文官としての活躍
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「楽進、ただいまー」
「姉上、おかえりなさい。予想より少し早く帰ってきましたね」
「楽進の予想はどうであれ、楽しめたわよ。あ、そうだ。曹操様にお酒お作りしなきゃ行けないのよ」
「そうなのですか?」
「そう」
楽進が松明と灰受皿をもって寝室に着いてきてくれた。その灯りを頼りに器具を取り出し、お酒も持った
「夜の廊下は見えづらいでしょう。送り迎えをしますので安心してくださいね」
「有難う楽進。楽進は灯し係やったことあるの?」
「まぁ、文官になりたての頃はよくやらされていました。それが身についてか目上でも目下でも松明持ちしてしまって……良く部下にあたふたされます」
「楽進ったら変わらないわね……身についたことが離れない」
「ご最もです」
照れたように頬をかく楽進にニコニコしながら曹操さんの執務室に向かう。楽進はお酒に弱いから作ってあげられないけど、松明持ちをしてくれるらしい。これ姉弟じゃなかったら問題事ね
「曹操様、颯閃です。お酒を作りに参りました」
「おぉ、入るが良い」
「失礼致します」
中に入ると曹操さんがニコニコと笑って待っていた。だが、一瞬だけ顔が強ばった。ほんの一瞬だったのだが、その表情は嫌悪を表しているように見えた
「……今宵は月明かりが出てとても明るい。灯し係は要らぬのではないか?」
「そうですか。なら扉の前にてお待ちしております。颯閃殿、お帰りになる時はお声かけ下さい」
「ずっと立っておくのですか?」
「はい。灯し係は部屋の端で立っておくのが役目ですから」
「……それ、辛くありません?とても弱いカクテルをお作りしますからお待ち下さいな」
「そんな、曹操様にお作りになられるというのに私が飲んではいけません。また今度お願い致します」
楽進との一連の流れの中曹操さんの額に青筋が浮かんだ。やばいと思いすぐにお酒の準備をして楽進が部屋を出るとニコニコと笑顔が戻った
「…颯閃、やはりお主は美しい。何故そのように美しいのだ」
「見間違いでは?」
「そんな事あるものか。お主の美は今世紀最高にして最大の美よ。まだ、わしはお主の美を完全には知らぬ。故に……もう暫くわしに付き合ってはくれぬか」
お酒の準備中なのに甘い言葉で私の手を握ってくる曹操さん。その瞳は真剣そのものに見えて、この瞳で世の女性方は魅了され関係を持つのかと半分呆れ、半分すごいなと思った。いや、本当呆れの方が強いのかもしれないけれど
なんて考えつつお酒の準備を進めた。今日は何を作ろうか少し悩んだのでちょっとヒントをもらおう
「曹操様はお食事はいつ頃お済みになられましたか?」
「つい先程だ。これを飲んだあとはお主の美しき動作を思い出しながら眠る予定よ」
「最後の部分要りませんが、食後ですね?ふむ…」
カクテル言葉も合わせると、あのカクテルがいいかしらと一応一人分のカクテルを様々作れるように大きな保温箱に入れてきたカクテルの材料を一部取り出した
「今宵はアプリコットクーラーを作らせて頂きます。食後だとお聞きしましたので、カクテル言葉も添えて」
「『かくてる』言葉?そのようなものがあるのか」
「えぇ。花言葉と同じようにカクテルにも少々言葉が添えてありまして。カクテル好きの方やバーテンダー…あぁ、カクテルを作る技術者は大体は知っているんです。意味はなんだと思います?」
ソーダ以外の材料をシェイカーに入れてシェイクする間に考えてもらう。まぁ、すぐに終わったから「分からぬ」の一言なのだけど
「アプリコットクーラーのカクテル言葉は…『素晴らしい』、です」
「素晴らしい?何が素晴らしいのだ」
「女性への配慮や軍の指揮、統一力の高さや自らの望む道を突き進むそのお心。全てにございます」
