マイヒーロー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※エフラム視点
「なあ、リオン。聞いてくれ」
俺は親友のリオンを呼び止めて相談を持ちかけた。
穏やかな紫の瞳が振り返って俺の姿を映し出す。
「どうしたの?」
「最近、ナマエを見ていると、なんというか…変な気持ちになるんだ」
「え…?」
俺の言葉にリオンは目を丸くしている。
あまりに唐突だったからか…
当たり前と言えば当たり前の反応だろうな。
「変って言っても悪い意味じゃない。寧ろ嬉しくなるくらいだ。だが、ナマエが少しでも違う男と居るのを見ると気が狂いそうになる…なあ、俺は病気かなんかなのか?」
リオンにそう迫れば、彼は少し困ったような笑みを浮かべていた。
今まで味わった事のない感覚に、俺はここ最近苦しめられている。
ナマエと一緒に居たり、彼女を見るだけでも気分が弾む。
逆に俺以外の仲間…それが男なら怒りにも似たその苦しみが襲ってくるのだ。
俺は自分の事が自分で分からない…だから頭の良いリオンなら分かってくれると思って、今こうして聞いているまで。
「えっと、そうだね……確かにそれは病気…の一種かもしれないね」
「なっ…!どうしたら治る!?」
俺はさっきよりもリオンに詰め寄ってしまう。
病気だと聞いてどうしようもない焦りが出てくる。
成長してからは今までに一度も病など患った事がなかったはずだが。
一体どんな病だというんだ……
「おっ落ち着いてエフラム…病気と言っても決して悪いものじゃないから」
「そう、なのか?」
「うん。つまり、エフラムはナマエの事を見たり考えたりすると、胸が苦しくなったりドキドキしたりする…って事だよね?」
苦しい…ドキドキ……
言われてみれば確かに苦しいのと同時にそんな感覚がしていたな。
現にあいつの事を思うと、心臓の辺りが軽く締め付けられる。
「ああ…間違いない」
「ふふ、じゃあそれは“恋”だね」
「恋…?」
そういえば昔、エイリークとターナが読んだ物語で恋がどーのこーのなどと言っていたな…
どんかものなのかは見当もつかなかったが。
その恋とやらを、俺が…?
「リオン、その恋っていうのは何だ?」
「うん…そうくると思ったよ」
リオンは苦笑いを浮かべながらも説明してくれる。
「恋っていうのは…たぶん、好きな人に自分を特別な目で見て欲しいとか、もっと一緒にいたい、親密になりたいとか……そんな風に思うようになる事じゃないかな」
「そっそうなのか?」
「うん。だって、そう思えるのはナマエだけだよね?」
俺はその言葉にただ頷いた。
リオンがこんなにも恋について詳しいとは…
毎日勉学に励んでいるあたりさすがだ。
やはり博識なだけあるな。
リオンは、俺の知らない事をいつもたくさん教えてくれる。
「…僕にも、よく分かるから……」
「?何か言ったか?」
彼が何かをボソリと呟いた気がして聞き返す。
だが、気のせいだったのか彼は首を横に振って笑った。
その瞳が少しだけ切なげに見えたのは…気のせいなのだろうか。
「ううん、何でもないよ」
「そうか?…じゃあ、俺はこれからどうしたらいいんだ?」
「うーん…君とナマエはもうかなり仲が良いし……思い切って想いを伝えてみるとか?さすがにそれは早過ぎるかな…」
胸の中にある想いをナマエに伝えたら、この苦しみから解放されるのだろうか。
あの瞳に、俺だけを映してくれるのか…
「あいつに好きだって伝えればいいんだな?よし、行ってくる!!」
「あ、エフラム…!?」
俺は早速この想いをナマエに伝えるべく、彼女の元に走り出したのだった。
「!ナマエ!」
城の中を探し回ると、廊下を歩くナマエの後ろ姿を見つけて呼び止める。
こちらに振り返る彼女の元に俺は駆け寄った。
「エフラム。どうかした?」
「あ、あぁ…お前に話したい事があるんだ」
好意を伝えようといざ本人を目の前にすると、さすがに緊張が襲ってくる。
ナマエの大きな目にじっと見つめられ余計に心臓の音が煩く感じてしまう。
さっきまでの勢いはどこにいったんだ…
「話したい事?」
「その、だな……お前は…“恋”をした事があるか?」
彼女は俺の質問に大きく目を開く。
「きっ急にどうしたの?」
「いっいや…ちょっと気になったんだ……さっき、リオンとちょうどその話をしていたからな」
「………」
ナマエは少しの間何も言わず黙っていた。
……何か思うところがあるのか…?
