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とうこねくと! ~東子さまと秋田犬ともうひとつのツナガリ

「……じゃあ俺、そろそろ帰ります」
しばらくして、田村さんがそう言いました。
「あら、もうこんな時間。日が落ち始めてきたわね」
縁側からの夕陽を見て、東子さまは言います。
「遅くなるとご迷惑ですし、俺はこれで。葵も帰るか」
「いえ……私はもうちょっと……」
田村さんの問いに、八重樫さんはそう答えました。いや……想像通りの回答と言いましょうか。
「では……お見送りいたしますね。お荷物お持ちします」
「おお、すまん」
私は田村さんのカバンを持ち、田村さんと玄関へ向かいます。……この間に、何も起こらなければいいのですが。
「今日はありがとう。東子さんとも君ともいろいろ話が出来て、楽しかったよ」
「こちらこそ、ありがとうございます。東子さまの大好きなプリンまで買ってきていただいて……」
「ははは。東子さん、喜んで食べてくれてよかった」
「本当に、ありがとうございます」
「いやいや。……あ」
すると、田村さんは思い出したかのように声を上げました。
「どうしたんですか?」
「いや、あの子……葵のことなんだが……君には言っていなかったね」
「な、なんですか……?」
「東子さんとふたりきりにしてしまって、本当に大丈夫だったろうか……」
「えっ!? 田村さんそれどういうことですかっ!?」
思わず大きな声を出し、田村さんの肩をガッと掴んでしまいました。やっぱり、なにか嫌な予感が……!
「お、落ち着くんだ」
「これが落ち着いてられますか! 一体どういうことなんですか!?」
「まっ……待ってくれ、今話す。あの子は、葵はな──」
「もういいですっ!」
「あっ! 待つんだ!」
私はいても立ってもいられず、田村さんの話を聞かずにダッシュで座敷へ戻りました。
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