moon.1 赤い瞳の女の子
「あなた、お名前何て言うの?」
「……八重樫、葵……っていうの」
「そっか、葵ちゃんっていうんだ。素敵な名前だね」
「ありがとう」
「ところであなた、どこから来たの……?」
「……」
この質問に、葵ちゃんは俯き黙りこくってしまった。流れ星に乗ってやってきた女の子……どう考えても普通じゃないもの。答えたくない事情があるのかもしれない。
その時、強い風が吹いた。
「きゃっ……!」
小さな悲鳴を上げた葵ちゃん。急いで頭に手をやるも、かぶっていたフードがめくれる。
「えっ……!?」
私は、目を疑った。フードがめくれ、露わになった葵ちゃんの頭には……真っ白いウサギの耳が生えていた。ピクピクと動いているウサギの耳。葵ちゃんは頭に手をやったまま慌てて目を伏せる。
「え、待って……これ、本物……?」
私はおそるおそるその耳をそっと触った。それはたしかに温かく、完全に身体の一部だ。
「葵ちゃん、これって……」
「……」
私が尋ねると、葵ちゃんは唇をキュッと噛んだ後、口を開く。
「……私、お月さまから来たウサギなの」
私はびっくりしすぎて言葉が出なかった。葵ちゃんは、どこまでも真っ直ぐな赤い瞳で私を見つめている。……これは、嘘じゃない。この子の瞳は嘘をついていない。
「このことは、誰にも言わないでね?」
私を見つめたまま、葵ちゃんは人差し指を立てて口元に当て「静かに」のポーズをとった。
「うん……ナイショね」
私も口元で人差し指を立てる。私たちはそのポーズのまま見つめ合って、クスッと笑った。
「じゃあ、住むところないよね……私の家で一緒に暮らそうよ!」
「いいの?」
「もちろん! あ、自己紹介がまだだったね。私、椿田恵理子。よろしくね!」
「恵理子、さん……ありがとう。よろしくお願いします!」
葵ちゃんはペコリとおじぎをして、ニッコリと微笑んだ。……ああ、なんて可愛らしい子なんだろう。
こうして、私と葵ちゃんの同居生活が幕を開けた。
「……八重樫、葵……っていうの」
「そっか、葵ちゃんっていうんだ。素敵な名前だね」
「ありがとう」
「ところであなた、どこから来たの……?」
「……」
この質問に、葵ちゃんは俯き黙りこくってしまった。流れ星に乗ってやってきた女の子……どう考えても普通じゃないもの。答えたくない事情があるのかもしれない。
その時、強い風が吹いた。
「きゃっ……!」
小さな悲鳴を上げた葵ちゃん。急いで頭に手をやるも、かぶっていたフードがめくれる。
「えっ……!?」
私は、目を疑った。フードがめくれ、露わになった葵ちゃんの頭には……真っ白いウサギの耳が生えていた。ピクピクと動いているウサギの耳。葵ちゃんは頭に手をやったまま慌てて目を伏せる。
「え、待って……これ、本物……?」
私はおそるおそるその耳をそっと触った。それはたしかに温かく、完全に身体の一部だ。
「葵ちゃん、これって……」
「……」
私が尋ねると、葵ちゃんは唇をキュッと噛んだ後、口を開く。
「……私、お月さまから来たウサギなの」
私はびっくりしすぎて言葉が出なかった。葵ちゃんは、どこまでも真っ直ぐな赤い瞳で私を見つめている。……これは、嘘じゃない。この子の瞳は嘘をついていない。
「このことは、誰にも言わないでね?」
私を見つめたまま、葵ちゃんは人差し指を立てて口元に当て「静かに」のポーズをとった。
「うん……ナイショね」
私も口元で人差し指を立てる。私たちはそのポーズのまま見つめ合って、クスッと笑った。
「じゃあ、住むところないよね……私の家で一緒に暮らそうよ!」
「いいの?」
「もちろん! あ、自己紹介がまだだったね。私、椿田恵理子。よろしくね!」
「恵理子、さん……ありがとう。よろしくお願いします!」
葵ちゃんはペコリとおじぎをして、ニッコリと微笑んだ。……ああ、なんて可愛らしい子なんだろう。
こうして、私と葵ちゃんの同居生活が幕を開けた。