午後７時。仕事が終わり、私は帰路につく。車の通りも、人通りも少ない。いつも通り過ぎる公園の横を通りかかった、その時。
「あ、流れ星！」
ふと空を見上げると、流れ星が飛んでいた。
「願い事しなきゃ……って、えっ？」
その流れ星の様子がおかしい。どんどんこちらに近づいている。
「え、ちょっと待って！？　こっちに来る……きゃあぁぁっ！」
勢いよく飛んできた流れ星は、大きな音を立てて公園のど真ん中に落ちた。
「もうっ、何これ……ごほごほっ」
土ぼこりを払いながら流れ星が落ちたところに向かう。すると。
「えっ……女の、子……？」
その中心に倒れていたのは、真っ白いロリィタ系のワンピースの上に、これまたロリィタ系のカーディガンを羽織った可愛らしい女の子だった。くたっとした布のうさみみがついたフードをかぶったその女の子は、気を失っているのか目を閉じている。
「ちょっと、大丈夫！？」
私は女の子を抱きかかえ、声をかけた。すると女の子は「うっ……」と小さく呻く。ゆっくりと目を開けた女の子は、震える瞳で私をジッと見つめた。どこまでも吸い込まれそうな、透き通る赤い瞳。
「だ、大丈夫……？」
私はそっと尋ねる。すると女の子は、少し怯えた様子でコクンと頷いた。
「よかった……！　立てる？」
女の子がまたコクンと頷いたから、私は女の子の身体を支えながらゆっくりと一緒に立ち上がった。
「恐がらなくてもいいよ。あなたを襲ったりしないから」
笑いながら、私は女の子に言う。
「そこのベンチに座ってお話しよっか」
私がそう言うと、女の子は私をジッと見つめた後、「うん」と頷いた。