マイヒーロー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「セリカ、一体何があったの?」
私達はムスペル軍を討つため、ニフル王国を進んでいた。
その進軍最中…仲間であるはずのセリカが、何人かの兵を率いて私達に襲いかかって来たのだ。
彼女は確かにセリカ本人だったけれど…どこか禍々しい気配を漂わせていて、私達の事を一切覚えていないようだった。
そして何とかセリカを倒す事で意識が元に戻り、今は正気に戻った彼女と話しているところだった。
「私…はっきりとした事は覚えていないの……気付いたらここにいて…貴方達の事を襲っていた…本当にごめんなさいっ…」
深く頭を下げて謝ってくれたセリカの体は少し震えていた。
「セリカ…いいの、こうしてまたいつもの貴女が戻ってきてくれたんだから」
「ナマエ…っ」
「ねえ、ナマエ…もしかしたらなんだけど……」
「うん…アルフォンス。私もちょっと思ってた…」
私達が考えている事…それはルフレの事だ。
実はつい最近、セリカやルフレの姿が見当たらなかった。
そして今、その行方不明だったセリカと再会したのだけれど…
まだルフレだけは見つかっていなかった。
だから…もしかしたらセリカのようにルフレも……
「ナマエさん…大丈夫ですか?」
「シャロン…うん、大丈夫だよ。ありがとう」
私の事を心配してくれたのか、シャロンが私の顔を覗き込んでそう声を掛けてくれた事が少し嬉しかった。
「…考えていても仕方ないよね。先を急ごう」
私達はとりあえず進軍を再開する事にした。
進軍を再開してしばらく経った頃…
「!ナマエさん、あれ…!」
シャロンが指差した先に目を向けると…
「!あれは…」
そこにはセリカの時と同じように兵を率いたルフレの姿があった。
でも…彼からも禍々しい気配を感じ、いつものルフレではないという事はすぐに分かった。
「我はギムレー。破滅と絶望の竜…さあ、誰から食い殺そうか?」
私達を見つけた彼…ギムレーと名乗るルフレは不気味な笑みを浮かべていた。
「…やっぱりルフレまで……」
「ここは戦ってルフレを解放するしかないようね…ナマエ、いけそう?」
「君にとって恋人である彼を討つように指示させるのは…とても酷だと思う。だけど、セリカ王女もこうして意識を取り戻してくれたんだ。彼もきっと大丈夫だよ」
「私達に任せてください、ナマエさん!ルフレさんを必ず取り戻してみせます!」
「みんな…」
私はその言葉たちに励まされ、改めて遠くに立つルフレを見つめた。
「…全軍、進撃開始!」
私の合図で共に来てくれた仲間達がルフレ達に向かって行った。
大丈夫…ルフレはきっと、戻って来てくれる。
「くっ…人間の分際で我に楯突くとは……こんなもの、相手の大将を討てばすぐ終わるもの…」
「!ナマエ、危ない!!」
ルフレの周りにいた兵達が少なくなり始めると、彼は次の瞬間私の目の前に現れたのだ。
「!?ルフレ…!?」
「ルフレ…?違う、我はルフレなどではない。破滅と絶望の竜…ギムレーだ。手始めに最初はお前を食らうとしよう」
「っ…!」
私の首にルフレが手を掛けると、そのままグッと力を入れてきた。
「ナマエっ!!」
「ぅ…はっ…!ルフ、レ……やめ…っ」
「何度言えば分かる。我はギムレーだ。今すぐにお前を楽にしてやろう…」
ぎりぎりと力が入っていくのを感じ、私は苦しさから涙が頬を伝って行った。
「おねが…もどって、き…て…ル、フレ…ッ……」
「!?」
私は精一杯の力を振り絞り、自分の手で彼の頬に触れた。
「っ…ぐっ…頭が……ッ!!」
突然、首が彼の手から解放されて私はその場に崩れ落ちた。
「はぁっ…はぁ……!」
「ナマエ!大丈夫かい!?」
私を抱き起こしてくれたのは駆け付けてくれたアルフォンスだった。
「アルフォンス…ありがとう、大丈夫だよ……
「そうか…」
