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狩人祭

「おや。そちらで泥酔されてるのは、もしやブランダ新聞のカンナ・カーティスさんでは?」
声がして振り返ると、それまで何処かへ行っていて、そこには居なかったバイモが立っていた。
「カンナさん、お仕事中でしょう?お酒なんて飲んでいいんですか?」
バイモがカンナの顔を覗き込む。
「私もですがカンナさんはまだお酒を飲める歳ではないでしょう。仕事中仕事じゃない以前の問題です。」
足下をふらつかせるカンナを支えながら、言う。
「アイリス、もしかしてカンナさんが自分より年下とか思ってる?」
「…違うのですか?」
アイリスが真面目に答えるとバイモはフッと笑って、
「そう思うよね。僕も最初はそう思ったよ。でももし彼女がまだアイリスと同じ年頃なら新聞記者なんてできないだろう?彼女はもう26だよ。僕より6つ上」
「「「へ?」」」
ずっと勘違いしていたアイリス、ムスクと他の使用人達、さらにはサフランまでもが息を合わせて腑抜けた声をだす。
「彼女は面白い記事を書いてくれる。アイリスも今度一度読んでみるといいよ。そうだ、ビティスを探していたんだ。誰か見た人はいないかい?」
ビティス・ボールドウィン。バイモの親友で探偵事では頼れる相棒だ。
「ボールドウィン家のテントに人は居ましたが、確かにビティス様のお姿は見当たりませんでしたね。何か用事があって今日は来れないのではないでしょうか」
使用人の1人が口を開いた。
「ビティスなら熱が40℃あっても来ると思うけど」
バイモが真顔で答えた。普通に考えたら冗談にしか聞こえないだろうがビティスのことを知るアイリスやアーチャー家の使用人達はバイモの言葉に納得してしまった。ビティスはそういう奴なのだ。
「大分話が逸れましたね。カンナさんは酔いがある程度覚めるまで休ませましょう。」
「ああ、それが良いよ。」
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