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※ナンナにとってフィンは実父ではなく、育ての親という設定です。
「ナマエ?」
朝、いつものように城内の見回りをしているとフィンさんに会った。
よく見ると首筋から汗が垂れていて、手には彼愛用の勇者の槍が握られている。
「フィンさん。おはようございます!」
「おはよう。見回りをしているのか?」
「はい、いつもの日課みたいなものなので…フィンさんこそ、訓練でもされていたんですか?」
「ああ。騎士たるもの、いついかなる時でも主君を守れるようにしなければならないからな……」
そう言って汗を腕で拭い槍を握り直した。
「…あ…よろしければこれ、使ってください」
私はコートのポケットから持っていたハンカチを彼に差し出した。
「いいのか?」
「はい。あまりお役に立てないかもしれませんが…」
「そんな事はない。ありがたく使わせていただこう」
彼はフッと笑ってハンカチを受け取ってくれた。
あ…笑ってくれた……
私はその笑顔に不覚にもドキッとしてしまった。
フィンさんとは出会ってから数日が過ぎたけど、あまりたくさん笑っているところは見たことがない。
だから今みたいに、ふとした時に笑ってくれると思わず見惚れてしまう。
……見惚れる…?
なんで……
「では、また後日綺麗にしてお返しする。本当にありがとう、助かった」
「あ……」
フィンさんはそれだけ言うと、私の脇を通り過ぎて訓練へ戻っていった。
…私、彼に対して何を思ったんだろう………
モヤモヤが晴れないまま私は見回りを再開した。
翌朝…
結局、あれから答えは出る事はなく相変わらず心が晴れないまま見回りを開始した。
「あ、ナマエ!おはよう」
「ナマエさん。おはようございます」
廊下を歩いていると、リーフ王子とナンナ王女が会話でもしていたのか私に気付くと声を掛けてくれた。
「リーフ王子にナンナ王女。おはようございます」
「朝から見回りかい?いつもご苦労様」
「ありがとうございます。軍師として当たり前の事をしているまでですから…」
すると、ナンナ王女は私の顔を覗き込んできた。
「あら?…ナマエさん、何かありましたか?」
「え……?」
「どこか顔色が優れないようでしたので…」
私はそう言われて思わず彼女の顔をじっと見つめた。
「…………」
“ナンナ、無事か?”
“はい、お父様__”
戦場でフィンさんとナンナ王女がそんな会話をしていたのを思い出した。
ああ、そうだ…
二人は親子でフィンさんには、もう……
「!?どっどうしたんだ、ナマエ!?」
「あれ……」
リーフ王子の焦る声で初めて気が付いた。
…私の目から涙が流れている事に。
「…もしかして、“お父様”の事…ですか?」
私はナンナ王女の指摘に無意識に反応したのか肩がビクリとなった。
さすが…ラケシス王女のご息女……
いつも鋭いな……
「ごっごめんなさい…!私、見回りの続きしてきますね……!!」
「あ、ナマエ!」
彼女を見ているのが辛くて、私は足早にその場から走り去ってしまった。
「っ…ぅ……」
あの後、私は中庭の隅に座り込んで一人泣いていた。
どうして…気付いちゃったかな……
最初から叶わない恋をするなんて…
「ナマエ…?」
「っ!」
顔を見ずとも分かるその声の主…
「…何か、あったのか」
私は何も答える事が出来ないまま、ただ黙っていた。
「…………」
やがて彼の気配が近くなり、私の隣に腰を下ろしたのが分かった。
「フィンさん……」
「何だろう?」
「好きになってはいけない相手を好きになってしまったら…どうしたら、いいんでしょうか……」
私の問いに彼はしばらく何も答える事は無かった。
「貴女の言うその好きになった相手には…もう決まった相手がいるという事か?」
「……」
私は黙ってゆっくりと頷いた。
「そうか…それは辛いだろう……私も、たった今想い人に好きな人がいる事を知ってしまったから…その気持ちは分かる」
私はその言葉を聞いた途端、彼が来てから初めて顔を上げた。
「え……?」
「先程、リーフ様とナンナからナマエが泣いていると聞いてな……特にナンナからは早く行ってやれと強く言われたんだ…」
フィンさんは私の頬に手を添えながら流れる涙を親指で拭ってくれた。
