if short dream
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「カムイ姉さん」
後ろを振り返ると、私の弟……否、今は夫でもあるタクミさんがこちらに向かって来ていた。
「あ、ごめん…二人の時は姉さんじゃなかったね」
タクミさんは少し照れ臭そうにそう言った。
「無理もないですよ。最近夫婦になったばかりなんですし……」
「夫婦……そう、だね…」
そう、私達はつい最近夫婦になったばかりだ。
あの日、突然タクミさんに想いを告げられた時はかなり驚いた反面嬉しさもこみ上げてきたのをよく覚えている。
そして私が彼らと血が繋がっていないことも……
私達の結婚は最初こそきょうだいなのに何を言っているのだと驚かれたものの、みんな事実を知ると快く受け入れてくれた。
「あ、そういえば私に何か用でもありましたか?」
「用という用はないんだけど……」
タクミさんはそこまで言うと顔を少し赤らめて言葉を詰まらせていた。
「?」
「えー、その……」
私は彼の様子を見て何となく何が言いたいのか分かった気がする。
長く彼といることで自然と理解するようになったのだと思った。
「用は無いけど、ただ一緒にいたい……そうですか?」
「なっ……!?」
私がそう言ったと同時に、タクミさんは口をパクパクさせて私を見てきた。
「ちょっ……よくそんなこと躊躇せず言えるね…」
「別に恥ずかしがる必要は無いと思いますが……」
タクミさんの様子が少しおかしくてつい笑ってしまう。
「はぁ……つまり、そういうことだよ」
今度はちゃんと目を見てそう言った。
「ふふ……」
「何笑ってるのさ?」
私の様子が気に食わなかったのか、タクミさんは少しだけムッとしたような顔になった。
「いえ……ただ、タクミさんが可愛いなと思っただけです」
「はぁ!?」
また顔を赤くする彼に愛おしさがどんどん込み上げてくる。
「かっからかうのもいい加減にしなよ!…ほら、行こう」
「ふふ、はいっ!」
差し出された手を取って私達は歩き始めた。
特にどこへ行くとも決めていないけれど。
__素直じゃない君となら、どこへでも行ける……そんな気がするのは確かなんだ。
~end~
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