4話
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万斉side
万斉は怒っていた。理由はただ一つ。主人公を奴隷として扱い、その上深手を負わせた天人が気に食わなかったからだ。
主人公はいつも怯えていた。ここに来て一週間立ったが、未だにここが心休まる場所になっていないのは確かだ。
特に男と接する時、いつもビクビクしている気がする。何百人の天人を斬り捨てた者にしては、随分と内気な性格だと思ったが、なるほど。そういう生い立ちがあったなら、そうなってしまうのも無理はない。
気に食わない。何故そこまで自分が気にしているのか分からないが、ただ今は天人への怒りの方が勝っている。
しかし、天人はうちの大事な取引相手。下手に手を出したら、個人的な恨みだけではなく隊全体に損害をもたらすだろう。
ーーさて、どうしたものでござろうか。
どうしたもこうしたも、結局何もしないという選択肢は自分にはない。何かしなければ気が収まらない。
「万斉、ちょっといいか?」
悶々としながら長い廊下を歩いていると、自分の主、高杉晋助に呼び止められた。そのまま促され、高杉の自室に入る。
「晋助、どうしたのでござる」
「狼型天人に裏切り行為が見られた。奴ら、俺たちの情報を何故か幕府に売ろうとしていたらしい。多分主人公の事だろうな。アイツら相当主人公に恨みを持ってるらしい」
ククッと可笑しそうに高杉は笑った。そして、
「その狼型天人は、主人公を奴隷として飼っていた奴らだ」
と繋げた。
自然に握った拳に力が入る。なぜ主人公が奴隷だったことを知っているのか。それは高杉が何度かその天人の本拠地に、足を運んだことがあるからだ。その時に主人公の姿を、見たことがあったのだろう。
「やってこい万斉。狼型天人を」
黙って万斉は出て行った。
「主人公の為にもな」
キセルを吹かせながら呟いた高杉の言葉は、既に出ていってしまった万斉には届いていなかった。
万斉は怒っていた。理由はただ一つ。主人公を奴隷として扱い、その上深手を負わせた天人が気に食わなかったからだ。
主人公はいつも怯えていた。ここに来て一週間立ったが、未だにここが心休まる場所になっていないのは確かだ。
特に男と接する時、いつもビクビクしている気がする。何百人の天人を斬り捨てた者にしては、随分と内気な性格だと思ったが、なるほど。そういう生い立ちがあったなら、そうなってしまうのも無理はない。
気に食わない。何故そこまで自分が気にしているのか分からないが、ただ今は天人への怒りの方が勝っている。
しかし、天人はうちの大事な取引相手。下手に手を出したら、個人的な恨みだけではなく隊全体に損害をもたらすだろう。
ーーさて、どうしたものでござろうか。
どうしたもこうしたも、結局何もしないという選択肢は自分にはない。何かしなければ気が収まらない。
「万斉、ちょっといいか?」
悶々としながら長い廊下を歩いていると、自分の主、高杉晋助に呼び止められた。そのまま促され、高杉の自室に入る。
「晋助、どうしたのでござる」
「狼型天人に裏切り行為が見られた。奴ら、俺たちの情報を何故か幕府に売ろうとしていたらしい。多分主人公の事だろうな。アイツら相当主人公に恨みを持ってるらしい」
ククッと可笑しそうに高杉は笑った。そして、
「その狼型天人は、主人公を奴隷として飼っていた奴らだ」
と繋げた。
自然に握った拳に力が入る。なぜ主人公が奴隷だったことを知っているのか。それは高杉が何度かその天人の本拠地に、足を運んだことがあるからだ。その時に主人公の姿を、見たことがあったのだろう。
「やってこい万斉。狼型天人を」
黙って万斉は出て行った。
「主人公の為にもな」
キセルを吹かせながら呟いた高杉の言葉は、既に出ていってしまった万斉には届いていなかった。