蒼炎・暁 short dream
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「はぁ…」
「これでもう何回目の溜め息だ?」
俺は自分の執務室で本当に今日何回目かの溜め息を吐いた。
「またナマエの事か?」
ヤナフに図星を言われ何も言えなくなる。
「ティバーンが溜め息吐くときなんかナマエの事ぐらいだからな~」
「うるせぇぞヤナフ。俺は真剣なんだ」
「するならさっさとすればいいだろ?」
「それが出来てたら苦労しねぇよ…」
俺は今あることに悩んでいる。
鷺の民である恋人のナマエにプロポーズをいつしようか迷っているという感じだ…
「あいつの夢は幼い頃は“ティバ兄と6月にけっこんしてティバ兄のお嫁さんになる~!”だったもんな」
「まあ…今でも冗談か分からんがたまに言ってるけどな…」
今からさかのぼること数十年…
ナマエがまだ幼い頃、俺はナマエの兄的な存在だった。
俺もまだその時は幼いが、ナマエよりはいくつか年上だからナマエは俺よりチビだった。
そして、いつものように遊んでやってるとナマエが突然こんなことを言い出した。
“わたし、大きくなったらティバ兄と6月にけっこんしてお嫁さんになる~!”
この時は俺もガキだったから軽い気持ちで受け流していた。
だが、恋人同士になった今やたらとその言葉が気になって仕方がなくなっている。
さっきも言ったように、今でもナマエが俺と結婚するということを平気で言っていてこっちは正直戸惑っている。
恋人同士になってからもうだいぶ経ち大陸中にも俺とナマエが付き合っている事は知られている今、俺は真剣にナマエにプロポーズしようか考えている訳だ。
あいつはただでさえ鈍感だからあんまりこういう事には鋭くねぇからなぁ…
「指輪まで用意してんだからさっさとプロポーズしちまえよ!王なんだろう!?」
「王だからってなんだ…」
「あーもう、じれってぇ!!いいか、もう今夜プロポーズしちまえ!」
「はぁ?」
急すぎる提案に少し呆れる。
「この国の民だってお前らの結婚を心待ちにしてんだぜ?だから、さっさとナマエに言うんだ!」
「たくっ…分かったよ」
いきなり決まった事に少々焦りを覚えた俺。
今夜…か。
あいつはどんな返事をしてくれるんだろうか…?
そして夜――…
「ティバーン、お仕事お疲れ様!」
「ああ…」
いつものようにナマエが執務室まで来てくれる。
「なあ、ナマエ…」
「なぁに?」
「大事な話があるんだ…」
「大事な話って…?」
ナマエは少し不安なのか顔を曇らせた。
「…その……そろそろ言おうかと思ってたが随分と経っちまったもんだな…ナマエ、目ぇ閉じてくれないか?」
「…こう?」
ナマエは俺の言う通りに目を閉じた。
「ああ…あと左手出してくれ」
「ん…」
ナマエの左手を手に取りその細くて白い指に贈ろうとしていたものを通した。
「いいぞ」
「……!!ティバーン、これって…!」
ナマエは驚きと動揺を隠せないでいた。
「…俺と……結婚してほしい…」
内心断られるかと焦りまくっていたが、何とか平静を保った。
「…こんな私でいいの……?」
ナマエは目を潤ませながら聞いてきた。
「馬鹿か…」
「きゃっ!?」
俺はナマエを思いきり抱きしめた。
「お前がいいから…お前じゃなきゃ駄目だから言ってんだろうが」
「ティバーン…嬉しいよぉ…」
ナマエはとうとう泣き出した。
「おいおい…相変わらず泣き虫だなぁナマエは」
「だって…ずっと夢だったのが叶ったんだもん……」
「お前…」
ナマエはきっとあの頃言っていたことを言っているんだろう。
「ほら、あの時みたいに言ってくれよ?」
「え…」
「俺の何になるんだって?」
するとナマエは俺の胸に顔を押し付けながら言った。
「ティバ兄と6月に結婚してお嫁さんになるの!」
6月の花嫁
幼い頃の約束を
~end~
「これでもう何回目の溜め息だ?」
俺は自分の執務室で本当に今日何回目かの溜め息を吐いた。
「またナマエの事か?」
ヤナフに図星を言われ何も言えなくなる。
「ティバーンが溜め息吐くときなんかナマエの事ぐらいだからな~」
「うるせぇぞヤナフ。俺は真剣なんだ」
「するならさっさとすればいいだろ?」
「それが出来てたら苦労しねぇよ…」
俺は今あることに悩んでいる。
鷺の民である恋人のナマエにプロポーズをいつしようか迷っているという感じだ…
「あいつの夢は幼い頃は“ティバ兄と6月にけっこんしてティバ兄のお嫁さんになる~!”だったもんな」
「まあ…今でも冗談か分からんがたまに言ってるけどな…」
今からさかのぼること数十年…
ナマエがまだ幼い頃、俺はナマエの兄的な存在だった。
俺もまだその時は幼いが、ナマエよりはいくつか年上だからナマエは俺よりチビだった。
そして、いつものように遊んでやってるとナマエが突然こんなことを言い出した。
“わたし、大きくなったらティバ兄と6月にけっこんしてお嫁さんになる~!”
