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「……ん?」
召喚の際に放たれる光が引き始めると同時にナマエが感じたのは、腕の中にストンと何かが収まったかのような少しの重み。
そして光が完全に引いた時、彼女は自分の腕の中にいるあるものに呆然とした。
「小さな…子供……?」
その腕の中にいたのは言葉通り小さな子供だった。
まだ幼く五歳程の女の子で、見た目はナマエをそのまま幼くしたような子だ。
「…?」
ナマエの胸に顔を埋めていたその子は、顔を上げるとナマエの顔をじっと見つめてきた。
「!ママぁ!!」
ぱあっと花のような笑顔になると、その子はナマエに抱き付いてきたのだ。
「なっ…え、ママ!?私が……?というか、何でこんな幼い子が召喚されるの…?」
ナマエが混乱するのも無理はない。
彼女は夫どころか、まだ誰とも恋仲と呼べる存在はいなかったからだ。
「えっと…私は貴女のママじゃないよ?本当のママはどこにいるか分かる?」
そう聞いてみたところ、女の子はポカンとした様子でナマエを見上げた。
「なにいってるの?ママはママだよ?」
「ええ…?」
この女の子は勘違いからナマエをママと呼ぶのか、それとも……
その瞬間、彼女の頭にはある人物が思い浮かんだ。
「…って、何勝手な妄想してるんだ私…そんな訳ないのに……」
ナマエはぶんぶんと顔を横に振ると、取り敢えず女の子をエントランスまで連れて行くことにした。
「あ、ナマエ。どう?新しい英雄とは出会…」
その時、エントランスにいた英雄達全員がナマエを見た瞬間に固まった。
「ナマエ…その子は……?」
「いっいつの間にあんな年の子供が…!」
「誰だナマエと子供を作った奴は……!!」
「ちょ、みんな落ち着いて…!」
ナマエがどこか興奮気味な一部の英雄達をなだめると、アンナが彼女に駆け寄って腕に抱かれている女の子を凝視した。
「ええと…これは一体どういう事?」
「私にも分からないんです…いつものように召喚しただけなんですけど、そしたらこの女の子が現れて……」
「こんな幼い子が英雄…なんて有り得ないわよね。それにしてもこの子、ナマエにそっくりじゃない?」
顔を覗き込まれた事により少し怯えているのか、女の子はナマエの服の裾をきゅっと握り締めた。
「ママ…この人たち、だぁれ……?」
その瞬間、またもやその場の空気が凍り付いた。
「マ…マ……?」
「これは聞き捨てならないな…」
「…もう我慢ならん。抜け駆けした輩は今すぐ名乗り出ろ!!」
「兄上達、武器をしまってください!」
今度はエイリークが何とかその場を落ち着かせると、ナマエは困ったように口を開く。
「私が子供以前に恋人すら居ないのはみんな知ってるよね…だからこの子が私の娘って事はない__」
「いや、多分この子はナマエの子だと思うわ」
アンナの言葉にその場いた全員が一斉に彼女に振り返った。
「え…?」
「ほら、ルキナやマークみたいに未来から来た子供達が居るでしょう?この女の子もきっと未来から来たナマエの娘なのよ」
「なっなるほど…」
「ナマエの未来の子供…」
「なら、父親は俺だな」
「何を言う。父親は私だ」
「いいや、僕だね」
すると英雄達が何やら口々に主張を始めたのだ。
「この子はきっと兄上との子ですね」
「お兄様の可能性も十分あるわ!」
「いいえ、お父様との子だという事も考えられます」
「ナマエさんとお兄ちゃんとの子供だったらいいなぁ…」
どうやらナマエと家族になりたいと思っているのは男性陣だけでなく、彼らの妹や娘である女性陣もそうらしい。
「ふぁ……ねむたい…」
「あ…寝ちゃった……」
英雄達が騒がしい中、女の子はナマエの腕の中で目を閉じて眠ってしまった。
「…あ、大変!先に出た部隊がそろそろ帰ってくるわ!次の出撃予定の英雄達は準備してね!!」
アンナの呼び掛けにその場にいた英雄達は渋々といった感じで準備に取り掛かっていく。
「アンナさん、この子どうしましょう…寝ちゃったんですけど…」
