とある街外れの、滅多に人も出入りしないような、あらゆる窓という窓が蔦で覆われた小さな屋敷に、今日は珍しく人が集まっていた。

「全員揃ったかぁ。」
広間のテーブルを丸く囲み座る6人。そのうちの1人が確認するように言った。
「エリカ」
犯罪集団トリカブトに属する少女凄腕の狙撃手、エリカ
「ハギ」
トリカブト、思考力に優れた作戦立案担当、ハギ
「ムスク」
闇に紛れ、首を掻き切る。トリカブトきっての暗殺技術を持つ、ムスク
「リリー」
変装、演技力に優れたトリカブトの情報収集担当、リリー。
「フリージア」
科学者の博識な男爵、フリージア。
「ジギタリス」
毒の調合を得意とする、犯罪集団トリカブトのボス、ジギタリス。
椅子に座っていた人たちが順番に、隣の人の名前を言っていく。
「じゃあ、報告会議始めんぞ〜。まずはリリー、
最近何か新しい情報は入ったか？」
「みんな知っているとは思うけど今年の狩人祭が一週間後に決まったそう。今年はアーチャー家のご令嬢が16になるから、その娘が開会の合図をするみたい」
リリーと呼ばれた女性がテーブルに肘をつき、手に顎をのせて言った。
「狩人祭。この日は貴族の大体が北の森に集まるから
情報収集には最適かもな。」
フリージアと呼ばれた男性が腕を組みながら言った。
「そういえば、アーチャー家の夫婦も嫌な噂を聞いたことがあるな。さっきでた、そのご令嬢が孤児を数年前に使用人として受け入れたらしいがそれが気に入らなくて令嬢ごと別荘に追いやったらしいな。」
「アーチャー家はお子さん達はいいけど、夫婦はどうにかしたいわよね。」
「では、次はアーチャー夫妻を？」
「......なあ、」
ジギタリスという男性が、エリカ達の方を見て声をかけてきた。
「どうしたんだよ？いつもはべちゃくちゃべちゃくちゃうるせーのに今日はそんなに黙りこくっちまって。
変なものでも食ったか？」
「ハギが淹れた紅茶を飲まされて.....」
と、アイリスが適当に嘘をつくとそれに便乗してムスクが、
「僕も。だから今日はちょっと.....」
「お前ら......それは、災難だったな。大丈夫か？」
ジギタリスが同情して優しく声を聞く。
「レモンティーでも淹れようか？」
「遠慮しないで、このお菓子食べて。」
「ちょっと酷くない？え、そんな不味い？一体どんな味がしてるの？」
「「「「「「溝」」」」」」
どぶ。
「え、いや、おかしいでしょ！どうやったら紅茶が溝の味になるの。流石に盛ってるでしょ！」
ハギがガタッと立ち上がってみんなに訴えかけるように言う。
「こっちの台詞。どうやったら紅茶が溝の味になるのか逆に教えて欲しい」
「本当にな。それで、話を戻すが次の標的はアーチャー夫妻で良いか？」
「公爵の暗殺は少し先延ばしの方が良いと思う。公爵暗殺となると今までの男爵や伯爵とは対応が変わってくると思う。」
「同意。狩人祭はダメだ。」
「ハギが言うんじゃダメだな。じゃあアーチャー夫妻は先延ばしで良いか？」
「意義なーし！」
ムスクが右手を挙げて元気に言う。
「構わないよ」
「私も。それでいいわ。」
「うん。」
「じゃあ、今日はここまで。次回は3週間後だ。それまで捕まるなよ、お前ら。解散！」
また、狙われる命が2つ。