マイヒーロー
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夜…
私は紅葉の木の下で一人踊っていた。
真っ赤な衣装に黒いシューズ、そして両手にはカスタネット…
そう、私は誰も来ないこの場所でこっそりとフラメンコを踊っていたのだ。
何故フラメンコなのかというと、それは遡る事半年前…
私がこの世界に来たばかりの頃、城下町でたまたまフラメンコをやっていたのを見かけた時。
女性が力強くステップを踏み、華麗に踊ってみせるその姿に私は釘付けになっていた。
それからは知らない世界に来た事への不安を紛らわせるのも兼ねて、独学でフラメンコを覚えていったのだ。
衣装一式は城下町で見かけたその女性にいただき、この場所も人気が無くお城からはそう遠くない場所にある。
フラメンコを踊るにはうってつけの場所だった。
「ふぅ…少し休憩しようかな」
少し疲れて木のふもとで休む事にした。
…まさか自分の趣味がフラメンコになるなんて…
あの日、城下町で踊っていた女性が忘れられない。
いつか私もあんな風に踊れたらな…とさえ思ってしまっている。
それで、一番に踊りを見せたいと思う相手は……
「おうおう、姉ちゃん一人かぁ?」
「こんな夜中に一人でなにしてるんだ?」
突然声が聞こえた事に驚きそちらに振り返ると、ガラの悪い男二人がこちらに向かって歩いて来ていた。
「なっ何でここに他の人が…」
「俺達迷っちまってよぉ。適当にうろうろしてたらここに出て来たって訳だ」
「こんなにも綺麗な姉ちゃんに会えたんだから迷って正解だったなぁ?」
二人に迫られ私は木を背にただ怯える事しか出来ない。
どっどうしよう…
一人でこっそり来てるんだから、他の英雄を連れて来ている訳でもない。
戦う術を一切持たない私にとってこれは完全にマズイ状況となっていた。
「折角なんだから俺達と楽しい事しようぜぇ?」
「ちょうど他には誰も居ないみたいだしな」
木に押さえつけられ二人は不敵な笑みを浮かべながら手を伸ばしてくる。
「やっやめ……!」
恐怖から思わず目を瞑ってしまう。
お願い…誰かっ……!
「彼女に手を出すなんて…良い度胸をしているね」
その聞き慣れた低い声に反射的に目を開ける。
男達の向こうにはルフレと同じ姿をした青年…ギムレーが立っていた。
「その汚い手を離せ。さもないと…」
彼は邪竜を呼び出し男達を脅してみせた。
「なっ何だコイツ…何者だ!?」
「そんな事はどうでもいい!にっ逃げるぞ!!」
男達はすっかり怯えきった表情で尻尾を巻いて逃げて行ったのだ。
「ギっギムレー…貴方までどうしてここに……」
「恩人に掛ける最初の言葉がそれかい?」
「あ…そっそうだよね…ありがとう、本当に……」
お礼を口にすると、ギムレーは満足したのかフッと笑みを浮かべた。
「助けてもらっておいてなんだけど…どうして助けてくれたの?ギムレーって私の事嫌い…なんだよね?」
自分で言っていて胸が苦しくなる。
それは…私が彼に対して特別な感情を抱いてしまっているからに過ぎないから。
「ああ、嫌いだよ。…だけど、それは過去の話さ」
「え…?」
距離を保ったまま話すギムレーを思わず凝視する。
「以前、ここを偶然通りかかった事があってね。その時、君が踊っているのを見たんだ。情熱的で…でもどこか物悲しげな雰囲気なダンスについ見惚れてしまった。僕が人間に興味が湧くなんて信じられなかったよ」
その言葉に心臓が大きく高鳴るのを感じる。
これって…まさか……
…ううん、そんな事ギムレーに限って有り得ない…!
「それからは君が城を抜け出してここに来る度に、僕も後をつけてたんだ。あの踊りをもう一度見たい…そう思うようになっていた。何故そんな事を思うのかは分からなかったよ。でも…」
そこまで言うと、ギムレーはゆっくりとこちらへ歩いて来た。
そして私の目の前まで来るとじっと目を見つめてきたのだ。
「さっきあの虫ケラ共に絡まれてる君を見て気付いたんだよ。僕は…人間である君を好きになってしまったんだと」
「!?」
衝撃的だった。
だって、あのギムレーだよ…?
