マイヒーロー
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※タクミ視点
「来たな……」
僕の目に映る人物……仲間を引き連れたアスク王国の召喚士であるナマエ。
彼女は天才的な戦略で仲間を勝利に導く力を持っている。
そんな彼女の戦略に何度も助けられて来た英雄はたくさんいる…もちろん僕もその一人だ。
……以前までの話だけどね。
「僕が…やる…僕が…みんなを…!」
今の僕は…神祖竜の眷属……
ただの…憎しみの塊で作られた人形だ……
僕の体はもう自由がきかない。
意識は正気を保っていても、体が勝手に武器を構えて誰彼構わず殺してしまう…
何の怨みも無いナマエにも…僕は殺そうとしてしまっている。
だから…僕は彼女に倒される事を願う。
僕はもう…“タクミ”ではないのだから……
「………」
「!?」
しばらくナマエと目が合った後、彼女はその場から走り出して僕の元へ一直線に向かって来た。
そんなナマエを他の兵達が攻撃を仕掛けようとしたが、彼女と共に来た英雄達により次々と倒されていく。
どうしてだ…?
ナマエは今まで後ろで指揮をしているだけのはずなのに…
予想外すぎる事態に僕はしばらく動けなかった。
「っ!」
カキィン……ッ
咄嗟に防御するために構えた弓に当たっていたのは、ナマエの右手に握られている…ナイフだった。
「な…にを……」
「さすがタクミ…いや、水の眷属タクミね」
ニヤリと浮かべた彼女のその笑みは…今までに見たことのない表情だった。
思わず僕の背筋にぞくりと悪寒が走った。
「どうして私自ら動いてるんだって顔ね。何ももう感情が無いと思ってたんだけど…うん、いいよ…教えてあげる」
僕から一歩距離を取ると、ナマエは静かに話し出した。
「貴方は…もう私やみんなの知るタクミじゃない。水の眷属になってしまった貴方をせめて楽にしてみせようと、私達は何度も戦いを挑んでいったわ。…そう、何度も何度もね……」
「何が…言いたい……?」
そう問いかけると、彼女はあの不気味な笑みを浮かべたまま僕の目を見て言った。
「貴方に戦いを挑んだ私と英雄達は幾度となく敗れて…殺された。それはもう回数なんて数えられないくらいにね……だからもう、私自らが貴方にトドメを刺そうと思ったの」
「何の、話だ……」
彼女の言っている意味が理解出来なかった。
僕が、殺した…?
何度も……彼女達を…殺した……?
「ここまで突破するのに本当に時間が掛かったよ。新しく策を練り直しても、悉く打ち砕かれて…だったら相手の固定概念を覆すような行動を取ればいいって、そう思ったの。どう?私自身が貴方を倒しに来るなんて思いもしなかったでしょう?」
「お前……」
少し、恐怖すら感じた。
いつもは穏やかで優しかったナマエが…今はまるで別人のようだ。
「さあ…始めましょうか」
ナマエはそう言うと再び僕に向かってナイフを振りかざして来た。
「くっ…」
思ったよりも激しい攻撃に反撃の余地が見つからなかった。
そこへもう一人の僕の分身が彼女に向けて矢を放った。
「そんなの、お見通しよ」
その攻撃を読んでいたかのように、彼女はひらりとかわしてしまった。
「言ったよね?私は何度も貴方と戦ってきたって…攻撃のパターンなんて、全て頭に入ってる」
「な……」
そして僕の一瞬の隙をついて、ナマエは僕を押し倒してその上に跨った。
「やっと……この戦いに終止符を打てる…」
「や、めろ…僕は…まだ……」
「貴方が嫌がっている死を…私達は何度も経験してきた。だからもう…誰も苦しまないよう……終わらせる………」
ポタリ…と、僕の頬に一粒の水が流れ落ちた。
「お前…泣いて……」
「さようなら、“タクミ”…また、別の時間軸で会いましょう……」
その瞬間、僕の目の前は真っ暗になった___
「ん……あれ…?」
気付けば僕は自分の部屋のベッドの上にいた。
「今のは…夢、だったのか…?」
だとしたら、とんでもない夢を見ていたことになる。
相変わらず僕って夢見が良く無いんだな……
「タクミ?いる?」
すると夢の中でも聞いたあの声が、部屋の扉越しに聞こえてきた。
「ナマエ…?」
「あ、いた。ちょっと次の戦闘について話しておきたい事があるんだけど…」
扉を開けて顔を覗かせたナマエはいつもの彼女だった。
「…うん、分かった。今行くよ」
その事に安心して僕はベッドから立ち上がると部屋の外へと出た。
「ごめん、もしかして寝てた?」
「大丈夫だよ。ちょうど今起きたところだったし」
「そっか。…ねえ、何か夢でも見た?」
「え…?」
突然、そんな事を聞く彼女に心臓の鼓動が嫌に早くなっていくのが分かった。
「…今度こそはちゃんと仲間として、ね…“タクミ”?」
~end~
アンケートでいただいたリクエストの眷属タクミでした!
すみません、このお話実はあるゲームのラスボスとの闘いから取っているんですが…もしかしたら分かる人は分かるかもしれません汗
無限ループものっぽくしたかったのですが、何だか意味が分からなくなってしまいましたね…
あと、夢主が悪役っぽくてごめんなさい…!
