マイヒーロー
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「ターナ、本当に立派に成長したよね」
「えへへ…ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいわ」
照れながらも笑みを溢しているターナ。
容姿は私の知っているまだ幼さが残る彼女と全く変わらないけれど、精神面が成長していて弓を扱えるまでになっている。
数年後の未来のターナが今回召喚に応じてくれたみたいだ。
「…ところでナマエ。エフラムとは……」
「え?エフラムが…どうかしたの?」
「!やっぱり……ううん、何でもないの!」
突然上がったエフラムの名前に内心ドキッとする。けれど何でもないと話が終わってしまえばそれ以上追求する事は出来ない。
「あー…と。私これからちょっと用があるの!また後でね!」
「あ…う、うん。またねターナ」
どこかぎこちなさを感じさせながらもターナはどこかへ走って行ってしまった。
それを引き止める理由なんて無い私は、ただ去って行く背中を見送る事しか出来ない訳で。
「エフラム、か……」
ポツリと呟いた名前。特に誰に聞かれるわけでもなくその場で溶ける。
名前を呼べば必然と頭の中にも彼の顔が過ぎるもの。
彼という存在は私を高揚させるのには十分だ。
答えは簡単…私がエフラムに恋をしているから。
でもそれは所謂片想いというやつで、彼と恋人同士という訳ではない。
もしなれるのなら…それは願ってもない事だけれど……
「エフラム!」
ナマエと別れた後、ターナはエフラムの元へ向かっていた。
それはある事を確認する為である。
「ターナか。どうしたんだ?」
「どうしたんだ、じゃないわよ!まだナマエと付き合ってないだなんてビックリしちゃったわ」
「なっ…!?いきなりなんだ……」
あまりにも唐突過ぎる彼女の発言にエフラムは困惑の表情を浮かべる。
「私が少し未来の世界から来たのは知ってるわよね?本当は言っちゃダメなんだろうけど……ここは敢えて言わせてもらうわ。エフラム、私は貴方とナマエが結ばれてる世界から来てるの」
エフラムにとってまたも絶句する発言がされ、思わず持っていた訓練用の槍を落としそうになった。それを聞いて驚かない方が不自然な内容な訳で。
驚きの中で何とか言葉を探していても、ターナはそん彼には構わず次々と話し始める。
「私、ニ人がくっついてくれないと絶対に嫌なの。じゃないと未来が変わっちゃうから…それを見届けなければ安心して帰れないわ!」
「待ってくれ、お前の話は本当…なのか?」
にわかには信じがたいエフラムは恐る恐る質問する。
そんな都合の良い話…まさに彼の意中の人であるナマエと結ばれている未来があるという話は、現時点で本人からしたらどうしても信じられないものだろう。
「当たり前じゃない!そんなに私の言う事が信じられない?」
「いや、そういう訳じゃないが……」
「なら話は早いわ。早くナマエに告白しなくちゃ!」
ターナの尋常ではないくらいの熱意に、思わず気圧されてしまいそうになるエフラム。
告白なんてまだ早い…そう言い返したいところだが、彼女がこの調子では一蹴されてしまうのは目に見えている。
ターナはそんなエフラムの腕をグイグイと引っ張りながらもう一度ナマエの元へと向かい出した。元々あった積極的な部分がさらに磨きがかかったのが分かる。
「あ、いた!ナマエ……」
ちょうどエントランスの手前でナマエを見つけたターナ。その名前を呼ぼうとしたが、次第に声が小さくなっていった。
何処か様子が変なのが気になったエフラムは、ターナの視線の先へと目を向ける。その事で何故彼女が静かになったのかが判明した。
二人が目にしたのはナマエとその隣に居るアイクの姿だ。普段あまり笑顔を見せないアイクが穏やかな笑みを浮かべてナマエと談笑し合っている。
彼の目は誰がどう見ても特別な者を見る目だ。
対するナマエは普通に会話を楽しんで笑っている様子なのが唯一の救いだろう。
「………」
「…あ、エフラム…!?」
先に動き出したのはエフラムだった。何も言わずに、ただナマエを見つめたまま彼女の元へと向かって行く。
予想外な行動に驚くターナだったが、静観する事を決めたのか柱の影に隠れるようにして立っていた。
「話している最中悪い。少しナマエを借りるぞ」
「え…エフラム……?」
突然登場したエフラムに腕を掴まれたナマエは、案の定彼を見て驚いていた。彼女を映すエフラムの目はとても真剣なものだ。思わず息を呑んでしまう程に。
そのままエフラムに連れて行かれるがままのナマエは、咄嗟にアイクに謝罪の言葉を述べていた。
アイクは最初こそ驚きの表情を見せていたが、いつもの無表情へと戻り片手を軽く上げて二人を見送った。
「……止めないんだね?」
その場に取り残されたアイクにそう声をかけたのは、柱から姿を現したターナだ。少しの気まずさと緊張を胸に抱える彼女とは反対に、アイクはいつもの様子で答える。
「止めたところで引き下がるような奴ではないだろうからな、エフラムは……ナマエが関わっているとなれば尚更だ」
「それならアイク、貴方だって…」
「まあ…そうだな。だが、ナマエの気持ちを考えれば……これで良かったんだろう」
ターナは驚いていた。
エフラムと同じようにナマエへ好意を寄せているアイクの口から、まさかそんな言葉が聞けるなんて…と。
だが、ナマエの気持ちを第一に考えている彼だからこその判断に納得もしていた。
「…頑張れ、エフラム……」
小さく呟かれた友人を励ます言葉は、遠ざかっていく彼の背中に届く事はない。
だが、ターナの望んだ未来がすぐ目の前にまで来ているというのは、その場に居た蒼炎の勇者が感じていた事だろう。
