とうこねくと! ~東子さまと秋田犬ともうひとつのツナガリ
今年は戌年。どうやら全国的……いえ、世界的に、秋田犬ブームのようです。飼い主に忠実。そして、凛々しくも愛くるしい佇まい……。私も、東子さまにとっての秋田犬のような付き人になりたいものです。今、東子さまにもふもふされている小さな秋田犬を、ちょっと尊敬の目で見ちゃったりして。
「東子さん、すっかり夢中だなぁ」
縁側の奥の座敷に座って、はしゃぐ東子さまを私と一緒に見ていた男性──パソコン教室の田村さんが私に話しかけてきました。
「そうですね。ふふっ」
秋田犬をたかいたかいしたままぐるぐる回る東子さまを見ていたら、なんだかこちらまで楽しい気持ちになってきます。それはきっと、田村さんも同じなのでしょう。田村さんのお顔もやわらかくほころんでいます。
「そういえば、田村さんの親戚の方はそろそろいらっしゃるでしょうか」
東子さまが今だっこしている秋田犬の赤ちゃんの飼い主は田村さんではなく、田村さんの親戚の女の子なんだそうです。
「そうだなぁ、もうそろそろかな? 箏のレッスンが終わったらすぐに来るって」
「そうですか──」
ピンポーン、と玄関チャイムが鳴りました。その女の子でしょうか。
「はーい!」
私は立ち上がり、玄関へ向かいます。
「はい──えっ!?」
玄関の戸を開けた私は、目の前に立っている女の子を見て思わず声を上げました。その子は……2年前のお箏の発表会の時、着物を着た東子さまを『着物ショーのモデルさん』と間違えた女の子だったのです。2年経って、黒髪のショートボブだったその女の子の髪型は茶色のロングヘアになり、メイクも変えたのでしょうか……幼かった表情から、美しく大人っぽい雰囲気になっています。でも、確かにその時の女の子です。
「こ、こんにちは。あの……修さんの親戚の、八重樫葵と申します……」
少しおどおどした様子で、その女の子──八重樫さんは言いました。
「あ……あっ! いらっしゃいませ! わたくし、東子さまの付き人の椿田と申します!」
正直、八重樫さんの可愛らしさにボーっとしていました。私は慌てて自己紹介をします。
「椿田さん、綺麗なお方……本日はよろしくお願いします……。あ、あの……」
「どうしました?」
「えっと、あの……、と、東子、さん……東子さんは、どちらに……?」
どうしたのでしょう。八重樫さんはさらにおどおどしだしました。……あ、緊張しているのでしょうか。2年前も、東子さまに声をかけた時は緊張した様子でしたし……
「中庭におりますよ! さ、上がってください」
「あ、ありがとうございます……。お、おじゃま、します……」
恐縮したように、八重樫さんは靴を脱ぎ始めました。
「東子さん、すっかり夢中だなぁ」
縁側の奥の座敷に座って、はしゃぐ東子さまを私と一緒に見ていた男性──パソコン教室の田村さんが私に話しかけてきました。
「そうですね。ふふっ」
秋田犬をたかいたかいしたままぐるぐる回る東子さまを見ていたら、なんだかこちらまで楽しい気持ちになってきます。それはきっと、田村さんも同じなのでしょう。田村さんのお顔もやわらかくほころんでいます。
「そういえば、田村さんの親戚の方はそろそろいらっしゃるでしょうか」
東子さまが今だっこしている秋田犬の赤ちゃんの飼い主は田村さんではなく、田村さんの親戚の女の子なんだそうです。
「そうだなぁ、もうそろそろかな? 箏のレッスンが終わったらすぐに来るって」
「そうですか──」
ピンポーン、と玄関チャイムが鳴りました。その女の子でしょうか。
「はーい!」
私は立ち上がり、玄関へ向かいます。
「はい──えっ!?」
玄関の戸を開けた私は、目の前に立っている女の子を見て思わず声を上げました。その子は……2年前のお箏の発表会の時、着物を着た東子さまを『着物ショーのモデルさん』と間違えた女の子だったのです。2年経って、黒髪のショートボブだったその女の子の髪型は茶色のロングヘアになり、メイクも変えたのでしょうか……幼かった表情から、美しく大人っぽい雰囲気になっています。でも、確かにその時の女の子です。
「こ、こんにちは。あの……修さんの親戚の、八重樫葵と申します……」
少しおどおどした様子で、その女の子──八重樫さんは言いました。
「あ……あっ! いらっしゃいませ! わたくし、東子さまの付き人の椿田と申します!」
正直、八重樫さんの可愛らしさにボーっとしていました。私は慌てて自己紹介をします。
「椿田さん、綺麗なお方……本日はよろしくお願いします……。あ、あの……」
「どうしました?」
「えっと、あの……、と、東子、さん……東子さんは、どちらに……?」
どうしたのでしょう。八重樫さんはさらにおどおどしだしました。……あ、緊張しているのでしょうか。2年前も、東子さまに声をかけた時は緊張した様子でしたし……
「中庭におりますよ! さ、上がってください」
「あ、ありがとうございます……。お、おじゃま、します……」
恐縮したように、八重樫さんは靴を脱ぎ始めました。