『 』までの日常
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酒造りを始めてから早くも5年の月日が経った。日常を過ごし、なんの変化もないまま過ぎていく月日に私は少しだけ不安を抱いた
「…子桓君、全く結婚したって報告がないのだけど……普通国の王子が結婚したら国中広まるわよね!?」
「姉上落ち着いてください」
「落ち着いてられないわよ!あの子いつになったら結婚するの!?ものすごく心配なんだけど!!」
「姉上だって結婚なさっていないではありませんか」
「痛いところ突いてくるわね。私と過ごしただけあるわ」
なんて話をしながら酒屋の机を拭く。いつも通りお店の準備をしていたらお母さんがお店に入ってきた
「お母さん、お店の準備終わったわよ」
「あら、今日誕生日なんだから少しくらい休みなさいな」
「え、今日私誕生日なの?」
「え、今更?」
「分からなかった…」
自分が25歳になった感覚が湧かずどうしたものかと頭を悩ませると、楽進が「久々にお店を休んでは?」と言ってきた
「それは駄目よ。誕生日でも働いてる人いるんだから」
「颯閃、貴方は働き過ぎよ。たまには城下町にでも行ってきなさい?」
「でも、行っても意味ないし…」
「私が誕生日の贈り物をしますから!さぁ、行きましょう!」
「わっ、引っ張らないで楽進~!」
「いってらっしゃーい」
お母さんに見送られてお店を出ると、楽進がお店の手伝いや大工さんのお手伝いをして溜めたというお金を麻袋に入れて持ってきた。なんでも、私の誕生日にいつかは髪飾りを買ってあげたかったとのこと
「優しい弟を持って私は幸せよ……でも、髪飾りなんて高価なもの、私には似合わないわよ。今のお団子頭で十分」
「いえ、姉上は自分の美しさに気づいていないだけです!前髪も少々切りましょう。前が見づらいでしょうし、あぁ、横髪と上の部分の髪をまとめて下の部分はそのまま下げましょうか。それから───」
母から教わった女性の髪の扱い方を完全マスターしている楽進はもう私のわからない領域に入った。まぁ、毎朝雑に結ぶ私を見かねて楽進がやりたいと言い出したのが切っ掛けなのだけど
「…取り敢えず、髪飾り屋に行きましょう!なんでもお好きなのを選んでくださいね!」
「私美的感性全くないのだけど?」
「なら、私が候補を出しますからそれで」
「任せたわ」
なんて話しながら歩いていると、城下町に辿りついた。賑わう街に私は胸を高鳴らせる。19年前は裏口から城に入っていたから城下町を見た事は無かったのだ
「あ、見てみて楽進!美味しそうな肉まん!一緒に食べましょ?」
「なら私が──」
「すいませーん。肉まん2つ下さーい」
「あいよ」
「あ、これお金です」
「あ、姉上!?」
肉まんの代金も払おうとする楽進を無視して自分のお金で二つ買った。髪飾りを買ってもらうのに、肉まんまで奢らせたら申し訳ないもの
「はい楽進、肉まんよ。………楽進?」
「…私が奢りたかったです」
「髪飾り買ってもらうんだから肉まんまで奢らせるわけにはいかないでしょ?そんなに気を使わなくて良いのよ」
「……姉上が、それでいいなら」
少し落ち込み気味に肉まんを受け取った楽進の脅威のシスコン力に苦笑いしながら肉まんを頬張る。小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた家族とはいえ、どうしてこんなにも懐かれているのだろう。反抗期来てもいいんだけど?
