蜀軍 同盟延長
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あれから約八日。途中で夏侯惇さんに休んでもらったり、山賊に絡まれたりしたりして予定より一日遅れてしまったけどなんとか成都に到着した
「どの軍も最近治安が悪いな…。これは話し合わなくては」
「そうですね……。返り血浴びなくて良かったです」
「確かに、血塗れで蜀軍に入るとなると気が引けるからな」
二人でそんな事を話しながら門を叩く。すると上から声がした
「貴様ら!魏軍の者だな!」
「あぁ!ここを開けてくれないか!」
「諸葛亮様が来るまで待て!」
「……なんだと?」
「夏侯惇さん。どうどう」
夏侯惇さんがイラッとするのも分かる。でも相手はこちらがいつ来るのかも分からないのに門でずっと待ってる訳にもいかない。仕方の無いことなのだ
「…はぁ。颯閃に止められては怒る気も失せる」
「それは何より。交渉しに来たのに戦になられても私が困ります」
「…すまない。お前のことを考えていなかった」
道中何があるかわからないという事で戟を持ってきてはいるが、あまり戦はしたくないのが現状。だって山賊討伐とかあっちに断然非があるならまだしも…ねぇ?
「お待たせ致しました。どうぞこちらへ」
「あぁ。………颯閃、ちゃんと付けてるか」
「はい」
何をつけているかというと、魏軍の城下で手に入れた顔を隠すフェイスヴェール(わかりやすく言えば踊り子が付けているあれ)。なぜか知らないけれど夏侯惇さんが急に持ってきて、これを付けてくれって…。最初は顔下半分を隠せる物を選んでいたのだけど、付けてみたら夏侯惇さんに猛反対されて、結局顔全体を隠すものになった。視界の方は相手が相当近付かないと見えない仕様になっているが、こちらからは良好なので問題は無い
「おや、付き添いは司馬懿か賈詡殿がいらっしゃるかと思えば…」
「こちらにも事情がある。…颯閃、挨拶」
「はい。私は颯閃、夏侯惇さんの側近として参りました。以後お見知りおきを」
「こちらこそお見知りおきを…。私は諸葛孔明です。諸葛亮と呼んでください」
諸葛亮さんの顔を見てまた見たことあるような感じがした。うーん、前世の時に見たのかもしれない
「ではこちらへ…どうぞ」
「あぁ。颯閃、足元に気をつけるんだぞ」
「私は子供ではありませんが?」
「ふ、俺からしたら子供だ」
「失礼な……」
最初の頃より子供扱いが酷くなってきた夏侯惇さん。そんなに子供っぽいのだろうか…
《蜀軍 城内》
城の中へ入ると、周りの兵は諸葛亮さんと私達を見比べていた。まぁ、魏軍の腹心が来たんだからそりゃそうか
「劉備殿に謁見する事を許可致しますが、基本は私が返させて頂きますので」
「あぁ、構わん」
扉が開き奥へ招かれる。その奥の玉座に鎮座する威厳ある男性。その人がこの国を統べる劉備玄徳その人だ。まぁ、何度か顔合わせしたことあるけどね……多分相手は私の事気づいてないかな。名前言ったら分かるだろうけど
「よく来てくれた。魏軍から派遣された者達よ!私は劉備……と言っても、もう知っているか」
「何度顔を合わせたと思ってるんだ。颯閃も、何回か見覚えはあるだろう」
「颯閃殿!?」
劉備さんが私に視線を移す。私はしっかり頭を下げた
「今回は夏侯惇様の側近としてまいりました。よろしくお願い致します」
「そ、そうでしたか。いや、颯閃殿だとは知らず………その、なぜそれを?」
「少し事情がありまして」
「……では、その話は置いておき、まずは同盟の話を致しましょう」
「そうだな、同盟延長の件なんだが───」
夏侯惇さんが内容を説明する。その間私は外を眺めていた。この世界は緑が多くていい。目の保養…
「……それでは、私達は同盟を継続することは出来ません」
「なに?」
私が外の世界に魅入っている間にあの長い事項を言った夏侯惇さん。それを完全拒否した諸葛亮さんの瞳は何かを試す心が見えた気がした
これでもこの26年。動物と接してきて生き物の感情は分かる様になっている。ありがとうね山
「夏侯惇さん、ここは私が」
「…すまん」
「いえ、私の役目ですので……では諸葛亮様に質問です。貴方々は『何を』お望みですか?」
そう言うと劉備さんと諸葛亮さんは眉を動かした。この人達の事だ、中国全ての制覇などでは無い
我が国…もしくは、中国全ての泰平。仁と義の国蜀ならばこれが普通だろう
