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※エフラム視点
なんということだ…
俺はひとりベッドの上でどうしようかと戸惑いを隠せずにいた。
朝、目が覚めたらまず違和感を感じた。
いつもより広く感じる部屋。
ベッドから降りてみれば、明らかに目線がおかしい。
目に映る物全てがあまりに巨大に感じる。
そして鏡の前に立った時…
ついにその違和感の正体が判明した。
なんと俺は猫の姿になっていた。
冗談でも何でもない、本当に猫なのだ。
ライ達獣牙族のような猫ではなく、あのどこにでもいる普通サイズの猫の姿。
何を言っているのか分からないかもしれないが、俺も分からない…
毛色は俺の髪と同じ碧色をしている、何とも珍しい…というか見た事のない猫だ。
こんな姿みんなに見られたらどうなる。
というより…誰も俺だとはまず気付かないだろう。
それはそれで厄介な事になるな…
俺が居ない事にエイリーク達が心配するはずだ。
特に一番見られたくないあいつは……
「兄上、いらっしゃいますか?エイリークです」
!言ったそばから早速…!
俺は反射的に返事をしようとして声を出した。
…が。
「みゃあ~」
……ダメだ、猫なのだから人間の言葉を話せる訳がない!
声を出そうとしても全て鳴き声に変わってしまう。
「?今何か声が…入りますね」
扉が開かれると、エイリークが部屋の中に入って来た。
俺は結局隠れる事も出来ずにその場で固まってしまう。
「…猫……?」
俺を見つけたエイリークと目が合った。
相変わらず動けずに固まったままの俺は、彼女と目を合わせた状態からどうすれば良いか分からない。
何とも言えないこの状況に冷や汗が垂れる。
「どうして兄上の部屋に猫が…兄上はいらっしゃらないのでしょうか…」
取り敢えずいつもの姿の俺が居ないのを確認したのか、再び猫である俺へと目を向けた。
そしてこちらに近付いて来ると、俺を抱き上げたのだ。
「あなた、どこから来たの?間違えて迷い込んでしまったのかしら」
「みゃ…」
喉の辺りを撫でられて驚いた。
これは…気持ちいいぞ……
猫が喉を撫でられると気持ち良さそうにする理由が分かった。
…いや、感動している場合じゃない。
どうにかして人間に戻る方法を探さなければ…!
「そうだ。ナマエ達にも見せてあげましょう」
「!?」
エイリークの発言に思わず固まる。
嘘だろう…こんな姿を他の仲間に…
それによりによってナマエに見られるというのか。
俺は抵抗する間もなく、そのままエイリークに抱かれたまま部屋の外へと移動した。
「あ、居ました。ナマエ!」
エントランスに着けば、ナマエが歩いているところをエイリークが呼び止める。
彼女の呼び声にナマエはこちらに目を向けて歩いて来た。恐らくまた資料室にでも行っていたのだろう。
「エイリーク。こんにちは……その猫は?」
「こんにちは。さっき兄上を呼びに部屋に行ったのですが、姿が見当たらなくて…ですが、この猫が部屋の中に居たんです」
へぇ、と言いながらナマエは屈んで俺に手を伸ばす。
頭を撫でられ、次に喉の辺りを優しく触られる。
う…やっぱり気持ちがいいぞ……
「すごく綺麗な猫だね。碧色の猫なんて初めて見た」
「私も初めてです。もしかしたら新種かもしれませんね」
「確かに…でも、この猫…何だかエフラムに似てる気がするなぁ…」
心臓が大きく跳ねた。
ナマエは俺をじっと見つめている。
まさか気付いて…くれたのか?
