マイヒーロー
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目の前には真っ白な世界が広がっていた。
空からは雪が降っていて、それを彩るようにイルミネーションが照らしている。
今日は年に一度の冬祭り。
英雄達は冬祭り用の特別な衣装を身に纏って各々楽しんでいた。
「ナマエ、寒くないか?」
「うん、平気。ありがとうエフラム」
私とエフラムも例外ではなく、お互いに冬祭りの衣装を着てお祭りに参加していた。
アンナさんが私にも衣装を用意してくれていたらしく、ありがたく着させてもらっている訳だけど…
「急にこんな短いスカートで外に出たら、風邪を引きそうなものだが…」
「大丈夫だよ。エイリークだって同じような衣装だし…」
「あいつは普段からスカートだからいが、お前は違うだろう。しかも胸元も空いている…それに心配なのはそれだけじゃない」
彼はどこか警戒したような感じで辺りを見回す。
「…他の男達からの視線がさっきからお前に集まっているだろう」
まるで庇うかのように私の前に立つエフラム。
ちょっと大袈裟な気もするけど…
「珍しく違う服を着ているからじゃないかな?」
「もっとよからぬ理由で見ているんだろうが…まあいい。ナマエ、俺から絶対に離れるなよ」
「え?うっうん…」
手をぎゅっと繋がれて、内心少し驚きながらも頷いた。それだけで私の心臓は大きく脈打つ。
心配しなくても私はエフラムから離れるつもりなんて、ないんだけどな。
この気持ちがもっと伝わって欲しくて私からもそっと手を握り返した。
「さて、どこから回る?お前の行きたい所でいいぞ」
「うーん、そうだなぁ…」
様々な露天が立ち並ぶ会場を見回してみると、ふと一つの場所に目が止まる。目に止まってしまえば素直に希望を伝えるだけだ。
「あそこに行ってみたいな」
「ああ、分かった」
私達は手を繋いだまま目的の場所へと向かう。
そこに着けば、ツリー状の棚に飾られた幾つものキャンドルホルダーの中で灯された火が静かに揺らめいていた。
「あら、いらっしゃい!やっぱり貴方達も来たのね」
そこではこのお店を担当しているのか、いつもの隊服ではなく冬祭りの衣装を着たアンナさんが。
髪も赤いからか、その衣装がとてもよく似合っている。
「アンナさん。今回はどんなものを売られているんですか?」
「それがね、今回はお代はいらないサービスでやらせてもらってるのよ」
それを聞いて驚いたのは私だけじゃなく隣にいるエフラムも同じみたい。
「アンナがタダ働きなんて熱でもあるんじゃないか…?」
「失礼ねー!私だって、今日くらいはみんなに幸せをお届けするためにと思ってるのよ!それがこのキャンドルってわけ」
そう言ってひとつのキャンドルボールを手に取って見せてくれた。
よく見ればガラス部分には男女の名前が書いてある。
「もしかして、これ…」
「そう。このキャンドルに恋人同士の名前を書けば、その愛は永遠になるってやつ!これがもう大盛況なのよ!」
他に飾られているキャンドルも見てみると、その全てに男女の名前が。
中には知っているあの英雄同士のものまで…
「ロマンチックですね」
「でしょ~?ほら、貴方達も書いていきなさいよ」
はい、とキャンドルとインクの付いた筆を渡される。
私達はお互いに顔を合わせたけれど、すぐに笑って頷き合った。
「じゃあ、折角だし書いていくか」
「うん、そうだね」
アンナさんからその二つを受け取ると、上にエフラム、下に私の名前という感じでお互いの名前を書いていく。
「書けたわね。じゃあ、火を灯すわよ」
アンナさんがキャンドルに手をかざせば、ぽわっと小さな火が灯る。
それだけでなんだか嬉しくなった。
「これをあの棚の空いている好きな所に置いてきてちょうだい」