「我々は友好関係を結んだ国との交流を大事に致します。少々のいざこざは御座いましたが、それらもしっかり解決させた上での今回の同盟延長の話です」
「…それで?」
「我々は友好関係を結んだ方々と敵対する事は有り得ません。そちらが手を出せば、話は変わりますが。…そんなこと、貴方々がするとは到底思えない」
「貴方々が裏切るかもしれない…という、疑いを私共は持っていますが?またあの時のいざこざが起きないとは思いません」
「裏切る事によりこちらは損害が大きいでしょう。呉軍と蜀軍は同盟関係を結んでいらっしゃる。それも、ただの同盟ではなく強いほかの何かがある。呉軍と蜀軍の勢力を魏単体で相手するとなると相当の戦力を消耗し、尚且つ兵の分担を余儀なくされます。負け戦に近い物をするとは到底思えません」
この後も諸葛亮さんと口論し、死闘(?)の末私の勝利。夏侯惇さん、地味に引かないでください!
「…完敗です。貴方には負けを認めましょう」
「いえ、今のはあくまで『交渉』。勝負事ではありません。夏侯惇さん、話は解決致しました。これより魏軍に帰還を──」
「待ってくれ!」
諸葛亮さんを説得出来た、やったね気分で帰ろうとした時、劉備さんから待ったの声が掛かる。諸葛亮さんはその横で満足げに頬に手を添えて一息ついていた。なにこれ
「魏の拠点許昌からここまで最低でも七日…。体は疲労し鞭を打つような状態であろう。どうか『友好』なる証として、泊まっていってはくれぬか」
「……その代わり、飛脚は出してもらうぞ。何日も空けると孟徳を無駄に警戒させてしまうからな」
「うむ、了解した。諸葛亮、後の事は任せても良いか?私は彼女と話したいことがあるのだが」
「私は構いませんが…彼が許すかどうか」
そう言って夏侯惇さんを見る諸葛亮さん。夏侯惇さんはふん、と鼻で笑ったあと、顎で行ってこいと私に合図した。大丈夫らしい
「うちの者に手を出せば…分かっているな。劉備」
「私はそのような真似はしない。話がしたいだけだ」
夏侯惇さんを連れて諸葛亮さんが退出。二人きりになった時劉備さんが玉座から立ち上がった
「颯閃殿、下邳以来…ですね」
「そうですね。あの時は本当にご迷惑をおかけしてしまい…」
「いえ、その事はもう触れない約束です。……唐突なのですが、ご婚約は?」
「婚約…?いえ、婚約はしておりません」
「そ、そうでしたか!すみません、変なことを聞いてしまって…」
「いえ、お気になさらず…」
そこで会話が途切れ、沈黙が数秒漂ったが、その沈黙をかき消す程の轟音が遠くからした
「む?なんだこの音は…」
「見て参りましょう。少々おまちを──」
「いや、私も行きましょう。ここは我が国の首都城、案内も兼ねて」
「ですが、私のようなものが国の主たる劉備様に案内をさせるなど……」
「構いません。私がそうしたいのですが……駄目、ですか?」
「…いえ、それで劉備様のお心が治まるというならば……」
この人言い出したら止まらないタイプだ。と頭に記憶し玉間から出る。物音は劉備さんによると鍛錬場からするらしい
「この際だ、私の武を見て頂きましょう!蜀軍の主である私の実力も、あなたに見極めてほしいのです」
「そんな。私にそのような…」
「いや、あなたはあの諸葛亮を武ではなく言葉で負かした。その力を私は感心したのです。ならば!次は私が、私なりに認めてほしい…」
優しい顔で頼まれ、断れずに頷く。劉備さんは笑顔で鍛錬場に案内してくれたのであった
「どの軍も最近治安が悪いな…。これは話し合わなくては」
「そうですね……。返り血浴びなくて良かったです」
「確かに、血塗れで蜀軍に入るとなると気が引けるからな」
二人でそんな事を話しながら門を叩く。すると上から声がした
「貴様ら!魏軍の者だな!」
「あぁ!ここを開けてくれないか!」
「諸葛亮様が来るまで待て!」
「……なんだと?」
「夏侯惇さん。どうどう」
夏侯惇さんがイラッとするのも分かる。でも相手はこちらがいつ来るのかも分からないのに門でずっと待ってる訳にもいかない。仕方の無いことなのだ
「…はぁ。颯閃に止められては怒る気も失せる」
「それは何より。交渉しに来たのに戦になられても私が困ります」
「…すまない。お前のことを考えていなかった」
道中何があるかわからないという事で戟を持ってきてはいるが、あまり戦はしたくないのが現状。だって山賊討伐とかあっちに断然非があるならまだしも…ねぇ?
