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※複数のカップリング要素、子ネタあり
ある晴れた日の昼下がり。
今日は時間が空いたヒーニアス、ターナ、ラーチェルが遊びに来てくれた。
「ねえねえ、早速なんだけど…」
「ふふ。はい、分かってます」
ターナとラーチェルが目を輝かせながら私を見てきて、少し笑ってしまう。
ヒーニアスもどこかそわそわしているのが分かる。
その理由は…
「こちらです」
「「か、かわいい~…!」」
二人は目にした途端、声を揃えてそう言った。
そこには小さなベッドに並んで眠る、ふたつの小さな命たち。
「手紙で報告は聞いていたけど、本当に双子だったなんて」
「確か姉と弟の姉弟…だったか」
その問いにうん、と頷く。
私はついこの間、妊娠していた子を無事に出産したのだ。
その子供はなんと双子でとても驚いた記憶がある。
一気に二人も生まれるなんて…大変だけど、その分幸せが大きいのも確か。
「俺とエイリークの逆だな」
「そうですね。兄上の子が双子なのは、やはり遺伝なのでしょうか」
「もしかしたらエイリークの子も双子になるかもしれませんわね」
この子達は一体どんな子に育つんだろう。
エフラムとエイリークみたいに、ずっと仲の良いきょうだいに育って欲しいな。
私達の子をお披露目したところで、それぞれソファに座りお茶を飲みながら話す事に。
「そういえば、二人はいつ式を挙げるんだ?」
エフラムはヒーニアスとラーチェルの顔を見てそう聞いた。
確かに…二人は恋人になってからもうだいぶ経つはず。
そろそろ結婚してもいい頃かもしれない。
「実はですね…」
「二ヶ月後に式を執り行う予定だ」
ヒーニアスの言葉にえっ、と驚きの声が出る。
「それは本当ですか?」
「ええ。指輪もこの通り贈ってくださいましてよ」
ラーチェルの見せる左手薬指には、確かにキラリと光る婚約指輪が。
それは誰もが憧れる、幸せの証。
「ついに決められたのですね。おめでとうございます」
「ああ。もちろん式には君達も招待しよう」
「必ず参列させてもらうさ」
ついにヒーニアスとラーチェルも結婚かぁ。
ずっと二人を見て来た分、何だか感慨深いものを感じる。
結婚といえばだけど…
実はエイリークもゼトと無事に結婚したのだ。
一時はゼトから中々プロポーズをされない事にエイリークは不安を覚えていたけれど、信じて待っていた結果、ゼトは彼女にプロポーズを申し込んだ。
それをエイリークは断るはずがなく、晴れて二人は夫婦になった。
そしてターナは側近である意中の竜騎士…クーガーともうまくいっているみたい。
ターナからの告白に立場上、なかなか首を縦に振らなかったけれど、二人も紆余曲折の末結ばれた。
みんな本当に幸せそうで…
それぞれの幸せの形をこうして見届ける事が出来て、心の底から嬉しいと感じている。
「ねえ、ナマエ。貴女さえよければなんだけど…元の世界の話を聞かせてくれないかな?」
突然そう言われて、みんなの目が一気に私へと向けられる。
ちょっと驚いたけど…落ち着いたままだ。
リオンが私の言えなかった秘密…異世界から来た事をみんなに話してしまった、あの時。
あれ以来、私は元いた世界について話す機会がなかった。
それぞれ復興作業で目紛しい毎日を送っていて、とてもじゃないけど話すタイミングはなかったんだ。
「あ、もちろん無理にとは…!」
「いえ、大丈夫です。何からお話ししましょうか?」
私がそう返せば、今度はみんなが少し驚いた顔をする。
だけど、すぐにターナが手を上げて口を開いた。
「じっじゃあ、どんな世界だったの?ざっとでいいから教えて欲しいな」
「そうですね…私の世界は、争いや魔物がいない平和な世界でした。回復の杖や魔法などの便利なものもなく、本当に平凡な世界です」
だからこの世界に来たばかりの頃は、本当に困惑した。
平和に慣れてしまっている私が、戦いの真っ只中にあるこの世界で生きていけるはずがないと、本気でそう思ったんだっけ…
「戦争のない平和な世界…とても素敵な世界だったのですね」
「俺たちの目指す理想の世界だ」
「他には何かありますの?確か出会った当初は、変わった服を着ていましたわよね」
ラーチェルの言葉にああ…と声が出る。
元の世界で着ていた服のままこちらに来たから、ターナやラーチェルにすごく不思議がられたっけ。
彼女達以外にも何度か聞かれたりもしたけれど…
今となってはそれがすごく懐かしい。
「文明で言いますと…電気であかりを灯して部屋を明るくする道具や、離れていても声を聞いて話せる道具、箱に入れるだけで洗濯が完了する道具など…便利なものがたくさんありました」
彼らにとって私の話す現代の話は当然珍しく聞こえるため、みんなずっと驚きっぱなしだった。
