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「あ、エイリーク」
廊下を歩いているとエイリークに会い自然と声を掛けた。
「ナマエ。今日もお疲れ様です」
「エイリークも。もしかして稽古終わりかな?」
私がそう聞くと彼女は頷く。
若干だが首筋から汗が流れていて、それが窓の光に当たって輝いて見える。
「はい。さっき中庭でゼトに剣の稽古をつけてもらっていました」
「そっか、お疲れ様。あ…そうだ。エイリークさえ良ければこれから温泉に行かない?」
「温泉…飛空城にある?」
時刻はまだお昼を過ぎたあたり。
でも、稽古で汗をかいたなら彼女にとっても好都合のはず。
「うん。さっき私も部屋を掃除してたら汗かいちゃって…どうかな?」
「ええ、ぜひ行きましょう!」
快く承諾してくれた事で私達は飛空城にある温泉へと向かう。
体にバスタオルを巻いて女湯に入ってみると、時間帯のせいか誰もいなかった。
少し静か過ぎるのがちょっと寂しくも感じる。
「誰もいませんね…」
「こんな貸切状態、初めてかも」
「でも、この方がゆっくりお話出来ますね」
彼女の言葉に“確かに”と笑って返す。
そして二人でゆっくりとお湯に浸かる。
「あ~やっぱりここの温泉は最高…」
「本当…疲れがどんどん抜けていきます」
夜にここへ来ると沢山の英雄達で賑わっているけど、その時のみんなもうっとりとした表情をしているのを思い出した。
きっと自分も同じような顔をしているのだろう。
正直、元の世界にはこんな温泉ないだろうなぁ…
暫く疲れと汗を流したところでエイリークが口を開いた。
「そういえばナマエは今日、一人でお部屋の片付けをされていたのですか?」
「初めはそうしてたんだけどね、部屋を訪ねてくれたエフラムが手伝ってくれたの」
「兄上が?」
今日は戦闘も何もない日だったから、あまり出来ていない部屋の片付けをしていた。戦術書やら何やらで散らかっている自室を、そろそろ本格的に綺麗にしたいと思っていたから丁度良い機会ではあった。
その時、エフラムが次の戦闘について聞きに来たらしく私の部屋を訪ねて来て、一緒に手伝ってくれたんだ。
「申し訳ないから一度は断ったけど、エフラムは優しいから…結局お言葉に甘えちゃって」
「そうだったんですね。…でも、兄上は誰にでもそんな風に優しくしている訳では無いと思いますよ」
そう話す彼女に首を傾げる。何やら意味深な言葉に思わず水色の瞳をじっと見つめ返す。
「確かに兄上はとてもお優しいですが… ナマエに対しては、他の方よりも特別というか…」
「うーん、そうなのかな…?でもそれってさ、一応私が軍師だからだと思う。エフラム以外の英雄達からも良くしてもらってるし…」
ありがたい事に、私は普段沢山の英雄から助けてもらっている。
今回のエフラムみたいに資料を運ぶのを手伝ってくれたり、買い出しに付き合ってくれたり…
みんな本当に優しい人ばかりだ。
だから…エイリークの言うエフラムが私にだけ特別優しいなんて事は…きっと勘違い。
「… ナマエは兄上の事、お慕いしているのですよね?」
急に真剣な表情で言われて思わずドキッとする。
「う…うん……」
「なら、嬉しくはないのですか?」
「それは…」
彼女の言う通り、私はエフラムの事が好きだ。
ずっと前から…
だからこそ……
「嬉しくないわけ、ないよ…」
恥ずかしくてお湯に口元まで浸かる。
というかエイリーク、今日はなんかグイグイくる気が…
「それなら、もう少し距離を詰めてみてもいいのではないでしょうか?」
「むっ無理だよ…!私なんかがそんな事したら、エフラムを困らせるだけ…」
そこまで言ったところでエイリークが私の手を両手で握ってきた。
突然の事に肩がビクリとする。
そして少し強めにこう言った。
「ナマエ、私は貴女を応援しています。貴女こそ、兄上と結ばれるべき方だと思っているんです。もっと自信を持ってください」
「エっエイリーク?」
