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※エフラム視点
「兄上!ほら、行きますよ!」
俺の腕を引いて小走りで駆け出すのはエイリーク。
……エイリーク…?
俺は目の前の彼女の姿に違和感を強く覚えた。
長い水色の髪と俺よりも低い背はいつもと変わらない。
…が。その小さな背はより小さく、服も普段着ているものじゃなく赤いドレスを着ているのだ。
何か…俺も背が縮んだような気がするぞ……
そんな数々の違和感を感じつつ、エイリークに手を引かれながら移動した先で、俺はまたもや目を疑った。
「あ、遅いわよ!エフラム」
「私を待たせるとは大した度胸だ」
着いた中庭にはヒーニアスとターナの姿が。
……幼い頃の。
「ほら、ナマエ!エフラムが来たわよ!」
その名前と共にターナが手を引いてきた少女に、一番の衝撃が走った。
「ナマエ…?」
「お邪魔してます、エフラム」
ナマエと呼ばれたその少女は、礼儀正しく一礼した。
ここにいる皆と同じく幼い姿で、髪も目も声も…俺の知っているナマエと同じだ。
服もエイリークと同じような水色のドレスを身に纏っている。
「どうしてナマエが、ここに…?」
「どうしてって、いつも一緒に遊んでるじゃない。私達、幼なじみなんだから」
幼なじみ……?
ナマエが、俺達と…?
信じられないような言葉を聞いて、俺はさらに動揺した。
いつの間に俺達はナマエと幼なじみになったんだ。
彼女は違う世界から来た者で、出会ったのは俺達が成長した後のはず。
というより…何故全員幼い頃に戻っているのか。
今はもう戦争が終わり、ナマエはこの世界に残る事を選んでくれた。
だから俺はナマエと…
「エフラム…?」
「…え?」
気付けば、ナマエの大きな瞳が心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。
「なんか、難しい顔してたよ。ふふ…もしかして、まだ鍛錬の事考えてた?」
「っ…」
クスクスと笑う彼女に、俺の心臓はドキリと跳ねた。
初めて見るナマエの幼い頃の姿。
今とほとんど変わらない。
愛おしいナマエのままだ。
「兄上、顔がお赤いです」
「ほんとにナマエの事が大好きね~」
エイリークとターナがどこかニヤニヤした様子で茶化してくる。
「ああ…その通りだ。俺は将来ナマエと結婚するからな」
「えっ…」
俺の発言にきゃーっと声を上げる二人を他所に、今度はナマエの顔がみるみるうちに赤くなっていく。
そんな彼女が可愛くて、愛おしくてたまらない。
だから、俺は彼女の腰に手を回して抱き寄せた。
「エ、エフラム…!?」
「ナマエ、お前は本当に俺と結婚するんだ。だから…」
「そこまでだ」
俺とナマエを引き離したのは、どこか不機嫌そうなヒーニアス。
ああ…あいつも彼女に対する気持ちは変わらないって事か。
「なんだヒーニアス。邪魔するなよ」
「ナマエがお前のものになるなど、断固許さん。彼女は私の妻になるのだ」
「残念だが、それはない。ナマエは俺を選んでくれるからな」
そう言ってナマエに目を向ければ、彼女は変わらず顔を赤くしたままだ。
俺の顔を見てはいるが…どこかぼーっとしている。
「そこまで言うのであれば、弓で勝負といこう。勝った方が彼女を妻に出来る権利が与えられるとする」
「ああ、受けて立つ」
「それはちょっと…いくらなんでもナマエの気持ちを無視し過ぎなのでは…」
エイリークが戸惑った様子でそう言ったが、ここまでくればもう後に引き下がる事は出来なかった。
ナマエを賭けた勝負なら、負ける訳にはいかない。
いや…負けるはずがないんだ。
「…エフラム」
その時、今まで黙って俺達の様子を見ていたナマエが、俺の服の裾をくいっと掴んで呼び掛けた。
「私も…私もね、エフラムのお嫁さんになれる気がするの。だって…私が好きなのは、あなただけだから」
赤いままの顔に眩しい程の花が咲く。
今目の前にいる彼女は幼いはずなのに、俺の知っている彼女と同じ笑顔が重なった。
「ナマエ…」
手を伸ばそうとしたが、その直前に視界が霞む。
眩しい笑顔が遠のいていく。
だが、不思議と寂しいだとか悲しいといった感情はなかった。
そして視界が真っ白に覆われた時……
「あ…ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」
ゆっくりと目を開けば、聞き慣れた声と共に少し申し訳なさそうな顔をした愛おしい人の姿が。
「部屋に来てみたら、眠っていらしたので…きっとお疲れなんです。もう少し休まれた方が…」
「… ナマエ」
俺は言葉を遮るように彼女を抱き寄せて、腕の中に閉じ込める。
確かに感じる温かくて、柔らかな感覚。
俺を心の底から安心させてくれる、ナマエという存在。
「エフラム…?」
「夢を、見たんだ」
「夢…ですか?」
「ああ。俺達は幼い頃に戻っていて、お前も幼なじみとして一緒に過ごしていてな…」
見た夢の内容を話していけば、ナマエはうんうん、と楽しそうに頷いてくれる。
そしてどこか納得したような顔をしていた。
「そんな不思議な夢もあるのですね。でも…もし本当に私達が幼なじみで、そんな事があったなら…私もその夢の中の私と同じ事を言うと思います」
そう言って笑うナマエに心臓が小さく音を立てた。
夢で見た時と同じく、咲いたその花が幼い頃の彼女とリンクしたからだ。
寝ても覚めても…最愛の人が傍に居てくれるというのは、本当に幸せなものだな。
俺はじんわりと広がっていく温かさを感じながら、抱き締めたままのナマエにキスをしたのだった。
~end~
「兄上!ほら、行きますよ!」
俺の腕を引いて小走りで駆け出すのはエイリーク。
……エイリーク…?