この時は俺もガキだったから軽い気持ちで受け流していた。
だが、恋人同士になった今やたらとその言葉が気になって仕方がなくなっている。
さっきも言ったように、今でもナマエが俺と結婚するということを平気で言っていてこっちは正直戸惑っている。
恋人同士になってからもうだいぶ経ち大陸中にも俺とナマエが付き合っている事は知られている今、俺は真剣にナマエにプロポーズしようか考えている訳だ。
あいつはただでさえ鈍感だからあんまりこういう事には鋭くねぇからなぁ…
「指輪まで用意してんだからさっさとプロポーズしちまえよ!王なんだろう!?」
「王だからってなんだ…」
「あーもう、じれってぇ!!いいか、もう今夜プロポーズしちまえ!」
「はぁ?」
急すぎる提案に少し呆れる。
「この国の民だってお前らの結婚を心待ちにしてんだぜ?だから、さっさとナマエに言うんだ!」
「たくっ…分かったよ」
いきなり決まった事に少々焦りを覚えた俺。
今夜…か。
あいつはどんな返事をしてくれるんだろうか…?
そして夜――…
「ティバーン、お仕事お疲れ様!」
「ああ…」
いつものようにナマエが執務室まで来てくれる。
「なあ、ナマエ…」
「なぁに?」
「大事な話があるんだ…」
「大事な話って…?」
ナマエは少し不安なのか顔を曇らせた。
「…その……そろそろ言おうかと思ってたが随分と経っちまったもんだな…ナマエ、目ぇ閉じてくれないか?」
「…こう?」
ナマエは俺の言う通りに目を閉じた。
「ああ…あと左手出してくれ」
「ん…」
ナマエの左手を手に取りその細くて白い指に贈ろうとしていたものを通した。
「いいぞ」
「……!!ティバーン、これって…!」
ナマエは驚きと動揺を隠せないでいた。
「…俺と……結婚してほしい…」
内心断られるかと焦りまくっていたが、何とか平静を保った。
「…こんな私でいいの……?」
ナマエは目を潤ませながら聞いてきた。
「馬鹿か…」
「きゃっ!?」
俺はナマエを思いきり抱きしめた。
「お前がいいから…お前じゃなきゃ駄目だから言ってんだろうが」
「ティバーン…嬉しいよぉ…」
ナマエはとうとう泣き出した。
「おいおい…相変わらず泣き虫だなぁナマエは」
「だって…ずっと夢だったのが叶ったんだもん……」
「お前…」
ナマエはきっとあの頃言っていたことを言っているんだろう。
「ほら、あの時みたいに言ってくれよ?」
「え…」
「俺の何になるんだって?」
するとナマエは俺の胸に顔を押し付けながら言った。
「ティバ兄と6月に結婚してお嫁さんになるの!」
6月の花嫁
幼い頃の約束を
~end~
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