「ええ?どういう事ですか?」
「あ…別に顔とかそういうのじゃなくて。雰囲気…っていうのかな。碧色ってエフラムを思い出すし、それに…」
「それに?」
ナマエは俺の頭を撫でながら言葉の続きを紡いだ。
「この子の目、エフラムとそっくりなの。強さと優しさを感じられる…そんな目をしてる気がするんだ」
また、心臓が大きく跳ねた。
やはり…ナマエは不思議なやつだ。
普通なら猫が誰かに似ているなんて思わないだろう。
だが…こうやって何かを感じるという事は、普段からちゃんと人の事を見ている証なのかもしれない。
だからこそ、俺はナマエを……
「ふふ、ナマエは本当に兄上を見ていらっしゃるのですね」
「えっ…べ、別にそういう訳では…!」
突然、エイリークからの言葉に顔を赤くして慌てるナマエ。
そんな彼女を見てエイリークはクスクスと笑っている。
「この場に兄上が居ないのが残念です。もし今のナマエの言葉を聞いていたら、きっと二人が結ばれる良いきっかけに…」
「エっエイリーク!その話はもういいから…!」
「ふふ…すみません」
ナマエは相変わらず赤いままの顔をしている。
こんな会話を聞いたら、勘違いしてしまうものだ。
これは…期待しても、いいのか…?
「あ…いけません。私、これからターナと鍛錬の約束をしていたのでした」
「なら、私がその猫預かるよ」
「ありがとうございます、ナマエ。お願いしますね」
俺はエイリークからナマエの腕の中へと移される。
ふわり、とナマエの香りが鼻をくすぐった。
「あなた、帰る場所は?もし良かったら私の部屋に住んでもいいんだよ」
俺にとっての爆弾発言にまたもや驚かされる。
ナマエの部屋に…
これはいい機会かもしれない、な。
俺は抵抗をするはずもなく、そのまま彼女の腕の中で丸まった。
それは今の俺が出来る肯定の証だ。
「ふふ、良かった。じゃあ今日からあなたの家は私の部屋ね」
すまん、ナマエ…最低な俺を許してくれ。
好きなやつの傍に居たいという想いには、勝てそうにはないみたいだ。
猫になるというのも…案外悪くないものだな。
そして翌日…
ナマエの隣で眠っていた俺は朝起きた時には、元の姿に戻っていたのだった。
その後どうなったのかは…また別の話だな。
~end~
ある曲を聴いて、もしもエフラムが猫になったら…という妄想から生まれたお話です笑
なんということだ…
俺はひとりベッドの上でどうしようかと戸惑いを隠せずにいた。
朝、目が覚めたらまず違和感を感じた。
いつもより広く感じる部屋。
ベッドから降りてみれば、明らかに目線がおかしい。
目に映る物全てがあまりに巨大に感じる。
そして鏡の前に立った時…
ついにその違和感の正体が判明した。
なんと俺は猫の姿になっていた。
冗談でも何でもない、本当に猫なのだ。
ライ達獣牙族のような猫ではなく、あのどこにでもいる普通サイズの猫の姿。
何を言っているのか分からないかもしれないが、俺も分からない…
毛色は俺の髪と同じ碧色をしている、何とも珍しい…というか見た事のない猫だ。
こんな姿みんなに見られたらどうなる。
というより…誰も俺だとはまず気付かないだろう。
それはそれで厄介な事になるな…
俺が居ない事にエイリーク達が心配するはずだ。
特に一番見られたくないあいつは……
「兄上、いらっしゃいますか?エイリークです」
!言ったそばから早速…!
俺は反射的に返事をしようとして声を出した。
…が。
「みゃあ~」
……ダメだ、猫なのだから人間の言葉を話せる訳がない!
声を出そうとしても全て鳴き声に変わってしまう。
「?今何か声が…入りますね」
扉が開かれると、エイリークが部屋の中に入って来た。
俺は結局隠れる事も出来ずにその場で固まってしまう。
「…猫……?」
俺を見つけたエイリークと目が合った。
相変わらず動けずに固まったままの俺は、彼女と目を合わせた状態からどうすれば良いか分からない。
何とも言えないこの状況に冷や汗が垂れる。
「どうして兄上の部屋に猫が…兄上はいらっしゃらないのでしょうか…」
取り敢えずいつもの姿の俺が居ないのを確認したのか、再び猫である俺へと目を向けた。
そしてこちらに近付いて来ると、俺を抱き上げたのだ。
「あなた、どこから来たの?間違えて迷い込んでしまったのかしら」
「みゃ…」
喉の辺りを撫でられて驚いた。
これは…気持ちいいぞ……
猫が喉を撫でられると気持ち良さそうにする理由が分かった。
…いや、感動している場合じゃない。
どうにかして人間に戻る方法を探さなければ…!