俺は目の前の彼女の姿に違和感を強く覚えた。
長い水色の髪と俺よりも低い背はいつもと変わらない。
…が。その小さな背はより小さく、服も普段着ているものじゃなく赤いドレスを着ているのだ。
何か…俺も背が縮んだような気がするぞ……
そんな数々の違和感を感じつつ、エイリークに手を引かれながら移動した先で、俺はまたもや目を疑った。
「あ、遅いわよ!エフラム」
「私を待たせるとは大した度胸だ」
着いた中庭にはヒーニアスとターナの姿が。
……幼い頃の。
「ほら、ナマエ!エフラムが来たわよ!」
その名前と共にターナが手を引いてきた少女に、一番の衝撃が走った。
「ナマエ…?」
「お邪魔してます、エフラム」
ナマエと呼ばれたその少女は、礼儀正しく一礼した。
ここにいる皆と同じく幼い姿で、髪も目も声も…俺の知っているナマエと同じだ。
服もエイリークと同じような水色のドレスを身に纏っている。
「どうしてナマエが、ここに…?」
「どうしてって、いつも一緒に遊んでるじゃない。私達、幼なじみなんだから」
幼なじみ……?
ナマエが、俺達と…?
信じられないような言葉を聞いて、俺はさらに動揺した。
いつの間に俺達はナマエと幼なじみになったんだ。
彼女は違う世界から来た者で、出会ったのは俺達が成長した後のはず。
というより…何故全員幼い頃に戻っているのか。
今はもう戦争が終わり、ナマエはこの世界に残る事を選んでくれた。
だから俺はナマエと…
「エフラム…?」
「…え?」
気付けば、ナマエの大きな瞳が心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。
「なんか、難しい顔してたよ。ふふ…もしかして、まだ鍛錬の事考えてた?」
「っ…」
クスクスと笑う彼女に、俺の心臓はドキリと跳ねた。
初めて見るナマエの幼い頃の姿。
今とほとんど変わらない。
愛おしいナマエのままだ。
「兄上、顔がお赤いです」
「ほんとにナマエの事が大好きね~」
エイリークとターナがどこかニヤニヤした様子で茶化してくる。
「ああ…その通りだ。俺は将来ナマエと結婚するからな」
「えっ…」
俺の発言にきゃーっと声を上げる二人を他所に、今度はナマエの顔がみるみるうちに赤くなっていく。
そんな彼女が可愛くて、愛おしくてたまらない。
だから、俺は彼女の腰に手を回して抱き寄せた。
「エ、エフラム…!?」
「ナマエ、お前は本当に俺と結婚するんだ。だから…」
「そこまでだ」
俺とナマエを引き離したのは、どこか不機嫌そうなヒーニアス。
ああ…あいつも彼女に対する気持ちは変わらないって事か。
「なんだヒーニアス。邪魔するなよ」
「ナマエがお前のものになるなど、断固許さん。彼女は私の妻になるのだ」
「残念だが、それはない。ナマエは俺を選んでくれるからな」
そう言ってナマエに目を向ければ、彼女は変わらず顔を赤くしたままだ。
俺の顔を見てはいるが…どこかぼーっとしている。
「そこまで言うのであれば、弓で勝負といこう。勝った方が彼女を妻に出来る権利が与えられるとする」
「ああ、受けて立つ」
「それはちょっと…いくらなんでもナマエの気持ちを無視し過ぎなのでは…」
エイリークが戸惑った様子でそう言ったが、ここまでくればもう後に引き下がる事は出来なかった。
ナマエを賭けた勝負なら、負ける訳にはいかない。
いや…負けるはずがないんだ。
「…エフラム」
その時、今まで黙って俺達の様子を見ていたナマエが、俺の服の裾をくいっと掴んで呼び掛けた。
「私も…私もね、エフラムのお嫁さんになれる気がするの。だって…私が好きなのは、あなただけだから」
赤いままの顔に眩しい程の花が咲く。
今目の前にいる彼女は幼いはずなのに、俺の知っている彼女と同じ笑顔が重なった。
「ナマエ…」
手を伸ばそうとしたが、その直前に視界が霞む。
眩しい笑顔が遠のいていく。
だが、不思議と寂しいだとか悲しいといった感情はなかった。
そして視界が真っ白に覆われた時……
「あ…ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」
ゆっくりと目を開けば、聞き慣れた声と共に少し申し訳なさそうな顔をした愛おしい人の姿が。
「部屋に来てみたら、眠っていらしたので…きっとお疲れなんです。もう少し休まれた方が…」
「… ナマエ」
俺は言葉を遮るように彼女を抱き寄せて、腕の中に閉じ込める。
確かに感じる温かくて、柔らかな感覚。
俺を心の底から安心させてくれる、ナマエという存在。
「エフラム…?」
「夢を、見たんだ」
「夢…ですか?」
「ああ。俺達は幼い頃に戻っていて、お前も幼なじみとして一緒に過ごしていてな…」
見た夢の内容を話していけば、ナマエはうんうん、と楽しそうに頷いてくれる。
そしてどこか納得したような顔をしていた。
「そんな不思議な夢もあるのですね。でも…もし本当に私達が幼なじみで、そんな事があったなら…私もその夢の中の私と同じ事を言うと思います」
そう言って笑うナマエに心臓が小さく音を立てた。
夢で見た時と同じく、咲いたその花が幼い頃の彼女とリンクしたからだ。
寝ても覚めても…最愛の人が傍に居てくれるというのは、本当に幸せなものだな。
俺はじんわりと広がっていく温かさを感じながら、抱き締めたままのナマエにキスをしたのだった。
~end~