「あ、ここかしら」
「はい、そうみたいですね」
肉まんを食べ終わりやってきたのはこじんまりとした髪飾り屋さん。中に入ると綺麗な髪飾りが並んでおり、すぐに目を奪われた。なにこれ。こんな綺麗な髪飾り人生2度経験してるけど見たことない
「おじさん、この髪飾り付けてみてもいいですか?」
「おぉ、付けてみてくれ。うちの店あんまり人来ねぇから若い女の子がつけてるの見た事なくてな」
「こんなに綺麗なのに……あ、楽進お願いね」
「はい!」
こんなこともあろうかとと懐から櫛を取り出した楽進にあとは任せた。事前準備万端ねぇ楽進…
「姉上、少しこれを」
「はいはい」
私が選んだ(楽進に選ばせるの忘れてた)のは黒い玉に小さく赤や白の花が散りばめられた日本風の簪だ
楽進が髪束を数回ねじり、他にも色々やっていると視界の端に手を伸ばされた。簪を渡すとまた作業に入ったのでそのまま待つ
「よし、出来ました!」
「ありがと楽進。どう?似合ってる?」
「はい!とっても似合っています姉上!」
「ふふ、ありがと」
弟からの賞賛に嬉しく思いながらそこに備え付けされている鏡を見つめる。雰囲気が変わって、一瞬誰だこいつってなったのは秘密
「ね、姉ちゃん!」
「?なんでしょうか」
お店のおじさんが話しかけてきたので返すと、とっても真面目な顔された。え?となったけど、まぁ返してしまったから聞くしかない
「姉ちゃん、今日だけでもいいからうちの看板娘やってくんねぇか!」
「へ?看板娘ですか?」
「おう!」
どうする?という視線で楽進の方を見ると、すっごい不安げな表情でこっちを見ていた。楽進が心配しているし、断ろうと思った時
「姉ちゃんみてぇな子がここの髪飾りを使ってる。そうなると若い子も男も贈り物として買ってくれると思うんだ!金なんていい。ただ、おれの作った髪飾りを見てほしいんだ!頼む!」
「……だって、楽進。お願いしてもいい?」
「ですが……」
「お願い」
「………今日だけ、ですよ?」
「やった!よろしくお願いしますおじさん!」
「おぉ!ありがとな姉ちゃんに弟さん!」
おじさんの笑顔が見れてなんだかいい気分になってきた。私なんかが看板娘になれるなら、それでいいか
というか、看板娘って『店先で、客をひきつけるような美しい娘』よね?私で大丈夫?
「…子桓君、全く結婚したって報告がないのだけど……普通国の王子が結婚したら国中広まるわよね!?」
「姉上落ち着いてください」
「落ち着いてられないわよ!あの子いつになったら結婚するの!?ものすごく心配なんだけど!!」
「姉上だって結婚なさっていないではありませんか」
「痛いところ突いてくるわね。私と過ごしただけあるわ」
なんて話をしながら酒屋の机を拭く。いつも通りお店の準備をしていたらお母さんがお店に入ってきた
「お母さん、お店の準備終わったわよ」
「あら、今日誕生日なんだから少しくらい休みなさいな」
「え、今日私誕生日なの?」
「え、今更?」
「分からなかった…」
自分が25歳になった感覚が湧かずどうしたものかと頭を悩ませると、楽進が「久々にお店を休んでは?」と言ってきた
「それは駄目よ。誕生日でも働いてる人いるんだから」
「颯閃、貴方は働き過ぎよ。たまには城下町にでも行ってきなさい?」
「でも、行っても意味ないし…」
「私が誕生日の贈り物をしますから!さぁ、行きましょう!」
「わっ、引っ張らないで楽進~!」
「いってらっしゃーい」
お母さんに見送られてお店を出ると、楽進がお店の手伝いや大工さんのお手伝いをして溜めたというお金を麻袋に入れて持ってきた。なんでも、私の誕生日にいつかは髪飾りを買ってあげたかったとのこと
「優しい弟を持って私は幸せよ……でも、髪飾りなんて高価なもの、私には似合わないわよ。今のお団子頭で十分」
「いえ、姉上は自分の美しさに気づいていないだけです!前髪も少々切りましょう。前が見づらいでしょうし、あぁ、横髪と上の部分の髪をまとめて下の部分はそのまま下げましょうか。それから───」
