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「はぁ、はぁっ…!」
私は暗い森の中を一人必死で走っていた。
__迫り来るエンブラの敵兵達から…
何故こんな状況なのかというと…
遡ること数分前…
今夜はとても綺麗な月が出ていたため、私は一人でお城近くの森に散歩に出掛けていた。
アルフォンスがついて行くと申し出てくれたけど、すぐ戻るからと断って来てしまったのだ。
まさかアスク領の森の中に伏兵がいたなんて思いもしなかった。
今になってアルフォンスの申し出を断った事を激しく後悔している…
「っ…!!」
無我夢中で走っていると、目の前にも伏兵が現れた。
慌てて後ろを振り返れば、そこにも私を追いかけて来ていた敵兵が…
…完全に囲まれた……
「アスクの召喚士…覚悟はいいな」
「あんたに戦闘能力がなくて助かったぜ…」
「さあ…今ここで死ぬがいい…!!」
「!」
敵兵達が一斉に私に武器を振り下ろしてきた。
私は恐怖で目を瞑り死を覚悟した、その時…
「ぐあぁっ…!」
「なっ何だ貴様は…!?」
いつまでも痛みが来ない事と何故か敵兵達の悲鳴が聞こえた事に疑問を感じ、私は恐る恐る目を開けてみた。
「怪我はないか、ナマエ」
私の目の前には顔と全身を真っ黒な鎧で固めた人物…漆黒の騎士殿がいたのだ。
「え…どっどうしてあなたが…?」
「契約を交わした主を守るのが私の役目だ。貴殿が危険な目に遭いそうならば、私はそれを助けるまで…」
それだけ言うと、彼はエタルドを握り直し敵兵達に向き合った。
「これ以上、私の主を襲うというのならまず私が相手になろう」
「チッ…撤退するぞ!!」
騎士殿に恐れをなしたのか、敵兵達は逃げるようにしてこの場から去っていった。
「…行ったか」
「!あ…あっありがとう、ございました……」
私は我に帰り、彼にお礼を言ってその場から動こうとした。
だけど…
「あれ…おかしいな……?」
体が震えていて思うように動かせない。
震えを止めようと、自分の手をもう片方の手で押さえ込んでみても止められない。
「あ、あはは…私ってば本当に守られないと生きていけない人間ですよね…騎士殿やみんなのように戦える術が無くて、そのせいで自分の身を守る事すら出来ない……情けなさ過ぎます…」
「………」
ああ、自分で言ってて全部本当の事だけに泣けてきた…
「みんな、私の事召喚士様だの言って頼ってくれたりしてるけど…実際私なんてただの人間なんです。争いがない平和な世界から来た私は…この世界ではただの足手纏いにしかならないんですよ…、いっそあのまま敵兵にやられてしまえば良かっ__」
そこまで言いかけた時、私の体はふわりと宙を浮いていた。
私…騎士殿に横抱きにされてる…?