〜end〜
「えへへ…ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいわ」
照れながらも笑みを溢しているターナ。
容姿は私の知っているまだ幼さが残る彼女と全く変わらないけれど、精神面が成長していて弓を扱えるまでになっている。
数年後の未来のターナが今回召喚に応じてくれたみたいだ。
「…ところでナマエ。エフラムとは……」
「え?エフラムが…どうかしたの?」
「!やっぱり……ううん、何でもないの!」
突然上がったエフラムの名前に内心ドキッとする。けれど何でもないと話が終わってしまえばそれ以上追求する事は出来ない。
「あー…と。私これからちょっと用があるの!また後でね!」
「あ…う、うん。またねターナ」
どこかぎこちなさを感じさせながらもターナはどこかへ走って行ってしまった。
それを引き止める理由なんて無い私は、ただ去って行く背中を見送る事しか出来ない訳で。
「エフラム、か……」
ポツリと呟いた名前。特に誰に聞かれるわけでもなくその場で溶ける。
名前を呼べば必然と頭の中にも彼の顔が過ぎるもの。
彼という存在は私を高揚させるのには十分だ。
答えは簡単…私がエフラムに恋をしているから。
でもそれは所謂片想いというやつで、彼と恋人同士という訳ではない。
もしなれるのなら…それは願ってもない事だけれど……
「エフラム!」
ナマエと別れた後、ターナはエフラムの元へ向かっていた。
それはある事を確認する為である。
「ターナか。どうしたんだ?」
「どうしたんだ、じゃないわよ!まだナマエと付き合ってないだなんてビックリしちゃったわ」
「なっ…!?いきなりなんだ……」
あまりにも唐突過ぎる彼女の発言にエフラムは困惑の表情を浮かべる。
「私が少し未来の世界から来たのは知ってるわよね?本当は言っちゃダメなんだろうけど……ここは敢えて言わせてもらうわ。エフラム、私は貴方とナマエが結ばれてる世界から来てるの」
エフラムにとってまたも絶句する発言がされ、思わず持っていた訓練用の槍を落としそうになった。それを聞いて驚かない方が不自然な内容な訳で。
驚きの中で何とか言葉を探していても、ターナはそん彼には構わず次々と話し始める。
「私、ニ人がくっついてくれないと絶対に嫌なの。じゃないと未来が変わっちゃうから…それを見届けなければ安心して帰れないわ!」
「待ってくれ、お前の話は本当…なのか?」
にわかには信じがたいエフラムは恐る恐る質問する。
そんな都合の良い話…まさに彼の意中の人であるナマエと結ばれている未来があるという話は、現時点で本人からしたらどうしても信じられないものだろう。
「当たり前じゃない!そんなに私の言う事が信じられない?」
「いや、そういう訳じゃないが……」
「なら話は早いわ。早くナマエに告白しなくちゃ!」
ターナの尋常ではないくらいの熱意に、思わず気圧されてしまいそうになるエフラム。
告白なんてまだ早い…そう言い返したいところだが、彼女がこの調子では一蹴されてしまうのは目に見えている。
ターナはそんなエフラムの腕をグイグイと引っ張りながらもう一度ナマエの元へと向かい出した。元々あった積極的な部分がさらに磨きがかかったのが分かる。
「あ、いた!ナマエ……」
ちょうどエントランスの手前でナマエを見つけたターナ。その名前を呼ぼうとしたが、次第に声が小さくなっていった。
何処か様子が変なのが気になったエフラムは、ターナの視線の先へと目を向ける。その事で何故彼女が静かになったのかが判明した。
二人が目にしたのはナマエとその隣に居るアイクの姿だ。普段あまり笑顔を見せないアイクが穏やかな笑みを浮かべてナマエと談笑し合っている。
彼の目は誰がどう見ても特別な者を見る目だ。
対するナマエは普通に会話を楽しんで笑っている様子なのが唯一の救いだろう。
「………」
「…あ、エフラム…!?」
先に動き出したのはエフラムだった。何も言わずに、ただナマエを見つめたまま彼女の元へと向かって行く。
予想外な行動に驚くターナだったが、静観する事を決めたのか柱の影に隠れるようにして立っていた。
「話している最中悪い。少しナマエを借りるぞ」
「え…エフラム……?」
突然登場したエフラムに腕を掴まれたナマエは、案の定彼を見て驚いていた。彼女を映すエフラムの目はとても真剣なものだ。思わず息を呑んでしまう程に。
そのままエフラムに連れて行かれるがままのナマエは、咄嗟にアイクに謝罪の言葉を述べていた。
アイクは最初こそ驚きの表情を見せていたが、いつもの無表情へと戻り片手を軽く上げて二人を見送った。
「……止めないんだね?」
その場に取り残されたアイクにそう声をかけたのは、柱から姿を現したターナだ。少しの気まずさと緊張を胸に抱える彼女とは反対に、アイクはいつもの様子で答える。
「止めたところで引き下がるような奴ではないだろうからな、エフラムは……ナマエが関わっているとなれば尚更だ」
「それならアイク、貴方だって…」
「まあ…そうだな。だが、ナマエの気持ちを考えれば……これで良かったんだろう」
ターナは驚いていた。
エフラムと同じようにナマエへ好意を寄せているアイクの口から、まさかそんな言葉が聞けるなんて…と。
だが、ナマエの気持ちを第一に考えている彼だからこその判断に納得もしていた。
「…頑張れ、エフラム……」
小さく呟かれた友人を励ます言葉は、遠ざかっていく彼の背中に届く事はない。
だが、ターナの望んだ未来がすぐ目の前にまで来ているというのは、その場に居た蒼炎の勇者が感じていた事だろう。
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