リビングへ入ることにした。
扉の前に立ち、中の様子を窺うがひっそりとしている。
……本当に縁下くんはいるのだろうか?
ドアノブへそっと手を掛け、彼が怒ってないことを祈りながら開く。
静まり返る室内。
一歩足を踏み入れると、ソファに座り込んでいる彼の後ろ姿があった。
私が約束を破ってしまったにも関わらず、彼がちゃんと待っててくれていたことが嬉しい……
その瞬間、さっきまでのゴタゴタした気分もどこかへ吹っ飛んでいく。
あぁ、良かった。
ホッとしながらも、私が帰ったことにも気付かない程、彼は何を熱心に眺めているのだろう?
先に教科書で勉強しているのかもしれない。
ふと浮かんだ疑問にかられ、彼の後方から覗き込んで愕然とした。
私の写真?
彼が手にしていたのは先日、母から送られてきた荷物の中に入っていたアルバム。
ガクちゃんからもらった写真を入れたから……という手紙と一緒に届いた物だ。
何故、縁下くんがそれを見ているのか?
ふとそんな疑問が浮かぶが、今はそんなこと どうでもいい!
あのアルバムには中学最後の公演、
不良少女の役作りでポニーテールを金髪に染めた私の写真があったはず。
もし、あれを見られてしまったら……
そんな恐ろしい想像をしただけで、瞬く間に頭の中が真っ白になっていく。
誰が見たって、入学式で騒がせた『黒づくめ』は私だとバレてしまう。
神様、お願いします。
彼がまだあの写真を目にしていませんように……
そう祈りつつ、そっと手元を覗き込む。
開いたそのページには金髪の不良(私)が舞台でライトを浴び、主役の少女に喧嘩を売っていた。
あぁ、
終わった……
私の願いは全く聞き届けられず、彼は既に写真を見ていた。
早く、戻らなくちゃ……
更にそんな気持ちにかられる。
バスの停留所から急げば、3分くらいで家に着く。
「急ごう……」
自分に言い聞かせるように呟き、走り出した。
早く、早く……
約束の時間も優に過ぎ、待たせているという焦り……
それだけではなかった。
さっき、断り切れずに出演が決まった朗読劇が引き金となり……
そんな私の中で得体の知れない何かが渦を巻き、不安がますます大きくなっていく。
『居候の身で自分の好きなこと、
ましてや演劇なんて出来る立場じゃない。』
東京を離れる前に諦めよう……
膨れ上がった欲は必死でコントロールしようとすればするほど乱れ、空回っていく。
だから、縁下くんに会って、この気持ちを早く切り替えたかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……た、ただいま……」
息を切らし、戸を開いて玄関へと入る。
そこには見慣れないスニーカーがきっちり揃えて置かれていた。
縁下くんが来ている。
それを横目に私も靴を脱ぎ、台所へと向かう。
すると奥から祖母の声が聞こえてきた。
「そうね」「ええ」等、相槌を打ちながら、一人で喋っている。
……どうやら、電話で誰かと話をしているのだろう。
私は台所に立ち寄らず、廊下から直接リビングへ入ることにした。
扉の前に立ち、中の様子を窺うがひっそりとしている。
……本当に縁下くんはいるのだろうか?
ドアノブへそっと手を掛け、彼が怒ってないことを祈りながら開く。
静まり返る室内。
一歩足を踏み入れると、ソファに座り込んでいる彼の後ろ姿があった。
私が約束を破ってしまったにも関わらず、彼がちゃんと待っててくれていたことが嬉しい……
その瞬間、さっきまでのゴタゴタした気分もどこかへ吹っ飛んでいく。
あぁ、良かった。
ホッとしながらも、私が帰ったことにも気付かない程、彼は何を熱心に眺めているのだろう?
先に教科書で勉強しているのかもしれない。
ふと浮かんだ疑問にかられ、彼の後方から覗き込んで愕然とした。
私の写真?
彼が手にしていたのは先日、母から送られてきた荷物の中に入っていたアルバム。
ガクちゃんからもらった写真を入れたから……という手紙と一緒に届いた物だ。
何故、縁下くんがそれを見ているのか?
ふとそんな疑問が浮かぶが、今はそんなこと どうでもいい!
あのアルバムには中学最後の公演、
不良少女の役作りでポニーテールを金髪に染めた私の写真があったはず。
もし、あれを見られてしまったら……
そんな恐ろしい想像をしただけで、瞬く間に頭の中が真っ白になっていく。
誰が見たって、入学式で騒がせた『黒づくめ』は私だとバレてしまう。
神様、お願いします。
彼がまだあの写真を目にしていませんように……
そう祈りつつ、そっと手元を覗き込む。
開いたそのページには金髪の不良(私)が舞台でライトを浴び、主役の少女に喧嘩を売っていた。
あぁ、
終わった……
私の願いは全く聞き届けられず、彼は既に写真を見ていた。