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※ターナ視点
※ 第六章と番外編4あたりのお話です
私が彼を好きだと自覚したのは、一体いつだったかな。
初めて会ったのはフレリアで開かれた私の生誕パーティーだった。
普段着ではなくて、誕生日の為に用意してもらったピンク色の華やかなドレス。特別な日にしか付けないと決めていたお気に入りの髪飾り。その日は誰もが私に注目してお祝いの言葉をたくさん贈ってくれた。
ただ一人…そんな私をずっと見てはくれなかったけれど。
「ターナ?どうかしたの?」
突然耳に入ってきた声に我に帰る。隣に顔を向ければ、少し心配そうな顔をしたエイリークが私の顔を見ていた。
急に食事をする手を止めて一点を見つめ出したら、誰だってどうかしたのかと思うだろう。
「あ…う、ううん!何でもないの。ごめんね」
「そう…?どこか気分が悪いとか…」
「本当に大丈夫だから…!そんなに心配しないで」
私が笑ってそう言えば、エイリークはやっと笑って納得してくれたみたい。要らぬ心配を掛けてしまった事に少しだけ罪悪感を感じる。
彼女と話の続きをしつつ、ふと視線を少し離れた方に向けた。
視線の先には隣同士で座る二人…エフラムとナマエ。どこか初々しさやじれったさを感じるその雰囲気に、私の胸はほんのりと締め付けられる。だからすぐに目を逸らしてしまうんだ。
食事を摂り終えてエイリークと一緒に部屋まで戻ろうと廊下に差し掛かった時だった。目に入ってきたのは、少し前に席を立ったエフラムとナマエが一緒に歩いているところ。見たくないはずなのに、何故か目が逸らせない。
隣り合う二人の手が触れると、不器用ながらもエフラムがそっとナマエの手を取った。おずおずと手と手が絡まり合うのは何ともいじらしい。
「ふふ…兄上達、幸せそうね」
「そう、ね……好きな人と結ばれて良かったわ」
良かった。紛れもない本心だった。
ただ…その"好きな人"が私でない事を除いて。
翌日、先の戦闘で消耗した武器等を街で調達した。ロストンを出るまでまだ少し時間があったので、私を含めた一部の女性陣と集まってナマエを呼び出した。その理由は至ってシンプルで、みんなエフラムと想いが通じ合った彼女から色々と話を聞きたいから。女の子は恋バナが大好きなのは万国共通なんだと分かる。
私も例外ではないけれど、今回に至っては…少し違う。嫌なら抜ければ良かった。でも、もしそうすれば私が恋バナを大好きだと知っているエイリークが不思議に思っただろう。
ナマエ達と別れ、私はエイリークと少し二人で話していた。
「今はまだ恋人同士…とは呼べないかもしれないけれど、両想いなのは分かっているから安心ね」
「………」
「…ターナ?」
昨日の食事の席でさせてしまった時と同じ顔で私を覗き込むエイリーク。私は彼女と目を合わせる事はなく、俯いたままでぽつりと話し出した。
「エイリーク…私ってね、最低なの。エフラムとナマエの事、嬉しいはずなのに…心から喜べない……どうしても苦しいの……っ」
思わず両手で顔を覆う。今まで抑えてきた涙が指を伝ってこぼれ落ちていく。こんな情けない姿、誰かに見せるつもりなんてなかったのに。そんな決意は幸せそうな二人をいざ目の当たりにしたら簡単に崩れ落ちてしまった。
「タ、ターナ?一体どうしたの?」
「ごめん、ごめんね…!私…こんなの、困らせるだけだわ……っ…エイリークも、エフラムも、ナマエも……!」
「………」
エイリークは何も言わない。ただ黙って私の背中を優しくさすってくれる。きっと今の言葉で理解したのだろう。
小さい頃からそうだった。私が泣いている時、こうしていつも何も言わずに隣に居てくれた。
エイリークには何でも話してきた。嬉しい事、悲しい事、全部。お父様やお兄様にも話せなかった事だって。
でも…たったひとつだけ、話さなかった事がある。私の中だけにずっと留めてきた想い…エフラムを好きだという気持ち。
今まで何度か相談してみようかと思った事もある。思うだけで、結局話した事はなかったけれど…
