マイヒーロー
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「もうここには慣れたかい?」
エリウッドが優しい声色で尋ねたのは、彼によく似た人物…いや、幼い頃の彼本人だ。
幼いエリウッドはこくりと頷きながら返事を返す。
「はい。完全ではないですが、皆さん良い人達ばかりですぐに馴染めました」
「そうか。これからも何かあればいつでも頼って欲しい」
2人の間には極めて穏やかな空気が流れている。
当たり前だが、普通は成長した自分と幼き頃の自分と会うなんて体験はありえない。
だが、ここアスク王国ではそれが可能だ。召喚士と呼ばれる者によって。
「……ひとつ、お聞きしたいのですが」
「何だい?」
「召喚士殿…ナマエはまだ戻ってきてはいないのですか?」
幼い彼から出されたその名前に、エリウッドは少しだけ目を見開いた。
だが、すぐに笑って疑問に答える。
「ああ、彼女はもうすぐ戻ってくるはずだよ。きっとまた素晴らしい武功をあげてね」
その返事を聞いて幼いエリウッドは嬉しそうに笑う。誰が見ても彼の心情は明白だ。
「ナマエに…早く会いたいのかい?」
「えっと…それは……」
途端に顔を少し赤らめて戸惑う素振りを見せる。
さすがにはっきりと聞かれて、素直に首を縦に振るのは少し気恥ずかしいのかもしれない。
そんな様子の彼をエリウッドは優しい手つきで頭を撫でた。
「遠慮しなくていい。なんせ君は僕なんだから。君の気持ちはよく分かっているつもりだよ」
「!えっ…」
今の言葉で気付いたのか、幼い彼はパッと顔を上げて反応した。対してエリウッドは落ち着いた様子で人差し指を口に当てて微笑んでいる。成長した彼の大人の余裕というやつだ。
「第一部隊、只今戻りました」
噂をすれば何とやら。城門が開かれ姿を現したのはまさに今話題の召喚士が一部の英雄達を引き連れて帰還した。
エリウッドは幼い自分に行こう、と声を掛けて早速ナマエの元へと歩き出す。
「お疲れ様、ナマエ。その様子だと…今回も大勝利だったみたいだね?」
「エリウッド。ありがとう。うん、みんなのおかげで勝つ事が出来たよ」
嬉しそうに笑う彼女にエリウッドもつられて笑みを浮かべる。
ナマエはいつも戦いが勝利すれば仲間のおかげだと言って、決して自分を褒める事はない。逆に敗北に終わった時は周りがいつも心配になる程自分を責めてしまう。
そんな彼女だからこそ、多くの英雄達から慕われるのだろう。
「お、エリウッド!今日も出迎えてくれたんだな!」
そこへ幼いヘクトルが彼と同じ背丈のエリウッドの肩に腕を回して飛びついた。
少しよろめきながらもエリウッドは友の帰還を喜んだ。
「ヘクトル、ちゃんとナマエの指示に従って動けたかい?」
「おう!それはもう完璧に……」
「あれ?一番最初に飛び掛かっていったのは誰だったっけ?」
鼻高々に語ろうとしたヘクトルを遮るように言葉を発したのはナマエだ。ヘクトルはうっ…と分が悪そうに頭を掻いている。
「…やっぱりそんなところだろうと思ったよ」
「さ、最初だけだろー!?その後はちゃんと指示通りに動いたぜ!」
「ヘクトル、血気盛んなのも程々にしておきなよ」
成長したエリウッドも苦笑いを浮かべてそう諭す。彼を心配する気持ちがもちろん一番だが、同時に懐かしさから嬉しさも感じているのも確かだ。幼い頃の記憶をそのまま目の前でもう一度見ているのだから、仕方ないといえば仕方ないだろう。
「ふふ、2人は本当に幼い頃から仲が良いんだね」
「まあ、否定はしないな!」
にしし、と笑うヘクトルに二人のエリウッドも笑っていた。
「おーい、ナマエー!」
今度は成長したヘクトルがアルマーズ片手にナマエの名を呼びながら歩いてきた。