その気迫に戸惑っていると、彼女は我に帰ったかのように私の手を離す。
「すっすみません!私ったらつい…」
「ううん、大丈夫。でも…ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ」
エイリークが私を励ましてくれたのは本当に嬉しいと思った。
どんな思いで言ってくれたのかは分からないけど…
それでも彼女が本当にそう思ってくれているんだって事は、十分に伝わったから。
「…そろそろ上がろうか」
入ってからいい時間になったので、私達は温泉から上がる事に。
のぼせたわけではないけれど、いつも以上に体が熱くなっている気がする。
…理由は考えなくても分かるけれど。
それから服に着替えて温泉施設の外に出ようとした時…
「「あ……」」
出入り口のところでバッタリと会ったのはエフラムとヒーニアス。
しかも彼らも外に出ようとしていて…
その事に気付いた私はあり得ないくらいの速さで心臓が脈打つと同時に、血の気が徐々に引いていくのがのが分かった。
「あっ兄上にヒーニアス王子!?お二人も温泉に…?」
「あっああ。今上がったところでな…」
「そちらの声がこちらまで聞こえていた」
涼しげに言うヒーニアスのその言葉で私の嫌な予感が見事的中した。
つまり私とエイリークが温泉に入っている間、隣の男湯にはエフラムもいた…
それに声が聞こえていたという事は……
「わっ私、先に行ってるね…!!」
頭が真っ白になり、取り敢えずここから去ろうと走り出す。
…が、すぐに腕を掴まれそれは叶わなかった。
「待ってくれ。…少し話がしたい」
引き止めたのは言わずもがなエフラムで…
私は振り向く事も出来ずに、ただじっとして俯く事しか出来ない。
こんな恥ずかしい事ある…?
「あ…では、私達は別の場所に行きますね」
「正直面白くはないが…ここは引いてやるとしよう」
エイリークとヒーニアスがこの場を離れていく。
なんか…変な気を遣わせてしまったみたいで申し訳ない……
「…一度場所を移そう。ついてきてくれ」
腕から手を掴むと、エフラムはそのまま私を連れて場所を移動していく。
そして着いたのは飛空城の真ん中にあるエナジーの泉が湧き出る噴水だった。
私達はそこに並んで腰をかける。
「その…なんだ。勝手に二人の話を聞いて悪かった。自然と耳に入ってきてしまってな…」
「いや…大丈夫……」
正直言って全然大丈夫じゃない。
こんなのもう、間接告白したみたいなものじゃないか…!
エフラムは何も悪くない、というか誰も悪くない。
これは事故なんだから…
「ナマエ、俺は…」
「あっあはは…!ごめんね、気持ち悪かったよね…!こんな奴に好かれてるなんて聞かされて…さっきの話、全部忘れてもらっていいから…っ」
もう頭の中訳分かんなくなって、その場に立つと勢いでそう言ってしまった。
急にそう言われたためか、エフラムはポカンとした顔で私を見てる。
「!?おい、ナマエ!」
私はとにかく恥ずかしさから逃げるようにまた走り出したんだ。
きっとあの言葉の続きは…私にとっては耐えがたいものだろう。
本人から直接聞くくらいなら、逃げてしまった方がいい。
エフラム、困らせちゃったな……
そんな事を思いながら無我夢中で走っていると、再度腕を掴まれる。
「待てって…!急に走り出したから驚いただろ…」
「ごっごめんなさい…」
やっぱり普段から戦場を駆け巡る英雄に追い付かれるのは当たり前か…
エフラムは私の両肩に手を置くと、目を真っ直ぐに見て話し出す。
「いいか、よく聞いてくれ。俺はお前から慕われて気持ち悪いだなんて一切思っていない。寧ろ…嬉しいんだよ。どうしようもないくらいな…」
「え…」
今度は私がポカンとさせられた。
「まさかこんな形でお前の気持ちを知れるとはな…エイリークが言っていた通り、俺は誰にでも優しくなんてしない。ナマエが好きだから…お前だけ特別なんだよ」
そう言われると、エフラムは私をぎゅっと抱き締める。
これは…夢?