「お待たせ致しました。どうぞこちらへ」
「あぁ。………颯閃、ちゃんと付けてるか」
「はい」
何をつけているかというと、魏軍の城下で手に入れた顔を隠すフェイスヴェール(わかりやすく言えば踊り子が付けているあれ)。なぜか知らないけれど夏侯惇さんが急に持ってきて、これを付けてくれって…。最初は顔下半分を隠せる物を選んでいたのだけど、付けてみたら夏侯惇さんに猛反対されて、結局顔全体を隠すものになった。視界の方は相手が相当近付かないと見えない仕様になっているが、こちらからは良好なので問題は無い
「おや、付き添いは司馬懿か賈詡殿がいらっしゃるかと思えば…」
「こちらにも事情がある。…颯閃、挨拶」
「はい。私は颯閃、夏侯惇さんの側近として参りました。以後お見知りおきを」
「こちらこそお見知りおきを…。私は諸葛孔明です。諸葛亮と呼んでください」
諸葛亮さんの顔を見てまた見たことあるような感じがした。うーん、前世の時に見たのかもしれない
「ではこちらへ…どうぞ」
「あぁ。颯閃、足元に気をつけるんだぞ」
「私は子供ではありませんが?」
「ふ、俺からしたら子供だ」
「失礼な……」
最初の頃より子供扱いが酷くなってきた夏侯惇さん。そんなに子供っぽいのだろうか…
《蜀軍 城内》
城の中へ入ると、周りの兵は諸葛亮さんと私達を見比べていた。まぁ、魏軍の腹心が来たんだからそりゃそうか
「劉備殿に謁見する事を許可致しますが、基本は私が返させて頂きますので」
「あぁ、構わん」
扉が開き奥へ招かれる。その奥の玉座に鎮座する威厳ある男性。その人がこの国を統べる劉備玄徳その人だ。まぁ、何度か顔合わせしたことあるけどね……多分相手は私の事気づいてないかな。名前言ったら分かるだろうけど
「よく来てくれた。魏軍から派遣された者達よ!私は劉備……と言っても、もう知っているか」
「何度顔を合わせたと思ってるんだ。颯閃も、何回か見覚えはあるだろう」
「颯閃殿!?」
劉備さんが私に視線を移す。私はしっかり頭を下げた
「今回は夏侯惇様の側近としてまいりました。よろしくお願い致します」
「そ、そうでしたか。いや、颯閃殿だとは知らず………その、なぜそれを?」
「少し事情がありまして」
「……では、その話は置いておき、まずは同盟の話を致しましょう」
「そうだな、同盟延長の件なんだが───」
夏侯惇さんが内容を説明する。その間私は外を眺めていた。この世界は緑が多くていい。目の保養…
「……それでは、私達は同盟を継続することは出来ません」
「なに?」
私が外の世界に魅入っている間にあの長い事項を言った夏侯惇さん。それを完全拒否した諸葛亮さんの瞳は何かを試す心が見えた気がした
これでもこの26年。動物と接してきて生き物の感情は分かる様になっている。ありがとうね山
「夏侯惇さん、ここは私が」
「…すまん」
「いえ、私の役目ですので……では諸葛亮様に質問です。貴方々は『何を』お望みですか?」
そう言うと劉備さんと諸葛亮さんは眉を動かした。この人達の事だ、中国全ての制覇などでは無い
我が国…もしくは、中国全ての泰平。仁と義の国蜀ならばこれが普通だろう
「我々は友好関係を結んだ国との交流を大事に致します。少々のいざこざは御座いましたが、それらもしっかり解決させた上での今回の同盟延長の話です」
