目は口ほどに物を言う
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
このお話は拍手お礼小話として
掲載しておりました。
『これは恋ではない』の元ネタです。
『好きだ……』
それは一年前、親友の付き添いで見に行ったバレーの試合……
二年生なのに既にレギュラー入りしている彼は次期エースと言われ(親友曰く)、高く聳えるブロックにもめげることなく打ち破っていく。
「ッツシャーーー!!」
その気迫、力強さ……
彼のプレーを見てから、私の中にその感情が芽生えた。
「凄い……あの人。」
「ん?
今、スパイク決めた人?!」
「そう……」
「あー、隣のクラスの岩泉くんだよ。」
「岩泉……くん。」
だが、同じ学校、同級生だったにも関わらず、彼のことを何一つ知らなかった私。
それがきっかけで、親友を通じて彼のことを調べ始めた。
それから季節は巡り、春が訪れ……
私の念願叶って、彼と同じクラスになれた。
日常の学校生活を送る彼は試合でのギラギラしたオーラを見せることはなく、基本的に無口な人という認識。
だが、
「いわちゃーん!」
この人が絡むと、その雰囲気は一変した。
「何だよ、クソ及川。」
何て言えばいいのだろう?
それまでのフラットな状態が少し……乱暴に荒くなる、というか。
形容しづらい。
「もー!
呼び掛けただけでそんなカリカリしないでよ~」
「うるさい!
呼んだだけなら、黙ってろ。」
岩泉くんの幼馴染、同じ部活の及川くん。
全くタイプの違う彼らだが、試合中は『阿吽の呼吸』とでもいうのだろうか、素晴らしいプレーを見せてくれる。
それを見て、思った。
あ……彼と及川くんとの間に割って入ることなど出来ないと。
「ねぇ、告白しないの?」
この前、片想いしていた及川くんに振られた親友がけしかけるけど、
「私はいいの、見てるだけで。」
初めから告白なんてするつもりはなかった。
同じクラスにはなったけど、彼と話す機会など全くない。
恐らく、私の存在すら知らないだろう。
でも、それで良かった。
私は岩泉くんと同じ空間で勉強して、時々 試合を観に行ったり出来れば満足だった。
それに何より彼の隣には及川くんがいる。
長い間、岩泉くんの隣にいて、今もずっと走り続けているんだ。
「暑い、重い!
凭れかかんな!!」
「いいじゃん、いいじゃん。
俺と岩ちゃんの仲でしょ?」
じゃれるように岩泉くんの背中に凭れ、周囲の女子に向ける及川くんの視線で射ぬかれたら、そんな気も失せる。
『岩ちゃんが背中を預けられるのは俺だけだよ』、と言われているような気がした。
「端から勝負にならない……」
そんなの、及川くんを見ていてばわかる。
私も少なからず、数ヶ月間 岩泉くんを見てきたんだから。
貴方ほど……
彼を愛することは出来ないことぐらい、頭の悪い私でもわかる。
2016.10.16.
掲載しておりました。
『これは恋ではない』の元ネタです。
『好きだ……』
それは一年前、親友の付き添いで見に行ったバレーの試合……
二年生なのに既にレギュラー入りしている彼は次期エースと言われ(親友曰く)、高く聳えるブロックにもめげることなく打ち破っていく。
「ッツシャーーー!!」
その気迫、力強さ……
彼のプレーを見てから、私の中にその感情が芽生えた。
「凄い……あの人。」
「ん?
今、スパイク決めた人?!」
「そう……」
「あー、隣のクラスの岩泉くんだよ。」
「岩泉……くん。」
だが、同じ学校、同級生だったにも関わらず、彼のことを何一つ知らなかった私。
それがきっかけで、親友を通じて彼のことを調べ始めた。
それから季節は巡り、春が訪れ……
私の念願叶って、彼と同じクラスになれた。
日常の学校生活を送る彼は試合でのギラギラしたオーラを見せることはなく、基本的に無口な人という認識。
だが、
「いわちゃーん!」
この人が絡むと、その雰囲気は一変した。
「何だよ、クソ及川。」
何て言えばいいのだろう?
それまでのフラットな状態が少し……乱暴に荒くなる、というか。
形容しづらい。
「もー!
呼び掛けただけでそんなカリカリしないでよ~」
「うるさい!
呼んだだけなら、黙ってろ。」
岩泉くんの幼馴染、同じ部活の及川くん。
全くタイプの違う彼らだが、試合中は『阿吽の呼吸』とでもいうのだろうか、素晴らしいプレーを見せてくれる。
それを見て、思った。
あ……彼と及川くんとの間に割って入ることなど出来ないと。
「ねぇ、告白しないの?」
この前、片想いしていた及川くんに振られた親友がけしかけるけど、
「私はいいの、見てるだけで。」
初めから告白なんてするつもりはなかった。
同じクラスにはなったけど、彼と話す機会など全くない。
恐らく、私の存在すら知らないだろう。
でも、それで良かった。
私は岩泉くんと同じ空間で勉強して、時々 試合を観に行ったり出来れば満足だった。
それに何より彼の隣には及川くんがいる。
長い間、岩泉くんの隣にいて、今もずっと走り続けているんだ。
「暑い、重い!
凭れかかんな!!」
「いいじゃん、いいじゃん。
俺と岩ちゃんの仲でしょ?」
じゃれるように岩泉くんの背中に凭れ、周囲の女子に向ける及川くんの視線で射ぬかれたら、そんな気も失せる。
『岩ちゃんが背中を預けられるのは俺だけだよ』、と言われているような気がした。
「端から勝負にならない……」
そんなの、及川くんを見ていてばわかる。
私も少なからず、数ヶ月間 岩泉くんを見てきたんだから。
貴方ほど……
彼を愛することは出来ないことぐらい、頭の悪い私でもわかる。
2016.10.16.