私、知らない間に温泉で眠ってたりしてないよね…?
でも…この温かさは紛れもなく本物だ。
エフラムの、温度が伝わってくる。
「私も…好き、です…ずっと前からエフラムが好きだった…」
「ああ、俺もだ。お前が俺を召喚してくれたあの日からな」
「そっそんなに前から!?」
衝撃の事実に思わず少し体を離してエフラムの顔を見る。
彼は楽しんでいるかのように笑って話すんだ。
「ああ。今思えば一目惚れってやつかもな。まあ、お前と過ごすうちにますます好きになっていったが」
今、私の胸がときめいた気がした。
まさにキュン、なんて音がしたと思う。
ああ…この人には敵わないな……
「エイリークには感謝しなくちゃな」
「え?」
「偶然だったとはいえ、温泉でナマエの気持ちが知れるのに繋がる話を振ってくれたからな」
確かに…あの時エイリークが部屋の片付けの話を振ってくれなかったら、こんな事にはなっていなかったかもしれない。
これ、エイリークが恋のキューピットなんじゃ…?
「たとえ今回ナマエの気持ちを知れなかったとしても、俺は近いうちにお前に告白していたけどな」
「そっそうなの?」
「ああ。お前が他の英雄に取られるのは時間の問題だったんだ…それだけは絶対に負けられなかった」
エフラムから告白…
ちょっと聞いてみたかったかも…なんて思うけど、彼の事だからこれから何度でも好きだって言ってくれそう。
「じゃあ、今度は二人で温泉に入るか?」
「!?そっそれはまだ早いよ…!」
「まだって事は…今度なら良いって事、だよな?」
耳元でそう囁かれれば、甘い痺れが全身を伝っていく。
次にエフラムと二人で温泉に来るのは…そう遠くない事かもしれない。
~end~
廊下を歩いているとエイリークに会い自然と声を掛けた。
「ナマエ。今日もお疲れ様です」
「エイリークも。もしかして稽古終わりかな?」
私がそう聞くと彼女は頷く。
若干だが首筋から汗が流れていて、それが窓の光に当たって輝いて見える。
「はい。さっき中庭でゼトに剣の稽古をつけてもらっていました」
「そっか、お疲れ様。あ…そうだ。エイリークさえ良ければこれから温泉に行かない?」
「温泉…飛空城にある?」
時刻はまだお昼を過ぎたあたり。
でも、稽古で汗をかいたなら彼女にとっても好都合のはず。
「うん。さっき私も部屋を掃除してたら汗かいちゃって…どうかな?」
「ええ、ぜひ行きましょう!」
快く承諾してくれた事で私達は飛空城にある温泉へと向かう。
体にバスタオルを巻いて女湯に入ってみると、時間帯のせいか誰もいなかった。
少し静か過ぎるのがちょっと寂しくも感じる。
「誰もいませんね…」
「こんな貸切状態、初めてかも」
「でも、この方がゆっくりお話出来ますね」
彼女の言葉に“確かに”と笑って返す。
そして二人でゆっくりとお湯に浸かる。
「あ~やっぱりここの温泉は最高…」
「本当…疲れがどんどん抜けていきます」
夜にここへ来ると沢山の英雄達で賑わっているけど、その時のみんなもうっとりとした表情をしているのを思い出した。
きっと自分も同じような顔をしているのだろう。
正直、元の世界にはこんな温泉ないだろうなぁ…
暫く疲れと汗を流したところでエイリークが口を開いた。
「そういえばナマエは今日、一人でお部屋の片付けをされていたのですか?」
「初めはそうしてたんだけどね、部屋を訪ねてくれたエフラムが手伝ってくれたの」
「兄上が?」
今日は戦闘も何もない日だったから、あまり出来ていない部屋の片付けをしていた。戦術書やら何やらで散らかっている自室を、そろそろ本格的に綺麗にしたいと思っていたから丁度良い機会ではあった。