この度は本当にありがとうございました!
「来たな……」
僕の目に映る人物……仲間を引き連れたアスク王国の召喚士であるナマエ。
彼女は天才的な戦略で仲間を勝利に導く力を持っている。
そんな彼女の戦略に何度も助けられて来た英雄はたくさんいる…もちろん僕もその一人だ。
……以前までの話だけどね。
「僕が…やる…僕が…みんなを…!」
今の僕は…神祖竜の眷属……
ただの…憎しみの塊で作られた人形だ……
僕の体はもう自由がきかない。
意識は正気を保っていても、体が勝手に武器を構えて誰彼構わず殺してしまう…
何の怨みも無いナマエにも…僕は殺そうとしてしまっている。
だから…僕は彼女に倒される事を願う。
僕はもう…“タクミ”ではないのだから……
「………」
「!?」
しばらくナマエと目が合った後、彼女はその場から走り出して僕の元へ一直線に向かって来た。
そんなナマエを他の兵達が攻撃を仕掛けようとしたが、彼女と共に来た英雄達により次々と倒されていく。
どうしてだ…?
ナマエは今まで後ろで指揮をしているだけのはずなのに…
予想外すぎる事態に僕はしばらく動けなかった。
「っ!」
カキィン……ッ
咄嗟に防御するために構えた弓に当たっていたのは、ナマエの右手に握られている…ナイフだった。
「な…にを……」
「さすがタクミ…いや、水の眷属タクミね」
ニヤリと浮かべた彼女のその笑みは…今までに見たことのない表情だった。
思わず僕の背筋にぞくりと悪寒が走った。
「どうして私自ら動いてるんだって顔ね。何ももう感情が無いと思ってたんだけど…うん、いいよ…教えてあげる」
僕から一歩距離を取ると、ナマエは静かに話し出した。
「貴方は…もう私やみんなの知るタクミじゃない。水の眷属になってしまった貴方をせめて楽にしてみせようと、私達は何度も戦いを挑んでいったわ。…そう、何度も何度もね……」
「何が…言いたい……?」
そう問いかけると、彼女はあの不気味な笑みを浮かべたまま僕の目を見て言った。
「貴方に戦いを挑んだ私と英雄達は幾度となく敗れて…殺された。それはもう回数なんて数えられないくらいにね……だからもう、私自らが貴方にトドメを刺そうと思ったの」
「何の、話だ……」
彼女の言っている意味が理解出来なかった。
僕が、殺した…?
何度も……彼女達を…殺した……?
「ここまで突破するのに本当に時間が掛かったよ。新しく策を練り直しても、悉く打ち砕かれて…だったら相手の固定概念を覆すような行動を取ればいいって、そう思ったの。どう?私自身が貴方を倒しに来るなんて思いもしなかったでしょう?」
「お前……」
少し、恐怖すら感じた。
いつもは穏やかで優しかったナマエが…今はまるで別人のようだ。
「さあ…始めましょうか」
ナマエはそう言うと再び僕に向かってナイフを振りかざして来た。
「くっ…」
思ったよりも激しい攻撃に反撃の余地が見つからなかった。
そこへもう一人の僕の分身が彼女に向けて矢を放った。
「そんなの、お見通しよ」
その攻撃を読んでいたかのように、彼女はひらりとかわしてしまった。
「言ったよね?私は何度も貴方と戦ってきたって…攻撃のパターンなんて、全て頭に入ってる」
「な……」
そして僕の一瞬の隙をついて、ナマエは僕を押し倒してその上に跨った。
「やっと……この戦いに終止符を打てる…」
「や、めろ…僕は…まだ……」
「貴方が嫌がっている死を…私達は何度も経験してきた。だからもう…誰も苦しまないよう……終わらせる………」
ポタリ…と、僕の頬に一粒の水が流れ落ちた。
「お前…泣いて……」
「さようなら、“タクミ”…また、別の時間軸で会いましょう……」
その瞬間、僕の目の前は真っ暗になった___
「ん……あれ…?」
気付けば僕は自分の部屋のベッドの上にいた。
「今のは…夢、だったのか…?」
だとしたら、とんでもない夢を見ていたことになる。
相変わらず僕って夢見が良く無いんだな……
「タクミ?いる?」
すると夢の中でも聞いたあの声が、部屋の扉越しに聞こえてきた。
「ナマエ…?」
「あ、いた。ちょっと次の戦闘について話しておきたい事があるんだけど…」
扉を開けて顔を覗かせたナマエはいつもの彼女だった。
「…うん、分かった。今行くよ」
その事に安心して僕はベッドから立ち上がると部屋の外へと出た。
「ごめん、もしかして寝てた?」
「大丈夫だよ。ちょうど今起きたところだったし」
「そっか。…ねえ、何か夢でも見た?」
「え…?」
突然、そんな事を聞く彼女に心臓の鼓動が嫌に早くなっていくのが分かった。
「…今度こそはちゃんと仲間として、ね…“タクミ”?」
~end~
アンケートでいただいたリクエストの眷属タクミでした!
すみません、このお話実はあるゲームのラスボスとの闘いから取っているんですが…もしかしたら分かる人は分かるかもしれません汗
無限ループものっぽくしたかったのですが、何だか意味が分からなくなってしまいましたね…
あと、夢主が悪役っぽくてごめんなさい…!
この度は本当にありがとうございました!
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