マイヒーロー
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「ああ…なんて立派なのかしら。あの人の面影を感じて…何だか泣いちゃいそう」
「わあ、素敵です!とってもお似合いですよ、お兄様!」
「決まってるわよ、アルフォンス!」
ヘンリエッテ様、シャロン、アンナ隊長の三人が褒め称える相手は、今は亡きグスタフ様の衣装を身に纏ったアルフォンスだ。
初めて会った時はまだあどけなさの残る少年だと思っていた彼が、今では王の風格を感じられる程の立派な青年へと成長を遂げている。
そんな彼を見て私が思う事は…一言だけでは到底表せそうにない。
「ありがとう。ここまで僕が成長出来たのは、紛れもなく母上にシャロンや隊長、英雄達……僕を支えてくれるみんなのおかげだよ。それに…」
「うふふ、やっぱり一番は…」
「言わずもがなですよね!」
「ほら、いつまで後ろで見守ってるつもり?」
「わっ…!」
いつまでも傍に来ようとしない私に痺れを切らしたのか、アンナさんが私の後ろに回って背中を押してきた。
バランスを崩した私を支えてくれたのは、その先に居た彼…アルフォンス。
身体を支える両腕が逞しくて一人で勝手に胸を高鳴らせてしまう。
「大丈夫かい?」
「あ…ありがとう…」
発せられた声色と私を見つめるその深い海のような瞳はあまりにも優しい。その優しさが心地良くてついこちらも見つめ返してしまうんだ。
「あらあら…」
「じゃあ、私達は仕事があるから退散するわね〜」
「ごゆっくりどうぞ〜!」
ハッと我に帰った時には、三人は既にこの場から去っていた。それがどこか照れ臭いと同時に胸がきゅっと締め付けられる。
そんな私を察したのか、アルフォンスは少し笑いながら私の手を取って口を開いた。
「ナマエ、少し庭に出て話そうか」
「うん…そうだね」
そのまま手を引かれて私達は中庭に移動する。
幾度と無く手を繋いできたはずなのに、どうしてか今は鼓動が早い。いや…答えはとっくに出ているはずだ。
中庭に着けば噴水の端に二人並んで腰掛ける。
手は…重なったままで。
一度手を繋いでしまえば離しがたいと、お互いそう思うようになったのはいつからだったか。
「あの…アルフォンス」
「うん?」
「えっと……さっきはすぐに言えなかったけど、その衣装…とっても似合ってる。カッコいいよ…!」
取り敢えず伝えたい大部分の気持ちを言葉にする。
アルフォンスは一瞬目を見開いたけれど、すぐに照れたように"ありがとう"と笑った。その笑顔がまた私の胸を締め付けさせるのは、やっぱりどれだけ月日が経っても変わらない。
「月並みな事しか言えないけれど…本当に強くなったよね。初めて会った時とは大分印象変わるくらい」
「色々な英雄達と出会って己を鍛えてきたからかな。それもこれも全部君のおかげだよ、ナマエ」
「私は別に…アルフォンス自身が努力してきた結果だよ。私はそれの手助けをほんの少ししただけ…」
すると彼はグッと顔を近付けて少しだけ不満そうに言う。
「こら。そのほんの少しがどれだけ大きくて大切なのか…君は分かってる?」
「ぅ……」
何も言えずにただ目を逸らしてしまう。
すると頬に大きな手がそっと触れる。
それが合図かのように私も顔を上げてもう一度彼と目を合わせた。
「誰が何と言おうと僕が…アスクが強くなれているのは、君が共に居てくれるからだよ。君が居なければ英雄達も居ない…僕もここまで成長出来なかった。だから心から感謝しているんだ、ナマエ」
「アルフォンス……」
ここまで本人に言われてまだ自分を認めないのは逆に失礼に値するだろう。
思わず目頭が熱くなる。なんて光栄な事なんだろうと、そう思わずにはいられない。
アルフォンスはここ数ヶ月前からアンナさんに斧の稽古をつけてもらっていた。
グスタフ様の意思を継ぐ…それは一国の王としての決意を固めたという事。この世界だけでなく、九の世界の人々も守りたい…リーヴに話していた彼のあまりにも大きくて過酷な決意。
そんな彼の隣に立ってこれからも支えていきたい、なんて思うのは烏滸がましいだろうか。
「私…アルフォンスが潰れてしまわないように、ずっと隣で支えていきたいの。誰よりも険しい運命を…一人でなんて歩かせたくない。苦しい時は私にも分けて欲しい」
「…本当は誰にも苦しみを背負わせたくないけれど…それを許してくれないのは分かってる。それに、僕も一人では歩んでいけない……だからナマエが傍に居て欲しい。この先もずっと…」
私の手を取って変わらず目を真っ直ぐに見つめたままそう言ってくれた。
そんな言葉に私はただ笑って頷くんだ。
「ありがとう、ナマエ。君が居るから僕はどんな事があっても前を向ける…僕達でこの国の、世界の未来を守っていこう」
「うん…!」
お互いどちらからともなく唇同士を重ね合わせる。ゆっくりと重なった瞬間、周りの音が消えた気がした。
温かさ、愛おしさ、切なさ…どの感情を取ってもこの想いを語る事はきっと出来ない。
言葉では表せられない……こうしてアルフォンスという人と共に居る事が全てだ。