彼を見ただけでこの場いる三人は察しただろう。
「ヘクトル…今日も訓練かい?」
「お前らも居たのか!ああ、そうだ。帰ってきたばっかで悪いが、ナマエがよければ修練の塔に連れてってくれないか?」
「本日も熱心な事で安心しました。もちろんいいよ」
ナマエの承諾にヘクトルはっしゃあ!と声をあげて喜ぶ。
ヘクトルとナマエ以外の三人も、そんなやり取りを見て黙ってはいられないと発言する。
「ちょっと待った!それなら俺も行くぜ」
「僕もお供します」
「ちょうど体を動かしたいと思っていたところなんだ。僕も同行しよう」
突然の多くの参加者にナマエは驚きながらも快諾。彼らの強くなる為という理由の他にある真意に気付いていないのは…彼女だけだろう。
「おーやる気だなお前ら?」
「抜け駆けは感心しないからね」
「たとえ同じ俺でも負けらんねぇからな!」
密かに火花を散らすエリウッドと二人のヘクトル。そんな彼らを横に幼いエリウッドはナマエのローブの裾をクイっと引っ張った。
「ん?どうしたの?」
「僕…もっと強くなります。もっと強くなって、貴女を守れるような一人前の男になってみせますから」
ナマエにしか聞こえない程の声で突如そう宣言した幼いエリウッド。彼の目には揺るぎない決意が見て取れる。
だが、ナマエはただ笑って嬉しそうにその頭を撫でた。
「ふふ…ありがとう。でも、無理はしないでね?」
「!…はい」
これが成長した彼からの言葉だったら、また受け取り方が違っていたのかもしれない。
幼い彼は想いが伝わらなかった事に少し落胆の色を見せるが、そう落ち込む事もないのもまた現実。
それは…幼い彼の望む未来が、もう少し先の未来で成長した彼と召喚士に訪れるからだというのを、まだ知らない。
〜end〜
幼エリウッド寄りの夢でした。
エレブ子ガチャ、一番欲しかった彼だけ来てくれて大満足です笑
これは書かねばって話の思いつくままに書きました。
エリウッドが優しい声色で尋ねたのは、彼によく似た人物…いや、幼い頃の彼本人だ。
幼いエリウッドはこくりと頷きながら返事を返す。
「はい。完全ではないですが、皆さん良い人達ばかりですぐに馴染めました」
「そうか。これからも何かあればいつでも頼って欲しい」
2人の間には極めて穏やかな空気が流れている。
当たり前だが、普通は成長した自分と幼き頃の自分と会うなんて体験はありえない。
だが、ここアスク王国ではそれが可能だ。召喚士と呼ばれる者によって。
「……ひとつ、お聞きしたいのですが」
「何だい?」
「召喚士殿…ナマエはまだ戻ってきてはいないのですか?」
幼い彼から出されたその名前に、エリウッドは少しだけ目を見開いた。
だが、すぐに笑って疑問に答える。
「ああ、彼女はもうすぐ戻ってくるはずだよ。きっとまた素晴らしい武功をあげてね」
その返事を聞いて幼いエリウッドは嬉しそうに笑う。誰が見ても彼の心情は明白だ。
「ナマエに…早く会いたいのかい?」
「えっと…それは……」
途端に顔を少し赤らめて戸惑う素振りを見せる。
さすがにはっきりと聞かれて、素直に首を縦に振るのは少し気恥ずかしいのかもしれない。
そんな様子の彼をエリウッドは優しい手つきで頭を撫でた。
「遠慮しなくていい。なんせ君は僕なんだから。君の気持ちはよく分かっているつもりだよ」
「!えっ…」
今の言葉で気付いたのか、幼い彼はパッと顔を上げて反応した。対してエリウッドは落ち着いた様子で人差し指を口に当てて微笑んでいる。成長した彼の大人の余裕というやつだ。
「第一部隊、只今戻りました」
噂をすれば何とやら。城門が開かれ姿を現したのはまさに今話題の召喚士が一部の英雄達を引き連れて帰還した。
エリウッドは幼い自分に行こう、と声を掛けて早速ナマエの元へと歩き出す。
