マイヒーロー
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「ナマエ、はやく来いよ!」
私の前を無邪気に走る一人の少年。
こちらに振り返っては早く来いと急かしてくる。
けれども、それを不快に思う事なんてない。
可愛いと思うのは、おかしいだろうか。
「そんなに走らなくてもちゃんとついて行くよ~」
「ダメだ、急がなきゃダメなんだよ」
少年…エフラムはそう言うとその場で立ち止まる。
立ち止まった彼に追いつけば、私はしゃがんで彼の顔を覗き込んだ。
「だって…他の英雄に見つかると、ナマエはいつも声を掛けられるだろう。だから…」
少しだけ寂しそうな顔をした。
その顔を見れば、私はエフラムの手を握って歩き出す。
「ナマエ…?」
「大丈夫。今日はエフラムと過ごすって決めてるから!私はどこにも行かないよ」
私がそう言うと彼はぱあっと笑顔を見せてくれる。
子供らしく、無邪気で愛らしい笑顔。
それだけで私の気分も晴れていくんだ。
気を取り直して幼い彼とのデートを再開する。
アスクの街へ行きたいとの事だったため、私達は手を繋いだまま街に訪れた。
「ここがアスクの街か…すごい人だな」
「うん。いつ来ても賑やかで良いところだよ」
するとエフラムが私の顔を見上げてくる。
「他の誰かとも、よく一緒に来るのか…?」
今度は少しだけムッとしたような顔。
さっきとはまた違う表情で、小さな彼はころころと色んな顔を見せてくれるね。
そんな彼に私はちょっとだけ意地悪心が芽生えた。
「え?ああ…そうだね。“あの人”とはよく一緒に来るよ」
「あっあの人?それ、誰だ?」
「ふふ、さて?誰でしょう」
「!ずるいぞ!教えろよー!」
さらにむくれてしまうエフラムに、ずっと笑みが溢れてしまう。
小さい子が好きな子をいじめたくなる感じが今なら分かる気がするな。
それから二人で街を歩いていると、少し先で何やら楽しげな音楽が流れてきた。
その音楽が流れている場所には人だかりが出来ている。
私達は自然とそちらへ向かう。
「あ、手品ショーをやってるみたい」
人々の輪の中心には、大道芸人が次々に手品をやってみせている。
小さな音楽隊が音楽を奏でる中、それに合わせて披露される手品は、とても華やかで楽しげだ。
「…よく見えないな……」
その時隣にいるエフラムが背伸びをしながら、人々の間から一生懸命見ようとしている事に気が付いた。
確かに彼の今の身長でよく見るには、少し背が足りない。
そこで私は彼の体に手を伸ばして抱き上げる。
「!きっ急になんだ!?」
「この方がよく見えるでしょう?」
「いや、だからって…おっ降ろしてくれ!」
顔を赤くして慌てる彼の様子は、さらに愛らしさが増していくばかり。
きっと私に抱っこされるのなんて、屈辱なんだろうな…
でも、こうやってエフラムを抱っこ出来るなんて貴重過ぎる体験だ。
「降ろしたらまた見えなくなっちゃうよ?」
「う…それも、そうか……」
その一言でエフラムは大人しくなった。
ふふ、見ていて本当に飽きないなぁ。
それから私達は手品が終わるまで見続けた。
手品を見る彼の目は終始キラキラと輝いていて、正直私は手品よりもそっちを見ていたかもしれない。
「さて、そろそろお城に帰ろうか」
「ああ…そうだな」
日も暮れ始めてきた頃、お城に戻る事に。
手品が終わった後も特に降ろせと言われなかった事から、私は彼を抱っこしたままだ。
そしてお城に着いて渡り廊下を歩いていると、ある人が前から歩いてきた。
「あ…エフラム」
「ナマエ。今日は小さい俺の子守り、ありがとな」
私が今抱いているエフラムが成長した時のエフラムだ。
こんな不思議な事があるのも、この世界ならではだよね。
「出会ったばかりでもう抱き上げてもらっているとは…相当懐いてるな。まあ、俺なら当然といえば当然か」
「なんだ。羨ましいのか?」
「おいおい、言ってくれるな…」
二人の間にバチバチと火花が散り始める。
私はそれ以上発展しないように、青年エフラムに背を向けた。
「こらこら、自分同士で喧嘩しないの。じゃあ、またね。エフラム…」
そのまま歩き出そうとした時、“待て”と肩を掴まれる。
幼いエフラムが居ない方の耳元で、私を引き止めた彼はそっと囁いた。
「夜…部屋で待ってる」
ドキッとしたのも束の間、青年エフラムはフッと笑いながらこの場を去っていく。
「?どうしたんだ?顔が真っ赤だぞ」
「あんなの、ずるいよ…」