「放っておく訳にはいかないし…うちで預かる事にしましょう。でも、私と貴女も今から出撃しなきゃいけないし……あ」
彼女は何か思いついたような顔になった後、ニヤリと笑みを浮かべた。
「ねえ、その子ちょっと預かっていい?」
「え?いいですけど…どうするんですか?」
「この後、この子の面倒を見てくれるのに最適な人が帰ってくるからその人に預けてくるのよ。ナマエにとっても良いと思うわよ~」
「??」
「ほら、後の事は任せて!貴女は先に準備をしてきなさい!」
「えぇ~?」
その人物が誰なのかと考えているナマエの背中を押して、彼女がこの場から居なくなったのを確認するとアンナは女の子を抱いたままある人物の元へと向かった。
「あ、いたいた!サイアス!」
アンナの探していた人物…それはたった今戦場から帰ってきたサイアスだった。
「アンナさん。どうかされたのですか?」
「まずはお疲れ様。あのね、帰ってきたばかりで悪いんだけど…貴方にこの子のお守りをして欲しいの」
アンナの腕の中で眠る女の子に目を向けるとサイアスは首を傾げた。
「この子は?」
「実はね…」
先程起きた事情を話すと、サイアスの顔色が変わったのをアンナは見逃さなかった。
「ナマエさんの…お子さん?」
「多分その可能性が高いわ。父親は…まだ分からないけど」
「そうですか…けれど、何故私にこの子のお守りを?もっと他に適任者がいると思うのですが…」
「何言ってるの!貴方って孤児院開いてもおかしくないくらい子供の扱い上手そうじゃない。それに、この子の父親はきっと…」
そこまで言い掛けるとアンナはぐっと言葉を飲み込み、改めてサイアスに向き直ると彼に女の子を預けた。
「とにかく、まずはお風呂にでも入れてあげてちょうだい!私はこれから出撃しなきゃいけないから…それじゃあ、お願いねー!」
「あ…行ってしまいました……」
サイアスはアンナから託された女の子を改めて見た。
そして眠っている彼女の顔を見てサイアスは少しドキリとした。
ナマエの娘だと聞かされただけに、彼女は本当にナマエそっくりだったからだ。
やはりこの子は本当に未来から来たナマエの子だと思わざるを得ない、と…
それと同時に胸がざわつくのは…ナマエを想う気持ちがあるからこそだというのはサイアスが一番分かっている。
「…取り敢えず、アンナさんの言う通りお風呂に入れましょうか」
サイアスは女の子を連れて城の風呂場へと向かったのだった。
「起こすのは少し可哀想ですが…」
風呂場に着くと、女の子の服を脱がせる為に彼女を起こそうとした。
「ん……」
ちょうど目が覚めたのか、女の子は目を擦りながら寝ぼけた様子でサイアスの顔を見つめた。
「あ、パパだ!!」
「え…!?」
彼女はナマエの時と同じように、サイアスを見ると彼に嬉しそうに抱き付いたのだ。
突然の事にサイアスは少し困惑気味だった。
「ええと…私はおそらく貴女のパパではありません。ここに来ているのなら早く見つけられると良いのですが…」
「?パパもママもおかしなことばかりいってる…」
不思議そうな女の子を他所に、とにかく彼女を風呂に入れようと服を脱がせていく。
すると、次に目に映ったあるものにサイアスは目を見開いた。
「これは……!」
サイアスが目にしたもの…女の子の右腰部にある痕…それは紛れもなくファラの聖痕だった。
「パパ?」
「!ああ…すみません。さあ、お風呂に入りましょうか」
「うんっ!」
サイアスは今度は違う意味でドキリとしていた。
「…今回ばかりは、自惚れてもいいのでしょうか……」
少し嬉しさを帯びた彼の言葉は、誰に聞かれることもなく消えていったのだった。
~end~
リクエストで、夢主の子供を召喚して誰との子かという騒動の後に落ちがサイアスというお話でした!
こんな感じでよろしかったでしょうか…?
というか、サイアスと夢主の絡み一切なくて申し訳ありません!
一応、二人は両想いという設定なのですが…分かりづらくてすみません汗
では、この度は本当にありがとうございました!!