「なっ…騎士殿……?」
「自分を悪く言うのはそこまでだ。この近くに泉があるはず…一度そこへ行って落ち着こう」
私は抵抗することもなく、そのまま騎士殿に森にある泉へと連れて行かれた。
「着いたな」
「わあ…月がこんなに綺麗に反射してる…」
着いた泉の水面には、空に浮かぶ月がキラキラと幻想的に揺らめいていたのだ。
「ここへ来るのは初めてか?」
「お昼に水浴びに来た事はありましたが、夜に来るのは今回が初めてです」
「そうか…」
しばらく二人でその光景を黙って見つめていた。
「…貴殿は自分を卑下し過ぎている。自分には戦う術が無いと言っていたが、戦う術がない者を戦える者が守るのが当然の役目だ。寧ろ戦える術など無い方が、平和な世界のためには良いに越した事は無いが…」
騎士殿の顔は相変わらず鎧で覆われていて表情は分からないけど…
きっと私の事を思って話してくれているのが伝わってきた。
「貴殿には戦う能力は持ち合わせずとも、代わりに他の誰もが持っていない特別な力を持っている。それは英雄を召喚出来る力や確実な戦略を編み出せる力もあるが…その他にも大きな力を持っている」
「召喚や戦略以外の…大きな、力…?」
「貴殿と心を打ち解け合えるのは、貴殿と自然とそうさせる何か特殊な力が…いや、ここは魅力と言った方が妥当か。人を惹きつける魅力が貴殿の最大の力なのではないだろうか」
思わず彼の顔を凝視して見た。
「私に…そんな魅力があるとは思えません…」
「何を言う。貴殿と出会った英雄達は皆、貴殿に絶大なる信頼を置いている。こんなにも人望を得ている者はそうそういない。無論、私も貴殿に魅了されている一人だが…」
「騎士殿……」
彼の言葉に何だか少し元気が戻ってきたような気がした。
「だから、今後も貴殿のその力で仲間達を導いてくれ。もしまた道に迷える時が訪れれば…その時も私が貴殿の道を切り開く事を約束しよう」
「…はい、ありがとうございます。騎士殿のおかげで少し自信が湧いてきました。私は…私なりの力でこれからもみんなを支えていきます!」
「その意気だ」
真っ黒な鎧で覆われているのに、私の行く道を光で照らしてくれる…
何だか不思議な人だ。
「さて…そろそろ戻るとするか」
「そうですね……あの、騎士殿…?」
「なんだ?」
「私はもう大丈夫なので…降ろしてくれませんか…?」
「また敵がいたら危険だ。このままで行こう」
「え、えぇぇ…!?」
本当に…不思議な人だな……
~end~
こちらもアンケートでリクエストをいただいた漆黒の騎士夢でした!
ゼルギウスではなく漆黒の騎士で、とご要望をいただいたので漆黒の騎士としては初?になりますかね!
何か彼に言わせた事がごちゃごちゃでよく分かんなくて申し訳ないです…汗
私は暗い森の中を一人必死で走っていた。
__迫り来るエンブラの敵兵達から…
何故こんな状況なのかというと…
遡ること数分前…
今夜はとても綺麗な月が出ていたため、私は一人でお城近くの森に散歩に出掛けていた。
アルフォンスがついて行くと申し出てくれたけど、すぐ戻るからと断って来てしまったのだ。
まさかアスク領の森の中に伏兵がいたなんて思いもしなかった。
今になってアルフォンスの申し出を断った事を激しく後悔している…
「っ…!!」
無我夢中で走っていると、目の前にも伏兵が現れた。
慌てて後ろを振り返れば、そこにも私を追いかけて来ていた敵兵が…
…完全に囲まれた……
「アスクの召喚士…覚悟はいいな」
「あんたに戦闘能力がなくて助かったぜ…」
「さあ…今ここで死ぬがいい…!!」
「!」
敵兵達が一斉に私に武器を振り下ろしてきた。
私は恐怖で目を瞑り死を覚悟した、その時…
「ぐあぁっ…!」
「なっ何だ貴様は…!?」
いつまでも痛みが来ない事と何故か敵兵達の悲鳴が聞こえた事に疑問を感じ、私は恐る恐る目を開けてみた。
「怪我はないか、ナマエ」
私の目の前には顔と全身を真っ黒な鎧で固めた人物…漆黒の騎士殿がいたのだ。
「え…どっどうしてあなたが…?」
「契約を交わした主を守るのが私の役目だ。貴殿が危険な目に遭いそうならば、私はそれを助けるまで…」
それだけ言うと、彼はエタルドを握り直し敵兵達に向き合った。
「これ以上、私の主を襲うというのならまず私が相手になろう」
「チッ…撤退するぞ!!」
騎士殿に恐れをなしたのか、敵兵達は逃げるようにしてこの場から去っていった。
「…行ったか」
「!あ…あっありがとう、ございました……」
私は我に帰り、彼にお礼を言ってその場から動こうとした。
だけど…
「あれ…おかしいな……?」
体が震えていて思うように動かせない。
震えを止めようと、自分の手をもう片方の手で押さえ込んでみても止められない。
「あ、あはは…私ってば本当に守られないと生きていけない人間ですよね…騎士殿やみんなのように戦える術が無くて、そのせいで自分の身を守る事すら出来ない……情けなさ過ぎます…」
「………」
ああ、自分で言ってて全部本当の事だけに泣けてきた…
「みんな、私の事召喚士様だの言って頼ってくれたりしてるけど…実際私なんてただの人間なんです。争いがない平和な世界から来た私は…この世界ではただの足手纏いにしかならないんですよ…、いっそあのまま敵兵にやられてしまえば良かっ__」
そこまで言いかけた時、私の体はふわりと宙を浮いていた。
私…騎士殿に横抱きにされてる…?