私はすぐにルフレに視線を戻した。
「ルフレ…っ」
「やめ、ろ…!その名を…呼ぶなァ…!!ぐあぁっ!」
「っ…!」
私は反射的にルフレの方へと駆け寄っていき、彼の体を抱き締めた。
「!?貴様、何をっ…!」
「大丈夫、大丈夫だよ……ルフレ…いるんでしょう?そこに…」
「離れろ…離れろ、離れろぉぉおッ!!!」
暴れ出す彼の体を離さないように力を込めて精一杯抱き締めた。
「…また、私のそばに戻ってきて……ルフレ…」
「っ!!!」
私はそう言うと、ルフレの唇にそっと自分の唇を重ねた。
するとその瞬間彼の目が見開かれたと同時に、暴れていた身体が落ち着きを取り戻すかのようにして大人しくなった。
「……ナマエ…」
見ると、ルフレの顔にはいつもの優しい表情が戻っていた。
「…ルフ、レ…?」
「ごめん…君に辛い思いをさせてしまった……僕を呼び戻してくれて本当にありがとう…」
「!ルフレ…っ!!」
「ナマエ!ルフレは…」
すると私達の元へアルフォンス達が駆け付けて来てくれた。
「みんな…僕のせいで迷惑を掛けてしまって、本当に申し訳ない事をした…ナマエのおかげで本当の僕を取り戻せたよ」
「ルフレ…ううん、気にしないでくれ。こうして戻ってきてくれただけで十分だよ」
「ルフレさん!良かった、元に戻られたんですね!」
「貴方が戻ってきてくれて本当に良かったわ、ルフレ。でも…ナマエを苦しめてくれた分はきっちり仕事してもらうわよ~?」
「!…ありがとう、みんな……」
ルフレの顔を見ると、その目には微かに透明な膜が張っているように見えた。
「…ルフレ、もう私のそばから居なくならないでね?約束だよ…」
「ああ…もう自分を見失ったりなんかしない……そしてナマエをこれからも守り抜く事を誓うよ」
私達はお互い笑い合った後、静かに唇を重ね合うのだった。
~end~
めちゃくちゃベタで申し訳ないです…
本来ギムレーはギムレーとしてのキャラですが、今回はルフレがギムレーに支配された状態のお話を書かせていただきました。
私達はムスペル軍を討つため、ニフル王国を進んでいた。
その進軍最中…仲間であるはずのセリカが、何人かの兵を率いて私達に襲いかかって来たのだ。
彼女は確かにセリカ本人だったけれど…どこか禍々しい気配を漂わせていて、私達の事を一切覚えていないようだった。
そして何とかセリカを倒す事で意識が元に戻り、今は正気に戻った彼女と話しているところだった。
「私…はっきりとした事は覚えていないの……気付いたらここにいて…貴方達の事を襲っていた…本当にごめんなさいっ…」
深く頭を下げて謝ってくれたセリカの体は少し震えていた。
「セリカ…いいの、こうしてまたいつもの貴女が戻ってきてくれたんだから」
「ナマエ…っ」
「ねえ、ナマエ…もしかしたらなんだけど……」
「うん…アルフォンス。私もちょっと思ってた…」
私達が考えている事…それはルフレの事だ。
実はつい最近、セリカやルフレの姿が見当たらなかった。
そして今、その行方不明だったセリカと再会したのだけれど…
まだルフレだけは見つかっていなかった。
だから…もしかしたらセリカのようにルフレも……
「ナマエさん…大丈夫ですか?」
「シャロン…うん、大丈夫だよ。ありがとう」
私の事を心配してくれたのか、シャロンが私の顔を覗き込んでそう声を掛けてくれた事が少し嬉しかった。
「…考えていても仕方ないよね。先を急ごう」
私達はとりあえず進軍を再開する事にした。
進軍を再開してしばらく経った頃…
「!ナマエさん、あれ…!」
シャロンが指差した先に目を向けると…
「!あれは…」
そこにはセリカの時と同じように兵を率いたルフレの姿があった。
でも…彼からも禍々しい気配を感じ、いつものルフレではないという事はすぐに分かった。
「我はギムレー。破滅と絶望の竜…さあ、誰から食い殺そうか?」
私達を見つけた彼…ギムレーと名乗るルフレは不気味な笑みを浮かべていた。