その時、エフラムが次の戦闘について聞きに来たらしく私の部屋を訪ねて来て、一緒に手伝ってくれたんだ。
「申し訳ないから一度は断ったけど、エフラムは優しいから…結局お言葉に甘えちゃって」
「そうだったんですね。…でも、兄上は誰にでもそんな風に優しくしている訳では無いと思いますよ」
そう話す彼女に首を傾げる。何やら意味深な言葉に思わず水色の瞳をじっと見つめ返す。
「確かに兄上はとてもお優しいですが… ナマエに対しては、他の方よりも特別というか…」
「うーん、そうなのかな…?でもそれってさ、一応私が軍師だからだと思う。エフラム以外の英雄達からも良くしてもらってるし…」
ありがたい事に、私は普段沢山の英雄から助けてもらっている。
今回のエフラムみたいに資料を運ぶのを手伝ってくれたり、買い出しに付き合ってくれたり…
みんな本当に優しい人ばかりだ。
だから…エイリークの言うエフラムが私にだけ特別優しいなんて事は…きっと勘違い。
「… ナマエは兄上の事、お慕いしているのですよね?」
急に真剣な表情で言われて思わずドキッとする。
「う…うん……」
「なら、嬉しくはないのですか?」
「それは…」
彼女の言う通り、私はエフラムの事が好きだ。
ずっと前から…
だからこそ……
「嬉しくないわけ、ないよ…」
恥ずかしくてお湯に口元まで浸かる。
というかエイリーク、今日はなんかグイグイくる気が…
「それなら、もう少し距離を詰めてみてもいいのではないでしょうか?」
「むっ無理だよ…!私なんかがそんな事したら、エフラムを困らせるだけ…」
そこまで言ったところでエイリークが私の手を両手で握ってきた。
突然の事に肩がビクリとする。
そして少し強めにこう言った。
「ナマエ、私は貴女を応援しています。貴女こそ、兄上と結ばれるべき方だと思っているんです。もっと自信を持ってください」
「エっエイリーク?」
その気迫に戸惑っていると、彼女は我に帰ったかのように私の手を離す。
「すっすみません!私ったらつい…」
「ううん、大丈夫。でも…ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ」
エイリークが私を励ましてくれたのは本当に嬉しいと思った。
どんな思いで言ってくれたのかは分からないけど…
それでも彼女が本当にそう思ってくれているんだって事は、十分に伝わったから。
「…そろそろ上がろうか」
入ってからいい時間になったので、私達は温泉から上がる事に。
のぼせたわけではないけれど、いつも以上に体が熱くなっている気がする。
…理由は考えなくても分かるけれど。
それから服に着替えて温泉施設の外に出ようとした時…
「「あ……」」
出入り口のところでバッタリと会ったのはエフラムとヒーニアス。
しかも彼らも外に出ようとしていて…
その事に気付いた私はあり得ないくらいの速さで心臓が脈打つと同時に、血の気が徐々に引いていくのがのが分かった。
「あっ兄上にヒーニアス王子!?お二人も温泉に…?」
「あっああ。今上がったところでな…」
「そちらの声がこちらまで聞こえていた」
涼しげに言うヒーニアスのその言葉で私の嫌な予感が見事的中した。
つまり私とエイリークが温泉に入っている間、隣の男湯にはエフラムもいた…
それに声が聞こえていたという事は……
「わっ私、先に行ってるね…!!」
頭が真っ白になり、取り敢えずここから去ろうと走り出す。
…が、すぐに腕を掴まれそれは叶わなかった。
「待ってくれ。…少し話がしたい」
引き止めたのは言わずもがなエフラムで…
私は振り向く事も出来ずに、ただじっとして俯く事しか出来ない。
こんな恥ずかしい事ある…?