召喚の際に放たれる光が引き始めると同時にナマエが感じたのは、腕の中にストンと何かが収まったかのような少しの重み。
そして光が完全に引いた時、彼女は自分の腕の中にいるあるものに呆然とした。
「小さな…子供……?」
その腕の中にいたのは言葉通り小さな子供だった。
まだ幼く五歳程の女の子で、見た目はナマエをそのまま幼くしたような子だ。
「…?」
ナマエの胸に顔を埋めていたその子は、顔を上げるとナマエの顔をじっと見つめてきた。
「!ママぁ!!」
ぱあっと花のような笑顔になると、その子はナマエに抱き付いてきたのだ。
「なっ…え、ママ!?私が……?というか、何でこんな幼い子が召喚されるの…?」
ナマエが混乱するのも無理はない。
彼女は夫どころか、まだ誰とも恋仲と呼べる存在はいなかったからだ。
「えっと…私は貴女のママじゃないよ?本当のママはどこにいるか分かる?」
そう聞いてみたところ、女の子はポカンとした様子でナマエを見上げた。
「なにいってるの?ママはママだよ?」
「ええ…?」
この女の子は勘違いからナマエをママと呼ぶのか、それとも……
その瞬間、彼女の頭にはある人物が思い浮かんだ。
「…って、何勝手な妄想してるんだ私…そんな訳ないのに……」
ナマエはぶんぶんと顔を横に振ると、取り敢えず女の子をエントランスまで連れて行くことにした。
「あ、ナマエ。どう?新しい英雄とは出会…」
その時、エントランスにいた英雄達全員がナマエを見た瞬間に固まった。
「ナマエ…その子は……?」
「いっいつの間にあんな年の子供が…!」
「誰だナマエと子供を作った奴は……!!」
「ちょ、みんな落ち着いて…!」
ナマエがどこか興奮気味な一部の英雄達をなだめると、アンナが彼女に駆け寄って腕に抱かれている女の子を凝視した。
「ええと…これは一体どういう事?」
「私にも分からないんです…いつものように召喚しただけなんですけど、そしたらこの女の子が現れて……」
「こんな幼い子が英雄…なんて有り得ないわよね。それにしてもこの子、ナマエにそっくりじゃない?」
顔を覗き込まれた事により少し怯えているのか、女の子はナマエの服の裾をきゅっと握り締めた。
「ママ…この人たち、だぁれ……?」
その瞬間、またもやその場の空気が凍り付いた。
「マ…マ……?」
「これは聞き捨てならないな…」
「…もう我慢ならん。抜け駆けした輩は今すぐ名乗り出ろ!!」
「兄上達、武器をしまってください!」
今度はエイリークが何とかその場を落ち着かせると、ナマエは困ったように口を開く。
「私が子供以前に恋人すら居ないのはみんな知ってるよね…だからこの子が私の娘って事はない__」
「いや、多分この子はナマエの子だと思うわ」
アンナの言葉にその場いた全員が一斉に彼女に振り返った。
「え…?」
「ほら、ルキナやマークみたいに未来から来た子供達が居るでしょう?この女の子もきっと未来から来たナマエの娘なのよ」
「なっなるほど…」
「ナマエの未来の子供…」
「なら、父親は俺だな」
「何を言う。父親は私だ」
「いいや、僕だね」
すると英雄達が何やら口々に主張を始めたのだ。
「この子はきっと兄上との子ですね」
「お兄様の可能性も十分あるわ!」
「いいえ、お父様との子だという事も考えられます」
「ナマエさんとお兄ちゃんとの子供だったらいいなぁ…」
どうやらナマエと家族になりたいと思っているのは男性陣だけでなく、彼らの妹や娘である女性陣もそうらしい。
「ふぁ……ねむたい…」
「あ…寝ちゃった……」
英雄達が騒がしい中、女の子はナマエの腕の中で目を閉じて眠ってしまった。
「…あ、大変!先に出た部隊がそろそろ帰ってくるわ!次の出撃予定の英雄達は準備してね!!」
アンナの呼び掛けにその場にいた英雄達は渋々といった感じで準備に取り掛かっていく。
「アンナさん、この子どうしましょう…寝ちゃったんですけど…」
「放っておく訳にはいかないし…うちで預かる事にしましょう。でも、私と貴女も今から出撃しなきゃいけないし……あ」
