蒼炎・暁 short dream
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「せやぁぁぁ!!!」
血が激しく飛び散る。
俺は誰よりも大切な恋人だったナマエを失った。
あいつは戦場で魔導書を片手に俺の傍で戦っていたにも関わらず俺が少し目を離した途端、魔導士であり守備が低いナマエにとっては痛すぎるデイン兵からの一撃を受けてしまったのだ。
その瞬間俺は頭が真っ白になった。
その時は不運にも周りにはミストやキルロイといった杖使いが居なく、傷薬も所持していなかった。
目の前で血まみれになりぐったりと倒れているナマエを力一杯抱き締める事しか出来なかった俺に無力を痛い程感じた。
そのまま息を引き取るという形に終わってしまったナマエを今でも想い続けている。
ナマエを失ってから俺は狂ったように敵兵を斬りつけた。
制圧したあとももう用は無いはずのデイン兵を一人残らず斬りつけるというそんな状況だった。
彼女を奪ったデイン兵がただただ憎い。
その感情が俺を支配していた。
「アイク!もういいわ!攻撃をやめなさい!」
制圧したにも関わらずティアマトの言葉を聞こうともせず残りのデイン兵を斬り続ける。
「お兄ちゃんもうやめて!!」
ミストの涙声が聞こえようやく我に返った。
「お兄ちゃん…こんなことナマエちゃんは望んでないよ!お兄ちゃんがこんなんだと…ナマエちゃんが悲しむよ…!」
「ミスト……」
ミストが大粒の涙を流して言った。
「俺は………っ…」
俺はただ赤く染まった剣を握りしめることしか出来なかった。
その夜………
俺は眠れずにいて、一人外に出ていた。
夜空に浮かぶ三日月が青白い光で辺りを照らしていた。
それとは逆に俺の心は相変わらず沈んだままだった。
「ナマエ…」
ふとナマエの名前を呟いた。
その時…
――アイク……
「!?」
今、ナマエの声が聞こえなかったか…?
気のせいかと思ったが、次の瞬間それは確信に変わる。
「…アイク……」
はっきりと聞こえた愛しい人の声。
後ろを振り向くと、信じがたい人物がそこにいた。
「ナマエ…!!」
俺は確かにそこにいるナマエに駆け寄り、触れようとした。
「なっ…」
俺の手は、ナマエをすり抜けた。
「どうなってるんだ…?」
「私は一度は死んでしまった身…だからこの状態はいわゆる霊…かな……」
ナマエが寂しそうに笑った。
「ナマエ……会いたかった…」
「私も…アイクにずっと会いたかった……」
触れたいのに触れられない。
これはもう二度とナマエには触れてはいけないということなのか…?
「アイク…あのね」
「何だ…?」
「今のアイクは…本当のアイクじゃないよ…」
「!!」
ナマエの言葉で今までのことを振り返った。
ナマエが居なくなってから我を失ったかのようにデイン兵を斬り続けてきた。
ナマエは居なくなってからもそんな俺を見てきたかのように言う。
「私はアイクに仇を取ってほしい訳じゃないよ…?だから…今までの優しい…本当のアイクに戻って……?」
「ナマエ……」
ナマエにもう一度手を伸ばそうとしたその時…
「!!ナマエ…お前……透けて…!」
「もう…時間みたい…」
ナマエがさっきよりも寂しそうに笑った。
「待て!行くなナマエ…!!」
「アイク…泣いちゃダメだよ…」
気付けば俺の頬に一筋の涙が流れていた。
「私…いつもアイクのこと見守ってるから…」
「ナマエ…!」
もう今にでも消えてしまいそうなほど透き通ってしまったナマエが、俺の顔に自分の顔を寄せてきた。
「アイク…ずっと愛してるよ……」
「俺も…愛してる……」
最後にナマエは俺にキスをした。
その瞬間確かにナマエの唇の感触がした。
そしてナマエは消える直前まで微笑みながら消えてしまった。
「ナマエっ……」
俺は暫くその場で初めてこれでもかってほどに声を押し殺して泣いた。
「お兄ちゃん…?」
「……ミスト…」
後ろを向くとミストが心配そうに見つめてきた。
「起きたのか…」
「うん…お兄ちゃん大丈夫……?」
ミストはさっきの光景を見ていたかのように言ってきた。
「…もう大丈夫だ……」
俺は涙を拭い、歩き出した。
一つの決心を固めて……
「もう遅いから、明日に備えて寝るぞ」
「!うん…!」
ミストはにこっと笑って部屋に戻った。
「ありがとう…ナマエ……」
俺はこの夜空のどこかで見守ってくれているナマエに向かって呟いた。
何度でも
