if short dream
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僕はある人に悩まされている。
それは……
「タクミさんっ」
「!ねっ姉さん…!?」
縁側で弓の手入れをしていると、突然カムイ姉さんが後ろから顔を覗かせてきた。
「驚かさないでよ……」
「すみません…タクミさんが見えたので、つい……」
そう言ってヘラっと笑う彼女に不覚にも胸が高鳴った。
なんだよ…
期待させるような事言うなよ……
「…で、何か用?」
「あ、特に用という用は無いんです…ここに座ってもいいですか?」
「え……べっ別にいいけど…」
「ありがとうございます」
お礼を言って姉さんは僕の隣に腰を下ろした。
「弓の手入れをしていたんですか?」
「そうだよ。毎日手入れしないといけないからね…」
そう言葉を交わしながら何とか平常心を保とうと必死になる。
「さすがですね、タクミさんは。私も見習わないと…」
「……あんたも十分見習いたいぐらいだよ」
「?何か言いましたか?」
「なっ何でも無いよ」
慌てて話を逸らし弓に視線を戻す。
「…そういえば、タクミさんは髪をいつも自分でお手入れされているんですよね?」
「そうだけど……何で?」
「私、一度でいいからあなたの髪を結ってみたかったんです。ダメ……ですか?」
「っ…!」
自然と上目遣いになるカムイ姉さんに心臓の音が煩くなる。
こんな頼み方されたら断れる訳…ないじゃないか……
「……いいよ」
「え、本当ですか!?」
「うん。その代わり、丁寧に扱ってよね」
「もちろんです!」
そう言って彼女は僕の後ろに回り込んだ。
「わあ……タクミさんの髪って思ったよりサラサラなんですね…」
「…それどういう意味?」
「触ってみたら見ていただけよりもサラサラだなって思って…」
本当…この人は何で平気な顔してそんな事言えるかな……
「ん……」
誰かに髪を触られるなんて…母上以来だな……
気付けば僕は心地よく感じていた。
「…出来ましたっ」
姉さんの声でハッと我に帰った。
「よく出来てるじゃないか」
「ありがとうございます。かなり緊張してしまいましたが……」
「え…?」
何で…緊張なんかする必要があるの……?
「…ねえ、何で緊張してたの?」
「えっ……?」
僕は姉さんの腕を掴んでそう聞いていた。
「……」
「え、と……」
しばらくなんとも言えない沈黙が流れた。
「…おっ弟の髪を触るのって何だか緊張してしまうというか、何というか……」
「それだけ…?」
「はっはい……」
僕は姉さんの腕を離して小さなため息をついた。
何を……期待していたんだろう…………
当たり前の事を言われただけなのに……
でも…顔を赤くしているあなたを見ると、どうしても心の何処かで期待してしまう自分がいるんだ………
「そっか……」
「タクミさん…?」
「ごめん、変な事聞いて。じゃあ、そろそろ行くよ。髪……結ってくれてありがとう」
僕はそれだけ言うとその場を立ち去った。
「……何やってるんだ、僕は…」
姉さんと別れてから僕は一人で呟いた。
カムイ姉さんと血が繋がっていないと分かったのはつい最近のこと。
母上が僕に渡しておいてくれた手紙を読んで初めて事実を知ったんだ。
だけど…姉さんはそんな事知らずに、僕等きょうだいと血が繋がっていると信じている。
もしも……僕がカムイ姉さんに想いを伝えて事実を知ってしまったら…
彼女はどう思うのだろうか。
「…まだまだだな」
そう一人呟いて僕は歩き出した。
カムイ姉さん……
いつか、この気持ちをあなたに伝えられるだろうか…?
~end~
それは……
「タクミさんっ」
「!ねっ姉さん…!?」
縁側で弓の手入れをしていると、突然カムイ姉さんが後ろから顔を覗かせてきた。
「驚かさないでよ……」
「すみません…タクミさんが見えたので、つい……」
そう言ってヘラっと笑う彼女に不覚にも胸が高鳴った。
なんだよ…
期待させるような事言うなよ……
「…で、何か用?」
「あ、特に用という用は無いんです…ここに座ってもいいですか?」
「え……べっ別にいいけど…」
「ありがとうございます」
お礼を言って姉さんは僕の隣に腰を下ろした。
「弓の手入れをしていたんですか?」
「そうだよ。毎日手入れしないといけないからね…」
そう言葉を交わしながら何とか平常心を保とうと必死になる。
「さすがですね、タクミさんは。私も見習わないと…」
「……あんたも十分見習いたいぐらいだよ」
「?何か言いましたか?」
「なっ何でも無いよ」
慌てて話を逸らし弓に視線を戻す。
「…そういえば、タクミさんは髪をいつも自分でお手入れされているんですよね?」
「そうだけど……何で?」
「私、一度でいいからあなたの髪を結ってみたかったんです。ダメ……ですか?」
「っ…!」
自然と上目遣いになるカムイ姉さんに心臓の音が煩くなる。
こんな頼み方されたら断れる訳…ないじゃないか……
「……いいよ」
「え、本当ですか!?」
「うん。その代わり、丁寧に扱ってよね」
「もちろんです!」
そう言って彼女は僕の後ろに回り込んだ。
「わあ……タクミさんの髪って思ったよりサラサラなんですね…」
「…それどういう意味?」
「触ってみたら見ていただけよりもサラサラだなって思って…」
本当…この人は何で平気な顔してそんな事言えるかな……
「ん……」
誰かに髪を触られるなんて…母上以来だな……
気付けば僕は心地よく感じていた。
「…出来ましたっ」
姉さんの声でハッと我に帰った。
「よく出来てるじゃないか」
「ありがとうございます。かなり緊張してしまいましたが……」
「え…?」
何で…緊張なんかする必要があるの……?
「…ねえ、何で緊張してたの?」
「えっ……?」
僕は姉さんの腕を掴んでそう聞いていた。
「……」
「え、と……」
しばらくなんとも言えない沈黙が流れた。
「…おっ弟の髪を触るのって何だか緊張してしまうというか、何というか……」
「それだけ…?」
「はっはい……」
僕は姉さんの腕を離して小さなため息をついた。
何を……期待していたんだろう…………
当たり前の事を言われただけなのに……
でも…顔を赤くしているあなたを見ると、どうしても心の何処かで期待してしまう自分がいるんだ………
「そっか……」
「タクミさん…?」
「ごめん、変な事聞いて。じゃあ、そろそろ行くよ。髪……結ってくれてありがとう」
僕はそれだけ言うとその場を立ち去った。
「……何やってるんだ、僕は…」
姉さんと別れてから僕は一人で呟いた。
カムイ姉さんと血が繋がっていないと分かったのはつい最近のこと。
母上が僕に渡しておいてくれた手紙を読んで初めて事実を知ったんだ。
だけど…姉さんはそんな事知らずに、僕等きょうだいと血が繋がっていると信じている。
もしも……僕がカムイ姉さんに想いを伝えて事実を知ってしまったら…
彼女はどう思うのだろうか。
「…まだまだだな」
そう一人呟いて僕は歩き出した。
カムイ姉さん……
いつか、この気持ちをあなたに伝えられるだろうか…?
~end~
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