「ナンナに言われたというよりも……自分の好きな人が泣いていると聞いたら、居ても立っても居られなくなったんだ」
「好きな人って…フィンさん、ナンナ王女の実のお父さんなんじゃ……」
私がそう溢すと彼は目を少し丸くしたが、すぐ笑って口を開いた。
「確かにナンナは私をお父様と呼んでいるが、実の父親ではない。私は彼女にとっては育ての親なんだ」
「そっ…そう、だったんですね……」
何だか気が抜けてしまって私はうな垂れるように再び俯いた。
「…ナマエ、顔を上げて欲しい」
フィンさんの言葉通りに顔を上げると、彼の青い瞳が私の目を真っ直ぐに捉えていた。
「その安心しているのは…期待してもいいのだろうか?」
「あ……えと…」
さっきフィンさんが言った言葉が、私の解釈通りなら…
彼も、私と同じ……
「これからは騎士としてだけではなく、一人の男としても貴女を守らせて欲しい。そして二度と貴女を悲しませないと誓おう」
「フィンさん……!」
ああ…夢みたい……
本当はもっと伝えたい言葉があるのに…
嬉しくて、胸がいっぱいで…上手く言葉が出てこないよ……
「あのっ…嬉しいん、です……!でも、嬉し過ぎて何て言ったらいいか分からなくて……」
「あ……ははっ…もちろんだ。時間はたくさんあるのだから…ゆっくりナマエの気持ちを聞かせてくれ」
笑いながらそう言ってくれたフィンさんは、私を抱き寄せるとそのまま優しくキスをしてくれたのだった。
「良かったね、二人が結ばれてくれて」
「はい、本当に……ですが、ナマエには少し悪い事をしてしまったような気がします…」
「それは仕方ないと思うけど…でも、結果良ければ全て良しって言うじゃないか」
「リーフ様…そうですね。今はお二人の幸せを喜びましょう」
~end~
リクエストのフィン夢でした!
フィンは聖戦トラキアの中で一番好きなキャラですね~
…すみません、未プレイが何ぬかしとんじゃって感じですよね……
でも、彼を調べる限りとても好みなのです許してください…((
そして毎度おなじみ口調に自信がないので、おかしければ是非ご指摘お願い致します…汗
この度は本当にありがとうございました!!
「ナマエ?」
朝、いつものように城内の見回りをしているとフィンさんに会った。
よく見ると首筋から汗が垂れていて、手には彼愛用の勇者の槍が握られている。
「フィンさん。おはようございます!」
「おはよう。見回りをしているのか?」
「はい、いつもの日課みたいなものなので…フィンさんこそ、訓練でもされていたんですか?」
「ああ。騎士たるもの、いついかなる時でも主君を守れるようにしなければならないからな……」
そう言って汗を腕で拭い槍を握り直した。
「…あ…よろしければこれ、使ってください」
私はコートのポケットから持っていたハンカチを彼に差し出した。
「いいのか?」
「はい。あまりお役に立てないかもしれませんが…」
「そんな事はない。ありがたく使わせていただこう」
彼はフッと笑ってハンカチを受け取ってくれた。
あ…笑ってくれた……
私はその笑顔に不覚にもドキッとしてしまった。
フィンさんとは出会ってから数日が過ぎたけど、あまりたくさん笑っているところは見たことがない。
だから今みたいに、ふとした時に笑ってくれると思わず見惚れてしまう。
……見惚れる…?
なんで……
「では、また後日綺麗にしてお返しする。本当にありがとう、助かった」
「あ……」
フィンさんはそれだけ言うと、私の脇を通り過ぎて訓練へ戻っていった。
…私、彼に対して何を思ったんだろう………
モヤモヤが晴れないまま私は見回りを再開した。
翌朝…
結局、あれから答えは出る事はなく相変わらず心が晴れないまま見回りを開始した。
「あ、ナマエ!おはよう」
「ナマエさん。おはようございます」
廊下を歩いていると、リーフ王子とナンナ王女が会話でもしていたのか私に気付くと声を掛けてくれた。
「リーフ王子にナンナ王女。おはようございます」
「朝から見回りかい?いつもご苦労様」
「ありがとうございます。軍師として当たり前の事をしているまでですから…」
すると、ナンナ王女は私の顔を覗き込んできた。
「あら?…ナマエさん、何かありましたか?」
「え……?」
「どこか顔色が優れないようでしたので…」
私はそう言われて思わず彼女の顔をじっと見つめた。
「…………」
“ナンナ、無事か?”