堪らなくなってその場で幼い彼をギュッと抱き締める。
突然の事にまた彼が慌てているけれど、今は気にしてあげられない。
貴方が成長したら、あんな風に…簡単に私をドキドキさせてしまう大人になるんだよ、って言ってしまいたくなる。
まあ、そんな事口が裂けても言えるはずがないんだけれど…
そして日も完全に暮れて、静かな夜が訪れる。
幼いエフラムとは別れ、今度は約束通りに成長した彼の部屋に向かう。
「エフラム、入るよ」
ノックをしてそう言えば、中からは承諾の返事が。
それを聞いて私は部屋の中へと入る。
中では既に部屋着姿の彼がベッドの端に腰を下ろしていた。
「ほら。ここ、座れよ」
「うん…失礼します」
ポンポンと隣に誘導されれば、私もそれに従って彼の隣に座る。
「やっと二人きりになれたな」
「私からしたら、今日は一日中エフラムと二人だったけど」
「俺は今日初めてなんだが」
ずいっと不機嫌そうな顔を近付けられれば、思わず笑ってしまう。
何とも可笑しな会話過ぎて笑わずにはいられない。
「ふふ…そうだね。小さなエフラムももちろん好きだけど、やっぱりずっと前から知ってる貴方が良いな」
「そうだろう?だが、あいつも同じ俺だ… ナマエを好きな気持ちは変わらないのは分かるから、何だか複雑だな…」
そう言うエフラムの顔を私は両手で包むと、グイッと引き寄せて額同士をくっつける。
「そういう所も含めて、私は今のエフラムが好き。あの子はあの子で、将来また私と出会ってくれて、好きになってくれれば…それ以上に嬉しい事はないかな」
「ふ…そうだな。お前の言う通りだ。それに…」
次の瞬間には視点が変わり、天井が背後に見えるエフラムが目の前に。
それはこれから彼との長い夜が始まる合図。
「今からする事も…今の俺じゃないと出来ないしな」
「もう…」
大好きな人の幼い頃に出会えるって、すごく贅沢な経験だと思う。
この世界に来なかったら、まずありえない事だ。
だけど…こうして実際にそんな経験が出来ている。
たとえエフラムが幼くても、成長している姿でも…
私はどんな彼でも大好きな事には変わりない。
そんな想いが少しでも伝わってくれるといいな。
~end~
幼エフラム最高過ぎました記念です笑
私の前を無邪気に走る一人の少年。
こちらに振り返っては早く来いと急かしてくる。
けれども、それを不快に思う事なんてない。
可愛いと思うのは、おかしいだろうか。
「そんなに走らなくてもちゃんとついて行くよ~」
「ダメだ、急がなきゃダメなんだよ」
少年…エフラムはそう言うとその場で立ち止まる。
立ち止まった彼に追いつけば、私はしゃがんで彼の顔を覗き込んだ。
「だって…他の英雄に見つかると、ナマエはいつも声を掛けられるだろう。だから…」
少しだけ寂しそうな顔をした。
その顔を見れば、私はエフラムの手を握って歩き出す。
「ナマエ…?」
「大丈夫。今日はエフラムと過ごすって決めてるから!私はどこにも行かないよ」
私がそう言うと彼はぱあっと笑顔を見せてくれる。
子供らしく、無邪気で愛らしい笑顔。
それだけで私の気分も晴れていくんだ。
気を取り直して幼い彼とのデートを再開する。
アスクの街へ行きたいとの事だったため、私達は手を繋いだまま街に訪れた。
「ここがアスクの街か…すごい人だな」
「うん。いつ来ても賑やかで良いところだよ」
するとエフラムが私の顔を見上げてくる。
「他の誰かとも、よく一緒に来るのか…?」
今度は少しだけムッとしたような顔。
さっきとはまた違う表情で、小さな彼はころころと色んな顔を見せてくれるね。
そんな彼に私はちょっとだけ意地悪心が芽生えた。
「え?ああ…そうだね。“あの人”とはよく一緒に来るよ」
「あっあの人?それ、誰だ?」
「ふふ、さて?誰でしょう」
「!ずるいぞ!教えろよー!」
さらにむくれてしまうエフラムに、ずっと笑みが溢れてしまう。
小さい子が好きな子をいじめたくなる感じが今なら分かる気がするな。
それから二人で街を歩いていると、少し先で何やら楽しげな音楽が流れてきた。
その音楽が流れている場所には人だかりが出来ている。
私達は自然とそちらへ向かう。
「あ、手品ショーをやってるみたい」
人々の輪の中心には、大道芸人が次々に手品をやってみせている。
小さな音楽隊が音楽を奏でる中、それに合わせて披露される手品は、とても華やかで楽しげだ。
「…よく見えないな……」