「ああ、分かった」
キャンドルを受け取ると、早速どこに置こうかと棚を見る。
「ちょうど真ん中辺りが空いてるな。あそこはどうだ?」
「うん、いいと思う」
「よし」
少し上の真ん中の段が空いていたため、そこにエフラムがキャンドルを置いてくれた。
背が高いからすんなりと届くのは当たり前なんだけれど、こういうのって何だかちょっとドキッとする…
「いい感じじゃないか」
「ね。やって良かったな」
二人で棚に飾られた自分達のキャンドルを見上げる。
周りには他の人達のものがたくさんあるけど、やっぱり自分達のものが一番輝いて見えるものだ。
永遠の愛、か…
本当になるといいな……なんて…
「俺はジンクスだとかはあまり信じてはいないが…お前との事なら、信じたくなる」
「!…うん、私も。本当にそうなるといいなって考えてた」
少しだけ照れ笑いを浮かべるエフラムに心臓が甘く脈打つ。その瞬間彼への想いが一際大きくなるのも感じた。
「エフラム、少し屈んでくれる?」
「?ああ…」
エフラムが言う通りに屈んでくれたのを見て、私は彼の頬にそっとキスを贈った。
あまりに唐突なそれに案の定彼は驚いている。
「ふふ…プレゼントの特別編みたいなもの、かな?ちゃんとしたものは後でちゃんと渡すから」
「…俺にとってはこれで十分なくらいだが……」
「わ……んっ…」
次の瞬間抱き上げられると同時に、今度は私の唇に温かい感触が。
「…お返しだ」
「もう…ふふっ……でも、ちょっと冷たかったよ?」
「外に出てもう大分立つからな。そろそろ部屋に戻るぞ」
「うん…」
エフラムはこういう時、ずるい…
彼を動揺させられたって思っても、次の瞬間にはもう一枚上をいっている。
でも…結局はそれで喜んでる自分がいるのも、事実なんだけど……
これから訪れる二人だけの冬祭りの時間に胸を高鳴らせながら、私はただ彼に身を委ねる事にした。
~end~
空からは雪が降っていて、それを彩るようにイルミネーションが照らしている。
今日は年に一度の冬祭り。
英雄達は冬祭り用の特別な衣装を身に纏って各々楽しんでいた。
「ナマエ、寒くないか?」
「うん、平気。ありがとうエフラム」
私とエフラムも例外ではなく、お互いに冬祭りの衣装を着てお祭りに参加していた。
アンナさんが私にも衣装を用意してくれていたらしく、ありがたく着させてもらっている訳だけど…
「急にこんな短いスカートで外に出たら、風邪を引きそうなものだが…」
「大丈夫だよ。エイリークだって同じような衣装だし…」
「あいつは普段からスカートだからいが、お前は違うだろう。しかも胸元も空いている…それに心配なのはそれだけじゃない」
彼はどこか警戒したような感じで辺りを見回す。
「…他の男達からの視線がさっきからお前に集まっているだろう」
まるで庇うかのように私の前に立つエフラム。
ちょっと大袈裟な気もするけど…
「珍しく違う服を着ているからじゃないかな?」
「もっとよからぬ理由で見ているんだろうが…まあいい。ナマエ、俺から絶対に離れるなよ」
「え?うっうん…」
手をぎゅっと繋がれて、内心少し驚きながらも頷いた。それだけで私の心臓は大きく脈打つ。
心配しなくても私はエフラムから離れるつもりなんて、ないんだけどな。
この気持ちがもっと伝わって欲しくて私からもそっと手を握り返した。
「さて、どこから回る?お前の行きたい所でいいぞ」
「うーん、そうだなぁ…」
様々な露天が立ち並ぶ会場を見回してみると、ふと一つの場所に目が止まる。目に止まってしまえば素直に希望を伝えるだけだ。
「あそこに行ってみたいな」
「ああ、分かった」
私達は手を繋いだまま目的の場所へと向かう。
そこに着けば、ツリー状の棚に飾られた幾つものキャンドルホルダーの中で灯された火が静かに揺らめいていた。