「あ…では、私達は別の場所に行きますね」
「正直面白くはないが…ここは引いてやるとしよう」
エイリークとヒーニアスがこの場を離れていく。
なんか…変な気を遣わせてしまったみたいで申し訳ない……
「…一度場所を移そう。ついてきてくれ」
腕から手を掴むと、エフラムはそのまま私を連れて場所を移動していく。
そして着いたのは飛空城の真ん中にあるエナジーの泉が湧き出る噴水だった。
私達はそこに並んで腰をかける。
「その…なんだ。勝手に二人の話を聞いて悪かった。自然と耳に入ってきてしまってな…」
「いや…大丈夫……」
正直言って全然大丈夫じゃない。
こんなのもう、間接告白したみたいなものじゃないか…!
エフラムは何も悪くない、というか誰も悪くない。
これは事故なんだから…
「ナマエ、俺は…」
「あっあはは…!ごめんね、気持ち悪かったよね…!こんな奴に好かれてるなんて聞かされて…さっきの話、全部忘れてもらっていいから…っ」
もう頭の中訳分かんなくなって、その場に立つと勢いでそう言ってしまった。
急にそう言われたためか、エフラムはポカンとした顔で私を見てる。
「!?おい、ナマエ!」
私はとにかく恥ずかしさから逃げるようにまた走り出したんだ。
きっとあの言葉の続きは…私にとっては耐えがたいものだろう。
本人から直接聞くくらいなら、逃げてしまった方がいい。
エフラム、困らせちゃったな……
そんな事を思いながら無我夢中で走っていると、再度腕を掴まれる。
「待てって…!急に走り出したから驚いただろ…」
「ごっごめんなさい…」
やっぱり普段から戦場を駆け巡る英雄に追い付かれるのは当たり前か…
エフラムは私の両肩に手を置くと、目を真っ直ぐに見て話し出す。
「いいか、よく聞いてくれ。俺はお前から慕われて気持ち悪いだなんて一切思っていない。寧ろ…嬉しいんだよ。どうしようもないくらいな…」
「え…」
今度は私がポカンとさせられた。
「まさかこんな形でお前の気持ちを知れるとはな…エイリークが言っていた通り、俺は誰にでも優しくなんてしない。ナマエが好きだから…お前だけ特別なんだよ」
そう言われると、エフラムは私をぎゅっと抱き締める。
これは…夢?
私、知らない間に温泉で眠ってたりしてないよね…?
でも…この温かさは紛れもなく本物だ。
エフラムの、温度が伝わってくる。
「私も…好き、です…ずっと前からエフラムが好きだった…」
「ああ、俺もだ。お前が俺を召喚してくれたあの日からな」
「そっそんなに前から!?」
衝撃の事実に思わず少し体を離してエフラムの顔を見る。
彼は楽しんでいるかのように笑って話すんだ。
「ああ。今思えば一目惚れってやつかもな。まあ、お前と過ごすうちにますます好きになっていったが」
今、私の胸がときめいた気がした。
まさにキュン、なんて音がしたと思う。
ああ…この人には敵わないな……
「エイリークには感謝しなくちゃな」
「え?」
「偶然だったとはいえ、温泉でナマエの気持ちが知れるのに繋がる話を振ってくれたからな」
確かに…あの時エイリークが部屋の片付けの話を振ってくれなかったら、こんな事にはなっていなかったかもしれない。
これ、エイリークが恋のキューピットなんじゃ…?
「たとえ今回ナマエの気持ちを知れなかったとしても、俺は近いうちにお前に告白していたけどな」
「そっそうなの?」
「ああ。お前が他の英雄に取られるのは時間の問題だったんだ…それだけは絶対に負けられなかった」
エフラムから告白…
ちょっと聞いてみたかったかも…なんて思うけど、彼の事だからこれから何度でも好きだって言ってくれそう。
「じゃあ、今度は二人で温泉に入るか?」
「!?そっそれはまだ早いよ…!」
「まだって事は…今度なら良いって事、だよな?」
耳元でそう囁かれれば、甘い痺れが全身を伝っていく。
次にエフラムと二人で温泉に来るのは…そう遠くない事かもしれない。
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