その時隣にいるエフラムが背伸びをしながら、人々の間から一生懸命見ようとしている事に気が付いた。
確かに彼の今の身長でよく見るには、少し背が足りない。
そこで私は彼の体に手を伸ばして抱き上げる。
「!きっ急になんだ!?」
「この方がよく見えるでしょう?」
「いや、だからって…おっ降ろしてくれ!」
顔を赤くして慌てる彼の様子は、さらに愛らしさが増していくばかり。
きっと私に抱っこされるのなんて、屈辱なんだろうな…
でも、こうやってエフラムを抱っこ出来るなんて貴重過ぎる体験だ。
「降ろしたらまた見えなくなっちゃうよ?」
「う…それも、そうか……」
その一言でエフラムは大人しくなった。
ふふ、見ていて本当に飽きないなぁ。
それから私達は手品が終わるまで見続けた。
手品を見る彼の目は終始キラキラと輝いていて、正直私は手品よりもそっちを見ていたかもしれない。
「さて、そろそろお城に帰ろうか」
「ああ…そうだな」
日も暮れ始めてきた頃、お城に戻る事に。
手品が終わった後も特に降ろせと言われなかった事から、私は彼を抱っこしたままだ。
そしてお城に着いて渡り廊下を歩いていると、ある人が前から歩いてきた。
「あ…エフラム」
「ナマエ。今日は小さい俺の子守り、ありがとな」
私が今抱いているエフラムが成長した時のエフラムだ。
こんな不思議な事があるのも、この世界ならではだよね。
「出会ったばかりでもう抱き上げてもらっているとは…相当懐いてるな。まあ、俺なら当然といえば当然か」
「なんだ。羨ましいのか?」
「おいおい、言ってくれるな…」
二人の間にバチバチと火花が散り始める。
私はそれ以上発展しないように、青年エフラムに背を向けた。
「こらこら、自分同士で喧嘩しないの。じゃあ、またね。エフラム…」
そのまま歩き出そうとした時、“待て”と肩を掴まれる。
幼いエフラムが居ない方の耳元で、私を引き止めた彼はそっと囁いた。
「夜…部屋で待ってる」
ドキッとしたのも束の間、青年エフラムはフッと笑いながらこの場を去っていく。
「?どうしたんだ?顔が真っ赤だぞ」
「あんなの、ずるいよ…」
堪らなくなってその場で幼い彼をギュッと抱き締める。
突然の事にまた彼が慌てているけれど、今は気にしてあげられない。
貴方が成長したら、あんな風に…簡単に私をドキドキさせてしまう大人になるんだよ、って言ってしまいたくなる。
まあ、そんな事口が裂けても言えるはずがないんだけれど…
そして日も完全に暮れて、静かな夜が訪れる。
幼いエフラムとは別れ、今度は約束通りに成長した彼の部屋に向かう。
「エフラム、入るよ」
ノックをしてそう言えば、中からは承諾の返事が。
それを聞いて私は部屋の中へと入る。
中では既に部屋着姿の彼がベッドの端に腰を下ろしていた。
「ほら。ここ、座れよ」
「うん…失礼します」
ポンポンと隣に誘導されれば、私もそれに従って彼の隣に座る。
「やっと二人きりになれたな」
「私からしたら、今日は一日中エフラムと二人だったけど」
「俺は今日初めてなんだが」
ずいっと不機嫌そうな顔を近付けられれば、思わず笑ってしまう。
何とも可笑しな会話過ぎて笑わずにはいられない。
「ふふ…そうだね。小さなエフラムももちろん好きだけど、やっぱりずっと前から知ってる貴方が良いな」
「そうだろう?だが、あいつも同じ俺だ… ナマエを好きな気持ちは変わらないのは分かるから、何だか複雑だな…」
そう言うエフラムの顔を私は両手で包むと、グイッと引き寄せて額同士をくっつける。
「そういう所も含めて、私は今のエフラムが好き。あの子はあの子で、将来また私と出会ってくれて、好きになってくれれば…それ以上に嬉しい事はないかな」
「ふ…そうだな。お前の言う通りだ。それに…」
次の瞬間には視点が変わり、天井が背後に見えるエフラムが目の前に。
それはこれから彼との長い夜が始まる合図。
「今からする事も…今の俺じゃないと出来ないしな」
「もう…」
大好きな人の幼い頃に出会えるって、すごく贅沢な経験だと思う。
この世界に来なかったら、まずありえない事だ。
だけど…こうして実際にそんな経験が出来ている。
たとえエフラムが幼くても、成長している姿でも…
私はどんな彼でも大好きな事には変わりない。
そんな想いが少しでも伝わってくれるといいな。
~end~
幼エフラム最高過ぎました記念です笑
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