蜀軍 同盟延長
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翌朝、私は馬超さんと一緒に庭を歩いていた。なんでかって?書簡に手をつけたくないから逃げ出した馬超さんを連れ戻しにし来たら「頼む!散歩したら執務するから!」って言われちゃって…
「颯閃、此処は気に入ったか?」
「はい。綺麗な花々が多く、癒されます」
「そうか…」
嬉しそうに微笑む馬超さん。自分の所属する軍だから自分の事のように嬉しいのだろうか
「…颯閃。今更なんだが俺の事は馬超と呼んでくれて構わないぞ?敬語も要らない」
「私はまだまだですし、蜀の誇る武将様を呼び捨てになど…」
「颯閃…俺達は友ではないのか?友ならば、呼び捨てで呼び合う事は当たり前だろう」
痛いところを突かれてどうしようか迷う。馬超、なんて言える自信は私には無い
「……颯閃」
「……ば、馬超……さん」
私の最大の勇気を込めた。自軍の女官や文官ならまだ話せるのに、やっぱり馬超さん相手に呼び捨ては残念ながら私にはハードル高過ぎる。激高なのよ激高
「…それが今の、颯閃の最大の好意なんだな?」
「さ、最大と言いますか…これが武将様方に対して限界と言いますか…」
「敬語もだぞ」
「うっ…」
「……何時もは強気なのにお前って奴は……」
何故か嬉しそうに笑う馬超さん。弱い私を見て楽しんでるの?なんて性格してるんだ…
「颯閃。ほら、敬語なしで俺と話してみろ」
「で、ですが──」
「け・い・ご」
「うぅっ……」
完全に私で遊んでいる馬超さん。仕返ししたいけど今の私なら多分無理だ
なので
「…諸葛亮様!こちらに馬超さんを見つけました!」
「なっ!卑怯だぞ颯閃──いだだだだっ!」
耳たぶを摘んで諸葛亮さんの所まで連れていく。これで少し位時間稼ぎになるだろう。その間に逃げる
「少々遅かったですね……。さぁ馬超、覚悟は出来ていますね?」
「ひっ!颯閃!頼む助けてくれ!いつも通りでいいから…!」
どれだけ執務したくないんだと思いながら、ちょっとふざけてみるのもいいかもと思って口を開いた
「…駄目よ、馬超さんにはそれ位が丁度いいわ」
「っ!颯閃、それは──」
「ば・ちょ・う?」
「な、頼む諸葛亮。俺に猶予を──ぎゃぁぁぁっ!」
人差し指で耳栓をし、急ぎ足で夏侯惇さんの元に戻る。馬超さんの声なんか聞こえない聞こえない
「あれ?」
夏侯惇さんの客室に向かう途中、書簡や竹簡を拾っている男性を見つけた。私はその人に近づき拾うのを手伝うことに
「あ、有難うございます……っ!」
「いえ、通り掛かったので…無視出来なくて」
「あ、あの…」
「はい?……あ」
顔を上げると、そこには下邳の時にお会いした徐庶さんの顔が。しかも案外近かった
「す、すみません!近かったですね…!」
「あ、いえいえ………えっと、魏軍の方…ですよね?」
「はい、昨日友好関係を築きに……えっと、見覚えないでしょうか。颯閃というのですが…」
「颯閃殿?…あぁ、あの時の。すみません、もう何ヶ月も前のことで…」
「いえいえ、少しだけ会話した程度ですから……あぁ、これどうぞ」
「あ、ありがとう…御座います……」
吃る徐庶さんに人見知り?でも前は普通に話してたわよね。なんて考えながら竹簡を渡して立ち上がる。徐庶さんもそれに引っ張られるように立ち上がった
「あ、あの!」
「はい、何でしょう?」
「あの…すみません。竹簡を持っているので後程お部屋にお伺いします」
「はい……それでは」
「そ、それでは!」
人見知り感丸出しで走り去っていった徐庶さん。意外な一面…。初めてあった時の陳宮さんだ
「あ、夏侯惇さん…」
忘れかけていた夏侯惇さんのことを思い出し私は急ぎ足で夏侯惇さんのいる客室へと向かった。まぁ、忘れてたなんて相手にはわからないので言わなきゃ良し
《徐庶視点》
「ふぅ…もう大丈夫かな…」
書庫に素早く入り込み心を落ち着かせる。バクバクと静かにしていたら周りに聞こえそうな程の大きな心臓の音を必死に抑える