みんなに分かる様に言い換えて説明するのって、結構難しいな…
「今では想像もつかないお話ばかりですわね…」
「君の居た世界が発達しているのは分かったが、それでは何かとこちらでは不便ではないのか?」
ヒーニアスからの問い掛けに、私はうーんと少し唸る。
「確かにそうかもしれません…ですが、こうして順応出来ているので、問題ありませんね」
元の世界は便利なものが沢山あって、それが当たり前になっていた。
でも…この世界で生活してみて、それがどれだけ恵まれていたのかというのが分かったんだ。
ここで生きているエフラム達は、そんな便利なものが無くてもちゃんと生活している。
今でこそ私もこちらの暮らしに慣れているけれど、この時代に生きる彼らは本当にすごいと思う。
それから私達は時間が許すまで沢山話をした。
主に私の元の世界での話だったけれど…みんな、嫌な顔なんて一つもせずに聞いてくれたんだ。
ラーチェルからは本を出した方がいいなんて言われちゃったけど…
正直、本にしたところで信じてくれるような人はそうそういないだろう。
この話は今まで築き上げてきた絆がある仲間だからこそ、話せるもの。
本当に知っていて欲しい人だけが知ってくれれば、それだけで十分。
そして夕方になり、ターナ達が帰った後。
私とエフラムは、まだすやすやと眠る子供たちを見ながら話していた。
「今日は知らないお前の部分を知れて驚きの連続だったな」
「エフラムにも話す機会がありませんでしたからね…今まで話せずにいて、ごめんなさい」
私が謝ると、彼は首を横に振る。
「別に謝る事じゃない。…今日話した事が全て、という訳でもないんだろ?」
少しだけ、ドキッとした。
エフラムは穏やかな表情で私を見ていて。
圧とかそういったものは、全く感じない。
私がまだ話せていない事…
それは、エフラム達が私にとっては物語の登場人物だったという話。
唯一知っていたのはリオンだけだったけれど。
でも…この話だけは、言わないって決めてるんだ。
だって、本当にそうだったとしても今の私にとっては違う。
物語の登場人物だとか、そんなのは関係ないのだから。
「私はもう、話す事はありませんよ」
「ふ…そうか。なら、いいんだ」
私は隣に立つエフラムの肩にそっと頭を預けて寄り添った。
そんな私の肩を彼は優しく抱き寄せてくれて。
私達は夕日に照らされながら、眠る小さな命達をいつまでも眺めていたのだった。
~end~
ある晴れた日の昼下がり。
今日は時間が空いたヒーニアス、ターナ、ラーチェルが遊びに来てくれた。
「ねえねえ、早速なんだけど…」
「ふふ。はい、分かってます」
ターナとラーチェルが目を輝かせながら私を見てきて、少し笑ってしまう。
ヒーニアスもどこかそわそわしているのが分かる。
その理由は…
「こちらです」
「「か、かわいい~…!」」
二人は目にした途端、声を揃えてそう言った。
そこには小さなベッドに並んで眠る、ふたつの小さな命たち。
「手紙で報告は聞いていたけど、本当に双子だったなんて」
「確か姉と弟の姉弟…だったか」
その問いにうん、と頷く。
私はついこの間、妊娠していた子を無事に出産したのだ。
その子供はなんと双子でとても驚いた記憶がある。
一気に二人も生まれるなんて…大変だけど、その分幸せが大きいのも確か。
「俺とエイリークの逆だな」
「そうですね。兄上の子が双子なのは、やはり遺伝なのでしょうか」
「もしかしたらエイリークの子も双子になるかもしれませんわね」
この子達は一体どんな子に育つんだろう。
エフラムとエイリークみたいに、ずっと仲の良いきょうだいに育って欲しいな。
私達の子をお披露目したところで、それぞれソファに座りお茶を飲みながら話す事に。
「そういえば、二人はいつ式を挙げるんだ?」
エフラムはヒーニアスとラーチェルの顔を見てそう聞いた。
確かに…二人は恋人になってからもうだいぶ経つはず。
そろそろ結婚してもいい頃かもしれない。
「実はですね…」
「二ヶ月後に式を執り行う予定だ」
ヒーニアスの言葉にえっ、と驚きの声が出る。
「それは本当ですか?」
「ええ。指輪もこの通り贈ってくださいましてよ」
ラーチェルの見せる左手薬指には、確かにキラリと光る婚約指輪が。
それは誰もが憧れる、幸せの証。
「ついに決められたのですね。おめでとうございます」
「ああ。もちろん式には君達も招待しよう」
「必ず参列させてもらうさ」
ついにヒーニアスとラーチェルも結婚かぁ。
ずっと二人を見て来た分、何だか感慨深いものを感じる。
結婚といえばだけど…
実はエイリークもゼトと無事に結婚したのだ。
一時はゼトから中々プロポーズをされない事にエイリークは不安を覚えていたけれど、信じて待っていた結果、ゼトは彼女にプロポーズを申し込んだ。