母から教わった女性の髪の扱い方を完全マスターしている楽進はもう私のわからない領域に入った。まぁ、毎朝雑に結ぶ私を見かねて楽進がやりたいと言い出したのが切っ掛けなのだけど
「…取り敢えず、髪飾り屋に行きましょう!なんでもお好きなのを選んでくださいね!」
「私美的感性全くないのだけど?」
「なら、私が候補を出しますからそれで」
「任せたわ」
なんて話しながら歩いていると、城下町に辿りついた。賑わう街に私は胸を高鳴らせる。19年前は裏口から城に入っていたから城下町を見た事は無かったのだ
「あ、見てみて楽進!美味しそうな肉まん!一緒に食べましょ?」
「なら私が──」
「すいませーん。肉まん2つ下さーい」
「あいよ」
「あ、これお金です」
「あ、姉上!?」
肉まんの代金も払おうとする楽進を無視して自分のお金で二つ買った。髪飾りを買ってもらうのに、肉まんまで奢らせたら申し訳ないもの
「はい楽進、肉まんよ。………楽進?」
「…私が奢りたかったです」
「髪飾り買ってもらうんだから肉まんまで奢らせるわけにはいかないでしょ?そんなに気を使わなくて良いのよ」
「……姉上が、それでいいなら」
少し落ち込み気味に肉まんを受け取った楽進の脅威のシスコン力に苦笑いしながら肉まんを頬張る。小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた家族とはいえ、どうしてこんなにも懐かれているのだろう。反抗期来てもいいんだけど?
「あ、ここかしら」
「はい、そうみたいですね」
肉まんを食べ終わりやってきたのはこじんまりとした髪飾り屋さん。中に入ると綺麗な髪飾りが並んでおり、すぐに目を奪われた。なにこれ。こんな綺麗な髪飾り人生2度経験してるけど見たことない
「おじさん、この髪飾り付けてみてもいいですか?」
「おぉ、付けてみてくれ。うちの店あんまり人来ねぇから若い女の子がつけてるの見た事なくてな」
「こんなに綺麗なのに……あ、楽進お願いね」
「はい!」
こんなこともあろうかとと懐から櫛を取り出した楽進にあとは任せた。事前準備万端ねぇ楽進…
「姉上、少しこれを」
「はいはい」
私が選んだ(楽進に選ばせるの忘れてた)のは黒い玉に小さく赤や白の花が散りばめられた日本風の簪だ
楽進が髪束を数回ねじり、他にも色々やっていると視界の端に手を伸ばされた。簪を渡すとまた作業に入ったのでそのまま待つ
「よし、出来ました!」
「ありがと楽進。どう?似合ってる?」
「はい!とっても似合っています姉上!」
「ふふ、ありがと」
弟からの賞賛に嬉しく思いながらそこに備え付けされている鏡を見つめる。雰囲気が変わって、一瞬誰だこいつってなったのは秘密
「ね、姉ちゃん!」
「?なんでしょうか」
お店のおじさんが話しかけてきたので返すと、とっても真面目な顔された。え?となったけど、まぁ返してしまったから聞くしかない
「姉ちゃん、今日だけでもいいからうちの看板娘やってくんねぇか!」
「へ?看板娘ですか?」
「おう!」
どうする?という視線で楽進の方を見ると、すっごい不安げな表情でこっちを見ていた。楽進が心配しているし、断ろうと思った時
「姉ちゃんみてぇな子がここの髪飾りを使ってる。そうなると若い子も男も贈り物として買ってくれると思うんだ!金なんていい。ただ、おれの作った髪飾りを見てほしいんだ!頼む!」
「……だって、楽進。お願いしてもいい?」
「ですが……」
「お願い」
「………今日だけ、ですよ?」
「やった!よろしくお願いしますおじさん!」
「おぉ!ありがとな姉ちゃんに弟さん!」
おじさんの笑顔が見れてなんだかいい気分になってきた。私なんかが看板娘になれるなら、それでいいか
というか、看板娘って『店先で、客をひきつけるような美しい娘』よね?私で大丈夫?
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