if short dream
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私はジョーカー。
主人であるカムイ様の執事をしている。
長年カムイ様のお世話をさせていただいてきたが、最近自分に抑えが効かなくなりつつあるを感じている…
カムイ様は何もかもできなかった私を見捨てず、ずっとお傍に置いてくださった心優しいお方だ。
そんなカムイ様に絶対的忠誠を誓っているのはもちろんなんだが……
ずっと隠してきたこの密かな想いが彼女が成長していくにつれて溢れ出そうになるのだ。
「ジョーカーさん」
「!?カムイ様っ…」
突然お声を掛けられたことに、不覚にも少し驚いてしまった。
「どうしたんですか、そんな驚いて……」
「いっいえ、何でもございません…失礼いたしました」
いかん……執事である私がしっかりしなくてはどうする…
「変なジョーカーさん」
「…ところで、何か私に用がございますか?」
「あ、はい。実は料理を教えていただきたいなと思って…」
「料理を?」
今カムイ様には、紅茶の淹れ方を教えてる期間なはずなんだが……
「紅茶の淹れ方はもうよろしいのですか?」
「あ、それはまた別の時に教えてもらえたらなって…今日は料理を教えて欲しんです」
「だとしても、料理も私がお作りしますので、カムイ様にさせるようなことでは……」
「いえ、料理も自分で出来るようになりたいんです」
カムイ様は紅茶の淹れ方をお願いされた時と同じ真剣な目をされていた。
「……そこまでおっしゃるのならこのジョーカー、徹底的にお教え致しましょう」
「わあ、ありがとうございますジョーカーさん!!」
彼女の嬉しそうな顔につい自分の頬が緩むのを感じた。
「ところで、何故料理まで出来るようになりたいと思われたのですか?」
「えっ…それは……」
カムイ様は何故か少し言いづらそうにしていた。
「……自分の手料理を食べてもらいたい人がいるんです」
「え…」
少し照れ臭そうに言った彼女に重い何かが心の中に落ちてきた感じがした。
「……それは誰でしょうか?」
「そこまではまだ言えませんっ」
カムイ様はそう割り切るとそそくさとキッチンの方へと向かわれてしまった。
まさか…カムイ様に想い人がいらっしゃるのか……?
そんな嫌な考えが頭の中から離れない。
「ジョーカーさん?早く教えてください」
「あ、あぁ……申し訳ございません…」
心が浮ついたまま、私はカムイ様の元へ向かった。
「…それで、何か作りたいものはありますか?」
「ええと…オムライスを作ってみたいです」
「オムライスですか…少々お待ちください」
私はオムライスに必要な材料を手早く準備する。
「お待たせ致しました。では、早速始めましょうか」
「はい、お願いします」
「まずは野菜から切っていきます」
「こっこうですか…?」
おぼつかない手つきで野菜を切っていく様子を見ているだけでいてもたってもいられなくなる。
「……いたっ」
「!!大丈夫ですか、カムイ様っ…!?」
カムイ様がうっかり指を切ってしまった事に気持ちが焦る。
「こんなの戦場で作る傷と比べたら全然平気ですよ。さ、続きを…」
「いけません。どんな小さな傷でも残られたりしたら大変です」
「ジョーカーさ……!!!?」
私は無意識に血が出ている彼女の指を舐めていた。
「あ、の……っ」
「……後は絆創膏を貼っておけば安心です」
私は絆創膏を取り出しカムイ様の指に貼り付けた。
「あっありがとうございます……」
「いえ、このくらい当然の事でございます。…カムイ様?お顔が赤いですが……」
見ると、カムイ様の顔が真っ赤に染まっていることに気が付いた。
「えっ…べっ別に何でもないですよ!!」
「そうですか?熱があったりなど……」
「ほっ本当に大丈夫ですから!はっ早く続きをしましょう!!」
そこで話を割り切るとカムイ様はまた調理を再開した。
そして着々と調理が進んでいき、私の指導の下でオムライスが完成した。
「できました!!」
「お見事でございます、カムイ様」
そこで私ははっとした。
……この料理はカムイ様が他の誰かに振る舞うための料理であったことを思い出したのだ。
それが誰であろうと、私が口出し出来るような事ではないのであるのは十分承知している。
「……っ、カムイ様の作られた料理を食べられるお方がとても羨ましく思いますね」
「え、ジョーカーさん?」
私がそう言うと、カムイ様は何故かきょとんとした顔をされた。
「あの…言うのが遅くなりましたけど、私の食べてもらいたい人って……ジョーカーさんの事、ですよ」
「え…?」
一瞬聞き間違えかとも思った。
「私に……ですか?」
「はい。日頃からお世話になっているし、紅茶の淹れ方も教えてくれたりとジョーカーさんには本当に感謝しているので……せめてもの恩返しになるといいなと…」
顔を少し赤くして照れ笑いを浮かべるカムイ様に胸が高鳴るのを感じた。
「カムイ様……」
「ジョーカーさんには及びませんが…よかったら食べてくれると嬉しいです」
「…もちろんです。では、いただきます」
嬉しさを抑えつつ、オムライスを一口口に運んだ。
「どうですか…?」
「とても美味しゅうございます」
初めて料理をされたが、その味はすごく美味しかった。
そして何より、私のために作っていただいた事が最大に嬉しいことだった。
「よかったぁ……今日はありがとうございました、ジョーカーさん」
「いえ、このようなことお礼に達することではございません。…こちらこそ、私めのために作っていただきありがとうございます」
