5話
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万斉さんが何も言わず食堂から出ていって、今日で3日が経つ。あれから1度も顔合わせていない。
「はぁ......憂鬱だ」
外が雨ということがあってか、はたまた万斉さんに3日も会えてない寂しさからか、主人公の心は憂鬱だった。
何故自分は彼の事ばかり考えているのだろう。
......憧れか!!
主人公は少し考えて、1つの答えを出した。
彼の事ばかり考えてしまっているのは、剣術や人柄に憧れを持っているからだろう。彼は幹部の仕事の他に、音楽プロデューサーの顔も持っていると、風の噂で聞いたことがあった。
万斉さんが船に帰って来ていないと、隊士達が騒いでいた様子は無い。きっと船の中には居て、自室でプロデューサーの仕事をしているのだろう。
「主人公、お前を奴隷として扱ってた狼型天人は全滅した。殺ったのは、万斉だ」
いきなり掛けられた言葉に、主人公がギョッとして後ろを向くと、いつの間に入ったのであろうか、閉められた襖の内側に高杉がキセルを吹かせながら立っていた。
「狼型天人が全滅した?殺ったのは万斉さん?というか......なんで奴隷だった事を高杉さんが知ってるんですか?」
「アイツらは俺達の取引相手でな。何度かアイツらの本拠地に出向いた時、お前を見かけていたのさ。先日、アイツらの裏切りが発覚したんだ。それで、万斉に潰してくるよう俺が命じた」
まぁ、それが無くても万斉はアイツらを殺るつもりだっただろうがな。
ククッと面白そうに笑った高杉さんは言いたいことはそれだけだ、と言うようにさっさと出ていってしまった。
裏切り者は許さない。それが狼型天人を全滅させた理由なのは分かる。けれど、それが無くても万斉さんは、狼型天人を殺すつもりだったっていうのはどういう事なんだろう。
にしても暇だ......船の掃除でもしよう。何かしていないと落ち着かないのは、やっぱり奴隷だった頃の生活が、身に付いて離れないからだろう。
箒を持ってきて廊下を掃除する。1箇所にゴミを集め、綺麗になっていく廊下を見ていると、自分の悲しみも過去もその時だけゴミと一緒に纏められていくような気がして、とっても気持ちがスッキリした。
それから1時間くらい夢中で掃除していた。
「おや、主人公さんではないですか。また掃除をなさっておられるのですか?まぁ、貴女のような可愛らしい女性が掃除している姿は、私にとって堪らないものですが」
声は優しいが、相変わらず能面のような顔をした武市さんに、声をかけられた。
自称フェミニスト、また子さんからはロリコン先輩と呼ばれているが、これでも幹部の一人だ。
「あはは、やることが無いものですから。武市さんは何処かいかれるんですか?」
「いえ、私もやることがなくて船内をぶらついていただけです」
暫く武市さんと談笑していると、
「なにやら楽しそうなリズムが聞こえるでござるな」
後ろから少し口角を上げた万斉さんに、声を掛けられた。
「万斉さん!!お久しぶりです!お仕事はもう終わったんですか?」
「あぁ。3日もかかってしまったがな。やっと主と話が出来る」
サラっと嬉しい事を言ってくれる。こんな言葉も言われたことなんかない。''憧れ''は益々増すばかりだ。
照れ臭くて、赤くなった顔を隠すために俯いていると、近付いてきた万斉さんが私の肩に手を置き、
「暇なら拙者と少し話をせんか?ここならなんだ、食堂に行こうでござる」
「は、はい!!」
武市さんに別れを告げ、先に歩き出していた万斉さんを慌てて追う。
「珍しい組み合わせですね。貴方が彼女を連れてきた時から、もしかしてと思っていましたが......貴方の言葉を借りるなら、リズムが動き出したってところですかね」
去っていく2つの影を見つめながら武市はそう呟いた。相変わらず能面のような顔だっが、その声色はとても嬉しそうだった。
「はぁ......憂鬱だ」
外が雨ということがあってか、はたまた万斉さんに3日も会えてない寂しさからか、主人公の心は憂鬱だった。
何故自分は彼の事ばかり考えているのだろう。
......憧れか!!