彼女は何か思いついたような顔になった後、ニヤリと笑みを浮かべた。
「ねえ、その子ちょっと預かっていい?」
「え?いいですけど…どうするんですか?」
「この後、この子の面倒を見てくれるのに最適な人が帰ってくるからその人に預けてくるのよ。ナマエにとっても良いと思うわよ~」
「??」
「ほら、後の事は任せて!貴女は先に準備をしてきなさい!」
「えぇ~?」
その人物が誰なのかと考えているナマエの背中を押して、彼女がこの場から居なくなったのを確認するとアンナは女の子を抱いたままある人物の元へと向かった。
「あ、いたいた!サイアス!」
アンナの探していた人物…それはたった今戦場から帰ってきたサイアスだった。
「アンナさん。どうかされたのですか?」
「まずはお疲れ様。あのね、帰ってきたばかりで悪いんだけど…貴方にこの子のお守りをして欲しいの」
アンナの腕の中で眠る女の子に目を向けるとサイアスは首を傾げた。
「この子は?」
「実はね…」
先程起きた事情を話すと、サイアスの顔色が変わったのをアンナは見逃さなかった。
「ナマエさんの…お子さん?」
「多分その可能性が高いわ。父親は…まだ分からないけど」
「そうですか…けれど、何故私にこの子のお守りを?もっと他に適任者がいると思うのですが…」
「何言ってるの!貴方って孤児院開いてもおかしくないくらい子供の扱い上手そうじゃない。それに、この子の父親はきっと…」
そこまで言い掛けるとアンナはぐっと言葉を飲み込み、改めてサイアスに向き直ると彼に女の子を預けた。
「とにかく、まずはお風呂にでも入れてあげてちょうだい!私はこれから出撃しなきゃいけないから…それじゃあ、お願いねー!」
「あ…行ってしまいました……」
サイアスはアンナから託された女の子を改めて見た。
そして眠っている彼女の顔を見てサイアスは少しドキリとした。
ナマエの娘だと聞かされただけに、彼女は本当にナマエそっくりだったからだ。
やはりこの子は本当に未来から来たナマエの子だと思わざるを得ない、と…
それと同時に胸がざわつくのは…ナマエを想う気持ちがあるからこそだというのはサイアスが一番分かっている。
「…取り敢えず、アンナさんの言う通りお風呂に入れましょうか」
サイアスは女の子を連れて城の風呂場へと向かったのだった。
「起こすのは少し可哀想ですが…」
風呂場に着くと、女の子の服を脱がせる為に彼女を起こそうとした。
「ん……」
ちょうど目が覚めたのか、女の子は目を擦りながら寝ぼけた様子でサイアスの顔を見つめた。
「あ、パパだ!!」
「え…!?」
彼女はナマエの時と同じように、サイアスを見ると彼に嬉しそうに抱き付いたのだ。
突然の事にサイアスは少し困惑気味だった。
「ええと…私はおそらく貴女のパパではありません。ここに来ているのなら早く見つけられると良いのですが…」
「?パパもママもおかしなことばかりいってる…」
不思議そうな女の子を他所に、とにかく彼女を風呂に入れようと服を脱がせていく。
すると、次に目に映ったあるものにサイアスは目を見開いた。
「これは……!」
サイアスが目にしたもの…女の子の右腰部にある痕…それは紛れもなくファラの聖痕だった。
「パパ?」
「!ああ…すみません。さあ、お風呂に入りましょうか」
「うんっ!」
サイアスは今度は違う意味でドキリとしていた。
「…今回ばかりは、自惚れてもいいのでしょうか……」
少し嬉しさを帯びた彼の言葉は、誰に聞かれることもなく消えていったのだった。
~end~
リクエストで、夢主の子供を召喚して誰との子かという騒動の後に落ちがサイアスというお話でした!
こんな感じでよろしかったでしょうか…?
というか、サイアスと夢主の絡み一切なくて申し訳ありません!
一応、二人は両想いという設定なのですが…分かりづらくてすみません汗
では、この度は本当にありがとうございました!!
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