「…ふっ、はははははっ!颯閃も口が上手い者よ!お主のような女子にそのように褒められてしまっては調子に乗らぬ男など居らぬだろうに!」
出来たカクテルをお渡しすると「確かに、食後にはこのように爽やかな酒も良いな」と少しずつ飲む曹操さん。とても美味しそうに飲んでくれるから、とっても有難いことだ
「…して、颯閃よ。やはり商品欄の件と金の件は脅しであったな?」
「…バレました?」
「バレるも何も、請求も提出も全くないではないか。颯閃も少々抜けている部分があるのだな」
「からかわないでください」
「可愛いから、からかいたくもなるものよ」
妖艶な笑みを向ける曹操さんにやんわり微笑んでおき、器具やその他諸々を片付け始めた。後で台所を寄らしてもらおう
「颯閃、もう作らぬのか?まだわしは飲み足りぬ」
「曹操様、私は今は文官で御座います。お代わりは私がしっかりとその職に就いた時にでも」
「…ふっ、ならばお主の酒と笑顔を見るために早く場所を設けねばな」
「…その話なのですが、どこにお作りになられるのでしょう?」
そう聞くと彼は笑顔で「庭の使っていない部分に颯閃に見あった小屋を建てて設備も整えたい」との事。この人、どれだけお酒に拘りたいんだ
「酒も一杯で幾らか考えなくてはな。お主もそれで生計を立てるのであろう?」
「えぇ、文官として働いている今はまだ良いのですが、一応収入は欲しいので」
「うむ。ならば一般兵でも飲めるようなものが良いな。まだまだ課題は山積み……か」
お酒の入ったグラスを見つめクスリと笑った曹操さんは最後の一口を飲み干した。私はそれを回収し、執務室をあとにする。その際に曹操さんからは「また今度、大勢にその酒を振る舞うことになるだろうから心の準備をしておいて欲しい」と言われた。取り敢えず頷いておいたけど、あの口調からして私に拒否権はない
「楽進、ちょっと台所までお願いできる?」
「お任せ下さい姉上!さぁ、行きましょう」
エスコートしてくれる楽進に立派に成長したわね…。と感動しながらその背を追う。私よりも大きく、強く育ったその背に私は何故か少し寂しさを覚えた。甘える楽進はいつもの事だけど、改めて成長して誰かを導く側になっている楽進はまるで別人。笑顔も、私への対応も、変わらない筈なのに何処か寂しく思えてしまって。私は本当に我儘なんだって思った
「姉上、台所の使用は長くはいけませんので、お早めに」
「分かったわ」
パパパッと迅速に、尚且つ綺麗に使った器具やグラスを洗いすぐさま撤退。楽進の執務室に戻り一段落した
「ふぅ……これでいいわね。楽進、着替えるから目、瞑ってくれる?」
「そそそ、そんな!目を瞑るなんて!部屋、部屋を移動します!もし見えてしまったら抑えられるか…」
「えっ、抑えるって何を?」
「なんでもありません!!は、早く着替えてくださいね!姉上!」
顔を松明の炎のように真っ赤にして寝室から執務室に行った楽進。私はまたもやパパパッと着替えて楽進を呼びに行った
「楽進、着替えたわよ」
「わ、分かりました!私も寝ます!おやすみなさい!」
「おやすみなさい」
松明を消して寝具で一緒に眠る。実家ではどっちかの寝具がよく脚を破損するのでもう一緒に寝るのは慣れたものだ。慣れては行けない事かもしれないけれど
「……姉上」
「どうしたの?」
眠る気満々で背を向けて目を閉じていた私を暖かい温もりが包み込んだ。楽進の『何かを抱きしめながらじゃないと眠らない』でも発動したのだろうかとそのまま空返事
「……私が面と向き合って貴女を抱きしめる日は…そう遠くないでしょうか」
「?真正面から抱きついてくるじゃない」
「……そうですね。まだ姉上がそういうのなら、まだまだ先は長そうです」
「?」
楽進の言いたいことが分からなくてちょっと頭を抱えたがまぁいいかと直ぐに眠りについた。楽進はこうなることが増えてきたし、年頃なんだろうと思っている