誰よりも人間を嫌い、世界の滅亡を望まんとする邪竜が私の事を好きになるはずなんてない。
…そんなはず、ないのに……
「冗談だよね…?どうせからかってるんでしょう?」
「そう簡単には信じてはもらえない…か。それはそうだよね。僕が普段から君の事をどれだけ邪険に扱ってきた事か…それを思い返せばそう思われても仕方ない」
彼はフッと笑うと私の手を取った。
そして手の甲にそっと唇を寄せてきて…
「ねえ、僕のために踊ってくれないかな?君の踊りを…独り占めしたいんだ」
「!」
心臓がドクンと高鳴り、私の顔に熱が集まるのを感じた。
ギムレーが嘘をついているかなんて、彼の赤い瞳を見れば分かる。
その瞳は一切の揺るぎが無く私の瞳を見つめていて……
「…うん、分かった」
私は頷くと、ギムレーのために今まで練習してきた踊りを披露してみせた。
恥ずかしいとかそういう気持ちはなくて、ただ彼に…この踊りを一番に見せたかったギムレーただ一人の為に踊れている事が何よりも嬉しかったんだ。
そして私が踊り終えると、ギムレーは拍手をしながら私に近付いてきた。
「素晴らしかったよ。やっぱり君が踊る姿は本当に…心から美しいと思える。僕のために踊ってくれてありがとう」
「ギムレー…」
私はそんなギムレーの手をそっと手に取ると、彼の瞳を真っ直ぐに見つめて口を開いた。
伝えなきゃ…
私の…私の想っている、この熱い彼への想いを……
「あのね…私も、ギムレーの事が好きなの。フラメンコを始めてから、いつか貴方に踊りを見せられたらいいなってずっと思ってた…だから貴方が見たいって言ってくれて本当に嬉しかった」
「!ナマエ…」
その時、一瞬私と彼の距離がゼロになった。
あ…ギムレーにキス、されたんだ…
ゆっくりと唇を離す彼と目が合うと彼は小さく笑った。
「これから踊りに行く時は僕を呼ぶ事。またいつ虫ケラ共が来るか分からないからね。…君の踊りは僕だけのものだから」
「ふふ…よろしくお願いします」
~end~
リクエストのギムレー夢でした!
ご希望通りの内容になっておりますでしょうか…?
もし違いましたら遠慮なくお申し付けくださいませ(>_<)
あと、ギムレーのキャラがなんか違う感じになってしまいましたね…本当に申し訳ありません汗
では、この度は本当にありがとうございました!!
私は紅葉の木の下で一人踊っていた。
真っ赤な衣装に黒いシューズ、そして両手にはカスタネット…
そう、私は誰も来ないこの場所でこっそりとフラメンコを踊っていたのだ。
何故フラメンコなのかというと、それは遡る事半年前…
私がこの世界に来たばかりの頃、城下町でたまたまフラメンコをやっていたのを見かけた時。
女性が力強くステップを踏み、華麗に踊ってみせるその姿に私は釘付けになっていた。
それからは知らない世界に来た事への不安を紛らわせるのも兼ねて、独学でフラメンコを覚えていったのだ。
衣装一式は城下町で見かけたその女性にいただき、この場所も人気が無くお城からはそう遠くない場所にある。
フラメンコを踊るにはうってつけの場所だった。
「ふぅ…少し休憩しようかな」
少し疲れて木のふもとで休む事にした。
…まさか自分の趣味がフラメンコになるなんて…
あの日、城下町で踊っていた女性が忘れられない。
いつか私もあんな風に踊れたらな…とさえ思ってしまっている。
それで、一番に踊りを見せたいと思う相手は……
「おうおう、姉ちゃん一人かぁ?」
「こんな夜中に一人でなにしてるんだ?」
突然声が聞こえた事に驚きそちらに振り返ると、ガラの悪い男二人がこちらに向かって歩いて来ていた。
「なっ何でここに他の人が…」
「俺達迷っちまってよぉ。適当にうろうろしてたらここに出て来たって訳だ」
「こんなにも綺麗な姉ちゃんに会えたんだから迷って正解だったなぁ?」
二人に迫られ私は木を背にただ怯える事しか出来ない。
どっどうしよう…
一人でこっそり来てるんだから、他の英雄を連れて来ている訳でもない。
戦う術を一切持たない私にとってこれは完全にマズイ状況となっていた。
「折角なんだから俺達と楽しい事しようぜぇ?」
「ちょうど他には誰も居ないみたいだしな」
木に押さえつけられ二人は不敵な笑みを浮かべながら手を伸ばしてくる。
「やっやめ……!」
恐怖から思わず目を瞑ってしまう。
お願い…誰かっ……!
