桐山和雄と俺の関係
※
朝、目が覚めたら金髪にフラッパーパーマをかけた学生服の男がいた。
だ、誰だ?桐山か?
「……桐山だ」
桐山だった。
久しぶりに買った格ゲーで、前作で好きだったキャラが続編でいきなり白髪になっていたのを見たときぐらい、俺は驚いた。
ほとんど別人じゃないか?余計老けて見えるぞ。つーか俺より年上なんじゃ……
「……」
ギロリと睨まれた。な、なんだ……いつもの桐山と違ってえらく表情豊かだな。
喜ばしいことなのだが、素直に歓迎できなかった。
「……飯」
え?俺が作るの?
「……」
無言で桐山は俺を見つめる。
わかったよ。最近はお前が作ってくれてたんだけどな……
なんとなく、この桐山は料理とかできなさそうだと思ったので、俺は素直に従った。
「……(スッ)」
食後に、桐山は俺にガムを差し出してきた。
ブルーベリー味だった。うまかった。
そんだけ。
※
今日、商店街の福引でまた電動ガンが当たった。ウージーというサブマシンガンだ。
俺は先日の女の子の話をしたお詫びの意も込めて、桐山に進呈することにした。今のあいつがそのことを覚えているのかどうかわからないが。
「……」
特に何も言わなかったが、桐山はそっとウージーを受け取った。組み立ててトリガーを引く。
ダララララッ!!
おい!壁に向かって撃つなよ!
「……」
俺の注意を気に留めた様子もなく、桐山はウージーを撃った。……どうやら気に入ったらしい。その顔は少し楽しそうだった。
ただ、「ダラララッ」という口真似はしなかった。
そんだけ。
※
この町では、数年前から伝わっているというあるジンクスが有名だ。
年が明けて春になると七原 という少年が、突然やってきて、七草粥 を作ってもらうと幸福になれるというらしい。
「いいな、七原に七草粥を作ってもらえるラッキーなやつってだれなんだろうな。」
とつぶやいた。そしたら突然後ろから声が響いた。
「振り向くな!七草を全部言えるか?言えたら作ってやろう」
七原だ!俺は直感でそう思った。
「ええと、せり、なずな、すずな、すずしろ、ほとけのざ、ごぎょう……」
俺は必死だ。でもどうしても最後のひとつが思い出せない。
がまんできずに振り向くと、七原は「ファイナルアンサー?」と言って姿を消した。
七原が立っていたあとには「はこべ」が落ちていた。
そんだけ。
※
「俺」の友人視点
昨日、友人のうちに「はこべ」を持った七原が来たらしい。
半信半疑だったが、僕は、もしもの時に備えて七草を暗記していた。
そしたら、僕の後ろの上あたりから突然声がした。
「振り向くな!七草を全部言えるか?言えたら作ってやろう!!」
心に響く声が部屋いっぱいに反響した!……七原だ!来た!もらった!!僕は即答した。
「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずしろ、すずな」
しかし七原は叫んだ。
「順番が違う!!!!」
振り向くと、もう七原の姿はなかった。
ものすごくがっかりした……
そんだけ
※
桐山視点
今日、充たちと他校のやつらと喧嘩していたら、いつの間にいたのか誰かが後ろから声をかけてきた。
「振り向くな!七草を全部言えるか?言えたら作ってやろう」
「……は?」
「ボ、ボス……例のジンクスっすよ。こいつに七草粥を作ってもらうといいことがあるって」
「さあ言ってみろ!」
「……知るか」
「!!!!」
七原は涙目になって走り去っていった。……飯の話を聞いたら腹が減ってきたので俺は帰ることにした。
…
「へえ。お前のとこにも七原が来たのか。……いつものお前だったら答えられたのになあ……」
……いつもの俺?何のことだ。
「いや、なんでもないんだ」
……そんだけ
朝、目が覚めたら金髪にフラッパーパーマをかけた学生服の男がいた。
だ、誰だ?桐山か?
「……桐山だ」
桐山だった。
久しぶりに買った格ゲーで、前作で好きだったキャラが続編でいきなり白髪になっていたのを見たときぐらい、俺は驚いた。
ほとんど別人じゃないか?余計老けて見えるぞ。つーか俺より年上なんじゃ……
「……」
ギロリと睨まれた。な、なんだ……いつもの桐山と違ってえらく表情豊かだな。
喜ばしいことなのだが、素直に歓迎できなかった。
「……飯」
え?俺が作るの?
「……」
無言で桐山は俺を見つめる。
わかったよ。最近はお前が作ってくれてたんだけどな……
なんとなく、この桐山は料理とかできなさそうだと思ったので、俺は素直に従った。
「……(スッ)」
食後に、桐山は俺にガムを差し出してきた。
ブルーベリー味だった。うまかった。
そんだけ。
※
今日、商店街の福引でまた電動ガンが当たった。ウージーというサブマシンガンだ。
俺は先日の女の子の話をしたお詫びの意も込めて、桐山に進呈することにした。今のあいつがそのことを覚えているのかどうかわからないが。
「……」
特に何も言わなかったが、桐山はそっとウージーを受け取った。組み立ててトリガーを引く。
ダララララッ!!
おい!壁に向かって撃つなよ!
「……」
俺の注意を気に留めた様子もなく、桐山はウージーを撃った。……どうやら気に入ったらしい。その顔は少し楽しそうだった。
ただ、「ダラララッ」という口真似はしなかった。
そんだけ。
※
この町では、数年前から伝わっているというあるジンクスが有名だ。
年が明けて春になると
「いいな、七原に七草粥を作ってもらえるラッキーなやつってだれなんだろうな。」
とつぶやいた。そしたら突然後ろから声が響いた。
「振り向くな!七草を全部言えるか?言えたら作ってやろう」
七原だ!俺は直感でそう思った。
「ええと、せり、なずな、すずな、すずしろ、ほとけのざ、ごぎょう……」
俺は必死だ。でもどうしても最後のひとつが思い出せない。
がまんできずに振り向くと、七原は「ファイナルアンサー?」と言って姿を消した。
七原が立っていたあとには「はこべ」が落ちていた。
そんだけ。
※
「俺」の友人視点
昨日、友人のうちに「はこべ」を持った七原が来たらしい。
半信半疑だったが、僕は、もしもの時に備えて七草を暗記していた。
そしたら、僕の後ろの上あたりから突然声がした。
「振り向くな!七草を全部言えるか?言えたら作ってやろう!!」
心に響く声が部屋いっぱいに反響した!……七原だ!来た!もらった!!僕は即答した。
「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずしろ、すずな」
しかし七原は叫んだ。
「順番が違う!!!!」
振り向くと、もう七原の姿はなかった。
ものすごくがっかりした……
そんだけ
※
桐山視点
今日、充たちと他校のやつらと喧嘩していたら、いつの間にいたのか誰かが後ろから声をかけてきた。
「振り向くな!七草を全部言えるか?言えたら作ってやろう」
「……は?」
「ボ、ボス……例のジンクスっすよ。こいつに七草粥を作ってもらうといいことがあるって」
「さあ言ってみろ!」
「……知るか」
「!!!!」
七原は涙目になって走り去っていった。……飯の話を聞いたら腹が減ってきたので俺は帰ることにした。
…
「へえ。お前のとこにも七原が来たのか。……いつものお前だったら答えられたのになあ……」
……いつもの俺?何のことだ。
「いや、なんでもないんだ」
……そんだけ
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