「お疲れ様、ナマエ。その様子だと…今回も大勝利だったみたいだね?」
「エリウッド。ありがとう。うん、みんなのおかげで勝つ事が出来たよ」
嬉しそうに笑う彼女にエリウッドもつられて笑みを浮かべる。
ナマエはいつも戦いが勝利すれば仲間のおかげだと言って、決して自分を褒める事はない。逆に敗北に終わった時は周りがいつも心配になる程自分を責めてしまう。
そんな彼女だからこそ、多くの英雄達から慕われるのだろう。
「お、エリウッド!今日も出迎えてくれたんだな!」
そこへ幼いヘクトルが彼と同じ背丈のエリウッドの肩に腕を回して飛びついた。
少しよろめきながらもエリウッドは友の帰還を喜んだ。
「ヘクトル、ちゃんとナマエの指示に従って動けたかい?」
「おう!それはもう完璧に……」
「あれ?一番最初に飛び掛かっていったのは誰だったっけ?」
鼻高々に語ろうとしたヘクトルを遮るように言葉を発したのはナマエだ。ヘクトルはうっ…と分が悪そうに頭を掻いている。
「…やっぱりそんなところだろうと思ったよ」
「さ、最初だけだろー!?その後はちゃんと指示通りに動いたぜ!」
「ヘクトル、血気盛んなのも程々にしておきなよ」
成長したエリウッドも苦笑いを浮かべてそう諭す。彼を心配する気持ちがもちろん一番だが、同時に懐かしさから嬉しさも感じているのも確かだ。幼い頃の記憶をそのまま目の前でもう一度見ているのだから、仕方ないといえば仕方ないだろう。
「ふふ、2人は本当に幼い頃から仲が良いんだね」
「まあ、否定はしないな!」
にしし、と笑うヘクトルに二人のエリウッドも笑っていた。
「おーい、ナマエー!」
今度は成長したヘクトルがアルマーズ片手にナマエの名を呼びながら歩いてきた。
彼を見ただけでこの場いる三人は察しただろう。
「ヘクトル…今日も訓練かい?」
「お前らも居たのか!ああ、そうだ。帰ってきたばっかで悪いが、ナマエがよければ修練の塔に連れてってくれないか?」
「本日も熱心な事で安心しました。もちろんいいよ」
ナマエの承諾にヘクトルはっしゃあ!と声をあげて喜ぶ。
ヘクトルとナマエ以外の三人も、そんなやり取りを見て黙ってはいられないと発言する。
「ちょっと待った!それなら俺も行くぜ」
「僕もお供します」
「ちょうど体を動かしたいと思っていたところなんだ。僕も同行しよう」
突然の多くの参加者にナマエは驚きながらも快諾。彼らの強くなる為という理由の他にある真意に気付いていないのは…彼女だけだろう。
「おーやる気だなお前ら?」
「抜け駆けは感心しないからね」
「たとえ同じ俺でも負けらんねぇからな!」
密かに火花を散らすエリウッドと二人のヘクトル。そんな彼らを横に幼いエリウッドはナマエのローブの裾をクイっと引っ張った。
「ん?どうしたの?」
「僕…もっと強くなります。もっと強くなって、貴女を守れるような一人前の男になってみせますから」
ナマエにしか聞こえない程の声で突如そう宣言した幼いエリウッド。彼の目には揺るぎない決意が見て取れる。
だが、ナマエはただ笑って嬉しそうにその頭を撫でた。
「ふふ…ありがとう。でも、無理はしないでね?」
「!…はい」
これが成長した彼からの言葉だったら、また受け取り方が違っていたのかもしれない。
幼い彼は想いが伝わらなかった事に少し落胆の色を見せるが、そう落ち込む事もないのもまた現実。
それは…幼い彼の望む未来が、もう少し先の未来で成長した彼と召喚士に訪れるからだというのを、まだ知らない。
〜end〜
幼エリウッド寄りの夢でした。
エレブ子ガチャ、一番欲しかった彼だけ来てくれて大満足です笑
これは書かねばって話の思いつくままに書きました。
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