後日、登用した人達を曹操さんに謁見させるという事実を知り登用を命じられた私達はみんなで驚いたのだけれど、それもやっぱり時間の問題ですぐにその日は訪れた

「かの曹操殿にお、お会いするとは…恐れ多い……だっ駄目だ、心の臓が…」
「肩の力を抜いて、はい深呼吸」
「すぅー…はぁー…」

プルプルとチワワのように震える諸葛誕さんの緊張を解す手伝いをする。待合室みたいな感じでいろんな人が待機している

「姉上、わ、私もお願いします…」
「貴方がなんで緊張するのよ…はい、深呼吸」
「すぅー…はぁー………姉上、いつものもお願いします」
「もー」

腕を広げて楽進を迎える準備をすると楽進がぎゅぅっと抱きついてきた。そして安定の匂い嗅ぎ

「…これで謁見してはいけませんか？」
「ダメに決まってるじゃない、頭の整理なさい」
「ふぁい…」

うぅーと唸り始めた楽進の背中を叩いて落ち着かせる。こんな大役やったことないって愚痴ってたもんね、ヨシヨシ

「颯閃さん、俺も…」
「李典君あなたは絶対緊張してないでしょう。その目でわかる」
「あー…この予感はしてた…」
「颯閃殿、私は…」
「いや、楽進以外みんな緊張の『き』の字もない表情してますよね頭のネジ大丈夫ですか」
「頭のネジ？なんか知らねぇけど貶された気がする」

自分を誘ってきた人がこんな感じなので登用された人達はちょっと落ち着いてきた様子。まぁ、結果オーライという事で

「お前達、孟徳の準備もできた。来てくれ」
「はい。さ、諸葛誕さん、行きましょう」
「はい！」

諸葛誕さんを連れて行くと、他のみんなも続々と謁見の間へ。諸葛誕さんがまた緊張し始めたからどうしたものか

「顔を合わせるだけだから大丈夫ですよ、肩の力抜いて」
「す、すみません。どうも緊張しいで…」

モジモジし始めた諸葛誕さんが妙に可愛く見えてしまう幻覚を見つつ到着。まぁ、そんなに特殊なものでもないしただ挨拶するだけだったので割合させてもらう

「な、なぜか緊張してしまいました…」
「推薦なんて初めてだしな。まぁ、嫌な予感はしなかったし大丈夫だろ」
「颯閃殿、良ければこれから鍛錬でもいかがだろう。呂布殿は今別件で遠出に出ていると聞く」
「颯閃殿、拙者も同行したく！」
「こら後者2人、登用した人に仕事を教えなさい」

しゅんっとした二人にだが、それが終われば鍛錬でも修行でも付き合うと言うと、満面の笑顔になって登用した人達連れていった。条件ってすごい

「さて、行きましょう諸葛誕さん。暫くは私の元で働いていただきますよ」
「はい！」

あ、犬の耳としっぽ見える…

《二刻後》

「────こんな感じの仕事です、わかりましたか？」
「はい！これからよろしくお願い致します」
「いえいえこちらこそ」
「………その、私は貴方の部下です。ですから…私のことは諸葛誕で構いませんし、敬語も不要です。慣れた方々には敬語は使っていらっしゃらなかったので…」
「…いいの？」
「はい！」
「それじゃあお言葉に甘えて。よろしくね」

手を差し出すと一瞬だけ目を輝かせて握り返してくれた。この国ではこの習慣ないと思うけど、何となく察してくれたのかしら

「颯閃、少しいいか」
「はい。あ、諸葛誕君、私の執務が来たら今日までのと別の日までのを分けておいて」
「はい！」

諸葛誕くんが尻尾ぶんぶん振ってる幻覚を見ながら私は呼びに来た夏侯惇さんについて行った。可愛いなぁ諸葛誕君、ワンコみたい