俺がこうなったのも、全部颯閃殿がきっかけ。あ、この人拾ってくれた優しい人だな、と思って見上げたら、薄い布を付けた綺麗な女性が居て。しかも…魏軍の人だった。それに、彼女は以前俺と話した人だ。言われるまで気が付かなかったけれど…
………俺は魏軍に行く予定だ。勿論、色々あっちから言われてるってだけだが…颯閃殿はきっとその事を知っている。彼女に…行くって、伝えなきゃいけないだろう
「…覚悟を決めろ徐元直…!」
迷ってばかりじゃ駄目なんだ。きっと相手はもう待ってくれない。だから友好関係を結ぶという口実の元、彼女と夏侯惇殿を送ったんだ
早く決めないと………。時間は待ってくれないんだから
「よし…!」
俺は覚悟を決め颯閃殿の元へ向かう。颯閃殿の客室に居なかったら夏侯惇殿の客室だろう
『コンコンコン』
「あ、あの!徐庶です。颯閃殿はいらっしゃいますか?」
しんと静まる廊下。どうやらここには居ないようだ。ならば、夏侯惇殿の客室だろうか
俺は今度は隣の夏侯惇殿の客室向かった。コンコンと扉を叩くと、今度はあっさり返事が返ってくる
「はい、少々お待ちを」
優しい声がした後、扉がゆっくりと開かれる。先程は見えた青く薄い布の下の顔は、今は遠い為か見えなくなっていた
「これは徐庶様…隣の借りているお部屋でお話致しましょう。勝手ながらお茶を入れさせていただきます」
「そ、そんな!大丈夫で……えっと、ありがとうございます…」
断るにも断りきれず、結局彼女の客室へ行って入らせてもらう俺。颯閃殿は夏侯惇殿に話をつけに行ったので先に入らせてもらった。
部屋に入ると、一日経ったためか彼女の香りがほのかに香っていた。とてもいい香りだ……って、なんで彼女の匂い覚えてるんだ俺は
「どうぞ」
「あ、有難うございます……」
颯閃殿が来て、暖かなお茶を入れてもらい少し落ち着く。もっと心を落ち着かせて俺は本題を切り出した
「…あの、あの件なんですが……」
「あの件?何のことで……あぁ、竹簡を拾った時の話でしょうか?」
「え?」
この人知らないの!?となって動揺を隠せない。じゃぁ夏侯惇殿に話せばいいのかな………そう思っていると、彼女はハッとしたように俺を見た
「…えっと、まさかですが…例の……?」
「あ、はい」
良かった知ってた…。と、ほっとしたのも束の間、彼女は少し声を意外な言葉を投げかけてきた
「断っちゃって下さい」
「へ?」
魏軍の腹心の側近としてきている者からは信じられない言葉が出て、目を見開く。どういう事だ?
「貴方がどれほど悩んだか…内容と期間で承知しております。ですが…此処で貴方が吹っ切れないと、後になってきっと後悔します」
「ふ、吹っ切れる……」
「そうです。私からは夏侯惇様にお伝えしますから、今自分が居たい所の名を」
俺はそこで改めて考えた。魏へ行くべきか、蜀に残るべきか……。あちらへ行っても、俺は献策はしないつもりだ。劉備殿への最大の義理として。でも、ここに残ったら俺は…
ここで、頑張れるだろうか。軍師として……仲間として。もっとみんなのために
俺は覚悟を決め、彼女を見る。布から見える彼女の瞳は聖母の様に優しげだった
「あ、あの…あの件、お断りします!」
「そうですか…かしこまりました。夏侯惇様にはその様にお伝えしておきます」
咎めず、逆に良くやったと微笑んでくれる颯閃殿。ドクドクと治まっていた心臓の狂いがまた起きた
「…颯閃、殿…」
「なんでしょう」
「…有難う、ございます…。俺、吹っ切れました。貴女のお陰で……。これからはもっと自分に自信を持ってやって行きます!」
「はい。私で良ければ、遠くで応援させていただきます」
「…出来れば、近くでも…お願いします」
「ふふ……はい」
俺の頼み事を聞いてくれた。嬉しい…嬉し過ぎて心臓が煩い。顔も熱い。これはなんだ?分からない…分からないけど
彼女は……俺の光だ。この光を守っていきたい……。俺を照らしてくれる光を、守らない理由なんかないんだ
「…それでは、夏侯惇様にご報告して参ります。まだいらっしゃいますか?」
「あ、はい。また少し、貴女とお話がしたいです…」
「かしこまりました。では少々お待ち下さい」
一礼して部屋を退室した颯閃殿。徐々に心臓の音は一定となり、心は落ち着いてきた
「…彼女といると、幸せだ……」