そして唇が離れてもお互いの手は繋がれたままだった。
〜emd〜
「わあ、素敵です!とってもお似合いですよ、お兄様!」
「決まってるわよ、アルフォンス!」
ヘンリエッテ様、シャロン、アンナ隊長の三人が褒め称える相手は、今は亡きグスタフ様の衣装を身に纏ったアルフォンスだ。
初めて会った時はまだあどけなさの残る少年だと思っていた彼が、今では王の風格を感じられる程の立派な青年へと成長を遂げている。
そんな彼を見て私が思う事は…一言だけでは到底表せそうにない。
「ありがとう。ここまで僕が成長出来たのは、紛れもなく母上にシャロンや隊長、英雄達……僕を支えてくれるみんなのおかげだよ。それに…」
「うふふ、やっぱり一番は…」
「言わずもがなですよね!」
「ほら、いつまで後ろで見守ってるつもり?」
「わっ…!」
いつまでも傍に来ようとしない私に痺れを切らしたのか、アンナさんが私の後ろに回って背中を押してきた。
バランスを崩した私を支えてくれたのは、その先に居た彼…アルフォンス。
身体を支える両腕が逞しくて一人で勝手に胸を高鳴らせてしまう。
「大丈夫かい?」
「あ…ありがとう…」
発せられた声色と私を見つめるその深い海のような瞳はあまりにも優しい。その優しさが心地良くてついこちらも見つめ返してしまうんだ。
「あらあら…」
「じゃあ、私達は仕事があるから退散するわね〜」
「ごゆっくりどうぞ〜!」
ハッと我に帰った時には、三人は既にこの場から去っていた。それがどこか照れ臭いと同時に胸がきゅっと締め付けられる。
そんな私を察したのか、アルフォンスは少し笑いながら私の手を取って口を開いた。
「ナマエ、少し庭に出て話そうか」
「うん…そうだね」
そのまま手を引かれて私達は中庭に移動する。
幾度と無く手を繋いできたはずなのに、どうしてか今は鼓動が早い。いや…答えはとっくに出ているはずだ。
中庭に着けば噴水の端に二人並んで腰掛ける。
手は…重なったままで。
一度手を繋いでしまえば離しがたいと、お互いそう思うようになったのはいつからだったか。
「あの…アルフォンス」
「うん?」
「えっと……さっきはすぐに言えなかったけど、その衣装…とっても似合ってる。カッコいいよ…!」
取り敢えず伝えたい大部分の気持ちを言葉にする。
アルフォンスは一瞬目を見開いたけれど、すぐに照れたように"ありがとう"と笑った。その笑顔がまた私の胸を締め付けさせるのは、やっぱりどれだけ月日が経っても変わらない。
「月並みな事しか言えないけれど…本当に強くなったよね。初めて会った時とは大分印象変わるくらい」
「色々な英雄達と出会って己を鍛えてきたからかな。それもこれも全部君のおかげだよ、ナマエ」
「私は別に…アルフォンス自身が努力してきた結果だよ。私はそれの手助けをほんの少ししただけ…」
すると彼はグッと顔を近付けて少しだけ不満そうに言う。
「こら。そのほんの少しがどれだけ大きくて大切なのか…君は分かってる?」
「ぅ……」
何も言えずにただ目を逸らしてしまう。
すると頬に大きな手がそっと触れる。
それが合図かのように私も顔を上げてもう一度彼と目を合わせた。
「誰が何と言おうと僕が…アスクが強くなれているのは、君が共に居てくれるからだよ。君が居なければ英雄達も居ない…僕もここまで成長出来なかった。だから心から感謝しているんだ、ナマエ」
「アルフォンス……」
ここまで本人に言われてまだ自分を認めないのは逆に失礼に値するだろう。
思わず目頭が熱くなる。なんて光栄な事なんだろうと、そう思わずにはいられない。
アルフォンスはここ数ヶ月前からアンナさんに斧の稽古をつけてもらっていた。
グスタフ様の意思を継ぐ…それは一国の王としての決意を固めたという事。この世界だけでなく、九の世界の人々も守りたい…リーヴに話していた彼のあまりにも大きくて過酷な決意。
そんな彼の隣に立ってこれからも支えていきたい、なんて思うのは烏滸がましいだろうか。
「私…アルフォンスが潰れてしまわないように、ずっと隣で支えていきたいの。誰よりも険しい運命を…一人でなんて歩かせたくない。苦しい時は私にも分けて欲しい」
「…本当は誰にも苦しみを背負わせたくないけれど…それを許してくれないのは分かってる。それに、僕も一人では歩んでいけない……だからナマエが傍に居て欲しい。この先もずっと…」
私の手を取って変わらず目を真っ直ぐに見つめたままそう言ってくれた。
そんな言葉に私はただ笑って頷くんだ。
「ありがとう、ナマエ。君が居るから僕はどんな事があっても前を向ける…僕達でこの国の、世界の未来を守っていこう」
「うん…!」
お互いどちらからともなく唇同士を重ね合わせる。ゆっくりと重なった瞬間、周りの音が消えた気がした。
温かさ、愛おしさ、切なさ…どの感情を取ってもこの想いを語る事はきっと出来ない。
言葉では表せられない……こうしてアルフォンスという人と共に居る事が全てだ。
そして唇が離れてもお互いの手は繋がれたままだった。
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