これが乱世
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《青年視点》
「くそっ……!兵の数はこちらが上だった!なぜだ…!」
「敵の将が強者揃いだったんだよォ。あの鬼神呂布が居たしね…」
「くっ…俺の力不足でみんな捕まってしまった…」
「若、今は逃げなきゃ。みんながどうして本陣から逃がしたか…分かるよね?」
馬岱の言葉に俺は歯を食いしばった。理由なんて言われなくても分かっている。分かっていても、それは─────
「待って!」
「あれ?君は…」
「あの時の…!」
俺たちの目の前に現れたのは以前俺を助けてくれたとある女性だった。だが、その手には武器が握ってある
「…まさか、曹操軍…!」
「こんな事になるなんて思わなかったけれど……信用しろなんて言いません、でもその先は駄目。その先に予備兵が伏せてある。こっちに来て下さい」
「…………」
「若……」
俺に差し伸べられる手、それは以前俺を助けてくれた時のものと同じだった。迷わず俺を見るその瞳は、あの時と変わらず────
「…逃げ道を、教えてくれるのか?」
「逃げ道というか、なんとかここから離脱できる方法になるけれど……貴方達からしての敵は追っては来ないはずです」
「…そうか」
こいつが言っていることは嘘ではない。その言葉に何かが隠されている訳でもない。俺はそれを理解し、差し伸べられた手を握った
「お前に頼ってばかりだな…すまない」
「いいんです。これが私の償いですから…」
「償い?」
「…少なからず、あなたの仲間を捕縛してしまいましたので」
「…そうか。だが、それは俺も同じだ。お前の仲間を斬った」
「…こんな所で立ち話もなんですし、取り敢えずこっちに」
「あぁ!」
馬岱も俺の意思に従うらしく着いてきてくれた。俺の左手に握られる手は、手袋が付けられており体温が感じにくいが、なんだか胸が温まってしまった。こんな状況だと言うのに……
「わぁっ、本当に敵いる…」
馬岱が見る先には頭に布を巻いた男が兵の指揮を取っていた。あちらからこっちは死角だろう
「この先に洞窟があり、そこを通った先に洛陽に続く道がございます。途中馬が繋がれている場所があるので乗って言ってください。大丈夫、うちの軍の馬なので構いません」
「……これがバレたらお前はどうなる」
「バレることはないかと思いますが、バレたら…そうですね。そこら辺詳しくないので詳しくは言えないです」
苦笑いする相手に俺は先程まで握られていた左手をキツく拳を握った
「…お前も、来ないか」
「え?」
「ちょっと若、彼女困ってるよ?」
「…お前の気持ちを尊重する。だから、今もし、ついて行く気持ちでないならそれでいい。ただ、俺はお前を迎えに行くぞ。敵同士だろうとな」
ガシッと女性の肩を掴んで俺の意思を伝えた。オドオドと頷いてくれたので俺は満足だ
「そうだ、今度こそ名前を教えてくれ。名を知らぬのに迎えに来るなど意味がわからん」
「私の名前は颯閃です」
「颯閃か……俺は馬孟起、こっちは馬岱だ。絶対に忘れるなよ、颯閃」
「いや、忘れられないと思いますよ…」
苦笑いでそういった颯閃に俺も笑いながら頷いた。良かった、まだ、俺には笑う余裕があるようだ
「そろそろ行く。颯閃、またな」
「はい。馬岱様も、また」
「え、俺も?えへへ、ありがと!」
そそくさとその場から去る俺達を手を振って見送ってくれる颯閃。あの様子だと見つかることは無いだろう。颯閃、俺がお前を迎えに行くまで死ぬんじゃないぞ!
《数ヶ月後》
「くそっ!!」
「若!木を殴りすぎて拳血みどろだよォ!そろそろやめて!」
「馬岱……分からないか!俺は、俺は……」
颯閃に逃がしてもらってから数ヶ月が経ち、俺の家族や一族皆処刑されたとの連絡があった。涼州には曹操軍の兵が進軍し、俺たちは追われる身となり、今は劉備という人徳のある方の元にいる
「馬超」
「劉備殿…!」
「気持ちは分かる。だが、今はその気持ちを抑えてくれ。すまない、私に力がないばかりに…」
「そんな、劉備殿が謝ることではない!…俺が、未熟だったのだ…」
父を、家族を、一族を守れなかったのはあの時の俺の判断力と能力全てにおいて敵に劣っていたから。あの時颯閃が俺を逃がしてくれなければ今頃はここにいることさえも危ういだろう
曹操を憎む気持ちが俺を埋め尽くす。分かっている、このままではいけない。だが、それでも……
「あ、若……言い難いんだけど、曹操軍、帝を捨てて自分が帝を名乗ったみたいだよ?劉備殿も蜀を建てたし、曹操は魏、孫堅軍はなぜか次男の孫権殿が呉を建てたって……」
「…それがなんだ」
「えーっと……魏の使者が同盟の継続について話に来るそうなんだけど…」
「…曹操でないなら関係はない。だが、俺は曹操の首を狙い続けるぞ。あの男を許すことは出来ない!」
「若……復讐だけに染まらないでね」
俺は馬岱の言葉を聞き流した。俺がなにかすれば馬岱に何か被害が及ぶかもしれない。その時は、なんとしても馬岱だけでも逃がさねければな…