なんて最悪なタイミング。意中の相手が別の誰かと結ばれた後に知らされてしまった側には、とんだ迷惑なはずだ。
ひとしきり泣いたところで先に口を開いたのはエイリークだった。
「少し落ち着いた?」
「うん…ありがとう……」
「ええ、こちらこそ話してくれてありがとう。ずっと…一人で辛かったでしょう?貴女の気持ちに気付けなくて、ごめんなさい…」
「そんな、エイリークが謝る事はないわ…!私が一人で抱え込んでいただけだもの……」
どこまでも優しい彼女は、どうしたって自分を責めてしまう。これも昔から変わらない。だから私はそれは違うんだと否定する。
「…分かってたの。エフラムが私を好きになる、なんてありえない事……私がどれだけ声を掛けても、ちっとも相手になんてしてくれなかったもの。幼い頃からずっとそうだった。だから…ナマエと出会って、あの子に向ける視線が他とは全然違うのだって…すぐに分かった」
あの日…リグバルト要塞の牢の中で出会った女の子。私よりも不安そうな瞳をしていて、自然と守ってあげたくなる感情が生まれてきたっけ。彼女…ナマエに手を差し出したのはエフラムだった。
二人の手が重なったあの日から、もう運命は決まっていたように思える。
守られるだけじゃなく、日々成長していくナマエに誰もが感心した。時には自己犠牲で誰かを助けようとするから、目が離せない。
そんなナマエの隣には常にエフラムが居た。戦場を知らなかった彼女がずっと立っていられたのは、紛れもなくエフラムの存在があったから。その逆も然りで、ナマエの存在があったからエフラムもここまで来れたのだと……
分かっている。エフラムを支えられるのは、私じゃない。だから昨晩ナマエにエフラムを励まして欲しいと頼んだんだ。彼女の言葉が一番届くと知っていたから。
私は…ナマエじゃない、ナマエにはなれない。
私に出来る事は…大好きな二人が一緒に居られる手助けをするだけ。ずっと遠くから見てるだけ。
先に出会ったから、先に好きになった方が偉いだなんて、そんな事は全くない。エフラムがナマエという女性を選んだ事が全て。それだけだ。
「…ターナ、やっぱり貴女は本当に強いわ。貴女を心から尊敬する」
「え…?」
ずっと黙って聞いてくれていたエイリークが、私を抱き締めてそう言ってくれた。
「私には大した事は言えないけれど…今まで、本当に頑張ったね。苦しい時は吐き出してしまえばいいいの。私がいつでも聞くから…だって、私達は親友でしょう?」
「!エイリーク……っ」
ついさっきひとしきり流した涙が、また溢れ出してくる。エイリークの優しさに甘えて私も抱き締め返すと子供のように泣いた。
この想いをエフラムに伝える事は、きっとない。伝えてしまえば困らせてしまうから。
エフラムが幸せならそれでいい。それはナマエにも言える事。
でも…でもね、エフラムにとっての幸せが私であったなら……なんて、もう叶わない大それた願いを少しだけ持ってしまうの。
こんな最低な私を知ったら、きっと嫌われちゃうな……
だからどうか気付かないで。こんな私に、私の想いに。
あなたを好きだという私を知っているのは、私自身とエイリークだけで良い。
あなたは…愛する人とただ幸せになってくれれば良いの。
それでも今だけは…あなたを想って泣くのを許してくれると嬉しいな……
〜end〜
もしターナがエフラムに想いを寄せたままだったら…なお話でした。
Connect本編では管理人の都合上、勝手にターナのエフラムへの想いが無かった事にしていますが、原作通り好意を持ったままだったらどう描写したかな…という考えから思わず書いていました。
因みにイメージソングはaikoさんの相思相愛という曲です。勝手ながら歌詞の一部も少しだけ取り入れさせていただいてます…
ターナ自体は大好きなんですが、自身が夢女でエフラム最推しである以上エフラムとのカップリングはどうしても苦手でして…だから結果としてこんなお話になってしまいました。
もし不快な思いをされた方いらっしゃいましたら申し訳ございません…!
では、ここまでご覧いただきありがとうございました!