“はい、お父様__”
戦場でフィンさんとナンナ王女がそんな会話をしていたのを思い出した。
ああ、そうだ…
二人は親子でフィンさんには、もう……
「!?どっどうしたんだ、ナマエ!?」
「あれ……」
リーフ王子の焦る声で初めて気が付いた。
…私の目から涙が流れている事に。
「…もしかして、“お父様”の事…ですか?」
私はナンナ王女の指摘に無意識に反応したのか肩がビクリとなった。
さすが…ラケシス王女のご息女……
いつも鋭いな……
「ごっごめんなさい…!私、見回りの続きしてきますね……!!」
「あ、ナマエ!」
彼女を見ているのが辛くて、私は足早にその場から走り去ってしまった。
「っ…ぅ……」
あの後、私は中庭の隅に座り込んで一人泣いていた。
どうして…気付いちゃったかな……
最初から叶わない恋をするなんて…
「ナマエ…?」
「っ!」
顔を見ずとも分かるその声の主…
「…何か、あったのか」
私は何も答える事が出来ないまま、ただ黙っていた。
「…………」
やがて彼の気配が近くなり、私の隣に腰を下ろしたのが分かった。
「フィンさん……」
「何だろう?」
「好きになってはいけない相手を好きになってしまったら…どうしたら、いいんでしょうか……」
私の問いに彼はしばらく何も答える事は無かった。
「貴女の言うその好きになった相手には…もう決まった相手がいるという事か?」
「……」
私は黙ってゆっくりと頷いた。
「そうか…それは辛いだろう……私も、たった今想い人に好きな人がいる事を知ってしまったから…その気持ちは分かる」
私はその言葉を聞いた途端、彼が来てから初めて顔を上げた。
「え……?」
「先程、リーフ様とナンナからナマエが泣いていると聞いてな……特にナンナからは早く行ってやれと強く言われたんだ…」
フィンさんは私の頬に手を添えながら流れる涙を親指で拭ってくれた。
「ナンナに言われたというよりも……自分の好きな人が泣いていると聞いたら、居ても立っても居られなくなったんだ」
「好きな人って…フィンさん、ナンナ王女の実のお父さんなんじゃ……」
私がそう溢すと彼は目を少し丸くしたが、すぐ笑って口を開いた。
「確かにナンナは私をお父様と呼んでいるが、実の父親ではない。私は彼女にとっては育ての親なんだ」
「そっ…そう、だったんですね……」
何だか気が抜けてしまって私はうな垂れるように再び俯いた。
「…ナマエ、顔を上げて欲しい」
フィンさんの言葉通りに顔を上げると、彼の青い瞳が私の目を真っ直ぐに捉えていた。
「その安心しているのは…期待してもいいのだろうか?」
「あ……えと…」
さっきフィンさんが言った言葉が、私の解釈通りなら…
彼も、私と同じ……
「これからは騎士としてだけではなく、一人の男としても貴女を守らせて欲しい。そして二度と貴女を悲しませないと誓おう」
「フィンさん……!」
ああ…夢みたい……
本当はもっと伝えたい言葉があるのに…
嬉しくて、胸がいっぱいで…上手く言葉が出てこないよ……
「あのっ…嬉しいん、です……!でも、嬉し過ぎて何て言ったらいいか分からなくて……」
「あ……ははっ…もちろんだ。時間はたくさんあるのだから…ゆっくりナマエの気持ちを聞かせてくれ」
笑いながらそう言ってくれたフィンさんは、私を抱き寄せるとそのまま優しくキスをしてくれたのだった。
「良かったね、二人が結ばれてくれて」
「はい、本当に……ですが、ナマエには少し悪い事をしてしまったような気がします…」
「それは仕方ないと思うけど…でも、結果良ければ全て良しって言うじゃないか」
「リーフ様…そうですね。今はお二人の幸せを喜びましょう」
~end~
リクエストのフィン夢でした!
フィンは聖戦トラキアの中で一番好きなキャラですね~
…すみません、未プレイが何ぬかしとんじゃって感じですよね……
でも、彼を調べる限りとても好みなのです許してください…((
そして毎度おなじみ口調に自信がないので、おかしければ是非ご指摘お願い致します…汗
この度は本当にありがとうございました!!
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