8話
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万斉side
待ちに待った主人公とデートの前日だというのに、こんなにも帰りが遅くなってしまった。
もう時間的には既に当日になっている。こんなにも、仕事が長引くとは思わなかった。
明日会えることは分かりきっているいるし、こんな時間に会いに行くことは、非常識だというのも知っている。
けれど、自分の足は自室じゃなくて主人公の部屋に向かっていた。
起こさないように静かに襖を開け、中に入る。
月明かりに照らされて、部屋に飾ってあった小さな卓上カレンダーが見えた。過ぎた日にちの枠にはバツ印が。そして、明日の枠には『万斉さんとお花見!!』と桜色のペンで大きく書かれていた。
主人公も楽しみにしてくれているのだと胸が高鳴った。
すやすやと、静かに寝息をたてている主人公の布団に近づいて、顔を見るためにしゃがむ。
美人というより、可愛いという部類に入るだろう整った顔。まだ少女のあどけなさを感じる。確か、前にサラっと年齢を訪ねた時22歳だと言っていた気がする。
自分と4つ離れているのか。
......いや、そんなことよりも気にしなければならないことがある。この数日間、ずっと悩まされていることだ。
これを主人公に打ち明けたなら、なんて答えるだろう。
「主人公......想いが......零れそうでござる」
万斉はボソッと呟いて、眠る主人公の頬を優しく撫でた。
そして、体を洗い眠りにつくために主人公の部屋をあとにした。
次の日、そろそろ支度ができている頃だろうと主人公の部屋を訪れると、桜色と白の着物に身を包み、綺麗に化粧をした主人公がいた。
本当に似合っている。思わず心の声が口に出ていた。
照れを隠すために後ろを向いて、そろそろ行こうと襖に手をかけた。
船を出て、少し歩くと随分前に自分が見つけた、桜並木のある穴場スポットに辿り着いた。
まぁ、ここを見つけたのはある夜、幕府の役人達と争った時だ。急に襲われるなんてよくある話で、傷一つ負わずに全員倒した。
しかし、春になれば美しい花を咲かすだろうこの桜の木を、汚してしまったことが悔やまれた。
美しく咲く桜も、血を吸って汚れている。
音楽プロデューサーと、千人斬りの2つ名を持ち、そして目の前の女性に恋心を抱いている自分もまた、血で汚れている。
けれど、自分と桜の木は同じじゃない。こんなに美しく咲き誇ることは出来ない。
桜を見て美しいと呟く#NAME1##の髪をひと束とって口付けて、桜の木にまた目を向ける。
そして、ポツリポツリと口を開いた。
人を何人も何千も斬ったことに、何も感じていない訳では無い。多少罪悪感はある。けれど、それが自分の仕事。生きていくためなのだ。自分のリズムを生き抜くためなのだ。
悔いてはいない。けれど、どうしても彼女に聞きたかった。自分を肯定して欲しいと、そう願ってしまったのだ。
ーー#NAME1##は、拙者のリズムをどう見るでござるか......
待ちに待った主人公とデートの前日だというのに、こんなにも帰りが遅くなってしまった。
もう時間的には既に当日になっている。こんなにも、仕事が長引くとは思わなかった。
明日会えることは分かりきっているいるし、こんな時間に会いに行くことは、非常識だというのも知っている。
けれど、自分の足は自室じゃなくて主人公の部屋に向かっていた。
起こさないように静かに襖を開け、中に入る。
月明かりに照らされて、部屋に飾ってあった小さな卓上カレンダーが見えた。過ぎた日にちの枠にはバツ印が。そして、明日の枠には『万斉さんとお花見!!』と桜色のペンで大きく書かれていた。
主人公も楽しみにしてくれているのだと胸が高鳴った。
すやすやと、静かに寝息をたてている主人公の布団に近づいて、顔を見るためにしゃがむ。
美人というより、可愛いという部類に入るだろう整った顔。まだ少女のあどけなさを感じる。確か、前にサラっと年齢を訪ねた時22歳だと言っていた気がする。
自分と4つ離れているのか。
......いや、そんなことよりも気にしなければならないことがある。この数日間、ずっと悩まされていることだ。
これを主人公に打ち明けたなら、なんて答えるだろう。
「主人公......想いが......零れそうでござる」
万斉はボソッと呟いて、眠る主人公の頬を優しく撫でた。
そして、体を洗い眠りにつくために主人公の部屋をあとにした。
次の日、そろそろ支度ができている頃だろうと主人公の部屋を訪れると、桜色と白の着物に身を包み、綺麗に化粧をした主人公がいた。
本当に似合っている。思わず心の声が口に出ていた。
照れを隠すために後ろを向いて、そろそろ行こうと襖に手をかけた。
船を出て、少し歩くと随分前に自分が見つけた、桜並木のある穴場スポットに辿り着いた。
まぁ、ここを見つけたのはある夜、幕府の役人達と争った時だ。急に襲われるなんてよくある話で、傷一つ負わずに全員倒した。
しかし、春になれば美しい花を咲かすだろうこの桜の木を、汚してしまったことが悔やまれた。
美しく咲く桜も、血を吸って汚れている。
音楽プロデューサーと、千人斬りの2つ名を持ち、そして目の前の女性に恋心を抱いている自分もまた、血で汚れている。
けれど、自分と桜の木は同じじゃない。こんなに美しく咲き誇ることは出来ない。
桜を見て美しいと呟く#NAME1##の髪をひと束とって口付けて、桜の木にまた目を向ける。
そして、ポツリポツリと口を開いた。
人を何人も何千も斬ったことに、何も感じていない訳では無い。多少罪悪感はある。けれど、それが自分の仕事。生きていくためなのだ。自分のリズムを生き抜くためなのだ。
悔いてはいない。けれど、どうしても彼女に聞きたかった。自分を肯定して欲しいと、そう願ってしまったのだ。
ーー#NAME1##は、拙者のリズムをどう見るでござるか......