「…それで?」
「我々は友好関係を結んだ方々と敵対する事は有り得ません。そちらが手を出せば、話は変わりますが。…そんなこと、貴方々がするとは到底思えない」
「貴方々が裏切るかもしれない…という、疑いを私共は持っていますが?またあの時のいざこざが起きないとは思いません」
「裏切る事によりこちらは損害が大きいでしょう。呉軍と蜀軍は同盟関係を結んでいらっしゃる。それも、ただの同盟ではなく強いほかの何かがある。呉軍と蜀軍の勢力を魏単体で相手するとなると相当の戦力を消耗し、尚且つ兵の分担を余儀なくされます。負け戦に近い物をするとは到底思えません」
この後も諸葛亮さんと口論し、死闘(?)の末私の勝利。夏侯惇さん、地味に引かないでください!
「…完敗です。貴方には負けを認めましょう」
「いえ、今のはあくまで『交渉』。勝負事ではありません。夏侯惇さん、話は解決致しました。これより魏軍に帰還を──」
「待ってくれ!」
諸葛亮さんを説得出来た、やったね気分で帰ろうとした時、劉備さんから待ったの声が掛かる。諸葛亮さんはその横で満足げに頬に手を添えて一息ついていた。なにこれ
「魏の拠点許昌からここまで最低でも七日…。体は疲労し鞭を打つような状態であろう。どうか『友好』なる証として、泊まっていってはくれぬか」
「……その代わり、飛脚は出してもらうぞ。何日も空けると孟徳を無駄に警戒させてしまうからな」
「うむ、了解した。諸葛亮、後の事は任せても良いか?私は彼女と話したいことがあるのだが」
「私は構いませんが…彼が許すかどうか」
そう言って夏侯惇さんを見る諸葛亮さん。夏侯惇さんはふん、と鼻で笑ったあと、顎で行ってこいと私に合図した。大丈夫らしい
「うちの者に手を出せば…分かっているな。劉備」
「私はそのような真似はしない。話がしたいだけだ」
夏侯惇さんを連れて諸葛亮さんが退出。二人きりになった時劉備さんが玉座から立ち上がった
「颯閃殿、下邳以来…ですね」
「そうですね。あの時は本当にご迷惑をおかけしてしまい…」
「いえ、その事はもう触れない約束です。……唐突なのですが、ご婚約は?」
「婚約…?いえ、婚約はしておりません」
「そ、そうでしたか!すみません、変なことを聞いてしまって…」
「いえ、お気になさらず…」
そこで会話が途切れ、沈黙が数秒漂ったが、その沈黙をかき消す程の轟音が遠くからした
「む?なんだこの音は…」
「見て参りましょう。少々おまちを──」
「いや、私も行きましょう。ここは我が国の首都城、案内も兼ねて」
「ですが、私のようなものが国の主たる劉備様に案内をさせるなど……」
「構いません。私がそうしたいのですが……駄目、ですか?」
「…いえ、それで劉備様のお心が治まるというならば……」
この人言い出したら止まらないタイプだ。と頭に記憶し玉間から出る。物音は劉備さんによると鍛錬場からするらしい
「この際だ、私の武を見て頂きましょう!蜀軍の主である私の実力も、あなたに見極めてほしいのです」
「そんな。私にそのような…」
「いや、あなたはあの諸葛亮を武ではなく言葉で負かした。その力を私は感心したのです。ならば!次は私が、私なりに認めてほしい…」
優しい顔で頼まれ、断れずに頷く。劉備さんは笑顔で鍛錬場に案内してくれたのであった