「なっ…騎士殿……?」
「自分を悪く言うのはそこまでだ。この近くに泉があるはず…一度そこへ行って落ち着こう」
私は抵抗することもなく、そのまま騎士殿に森にある泉へと連れて行かれた。
「着いたな」
「わあ…月がこんなに綺麗に反射してる…」
着いた泉の水面には、空に浮かぶ月がキラキラと幻想的に揺らめいていたのだ。
「ここへ来るのは初めてか?」
「お昼に水浴びに来た事はありましたが、夜に来るのは今回が初めてです」
「そうか…」
しばらく二人でその光景を黙って見つめていた。
「…貴殿は自分を卑下し過ぎている。自分には戦う術が無いと言っていたが、戦う術がない者を戦える者が守るのが当然の役目だ。寧ろ戦える術など無い方が、平和な世界のためには良いに越した事は無いが…」
騎士殿の顔は相変わらず鎧で覆われていて表情は分からないけど…
きっと私の事を思って話してくれているのが伝わってきた。
「貴殿には戦う能力は持ち合わせずとも、代わりに他の誰もが持っていない特別な力を持っている。それは英雄を召喚出来る力や確実な戦略を編み出せる力もあるが…その他にも大きな力を持っている」
「召喚や戦略以外の…大きな、力…?」
「貴殿と心を打ち解け合えるのは、貴殿と自然とそうさせる何か特殊な力が…いや、ここは魅力と言った方が妥当か。人を惹きつける魅力が貴殿の最大の力なのではないだろうか」
思わず彼の顔を凝視して見た。
「私に…そんな魅力があるとは思えません…」
「何を言う。貴殿と出会った英雄達は皆、貴殿に絶大なる信頼を置いている。こんなにも人望を得ている者はそうそういない。無論、私も貴殿に魅了されている一人だが…」
「騎士殿……」
彼の言葉に何だか少し元気が戻ってきたような気がした。
「だから、今後も貴殿のその力で仲間達を導いてくれ。もしまた道に迷える時が訪れれば…その時も私が貴殿の道を切り開く事を約束しよう」
「…はい、ありがとうございます。騎士殿のおかげで少し自信が湧いてきました。私は…私なりの力でこれからもみんなを支えていきます!」
「その意気だ」
真っ黒な鎧で覆われているのに、私の行く道を光で照らしてくれる…
何だか不思議な人だ。
「さて…そろそろ戻るとするか」
「そうですね……あの、騎士殿…?」
「なんだ?」
「私はもう大丈夫なので…降ろしてくれませんか…?」
「また敵がいたら危険だ。このままで行こう」
「え、えぇぇ…!?」
本当に…不思議な人だな……
~end~
こちらもアンケートでリクエストをいただいた漆黒の騎士夢でした!
ゼルギウスではなく漆黒の騎士で、とご要望をいただいたので漆黒の騎士としては初?になりますかね!
何か彼に言わせた事がごちゃごちゃでよく分かんなくて申し訳ないです…汗
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