たとえ、これが執事としてのご好意だったとしても
カムイ様のその気持ちだけで今は十分だ。
~end~
主人であるカムイ様の執事をしている。
長年カムイ様のお世話をさせていただいてきたが、最近自分に抑えが効かなくなりつつあるを感じている…
カムイ様は何もかもできなかった私を見捨てず、ずっとお傍に置いてくださった心優しいお方だ。
そんなカムイ様に絶対的忠誠を誓っているのはもちろんなんだが……
ずっと隠してきたこの密かな想いが彼女が成長していくにつれて溢れ出そうになるのだ。
「ジョーカーさん」
「!?カムイ様っ…」
突然お声を掛けられたことに、不覚にも少し驚いてしまった。
「どうしたんですか、そんな驚いて……」
「いっいえ、何でもございません…失礼いたしました」
いかん……執事である私がしっかりしなくてはどうする…
「変なジョーカーさん」
「…ところで、何か私に用がございますか?」
「あ、はい。実は料理を教えていただきたいなと思って…」
「料理を?」
今カムイ様には、紅茶の淹れ方を教えてる期間なはずなんだが……
「紅茶の淹れ方はもうよろしいのですか?」
「あ、それはまた別の時に教えてもらえたらなって…今日は料理を教えて欲しんです」
「だとしても、料理も私がお作りしますので、カムイ様にさせるようなことでは……」
「いえ、料理も自分で出来るようになりたいんです」
カムイ様は紅茶の淹れ方をお願いされた時と同じ真剣な目をされていた。
「……そこまでおっしゃるのならこのジョーカー、徹底的にお教え致しましょう」
「わあ、ありがとうございますジョーカーさん!!」
彼女の嬉しそうな顔につい自分の頬が緩むのを感じた。
「ところで、何故料理まで出来るようになりたいと思われたのですか?」
「えっ…それは……」
カムイ様は何故か少し言いづらそうにしていた。
「……自分の手料理を食べてもらいたい人がいるんです」
「え…」
少し照れ臭そうに言った彼女に重い何かが心の中に落ちてきた感じがした。
「……それは誰でしょうか?」
「そこまではまだ言えませんっ」
カムイ様はそう割り切るとそそくさとキッチンの方へと向かわれてしまった。
まさか…カムイ様に想い人がいらっしゃるのか……?
そんな嫌な考えが頭の中から離れない。
「ジョーカーさん?早く教えてください」
「あ、あぁ……申し訳ございません…」
心が浮ついたまま、私はカムイ様の元へ向かった。
「…それで、何か作りたいものはありますか?」
「ええと…オムライスを作ってみたいです」
「オムライスですか…少々お待ちください」
私はオムライスに必要な材料を手早く準備する。
「お待たせ致しました。では、早速始めましょうか」
「はい、お願いします」
「まずは野菜から切っていきます」
「こっこうですか…?」
おぼつかない手つきで野菜を切っていく様子を見ているだけでいてもたってもいられなくなる。
「……いたっ」
「!!大丈夫ですか、カムイ様っ…!?」
カムイ様がうっかり指を切ってしまった事に気持ちが焦る。
「こんなの戦場で作る傷と比べたら全然平気ですよ。さ、続きを…」
「いけません。どんな小さな傷でも残られたりしたら大変です」
「ジョーカーさ……!!!?」
私は無意識に血が出ている彼女の指を舐めていた。
「あ、の……っ」
「……後は絆創膏を貼っておけば安心です」
私は絆創膏を取り出しカムイ様の指に貼り付けた。
「あっありがとうございます……」
「いえ、このくらい当然の事でございます。…カムイ様?お顔が赤いですが……」
見ると、カムイ様の顔が真っ赤に染まっていることに気が付いた。
「えっ…べっ別に何でもないですよ!!」
「そうですか?熱があったりなど……」
「ほっ本当に大丈夫ですから!はっ早く続きをしましょう!!」
そこで話を割り切るとカムイ様はまた調理を再開した。
そして着々と調理が進んでいき、私の指導の下でオムライスが完成した。
「できました!!」
「お見事でございます、カムイ様」
そこで私ははっとした。
……この料理はカムイ様が他の誰かに振る舞うための料理であったことを思い出したのだ。
それが誰であろうと、私が口出し出来るような事ではないのであるのは十分承知している。
「……っ、カムイ様の作られた料理を食べられるお方がとても羨ましく思いますね」
「え、ジョーカーさん?」
私がそう言うと、カムイ様は何故かきょとんとした顔をされた。
「あの…言うのが遅くなりましたけど、私の食べてもらいたい人って……ジョーカーさんの事、ですよ」
「え…?」
一瞬聞き間違えかとも思った。
「私に……ですか?」
「はい。日頃からお世話になっているし、紅茶の淹れ方も教えてくれたりとジョーカーさんには本当に感謝しているので……せめてもの恩返しになるといいなと…」
顔を少し赤くして照れ笑いを浮かべるカムイ様に胸が高鳴るのを感じた。
「カムイ様……」
「ジョーカーさんには及びませんが…よかったら食べてくれると嬉しいです」
「…もちろんです。では、いただきます」
嬉しさを抑えつつ、オムライスを一口口に運んだ。
「どうですか…?」
「とても美味しゅうございます」
初めて料理をされたが、その味はすごく美味しかった。
そして何より、私のために作っていただいた事が最大に嬉しいことだった。
「よかったぁ……今日はありがとうございました、ジョーカーさん」
「いえ、このようなことお礼に達することではございません。…こちらこそ、私めのために作っていただきありがとうございます」
たとえ、これが執事としてのご好意だったとしても
カムイ様のその気持ちだけで今は十分だ。
~end~