ほのかに香る彼女の残り香に、口元が緩む。彼女が俺の婚約者になったら、どれだけ幸せなんだろうなんて考えてしまって、俺は首を横に振ってその考えをなんとか消した
「颯閃、此処は気に入ったか?」
「はい。綺麗な花々が多く、癒されます」
「そうか…」
嬉しそうに微笑む馬超さん。自分の所属する軍だから自分の事のように嬉しいのだろうか
「…颯閃。今更なんだが俺の事は馬超と呼んでくれて構わないぞ?敬語も要らない」
「私はまだまだですし、蜀の誇る武将様を呼び捨てになど…」
「颯閃…俺達は友ではないのか?友ならば、呼び捨てで呼び合う事は当たり前だろう」
痛いところを突かれてどうしようか迷う。馬超、なんて言える自信は私には無い
「……颯閃」
「……ば、馬超……さん」
私の最大の勇気を込めた。自軍の女官や文官ならまだ話せるのに、やっぱり馬超さん相手に呼び捨ては残念ながら私にはハードル高過ぎる。激高なのよ激高
「…それが今の、颯閃の最大の好意なんだな?」
「さ、最大と言いますか…これが武将様方に対して限界と言いますか…」
「敬語もだぞ」
「うっ…」
「……何時もは強気なのにお前って奴は……」
何故か嬉しそうに笑う馬超さん。弱い私を見て楽しんでるの?なんて性格してるんだ…
「颯閃。ほら、敬語なしで俺と話してみろ」
「で、ですが──」
「け・い・ご」
「うぅっ……」
完全に私で遊んでいる馬超さん。仕返ししたいけど今の私なら多分無理だ
なので
「…諸葛亮様!こちらに馬超さんを見つけました!」
「なっ!卑怯だぞ颯閃──いだだだだっ!」
耳たぶを摘んで諸葛亮さんの所まで連れていく。これで少し位時間稼ぎになるだろう。その間に逃げる
「少々遅かったですね……。さぁ馬超、覚悟は出来ていますね?」
「ひっ!颯閃!頼む助けてくれ!いつも通りでいいから…!」
どれだけ執務したくないんだと思いながら、ちょっとふざけてみるのもいいかもと思って口を開いた
「…駄目よ、馬超さんにはそれ位が丁度いいわ」
「っ!颯閃、それは──」
「ば・ちょ・う?」
「な、頼む諸葛亮。俺に猶予を──ぎゃぁぁぁっ!」
人差し指で耳栓をし、急ぎ足で夏侯惇さんの元に戻る。馬超さんの声なんか聞こえない聞こえない
「あれ?」
夏侯惇さんの客室に向かう途中、書簡や竹簡を拾っている男性を見つけた。私はその人に近づき拾うのを手伝うことに
「あ、有難うございます……っ!」
「いえ、通り掛かったので…無視出来なくて」
「あ、あの…」
「はい?……あ」
顔を上げると、そこには下邳の時にお会いした徐庶さんの顔が。しかも案外近かった
「す、すみません!近かったですね…!」
「あ、いえいえ………えっと、魏軍の方…ですよね?」
「はい、昨日友好関係を築きに……えっと、見覚えないでしょうか。颯閃というのですが…」
「颯閃殿?…あぁ、あの時の。すみません、もう何ヶ月も前のことで…」
「いえいえ、少しだけ会話した程度ですから……あぁ、これどうぞ」
「あ、ありがとう…御座います……」
吃る徐庶さんに人見知り?でも前は普通に話してたわよね。なんて考えながら竹簡を渡して立ち上がる。徐庶さんもそれに引っ張られるように立ち上がった
「あ、あの!」
「はい、何でしょう?」
「あの…すみません。竹簡を持っているので後程お部屋にお伺いします」
「はい……それでは」
「そ、それでは!」
人見知り感丸出しで走り去っていった徐庶さん。意外な一面…。初めてあった時の陳宮さんだ
「あ、夏侯惇さん…」
忘れかけていた夏侯惇さんのことを思い出し私は急ぎ足で夏侯惇さんのいる客室へと向かった。まぁ、忘れてたなんて相手にはわからないので言わなきゃ良し
《徐庶視点》
「ふぅ…もう大丈夫かな…」
書庫に素早く入り込み心を落ち着かせる。バクバクと静かにしていたら周りに聞こえそうな程の大きな心臓の音を必死に抑える
俺がこうなったのも、全部颯閃殿がきっかけ。あ、この人拾ってくれた優しい人だな、と思って見上げたら、薄い布を付けた綺麗な女性が居て。しかも…魏軍の人だった。それに、彼女は以前俺と話した人だ。言われるまで気が付かなかったけれど…
