蒼炎・暁 short dream
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※女神との決戦終了後の平和な世界
「お、また来てたのかナマエ!」
聞き慣れた声に振り返れば、そこには木の枝に腰掛けたヤナフが私を見下ろしていた。
「ヤナフ。あなたこそまた来たんだね?」
「俺は白の王子達の事もあるからここに来るのはしょっちゅうなんだよ」
私が今訪れている場所…そう、かつて鷺の民がたくさん暮らしていたセリノスの森だ。
三年前、リュシオンとリアーネがこの森を蘇らせたあの光景が今でも忘れられない。
女神との決戦の後、私はずっと所属させてもらっていたグレイル傭兵団を抜けて一人旅をする事に決めたんだ。
まあ、旅を始めたといってもまだまだ日は浅く…少しだけこの地を離れるのが寂しい気持ちもあるので、こうして各地思い入れのある場所を巡っているわけだけど……
特にこのセリノス森には毎日と言っていいほど足を運んでいた。
「今日は何の用だ?」
「別に~。ここには何の用もなくても、自然と足が向いちゃうのよ」
「なんだそりゃ。まあ…俺も白の王子達の事を除けば、同じだけどな」
私達はお互いにそう言うと、自然と笑い合った。
ここに毎日足を運ぶ理由…それは、こうしてヤナフに会えるかもしれないという期待があるからだ。
彼とは三年前に知り合ってから、何故か一番近くにいた気がする。
戦闘が一緒になれば常に傍にいて、女神との戦いで三つの部隊に分かれた時もヤナフと同じ隊になったっけ…
そうしているうちに私が彼を好きになるには時間は掛からなかった。
ただ…この想いはずっと告げられずに今に至る。
今の関係を壊したくない…よくあるそんな理由だった。
戦争が終わり平和になって、こうしてまたヤナフと会えるだけでも幸せを感じているのも確かだから……
「………」
「?おい、どうした?急に暗い顔して」
気付けばヤナフは下に降りて来ていて私の顔を覗き込んでいた。
「!なっ何でもないよ…!」
「…うそつけ。お前、今までに何回このやりとりしたと思ってんだ?ずっと何も聞かずにおいてやってたけど…もう我慢ならねぇ!何か言いたい事あるなら言っちまえよ!」
「ヤっヤナフ…?」
そうヤナフに迫られ思わず少し後ずさってしまった。
「…気になるんだよ。ナマエがたまにそうやって暗い顔見せるの……お前には笑っててくれなきゃ調子狂うっつうか…」
彼はそう言って少し赤くなった顔を逸らした。
その言葉に私の心臓が音を立てたのを感じた。
ねえ……それは、私が“仲間”だから…?
それとも………
「…ヤナフ……私ね、もうここを離れようと思うの」
「え…離れるって、どこに……」
「うーん…具体的な事は決めてないけど、テリウスを離れようとは思ってる。でもね、その前にヤナフに伝えなきゃいけない事があるんだ」
そこまで言うと、私はヤナフから少し離れたところまで歩いていき彼に振り返った。
「私ね…ずっとあなたが好きだった。三年前に出会ってから、ずっと……ここを離れる前に、これだけは伝えたかったの」
ヤナフは私の話を何も言わずに聞いていた。
「でも…こんな気持ち、ヤナフにとっては迷惑でしかないの分かってるから……だから、もうあなたと会うのもこれで最後__」
「勝手に決めるなよ」
ヤナフが急に口を開いたと思いきや、次の瞬間私は彼によって押し倒されていた。
「え……」
「何勝手に決めてるんだよ!やっとお前の気持ちが聞けたのに…ここを離れるだ?そんなの、俺は許してねぇぞ!」
そして彼は私を抱きしめてきた。
「行くなよ…頼むから……ずっと俺の傍にいてくれよ、ナマエ……」
少し震える声でそう言葉を漏らしたヤナフに、私も彼の背中に恐る恐る自分の手を回した。
「ほんとう…?ヤナフも…私と、同じ気持ち……?」
「当たり前だろ…!俺も…三年前からずっとお前が好きだった……この事を伝えるのに、まさかこんなに時間が掛かるとはな…」
「ふふっ…お互い様、だね……」
「そうだなっ…」
気付けば私の目からは涙が溢れていた。
鷹王の目 ヤナフ
王の右腕として新国家でも活躍する。
若き兵の育成に熱心であり
鍛錬所には彼の妻も顔を覗かせていた。
大地を駆ける女剣士 ナマエ
傭兵団を抜けた後、
長年想っていたラグズと結ばれる
