10話
名前を教えて
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岡田さんがここに来て、1週間が経った。
特に大きな変化はなく、平穏な日々が流れていた。
また私はやることが無くなったので、廊下を箒で掃除していた。
「おや、主人公さんだね?掃除してくれてるなんて、有難いねぇ」
音もなく現れた似蔵さんは、機嫌良さそうに口角を上げ、私に話しかけてきた。
「似蔵さん!!おはようございます。いえいえ、やることもないですから」
それもそうだねぇ。と岡田さんは、頷いた。
「おや?これは......三味線の音。あの人のものじゃあないねぇ」
岡田さんの言葉に私も耳を済ますと、綺麗な三味線の音色が船の奥から聴こえてきた。
岡田さんがいうように、これは高杉さんのものでは無い。岡田さんの''あの人''というのは高杉紳助のことである。
この曲は知っている。前にも弾いていた、彼の新曲だ。
「彼は誰を想って作ったのだろうね。これは、片想いの曲じゃないのかい?」
「岡田さんもそう思いますか?私も気になってるんですけど、教えてくれないんですよ」
岡田さんが何も答えなかったから、また黙って耳を澄ます。
すると、この前と違う旋律が聴こえてきた。前はこの先が無かった。春の訪れを謳ったような爽やかな音色だ。
「優しい人なんだねぇ。まるで、桜や春の木漏れ日のような」
「凄い......そこまで分かっちゃうんですか?」
フッと口角を上げた岡田さんは、また何も言わずに踵を返して去っていってしまった。
「万斉さんの想い人は、主人公さんあんただ。あの音色がまさに表しているじゃあないかい」
似蔵は1人、ボソッと呟いた。
特に大きな変化はなく、平穏な日々が流れていた。
また私はやることが無くなったので、廊下を箒で掃除していた。
「おや、主人公さんだね?掃除してくれてるなんて、有難いねぇ」
音もなく現れた似蔵さんは、機嫌良さそうに口角を上げ、私に話しかけてきた。
「似蔵さん!!おはようございます。いえいえ、やることもないですから」
それもそうだねぇ。と岡田さんは、頷いた。
「おや?これは......三味線の音。あの人のものじゃあないねぇ」
岡田さんの言葉に私も耳を済ますと、綺麗な三味線の音色が船の奥から聴こえてきた。
岡田さんがいうように、これは高杉さんのものでは無い。岡田さんの''あの人''というのは高杉紳助のことである。
この曲は知っている。前にも弾いていた、彼の新曲だ。
「彼は誰を想って作ったのだろうね。これは、片想いの曲じゃないのかい?」
「岡田さんもそう思いますか?私も気になってるんですけど、教えてくれないんですよ」
岡田さんが何も答えなかったから、また黙って耳を澄ます。
すると、この前と違う旋律が聴こえてきた。前はこの先が無かった。春の訪れを謳ったような爽やかな音色だ。
「優しい人なんだねぇ。まるで、桜や春の木漏れ日のような」
「凄い......そこまで分かっちゃうんですか?」
フッと口角を上げた岡田さんは、また何も言わずに踵を返して去っていってしまった。
「万斉さんの想い人は、主人公さんあんただ。あの音色がまさに表しているじゃあないかい」
似蔵は1人、ボソッと呟いた。