それをエイリークは断るはずがなく、晴れて二人は夫婦になった。
そしてターナは側近である意中の竜騎士…クーガーともうまくいっているみたい。
ターナからの告白に立場上、なかなか首を縦に振らなかったけれど、二人も紆余曲折の末結ばれた。
みんな本当に幸せそうで…
それぞれの幸せの形をこうして見届ける事が出来て、心の底から嬉しいと感じている。
「ねえ、ナマエ。貴女さえよければなんだけど…元の世界の話を聞かせてくれないかな?」
突然そう言われて、みんなの目が一気に私へと向けられる。
ちょっと驚いたけど…落ち着いたままだ。
リオンが私の言えなかった秘密…異世界から来た事をみんなに話してしまった、あの時。
あれ以来、私は元いた世界について話す機会がなかった。
それぞれ復興作業で目紛しい毎日を送っていて、とてもじゃないけど話すタイミングはなかったんだ。
「あ、もちろん無理にとは…!」
「いえ、大丈夫です。何からお話ししましょうか?」
私がそう返せば、今度はみんなが少し驚いた顔をする。
だけど、すぐにターナが手を上げて口を開いた。
「じっじゃあ、どんな世界だったの?ざっとでいいから教えて欲しいな」
「そうですね…私の世界は、争いや魔物がいない平和な世界でした。回復の杖や魔法などの便利なものもなく、本当に平凡な世界です」
だからこの世界に来たばかりの頃は、本当に困惑した。
平和に慣れてしまっている私が、戦いの真っ只中にあるこの世界で生きていけるはずがないと、本気でそう思ったんだっけ…
「戦争のない平和な世界…とても素敵な世界だったのですね」
「俺たちの目指す理想の世界だ」
「他には何かありますの?確か出会った当初は、変わった服を着ていましたわよね」
ラーチェルの言葉にああ…と声が出る。
元の世界で着ていた服のままこちらに来たから、ターナやラーチェルにすごく不思議がられたっけ。
彼女達以外にも何度か聞かれたりもしたけれど…
今となってはそれがすごく懐かしい。
「文明で言いますと…電気であかりを灯して部屋を明るくする道具や、離れていても声を聞いて話せる道具、箱に入れるだけで洗濯が完了する道具など…便利なものがたくさんありました」
彼らにとって私の話す現代の話は当然珍しく聞こえるため、みんなずっと驚きっぱなしだった。
みんなに分かる様に言い換えて説明するのって、結構難しいな…
「今では想像もつかないお話ばかりですわね…」
「君の居た世界が発達しているのは分かったが、それでは何かとこちらでは不便ではないのか?」
ヒーニアスからの問い掛けに、私はうーんと少し唸る。
「確かにそうかもしれません…ですが、こうして順応出来ているので、問題ありませんね」
元の世界は便利なものが沢山あって、それが当たり前になっていた。
でも…この世界で生活してみて、それがどれだけ恵まれていたのかというのが分かったんだ。
ここで生きているエフラム達は、そんな便利なものが無くてもちゃんと生活している。
今でこそ私もこちらの暮らしに慣れているけれど、この時代に生きる彼らは本当にすごいと思う。
それから私達は時間が許すまで沢山話をした。
主に私の元の世界での話だったけれど…みんな、嫌な顔なんて一つもせずに聞いてくれたんだ。
ラーチェルからは本を出した方がいいなんて言われちゃったけど…
正直、本にしたところで信じてくれるような人はそうそういないだろう。
この話は今まで築き上げてきた絆がある仲間だからこそ、話せるもの。
本当に知っていて欲しい人だけが知ってくれれば、それだけで十分。
そして夕方になり、ターナ達が帰った後。
私とエフラムは、まだすやすやと眠る子供たちを見ながら話していた。
「今日は知らないお前の部分を知れて驚きの連続だったな」
「エフラムにも話す機会がありませんでしたからね…今まで話せずにいて、ごめんなさい」
私が謝ると、彼は首を横に振る。
「別に謝る事じゃない。…今日話した事が全て、という訳でもないんだろ?」
少しだけ、ドキッとした。
エフラムは穏やかな表情で私を見ていて。
圧とかそういったものは、全く感じない。
私がまだ話せていない事…
それは、エフラム達が私にとっては物語の登場人物だったという話。
唯一知っていたのはリオンだけだったけれど。
でも…この話だけは、言わないって決めてるんだ。
だって、本当にそうだったとしても今の私にとっては違う。
物語の登場人物だとか、そんなのは関係ないのだから。
「私はもう、話す事はありませんよ」
「ふ…そうか。なら、いいんだ」
私は隣に立つエフラムの肩にそっと頭を預けて寄り添った。
そんな私の肩を彼は優しく抱き寄せてくれて。
私達は夕日に照らされながら、眠る小さな命達をいつまでも眺めていたのだった。
~end~