彼との子は新世界で温かく迎えられた。
~end~
「お、また来てたのかナマエ!」
聞き慣れた声に振り返れば、そこには木の枝に腰掛けたヤナフが私を見下ろしていた。
「ヤナフ。あなたこそまた来たんだね?」
「俺は白の王子達の事もあるからここに来るのはしょっちゅうなんだよ」
私が今訪れている場所…そう、かつて鷺の民がたくさん暮らしていたセリノスの森だ。
三年前、リュシオンとリアーネがこの森を蘇らせたあの光景が今でも忘れられない。
女神との決戦の後、私はずっと所属させてもらっていたグレイル傭兵団を抜けて一人旅をする事に決めたんだ。
まあ、旅を始めたといってもまだまだ日は浅く…少しだけこの地を離れるのが寂しい気持ちもあるので、こうして各地思い入れのある場所を巡っているわけだけど……
特にこのセリノス森には毎日と言っていいほど足を運んでいた。
「今日は何の用だ?」
「別に~。ここには何の用もなくても、自然と足が向いちゃうのよ」
「なんだそりゃ。まあ…俺も白の王子達の事を除けば、同じだけどな」
私達はお互いにそう言うと、自然と笑い合った。
ここに毎日足を運ぶ理由…それは、こうしてヤナフに会えるかもしれないという期待があるからだ。
彼とは三年前に知り合ってから、何故か一番近くにいた気がする。
戦闘が一緒になれば常に傍にいて、女神との戦いで三つの部隊に分かれた時もヤナフと同じ隊になったっけ…
そうしているうちに私が彼を好きになるには時間は掛からなかった。
ただ…この想いはずっと告げられずに今に至る。
今の関係を壊したくない…よくあるそんな理由だった。
戦争が終わり平和になって、こうしてまたヤナフと会えるだけでも幸せを感じているのも確かだから……
「………」
「?おい、どうした?急に暗い顔して」
気付けばヤナフは下に降りて来ていて私の顔を覗き込んでいた。
「!なっ何でもないよ…!」
「…うそつけ。お前、今までに何回このやりとりしたと思ってんだ?ずっと何も聞かずにおいてやってたけど…もう我慢ならねぇ!何か言いたい事あるなら言っちまえよ!」
「ヤっヤナフ…?」
そうヤナフに迫られ思わず少し後ずさってしまった。
「…気になるんだよ。ナマエがたまにそうやって暗い顔見せるの……お前には笑っててくれなきゃ調子狂うっつうか…」
彼はそう言って少し赤くなった顔を逸らした。
その言葉に私の心臓が音を立てたのを感じた。
ねえ……それは、私が“仲間”だから…?
それとも………
「…ヤナフ……私ね、もうここを離れようと思うの」
「え…離れるって、どこに……」
「うーん…具体的な事は決めてないけど、テリウスを離れようとは思ってる。でもね、その前にヤナフに伝えなきゃいけない事があるんだ」
そこまで言うと、私はヤナフから少し離れたところまで歩いていき彼に振り返った。
「私ね…ずっとあなたが好きだった。三年前に出会ってから、ずっと……ここを離れる前に、これだけは伝えたかったの」
ヤナフは私の話を何も言わずに聞いていた。
「でも…こんな気持ち、ヤナフにとっては迷惑でしかないの分かってるから……だから、もうあなたと会うのもこれで最後__」
「勝手に決めるなよ」
ヤナフが急に口を開いたと思いきや、次の瞬間私は彼によって押し倒されていた。
「え……」
「何勝手に決めてるんだよ!やっとお前の気持ちが聞けたのに…ここを離れるだ?そんなの、俺は許してねぇぞ!」
そして彼は私を抱きしめてきた。
「行くなよ…頼むから……ずっと俺の傍にいてくれよ、ナマエ……」
少し震える声でそう言葉を漏らしたヤナフに、私も彼の背中に恐る恐る自分の手を回した。
「ほんとう…?ヤナフも…私と、同じ気持ち……?」
「当たり前だろ…!俺も…三年前からずっとお前が好きだった……この事を伝えるのに、まさかこんなに時間が掛かるとはな…」
「ふふっ…お互い様、だね……」
「そうだなっ…」
気付けば私の目からは涙が溢れていた。
鷹王の目 ヤナフ
王の右腕として新国家でも活躍する。
若き兵の育成に熱心であり
鍛錬所には彼の妻も顔を覗かせていた。
大地を駆ける女剣士 ナマエ
傭兵団を抜けた後、
長年想っていたラグズと結ばれる
彼との子は新世界で温かく迎えられた。
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