主人公は少し考えて、1つの答えを出した。
彼の事ばかり考えてしまっているのは、剣術や人柄に憧れを持っているからだろう。彼は幹部の仕事の他に、音楽プロデューサーの顔も持っていると、風の噂で聞いたことがあった。
万斉さんが船に帰って来ていないと、隊士達が騒いでいた様子は無い。きっと船の中には居て、自室でプロデューサーの仕事をしているのだろう。
「主人公、お前を奴隷として扱ってた狼型天人は全滅した。殺ったのは、万斉だ」
いきなり掛けられた言葉に、主人公がギョッとして後ろを向くと、いつの間に入ったのであろうか、閉められた襖の内側に高杉がキセルを吹かせながら立っていた。
「狼型天人が全滅した?殺ったのは万斉さん?というか......なんで奴隷だった事を高杉さんが知ってるんですか?」
「アイツらは俺達の取引相手でな。何度かアイツらの本拠地に出向いた時、お前を見かけていたのさ。先日、アイツらの裏切りが発覚したんだ。それで、万斉に潰してくるよう俺が命じた」
まぁ、それが無くても万斉はアイツらを殺るつもりだっただろうがな。
ククッと面白そうに笑った高杉さんは言いたいことはそれだけだ、と言うようにさっさと出ていってしまった。
裏切り者は許さない。それが狼型天人を全滅させた理由なのは分かる。けれど、それが無くても万斉さんは、狼型天人を殺すつもりだったっていうのはどういう事なんだろう。
にしても暇だ......船の掃除でもしよう。何かしていないと落ち着かないのは、やっぱり奴隷だった頃の生活が、身に付いて離れないからだろう。
箒を持ってきて廊下を掃除する。1箇所にゴミを集め、綺麗になっていく廊下を見ていると、自分の悲しみも過去もその時だけゴミと一緒に纏められていくような気がして、とっても気持ちがスッキリした。
それから1時間くらい夢中で掃除していた。
「おや、主人公さんではないですか。また掃除をなさっておられるのですか?まぁ、貴女のような可愛らしい女性が掃除している姿は、私にとって堪らないものですが」
声は優しいが、相変わらず能面のような顔をした武市さんに、声をかけられた。
自称フェミニスト、また子さんからはロリコン先輩と呼ばれているが、これでも幹部の一人だ。
「あはは、やることが無いものですから。武市さんは何処かいかれるんですか?」
「いえ、私もやることがなくて船内をぶらついていただけです」
暫く武市さんと談笑していると、
「なにやら楽しそうなリズムが聞こえるでござるな」
後ろから少し口角を上げた万斉さんに、声を掛けられた。
「万斉さん!!お久しぶりです!お仕事はもう終わったんですか?」
「あぁ。3日もかかってしまったがな。やっと主と話が出来る」
サラっと嬉しい事を言ってくれる。こんな言葉も言われたことなんかない。''憧れ''は益々増すばかりだ。
照れ臭くて、赤くなった顔を隠すために俯いていると、近付いてきた万斉さんが私の肩に手を置き、
「暇なら拙者と少し話をせんか?ここならなんだ、食堂に行こうでござる」
「は、はい!!」
武市さんに別れを告げ、先に歩き出していた万斉さんを慌てて追う。
「珍しい組み合わせですね。貴方が彼女を連れてきた時から、もしかしてと思っていましたが......貴方の言葉を借りるなら、リズムが動き出したってところですかね」
去っていく2つの影を見つめながら武市はそう呟いた。相変わらず能面のような顔だっが、その声色はとても嬉しそうだった。