「あら、いらっしゃい!やっぱり貴方達も来たのね」
そこではこのお店を担当しているのか、いつもの隊服ではなく冬祭りの衣装を着たアンナさんが。
髪も赤いからか、その衣装がとてもよく似合っている。
「アンナさん。今回はどんなものを売られているんですか?」
「それがね、今回はお代はいらないサービスでやらせてもらってるのよ」
それを聞いて驚いたのは私だけじゃなく隣にいるエフラムも同じみたい。
「アンナがタダ働きなんて熱でもあるんじゃないか…?」
「失礼ねー!私だって、今日くらいはみんなに幸せをお届けするためにと思ってるのよ!それがこのキャンドルってわけ」
そう言ってひとつのキャンドルボールを手に取って見せてくれた。
よく見ればガラス部分には男女の名前が書いてある。
「もしかして、これ…」
「そう。このキャンドルに恋人同士の名前を書けば、その愛は永遠になるってやつ!これがもう大盛況なのよ!」
他に飾られているキャンドルも見てみると、その全てに男女の名前が。
中には知っているあの英雄同士のものまで…
「ロマンチックですね」
「でしょ~?ほら、貴方達も書いていきなさいよ」
はい、とキャンドルとインクの付いた筆を渡される。
私達はお互いに顔を合わせたけれど、すぐに笑って頷き合った。
「じゃあ、折角だし書いていくか」
「うん、そうだね」
アンナさんからその二つを受け取ると、上にエフラム、下に私の名前という感じでお互いの名前を書いていく。
「書けたわね。じゃあ、火を灯すわよ」
アンナさんがキャンドルに手をかざせば、ぽわっと小さな火が灯る。
それだけでなんだか嬉しくなった。
「これをあの棚の空いている好きな所に置いてきてちょうだい」
「ああ、分かった」
キャンドルを受け取ると、早速どこに置こうかと棚を見る。
「ちょうど真ん中辺りが空いてるな。あそこはどうだ?」
「うん、いいと思う」
「よし」
少し上の真ん中の段が空いていたため、そこにエフラムがキャンドルを置いてくれた。
背が高いからすんなりと届くのは当たり前なんだけれど、こういうのって何だかちょっとドキッとする…
「いい感じじゃないか」
「ね。やって良かったな」
二人で棚に飾られた自分達のキャンドルを見上げる。
周りには他の人達のものがたくさんあるけど、やっぱり自分達のものが一番輝いて見えるものだ。
永遠の愛、か…
本当になるといいな……なんて…
「俺はジンクスだとかはあまり信じてはいないが…お前との事なら、信じたくなる」
「!…うん、私も。本当にそうなるといいなって考えてた」
少しだけ照れ笑いを浮かべるエフラムに心臓が甘く脈打つ。その瞬間彼への想いが一際大きくなるのも感じた。
「エフラム、少し屈んでくれる?」
「?ああ…」
エフラムが言う通りに屈んでくれたのを見て、私は彼の頬にそっとキスを贈った。
あまりに唐突なそれに案の定彼は驚いている。
「ふふ…プレゼントの特別編みたいなもの、かな?ちゃんとしたものは後でちゃんと渡すから」
「…俺にとってはこれで十分なくらいだが……」
「わ……んっ…」
次の瞬間抱き上げられると同時に、今度は私の唇に温かい感触が。
「…お返しだ」
「もう…ふふっ……でも、ちょっと冷たかったよ?」
「外に出てもう大分立つからな。そろそろ部屋に戻るぞ」
「うん…」
エフラムはこういう時、ずるい…
彼を動揺させられたって思っても、次の瞬間にはもう一枚上をいっている。
でも…結局はそれで喜んでる自分がいるのも、事実なんだけど……
これから訪れる二人だけの冬祭りの時間に胸を高鳴らせながら、私はただ彼に身を委ねる事にした。
~end~
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