※ 第六章と番外編4あたりのお話です
私が彼を好きだと自覚したのは、一体いつだったかな。
初めて会ったのはフレリアで開かれた私の生誕パーティーだった。
普段着ではなくて、誕生日の為に用意してもらったピンク色の華やかなドレス。特別な日にしか付けないと決めていたお気に入りの髪飾り。その日は誰もが私に注目してお祝いの言葉をたくさん贈ってくれた。
ただ一人…そんな私をずっと見てはくれなかったけれど。
「ターナ?どうかしたの?」
突然耳に入ってきた声に我に帰る。隣に顔を向ければ、少し心配そうな顔をしたエイリークが私の顔を見ていた。
急に食事をする手を止めて一点を見つめ出したら、誰だってどうかしたのかと思うだろう。
「あ…う、ううん!何でもないの。ごめんね」
「そう…?どこか気分が悪いとか…」
「本当に大丈夫だから…!そんなに心配しないで」
私が笑ってそう言えば、エイリークはやっと笑って納得してくれたみたい。要らぬ心配を掛けてしまった事に少しだけ罪悪感を感じる。
彼女と話の続きをしつつ、ふと視線を少し離れた方に向けた。
視線の先には隣同士で座る二人…エフラムとナマエ。どこか初々しさやじれったさを感じるその雰囲気に、私の胸はほんのりと締め付けられる。だからすぐに目を逸らしてしまうんだ。
食事を摂り終えてエイリークと一緒に部屋まで戻ろうと廊下に差し掛かった時だった。目に入ってきたのは、少し前に席を立ったエフラムとナマエが一緒に歩いているところ。見たくないはずなのに、何故か目が逸らせない。
隣り合う二人の手が触れると、不器用ながらもエフラムがそっとナマエの手を取った。おずおずと手と手が絡まり合うのは何ともいじらしい。
「ふふ…兄上達、幸せそうね」
「そう、ね……好きな人と結ばれて良かったわ」
良かった。紛れもない本心だった。
ただ…その"好きな人"が私でない事を除いて。
翌日、先の戦闘で消耗した武器等を街で調達した。ロストンを出るまでまだ少し時間があったので、私を含めた一部の女性陣と集まってナマエを呼び出した。その理由は至ってシンプルで、みんなエフラムと想いが通じ合った彼女から色々と話を聞きたいから。女の子は恋バナが大好きなのは万国共通なんだと分かる。
私も例外ではないけれど、今回に至っては…少し違う。嫌なら抜ければ良かった。でも、もしそうすれば私が恋バナを大好きだと知っているエイリークが不思議に思っただろう。
ナマエ達と別れ、私はエイリークと少し二人で話していた。
「今はまだ恋人同士…とは呼べないかもしれないけれど、両想いなのは分かっているから安心ね」
「………」
「…ターナ?」
昨日の食事の席でさせてしまった時と同じ顔で私を覗き込むエイリーク。私は彼女と目を合わせる事はなく、俯いたままでぽつりと話し出した。
「エイリーク…私ってね、最低なの。エフラムとナマエの事、嬉しいはずなのに…心から喜べない……どうしても苦しいの……っ」
思わず両手で顔を覆う。今まで抑えてきた涙が指を伝ってこぼれ落ちていく。こんな情けない姿、誰かに見せるつもりなんてなかったのに。そんな決意は幸せそうな二人をいざ目の当たりにしたら簡単に崩れ落ちてしまった。
「タ、ターナ?一体どうしたの?」
「ごめん、ごめんね…!私…こんなの、困らせるだけだわ……っ…エイリークも、エフラムも、ナマエも……!」
「………」
エイリークは何も言わない。ただ黙って私の背中を優しくさすってくれる。きっと今の言葉で理解したのだろう。
小さい頃からそうだった。私が泣いている時、こうしていつも何も言わずに隣に居てくれた。
エイリークには何でも話してきた。嬉しい事、悲しい事、全部。お父様やお兄様にも話せなかった事だって。
でも…たったひとつだけ、話さなかった事がある。私の中だけにずっと留めてきた想い…エフラムを好きだという気持ち。
今まで何度か相談してみようかと思った事もある。思うだけで、結局話した事はなかったけれど…
なんて最悪なタイミング。意中の相手が別の誰かと結ばれた後に知らされてしまった側には、とんだ迷惑なはずだ。