「姉上、おかえりなさい。予想より少し早く帰ってきましたね」
「楽進の予想はどうであれ、楽しめたわよ。あ、そうだ。曹操様にお酒お作りしなきゃ行けないのよ」
「そうなのですか?」
「そう」
楽進が松明と灰受皿をもって寝室に着いてきてくれた。その灯りを頼りに器具を取り出し、お酒も持った
「夜の廊下は見えづらいでしょう。送り迎えをしますので安心してくださいね」
「有難う楽進。楽進は灯し係やったことあるの?」
「まぁ、文官になりたての頃はよくやらされていました。それが身についてか目上でも目下でも松明持ちしてしまって……良く部下にあたふたされます」
「楽進ったら変わらないわね……身についたことが離れない」
「ご最もです」
照れたように頬をかく楽進にニコニコしながら曹操さんの執務室に向かう。楽進はお酒に弱いから作ってあげられないけど、松明持ちをしてくれるらしい。これ姉弟じゃなかったら問題事ね
「曹操様、颯閃です。お酒を作りに参りました」
「おぉ、入るが良い」
「失礼致します」
中に入ると曹操さんがニコニコと笑って待っていた。だが、一瞬だけ顔が強ばった。ほんの一瞬だったのだが、その表情は嫌悪を表しているように見えた
「……今宵は月明かりが出てとても明るい。灯し係は要らぬのではないか?」
「そうですか。なら扉の前にてお待ちしております。颯閃殿、お帰りになる時はお声かけ下さい」
「ずっと立っておくのですか?」
「はい。灯し係は部屋の端で立っておくのが役目ですから」
「……それ、辛くありません?とても弱いカクテルをお作りしますからお待ち下さいな」
「そんな、曹操様にお作りになられるというのに私が飲んではいけません。また今度お願い致します」
楽進との一連の流れの中曹操さんの額に青筋が浮かんだ。やばいと思いすぐにお酒の準備をして楽進が部屋を出るとニコニコと笑顔が戻った
「…颯閃、やはりお主は美しい。何故そのように美しいのだ」
「見間違いでは?」
「そんな事あるものか。お主の美は今世紀最高にして最大の美よ。まだ、わしはお主の美を完全には知らぬ。故に……もう暫くわしに付き合ってはくれぬか」
お酒の準備中なのに甘い言葉で私の手を握ってくる曹操さん。その瞳は真剣そのものに見えて、この瞳で世の女性方は魅了され関係を持つのかと半分呆れ、半分すごいなと思った。いや、本当呆れの方が強いのかもしれないけれど
なんて考えつつお酒の準備を進めた。今日は何を作ろうか少し悩んだのでちょっとヒントをもらおう
「曹操様はお食事はいつ頃お済みになられましたか?」
「つい先程だ。これを飲んだあとはお主の美しき動作を思い出しながら眠る予定よ」
「最後の部分要りませんが、食後ですね?ふむ…」
カクテル言葉も合わせると、あのカクテルがいいかしらと一応一人分のカクテルを様々作れるように大きな保温箱に入れてきたカクテルの材料を一部取り出した
「今宵はアプリコットクーラーを作らせて頂きます。食後だとお聞きしましたので、カクテル言葉も添えて」
「『かくてる』言葉?そのようなものがあるのか」
「えぇ。花言葉と同じようにカクテルにも少々言葉が添えてありまして。カクテル好きの方やバーテンダー…あぁ、カクテルを作る技術者は大体は知っているんです。意味はなんだと思います?」
ソーダ以外の材料をシェイカーに入れてシェイクする間に考えてもらう。まぁ、すぐに終わったから「分からぬ」の一言なのだけど
「アプリコットクーラーのカクテル言葉は…『素晴らしい』、です」
「素晴らしい?何が素晴らしいのだ」
「女性への配慮や軍の指揮、統一力の高さや自らの望む道を突き進むそのお心。全てにございます」
「…ふっ、はははははっ!颯閃も口が上手い者よ!お主のような女子にそのように褒められてしまっては調子に乗らぬ男など居らぬだろうに!」