「くそっ……!兵の数はこちらが上だった!なぜだ…!」
「敵の将が強者揃いだったんだよォ。あの鬼神呂布が居たしね…」
「くっ…俺の力不足でみんな捕まってしまった…」
「若、今は逃げなきゃ。みんながどうして本陣から逃がしたか…分かるよね?」
馬岱の言葉に俺は歯を食いしばった。理由なんて言われなくても分かっている。分かっていても、それは─────
「待って!」
「あれ?君は…」
「あの時の…!」
俺たちの目の前に現れたのは以前俺を助けてくれたとある女性だった。だが、その手には武器が握ってある
「…まさか、曹操軍…!」
「こんな事になるなんて思わなかったけれど……信用しろなんて言いません、でもその先は駄目。その先に予備兵が伏せてある。こっちに来て下さい」
「…………」
「若……」
俺に差し伸べられる手、それは以前俺を助けてくれた時のものと同じだった。迷わず俺を見るその瞳は、あの時と変わらず────
「…逃げ道を、教えてくれるのか?」
「逃げ道というか、なんとかここから離脱できる方法になるけれど……貴方達からしての敵は追っては来ないはずです」
「…そうか」
こいつが言っていることは嘘ではない。その言葉に何かが隠されている訳でもない。俺はそれを理解し、差し伸べられた手を握った
「お前に頼ってばかりだな…すまない」
「いいんです。これが私の償いですから…」
「償い?」
「…少なからず、あなたの仲間を捕縛してしまいましたので」
「…そうか。だが、それは俺も同じだ。お前の仲間を斬った」
「…こんな所で立ち話もなんですし、取り敢えずこっちに」
「あぁ!」
馬岱も俺の意思に従うらしく着いてきてくれた。俺の左手に握られる手は、手袋が付けられており体温が感じにくいが、なんだか胸が温まってしまった。こんな状況だと言うのに……
「わぁっ、本当に敵いる…」
馬岱が見る先には頭に布を巻いた男が兵の指揮を取っていた。あちらからこっちは死角だろう
「この先に洞窟があり、そこを通った先に洛陽に続く道がございます。途中馬が繋がれている場所があるので乗って言ってください。大丈夫、うちの軍の馬なので構いません」
「……これがバレたらお前はどうなる」
「バレることはないかと思いますが、バレたら…そうですね。そこら辺詳しくないので詳しくは言えないです」
苦笑いする相手に俺は先程まで握られていた左手をキツく拳を握った
「…お前も、来ないか」
「え?」
「ちょっと若、彼女困ってるよ?」
「…お前の気持ちを尊重する。だから、今もし、ついて行く気持ちでないならそれでいい。ただ、俺はお前を迎えに行くぞ。敵同士だろうとな」
ガシッと女性の肩を掴んで俺の意思を伝えた。オドオドと頷いてくれたので俺は満足だ
「そうだ、今度こそ名前を教えてくれ。名を知らぬのに迎えに来るなど意味がわからん」
「私の名前は颯閃です」
「颯閃か……俺は馬孟起、こっちは馬岱だ。絶対に忘れるなよ、颯閃」
「いや、忘れられないと思いますよ…」
苦笑いでそういった颯閃に俺も笑いながら頷いた。良かった、まだ、俺には笑う余裕があるようだ
「そろそろ行く。颯閃、またな」
「はい。馬岱様も、また」
「え、俺も?えへへ、ありがと!」
そそくさとその場から去る俺達を手を振って見送ってくれる颯閃。あの様子だと見つかることは無いだろう。颯閃、俺がお前を迎えに行くまで死ぬんじゃないぞ!
《数ヶ月後》
「くそっ!!」
「若!木を殴りすぎて拳血みどろだよォ!そろそろやめて!」
「馬岱……分からないか!俺は、俺は……」
颯閃に逃がしてもらってから数ヶ月が経ち、俺の家族や一族皆処刑されたとの連絡があった。涼州には曹操軍の兵が進軍し、俺たちは追われる身となり、今は劉備という人徳のある方の元にいる
「馬超」
「劉備殿…!」
「気持ちは分かる。だが、今はその気持ちを抑えてくれ。すまない、私に力がないばかりに…」
「そんな、劉備殿が謝ることではない!…俺が、未熟だったのだ…」
父を、家族を、一族を守れなかったのはあの時の俺の判断力と能力全てにおいて敵に劣っていたから。あの時颯閃が俺を逃がしてくれなければ今頃はここにいることさえも危ういだろう
曹操を憎む気持ちが俺を埋め尽くす。分かっている、このままではいけない。だが、それでも……
「あ、若……言い難いんだけど、曹操軍、帝を捨てて自分が帝を名乗ったみたいだよ?劉備殿も蜀を建てたし、曹操は魏、孫堅軍はなぜか次男の孫権殿が呉を建てたって……」
「…それがなんだ」
「えーっと……魏の使者が同盟の継続について話に来るそうなんだけど…」
「…曹操でないなら関係はない。だが、俺は曹操の首を狙い続けるぞ。あの男を許すことは出来ない!」
「若……復讐だけに染まらないでね」
俺は馬岱の言葉を聞き流した。俺がなにかすれば馬岱に何か被害が及ぶかもしれない。その時は、なんとしても馬岱だけでも逃がさねければな…
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