「そうだ。ナマエ達にも見せてあげましょう」
「!?」
エイリークの発言に思わず固まる。
嘘だろう…こんな姿を他の仲間に…
それによりによってナマエに見られるというのか。
俺は抵抗する間もなく、そのままエイリークに抱かれたまま部屋の外へと移動した。
「あ、居ました。ナマエ!」
エントランスに着けば、ナマエが歩いているところをエイリークが呼び止める。
彼女の呼び声にナマエはこちらに目を向けて歩いて来た。恐らくまた資料室にでも行っていたのだろう。
「エイリーク。こんにちは……その猫は?」
「こんにちは。さっき兄上を呼びに部屋に行ったのですが、姿が見当たらなくて…ですが、この猫が部屋の中に居たんです」
へぇ、と言いながらナマエは屈んで俺に手を伸ばす。
頭を撫でられ、次に喉の辺りを優しく触られる。
う…やっぱり気持ちがいいぞ……
「すごく綺麗な猫だね。碧色の猫なんて初めて見た」
「私も初めてです。もしかしたら新種かもしれませんね」
「確かに…でも、この猫…何だかエフラムに似てる気がするなぁ…」
心臓が大きく跳ねた。
ナマエは俺をじっと見つめている。
まさか気付いて…くれたのか?
「ええ?どういう事ですか?」
「あ…別に顔とかそういうのじゃなくて。雰囲気…っていうのかな。碧色ってエフラムを思い出すし、それに…」
「それに?」
ナマエは俺の頭を撫でながら言葉の続きを紡いだ。
「この子の目、エフラムとそっくりなの。強さと優しさを感じられる…そんな目をしてる気がするんだ」
また、心臓が大きく跳ねた。
やはり…ナマエは不思議なやつだ。
普通なら猫が誰かに似ているなんて思わないだろう。
だが…こうやって何かを感じるという事は、普段からちゃんと人の事を見ている証なのかもしれない。
だからこそ、俺はナマエを……
「ふふ、ナマエは本当に兄上を見ていらっしゃるのですね」
「えっ…べ、別にそういう訳では…!」
突然、エイリークからの言葉に顔を赤くして慌てるナマエ。
そんな彼女を見てエイリークはクスクスと笑っている。
「この場に兄上が居ないのが残念です。もし今のナマエの言葉を聞いていたら、きっと二人が結ばれる良いきっかけに…」
「エっエイリーク!その話はもういいから…!」
「ふふ…すみません」
ナマエは相変わらず赤いままの顔をしている。
こんな会話を聞いたら、勘違いしてしまうものだ。
これは…期待しても、いいのか…?
「あ…いけません。私、これからターナと鍛錬の約束をしていたのでした」
「なら、私がその猫預かるよ」
「ありがとうございます、ナマエ。お願いしますね」
俺はエイリークからナマエの腕の中へと移される。
ふわり、とナマエの香りが鼻をくすぐった。
「あなた、帰る場所は?もし良かったら私の部屋に住んでもいいんだよ」
俺にとっての爆弾発言にまたもや驚かされる。
ナマエの部屋に…
これはいい機会かもしれない、な。
俺は抵抗をするはずもなく、そのまま彼女の腕の中で丸まった。
それは今の俺が出来る肯定の証だ。
「ふふ、良かった。じゃあ今日からあなたの家は私の部屋ね」
すまん、ナマエ…最低な俺を許してくれ。
好きなやつの傍に居たいという想いには、勝てそうにはないみたいだ。
猫になるというのも…案外悪くないものだな。
そして翌日…
ナマエの隣で眠っていた俺は朝起きた時には、元の姿に戻っていたのだった。
その後どうなったのかは…また別の話だな。
~end~
ある曲を聴いて、もしもエフラムが猫になったら…という妄想から生まれたお話です笑
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