出来たカクテルをお渡しすると「確かに、食後にはこのように爽やかな酒も良いな」と少しずつ飲む曹操さん。とても美味しそうに飲んでくれるから、とっても有難いことだ
「…して、颯閃よ。やはり商品欄の件と金の件は脅しであったな?」
「…バレました?」
「バレるも何も、請求も提出も全くないではないか。颯閃も少々抜けている部分があるのだな」
「からかわないでください」
「可愛いから、からかいたくもなるものよ」
妖艶な笑みを向ける曹操さんにやんわり微笑んでおき、器具やその他諸々を片付け始めた。後で台所を寄らしてもらおう
「颯閃、もう作らぬのか?まだわしは飲み足りぬ」
「曹操様、私は今は文官で御座います。お代わりは私がしっかりとその職に就いた時にでも」
「…ふっ、ならばお主の酒と笑顔を見るために早く場所を設けねばな」
「…その話なのですが、どこにお作りになられるのでしょう?」
そう聞くと彼は笑顔で「庭の使っていない部分に颯閃に見あった小屋を建てて設備も整えたい」との事。この人、どれだけお酒に拘りたいんだ
「酒も一杯で幾らか考えなくてはな。お主もそれで生計を立てるのであろう?」
「えぇ、文官として働いている今はまだ良いのですが、一応収入は欲しいので」
「うむ。ならば一般兵でも飲めるようなものが良いな。まだまだ課題は山積み……か」
お酒の入ったグラスを見つめクスリと笑った曹操さんは最後の一口を飲み干した。私はそれを回収し、執務室をあとにする。その際に曹操さんからは「また今度、大勢にその酒を振る舞うことになるだろうから心の準備をしておいて欲しい」と言われた。取り敢えず頷いておいたけど、あの口調からして私に拒否権はない
「楽進、ちょっと台所までお願いできる?」
「お任せ下さい姉上!さぁ、行きましょう」
エスコートしてくれる楽進に立派に成長したわね…。と感動しながらその背を追う。私よりも大きく、強く育ったその背に私は何故か少し寂しさを覚えた。甘える楽進はいつもの事だけど、改めて成長して誰かを導く側になっている楽進はまるで別人。笑顔も、私への対応も、変わらない筈なのに何処か寂しく思えてしまって。私は本当に我儘なんだって思った
「姉上、台所の使用は長くはいけませんので、お早めに」
「分かったわ」
パパパッと迅速に、尚且つ綺麗に使った器具やグラスを洗いすぐさま撤退。楽進の執務室に戻り一段落した
「ふぅ……これでいいわね。楽進、着替えるから目、瞑ってくれる?」
「そそそ、そんな!目を瞑るなんて!部屋、部屋を移動します!もし見えてしまったら抑えられるか…」
「えっ、抑えるって何を?」
「なんでもありません!!は、早く着替えてくださいね!姉上!」
顔を松明の炎のように真っ赤にして寝室から執務室に行った楽進。私はまたもやパパパッと着替えて楽進を呼びに行った
「楽進、着替えたわよ」
「わ、分かりました!私も寝ます!おやすみなさい!」
「おやすみなさい」
松明を消して寝具で一緒に眠る。実家ではどっちかの寝具がよく脚を破損するのでもう一緒に寝るのは慣れたものだ。慣れては行けない事かもしれないけれど
「……姉上」
「どうしたの?」
眠る気満々で背を向けて目を閉じていた私を暖かい温もりが包み込んだ。楽進の『何かを抱きしめながらじゃないと眠らない』でも発動したのだろうかとそのまま空返事
「……私が面と向き合って貴女を抱きしめる日は…そう遠くないでしょうか」
「?真正面から抱きついてくるじゃない」
「……そうですね。まだ姉上がそういうのなら、まだまだ先は長そうです」
「?」
楽進の言いたいことが分からなくてちょっと頭を抱えたがまぁいいかと直ぐに眠りについた。楽進はこうなることが増えてきたし、年頃なんだろうと思っている
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