………俺は魏軍に行く予定だ。勿論、色々あっちから言われてるってだけだが…颯閃殿はきっとその事を知っている。彼女に…行くって、伝えなきゃいけないだろう
「…覚悟を決めろ徐元直…!」
迷ってばかりじゃ駄目なんだ。きっと相手はもう待ってくれない。だから友好関係を結ぶという口実の元、彼女と夏侯惇殿を送ったんだ
早く決めないと………。時間は待ってくれないんだから
「よし…!」
俺は覚悟を決め颯閃殿の元へ向かう。颯閃殿の客室に居なかったら夏侯惇殿の客室だろう
『コンコンコン』
「あ、あの!徐庶です。颯閃殿はいらっしゃいますか?」
しんと静まる廊下。どうやらここには居ないようだ。ならば、夏侯惇殿の客室だろうか
俺は今度は隣の夏侯惇殿の客室向かった。コンコンと扉を叩くと、今度はあっさり返事が返ってくる
「はい、少々お待ちを」
優しい声がした後、扉がゆっくりと開かれる。先程は見えた青く薄い布の下の顔は、今は遠い為か見えなくなっていた
「これは徐庶様…隣の借りているお部屋でお話致しましょう。勝手ながらお茶を入れさせていただきます」
「そ、そんな!大丈夫で……えっと、ありがとうございます…」
断るにも断りきれず、結局彼女の客室へ行って入らせてもらう俺。颯閃殿は夏侯惇殿に話をつけに行ったので先に入らせてもらった。
部屋に入ると、一日経ったためか彼女の香りがほのかに香っていた。とてもいい香りだ……って、なんで彼女の匂い覚えてるんだ俺は
「どうぞ」
「あ、有難うございます……」
颯閃殿が来て、暖かなお茶を入れてもらい少し落ち着く。もっと心を落ち着かせて俺は本題を切り出した
「…あの、あの件なんですが……」
「あの件?何のことで……あぁ、竹簡を拾った時の話でしょうか?」
「え?」
この人知らないの!?となって動揺を隠せない。じゃぁ夏侯惇殿に話せばいいのかな………そう思っていると、彼女はハッとしたように俺を見た
「…えっと、まさかですが…例の……?」
「あ、はい」
良かった知ってた…。と、ほっとしたのも束の間、彼女は少し声を意外な言葉を投げかけてきた
「断っちゃって下さい」
「へ?」
魏軍の腹心の側近としてきている者からは信じられない言葉が出て、目を見開く。どういう事だ?
「貴方がどれほど悩んだか…内容と期間で承知しております。ですが…此処で貴方が吹っ切れないと、後になってきっと後悔します」
「ふ、吹っ切れる……」
「そうです。私からは夏侯惇様にお伝えしますから、今自分が居たい所の名を」
俺はそこで改めて考えた。魏へ行くべきか、蜀に残るべきか……。あちらへ行っても、俺は献策はしないつもりだ。劉備殿への最大の義理として。でも、ここに残ったら俺は…
ここで、頑張れるだろうか。軍師として……仲間として。もっとみんなのために
俺は覚悟を決め、彼女を見る。布から見える彼女の瞳は聖母の様に優しげだった
「あ、あの…あの件、お断りします!」
「そうですか…かしこまりました。夏侯惇様にはその様にお伝えしておきます」
咎めず、逆に良くやったと微笑んでくれる颯閃殿。ドクドクと治まっていた心臓の狂いがまた起きた
「…颯閃、殿…」
「なんでしょう」
「…有難う、ございます…。俺、吹っ切れました。貴女のお陰で……。これからはもっと自分に自信を持ってやって行きます!」
「はい。私で良ければ、遠くで応援させていただきます」
「…出来れば、近くでも…お願いします」
「ふふ……はい」
俺の頼み事を聞いてくれた。嬉しい…嬉し過ぎて心臓が煩い。顔も熱い。これはなんだ?分からない…分からないけど
彼女は……俺の光だ。この光を守っていきたい……。俺を照らしてくれる光を、守らない理由なんかないんだ
「…それでは、夏侯惇様にご報告して参ります。まだいらっしゃいますか?」
「あ、はい。また少し、貴女とお話がしたいです…」
「かしこまりました。では少々お待ち下さい」
一礼して部屋を退室した颯閃殿。徐々に心臓の音は一定となり、心は落ち着いてきた
「…彼女といると、幸せだ……」
ほのかに香る彼女の残り香に、口元が緩む。彼女が俺の婚約者になったら、どれだけ幸せなんだろうなんて考えてしまって、俺は首を横に振ってその考えをなんとか消した