君のためなら生まれ変われるよ
~end~
血が激しく飛び散る。
俺は誰よりも大切な恋人だったナマエを失った。
あいつは戦場で魔導書を片手に俺の傍で戦っていたにも関わらず俺が少し目を離した途端、魔導士であり守備が低いナマエにとっては痛すぎるデイン兵からの一撃を受けてしまったのだ。
その瞬間俺は頭が真っ白になった。
その時は不運にも周りにはミストやキルロイといった杖使いが居なく、傷薬も所持していなかった。
目の前で血まみれになりぐったりと倒れているナマエを力一杯抱き締める事しか出来なかった俺に無力を痛い程感じた。
そのまま息を引き取るという形に終わってしまったナマエを今でも想い続けている。
ナマエを失ってから俺は狂ったように敵兵を斬りつけた。
制圧したあとももう用は無いはずのデイン兵を一人残らず斬りつけるというそんな状況だった。
彼女を奪ったデイン兵がただただ憎い。
その感情が俺を支配していた。
「アイク!もういいわ!攻撃をやめなさい!」
制圧したにも関わらずティアマトの言葉を聞こうともせず残りのデイン兵を斬り続ける。
「お兄ちゃんもうやめて!!」
ミストの涙声が聞こえようやく我に返った。
「お兄ちゃん…こんなことナマエちゃんは望んでないよ!お兄ちゃんがこんなんだと…ナマエちゃんが悲しむよ…!」
「ミスト……」
ミストが大粒の涙を流して言った。
「俺は………っ…」
俺はただ赤く染まった剣を握りしめることしか出来なかった。
その夜………
俺は眠れずにいて、一人外に出ていた。
夜空に浮かぶ三日月が青白い光で辺りを照らしていた。
それとは逆に俺の心は相変わらず沈んだままだった。
「ナマエ…」
ふとナマエの名前を呟いた。
その時…
――アイク……
「!?」
今、ナマエの声が聞こえなかったか…?
気のせいかと思ったが、次の瞬間それは確信に変わる。
「…アイク……」
はっきりと聞こえた愛しい人の声。
後ろを振り向くと、信じがたい人物がそこにいた。
「ナマエ…!!」
俺は確かにそこにいるナマエに駆け寄り、触れようとした。
「なっ…」
俺の手は、ナマエをすり抜けた。
「どうなってるんだ…?」
「私は一度は死んでしまった身…だからこの状態はいわゆる霊…かな……」
ナマエが寂しそうに笑った。
「ナマエ……会いたかった…」
「私も…アイクにずっと会いたかった……」
触れたいのに触れられない。
これはもう二度とナマエには触れてはいけないということなのか…?
「アイク…あのね」
「何だ…?」
「今のアイクは…本当のアイクじゃないよ…」
「!!」
ナマエの言葉で今までのことを振り返った。
ナマエが居なくなってから我を失ったかのようにデイン兵を斬り続けてきた。
ナマエは居なくなってからもそんな俺を見てきたかのように言う。
「私はアイクに仇を取ってほしい訳じゃないよ…?だから…今までの優しい…本当のアイクに戻って……?」
「ナマエ……」
ナマエにもう一度手を伸ばそうとしたその時…
「!!ナマエ…お前……透けて…!」
「もう…時間みたい…」
ナマエがさっきよりも寂しそうに笑った。
「待て!行くなナマエ…!!」
「アイク…泣いちゃダメだよ…」
気付けば俺の頬に一筋の涙が流れていた。
「私…いつもアイクのこと見守ってるから…」
「ナマエ…!」
もう今にでも消えてしまいそうなほど透き通ってしまったナマエが、俺の顔に自分の顔を寄せてきた。
「アイク…ずっと愛してるよ……」
「俺も…愛してる……」
最後にナマエは俺にキスをした。
その瞬間確かにナマエの唇の感触がした。
そしてナマエは消える直前まで微笑みながら消えてしまった。
「ナマエっ……」
俺は暫くその場で初めてこれでもかってほどに声を押し殺して泣いた。
「お兄ちゃん…?」
「……ミスト…」
後ろを向くとミストが心配そうに見つめてきた。
「起きたのか…」
「うん…お兄ちゃん大丈夫……?」
ミストはさっきの光景を見ていたかのように言ってきた。
「…もう大丈夫だ……」
俺は涙を拭い、歩き出した。
一つの決心を固めて……
「もう遅いから、明日に備えて寝るぞ」
「!うん…!」
ミストはにこっと笑って部屋に戻った。
「ありがとう…ナマエ……」
俺はこの夜空のどこかで見守ってくれているナマエに向かって呟いた。
何度でも
君のためなら生まれ変われるよ
~end~
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