「…やっぱりルフレまで……」
「ここは戦ってルフレを解放するしかないようね…ナマエ、いけそう?」
「君にとって恋人である彼を討つように指示させるのは…とても酷だと思う。だけど、セリカ王女もこうして意識を取り戻してくれたんだ。彼もきっと大丈夫だよ」
「私達に任せてください、ナマエさん!ルフレさんを必ず取り戻してみせます!」
「みんな…」
私はその言葉たちに励まされ、改めて遠くに立つルフレを見つめた。
「…全軍、進撃開始!」
私の合図で共に来てくれた仲間達がルフレ達に向かって行った。
大丈夫…ルフレはきっと、戻って来てくれる。
「くっ…人間の分際で我に楯突くとは……こんなもの、相手の大将を討てばすぐ終わるもの…」
「!ナマエ、危ない!!」
ルフレの周りにいた兵達が少なくなり始めると、彼は次の瞬間私の目の前に現れたのだ。
「!?ルフレ…!?」
「ルフレ…?違う、我はルフレなどではない。破滅と絶望の竜…ギムレーだ。手始めに最初はお前を食らうとしよう」
「っ…!」
私の首にルフレが手を掛けると、そのままグッと力を入れてきた。
「ナマエっ!!」
「ぅ…はっ…!ルフ、レ……やめ…っ」
「何度言えば分かる。我はギムレーだ。今すぐにお前を楽にしてやろう…」
ぎりぎりと力が入っていくのを感じ、私は苦しさから涙が頬を伝って行った。
「おねが…もどって、き…て…ル、フレ…ッ……」
「!?」
私は精一杯の力を振り絞り、自分の手で彼の頬に触れた。
「っ…ぐっ…頭が……ッ!!」
突然、首が彼の手から解放されて私はその場に崩れ落ちた。
「はぁっ…はぁ……!」
「ナマエ!大丈夫かい!?」
私を抱き起こしてくれたのは駆け付けてくれたアルフォンスだった。
「アルフォンス…ありがとう、大丈夫だよ……
「そうか…」
私はすぐにルフレに視線を戻した。
「ルフレ…っ」
「やめ、ろ…!その名を…呼ぶなァ…!!ぐあぁっ!」
「っ…!」
私は反射的にルフレの方へと駆け寄っていき、彼の体を抱き締めた。
「!?貴様、何をっ…!」
「大丈夫、大丈夫だよ……ルフレ…いるんでしょう?そこに…」
「離れろ…離れろ、離れろぉぉおッ!!!」
暴れ出す彼の体を離さないように力を込めて精一杯抱き締めた。
「…また、私のそばに戻ってきて……ルフレ…」
「っ!!!」
私はそう言うと、ルフレの唇にそっと自分の唇を重ねた。
するとその瞬間彼の目が見開かれたと同時に、暴れていた身体が落ち着きを取り戻すかのようにして大人しくなった。
「……ナマエ…」
見ると、ルフレの顔にはいつもの優しい表情が戻っていた。
「…ルフ、レ…?」
「ごめん…君に辛い思いをさせてしまった……僕を呼び戻してくれて本当にありがとう…」
「!ルフレ…っ!!」
「ナマエ!ルフレは…」
すると私達の元へアルフォンス達が駆け付けて来てくれた。
「みんな…僕のせいで迷惑を掛けてしまって、本当に申し訳ない事をした…ナマエのおかげで本当の僕を取り戻せたよ」
「ルフレ…ううん、気にしないでくれ。こうして戻ってきてくれただけで十分だよ」
「ルフレさん!良かった、元に戻られたんですね!」
「貴方が戻ってきてくれて本当に良かったわ、ルフレ。でも…ナマエを苦しめてくれた分はきっちり仕事してもらうわよ~?」
「!…ありがとう、みんな……」
ルフレの顔を見ると、その目には微かに透明な膜が張っているように見えた。
「…ルフレ、もう私のそばから居なくならないでね?約束だよ…」
「ああ…もう自分を見失ったりなんかしない……そしてナマエをこれからも守り抜く事を誓うよ」
私達はお互い笑い合った後、静かに唇を重ね合うのだった。
~end~
めちゃくちゃベタで申し訳ないです…
本来ギムレーはギムレーとしてのキャラですが、今回はルフレがギムレーに支配された状態のお話を書かせていただきました。
43/129ページ