「彼女に手を出すなんて…良い度胸をしているね」
その聞き慣れた低い声に反射的に目を開ける。
男達の向こうにはルフレと同じ姿をした青年…ギムレーが立っていた。
「その汚い手を離せ。さもないと…」
彼は邪竜を呼び出し男達を脅してみせた。
「なっ何だコイツ…何者だ!?」
「そんな事はどうでもいい!にっ逃げるぞ!!」
男達はすっかり怯えきった表情で尻尾を巻いて逃げて行ったのだ。
「ギっギムレー…貴方までどうしてここに……」
「恩人に掛ける最初の言葉がそれかい?」
「あ…そっそうだよね…ありがとう、本当に……」
お礼を口にすると、ギムレーは満足したのかフッと笑みを浮かべた。
「助けてもらっておいてなんだけど…どうして助けてくれたの?ギムレーって私の事嫌い…なんだよね?」
自分で言っていて胸が苦しくなる。
それは…私が彼に対して特別な感情を抱いてしまっているからに過ぎないから。
「ああ、嫌いだよ。…だけど、それは過去の話さ」
「え…?」
距離を保ったまま話すギムレーを思わず凝視する。
「以前、ここを偶然通りかかった事があってね。その時、君が踊っているのを見たんだ。情熱的で…でもどこか物悲しげな雰囲気なダンスについ見惚れてしまった。僕が人間に興味が湧くなんて信じられなかったよ」
その言葉に心臓が大きく高鳴るのを感じる。
これって…まさか……
…ううん、そんな事ギムレーに限って有り得ない…!
「それからは君が城を抜け出してここに来る度に、僕も後をつけてたんだ。あの踊りをもう一度見たい…そう思うようになっていた。何故そんな事を思うのかは分からなかったよ。でも…」
そこまで言うと、ギムレーはゆっくりとこちらへ歩いて来た。
そして私の目の前まで来るとじっと目を見つめてきたのだ。
「さっきあの虫ケラ共に絡まれてる君を見て気付いたんだよ。僕は…人間である君を好きになってしまったんだと」
「!?」
衝撃的だった。
だって、あのギムレーだよ…?
誰よりも人間を嫌い、世界の滅亡を望まんとする邪竜が私の事を好きになるはずなんてない。
…そんなはず、ないのに……
「冗談だよね…?どうせからかってるんでしょう?」
「そう簡単には信じてはもらえない…か。それはそうだよね。僕が普段から君の事をどれだけ邪険に扱ってきた事か…それを思い返せばそう思われても仕方ない」
彼はフッと笑うと私の手を取った。
そして手の甲にそっと唇を寄せてきて…
「ねえ、僕のために踊ってくれないかな?君の踊りを…独り占めしたいんだ」
「!」
心臓がドクンと高鳴り、私の顔に熱が集まるのを感じた。
ギムレーが嘘をついているかなんて、彼の赤い瞳を見れば分かる。
その瞳は一切の揺るぎが無く私の瞳を見つめていて……
「…うん、分かった」
私は頷くと、ギムレーのために今まで練習してきた踊りを披露してみせた。
恥ずかしいとかそういう気持ちはなくて、ただ彼に…この踊りを一番に見せたかったギムレーただ一人の為に踊れている事が何よりも嬉しかったんだ。
そして私が踊り終えると、ギムレーは拍手をしながら私に近付いてきた。
「素晴らしかったよ。やっぱり君が踊る姿は本当に…心から美しいと思える。僕のために踊ってくれてありがとう」
「ギムレー…」
私はそんなギムレーの手をそっと手に取ると、彼の瞳を真っ直ぐに見つめて口を開いた。
伝えなきゃ…
私の…私の想っている、この熱い彼への想いを……
「あのね…私も、ギムレーの事が好きなの。フラメンコを始めてから、いつか貴方に踊りを見せられたらいいなってずっと思ってた…だから貴方が見たいって言ってくれて本当に嬉しかった」
「!ナマエ…」
その時、一瞬私と彼の距離がゼロになった。
あ…ギムレーにキス、されたんだ…
ゆっくりと唇を離す彼と目が合うと彼は小さく笑った。
「これから踊りに行く時は僕を呼ぶ事。またいつ虫ケラ共が来るか分からないからね。…君の踊りは僕だけのものだから」
「ふふ…よろしくお願いします」
~end~
リクエストのギムレー夢でした!
ご希望通りの内容になっておりますでしょうか…?
もし違いましたら遠慮なくお申し付けくださいませ(>_<)
あと、ギムレーのキャラがなんか違う感じになってしまいましたね…本当に申し訳ありません汗
では、この度は本当にありがとうございました!!
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