ひとしきり泣いたところで先に口を開いたのはエイリークだった。
「少し落ち着いた?」
「うん…ありがとう……」
「ええ、こちらこそ話してくれてありがとう。ずっと…一人で辛かったでしょう?貴女の気持ちに気付けなくて、ごめんなさい…」
「そんな、エイリークが謝る事はないわ…!私が一人で抱え込んでいただけだもの……」
どこまでも優しい彼女は、どうしたって自分を責めてしまう。これも昔から変わらない。だから私はそれは違うんだと否定する。
「…分かってたの。エフラムが私を好きになる、なんてありえない事……私がどれだけ声を掛けても、ちっとも相手になんてしてくれなかったもの。幼い頃からずっとそうだった。だから…ナマエと出会って、あの子に向ける視線が他とは全然違うのだって…すぐに分かった」
あの日…リグバルト要塞の牢の中で出会った女の子。私よりも不安そうな瞳をしていて、自然と守ってあげたくなる感情が生まれてきたっけ。彼女…ナマエに手を差し出したのはエフラムだった。
二人の手が重なったあの日から、もう運命は決まっていたように思える。
守られるだけじゃなく、日々成長していくナマエに誰もが感心した。時には自己犠牲で誰かを助けようとするから、目が離せない。
そんなナマエの隣には常にエフラムが居た。戦場を知らなかった彼女がずっと立っていられたのは、紛れもなくエフラムの存在があったから。その逆も然りで、ナマエの存在があったからエフラムもここまで来れたのだと……
分かっている。エフラムを支えられるのは、私じゃない。だから昨晩ナマエにエフラムを励まして欲しいと頼んだんだ。彼女の言葉が一番届くと知っていたから。
私は…ナマエじゃない、ナマエにはなれない。
私に出来る事は…大好きな二人が一緒に居られる手助けをするだけ。ずっと遠くから見てるだけ。
先に出会ったから、先に好きになった方が偉いだなんて、そんな事は全くない。エフラムがナマエという女性を選んだ事が全て。それだけだ。
「…ターナ、やっぱり貴女は本当に強いわ。貴女を心から尊敬する」
「え…?」
ずっと黙って聞いてくれていたエイリークが、私を抱き締めてそう言ってくれた。
「私には大した事は言えないけれど…今まで、本当に頑張ったね。苦しい時は吐き出してしまえばいいいの。私がいつでも聞くから…だって、私達は親友でしょう?」
「!エイリーク……っ」
ついさっきひとしきり流した涙が、また溢れ出してくる。エイリークの優しさに甘えて私も抱き締め返すと子供のように泣いた。
この想いをエフラムに伝える事は、きっとない。伝えてしまえば困らせてしまうから。
エフラムが幸せならそれでいい。それはナマエにも言える事。
でも…でもね、エフラムにとっての幸せが私であったなら……なんて、もう叶わない大それた願いを少しだけ持ってしまうの。
こんな最低な私を知ったら、きっと嫌われちゃうな……
だからどうか気付かないで。こんな私に、私の想いに。
あなたを好きだという私を知っているのは、私自身とエイリークだけで良い。
あなたは…愛する人とただ幸せになってくれれば良いの。
それでも今だけは…あなたを想って泣くのを許してくれると嬉しいな……
〜end〜
もしターナがエフラムに想いを寄せたままだったら…なお話でした。
Connect本編では管理人の都合上、勝手にターナのエフラムへの想いが無かった事にしていますが、原作通り好意を持ったままだったらどう描写したかな…という考えから思わず書いていました。
因みにイメージソングはaikoさんの相思相愛という曲です。勝手ながら歌詞の一部も少しだけ取り入れさせていただいてます…
ターナ自体は大好きなんですが、自身が夢女でエフラム最推しである以上エフラムとのカップリングはどうしても苦手でして…だから結果としてこんなお話になってしまいました。
もし不快な思いをされた方いらっしゃいましたら申し訳ございません…!
では、ここまでご覧いただきありがとうございました!