「…した事は、あるよ。元の世界でも」
「そっそうなのか?」
「うん…でも、それはもう過去の話。今は…また新たな恋をしてる、かな……」
心臓がドクン、と大きく脈打った。
それは…一体、誰に対してなんだ……?
一番知りたい事が恐怖で聞く事が出来ない。
「…エフラムは?誰かに恋…してるの?」
まさか自分にも聞かれるとは思わなかった。
これは…どう答えるべきなんだ…
いや、そもそもナマエに気持ちを伝えに来たから正直に言うべきか…?
……よし………
「……ああ、俺もその“恋”をしているらしい。ついさっき分かったんだ」
「つ、ついさっき?」
驚くナマエに俺はフッと笑って彼女の頬に手を触れる。
「リオンにな、ナマエの事を話してたんだ。気付けばずっとお前を見ている事や、お前を考えただけで胸が苦しくなったりする事とか…」
「え……」
「これが“恋“…なんだろう?」
そう尋ねれば、彼女の顔はみるみる赤くなっていく。
最初に考えていた伝え方とは随分と離れてしまったが…
この様子は伝わったみたいだな。
「ちょ、ずるいよ…そんな言い方…!」
「そうか?」
「そうだよ…!どうせならちゃんと言って欲しかった……」
ボソリと呟いたその言葉を俺は聞き逃さず、その希望に応えるためナマエの腰を抱き寄せた。
驚いたのか反射的に顔を上げた彼女の唇を自身の唇で塞ぐ。
そしてゆっくりと離せば大きく見開いたナマエと目が合い、俺は彼女の望む言葉を口にした。
「好きだ、ナマエ。俺が恋をしているのは、お前だけだ」
そう告げれば、ナマエは最初呆気に取られた様子から幸せそうに笑ってくれる。
その笑顔に俺の胸は無意識の内に締め付けられた気がして…
「ふふ…合格。私も好き、だよ…貴方に恋してる」
そう言ってナマエは俺の胸に顔を寄せてくる。
「お互い様…だな」
「うん、そうみたい」
そうやって笑い合えばもう一度顔を寄せ合いキスをした。
~end~
「なあ、リオン。聞いてくれ」
俺は親友のリオンを呼び止めて相談を持ちかけた。
穏やかな紫の瞳が振り返って俺の姿を映し出す。
「どうしたの?」
「最近、ナマエを見ていると、なんというか…変な気持ちになるんだ」
「え…?」
俺の言葉にリオンは目を丸くしている。
あまりに唐突だったからか…
当たり前と言えば当たり前の反応だろうな。
「変って言っても悪い意味じゃない。寧ろ嬉しくなるくらいだ。だが、ナマエが少しでも違う男と居るのを見ると気が狂いそうになる…なあ、俺は病気かなんかなのか?」
リオンにそう迫れば、彼は少し困ったような笑みを浮かべていた。
今まで味わった事のない感覚に、俺はここ最近苦しめられている。
ナマエと一緒に居たり、彼女を見るだけでも気分が弾む。
逆に俺以外の仲間…それが男なら怒りにも似たその苦しみが襲ってくるのだ。
俺は自分の事が自分で分からない…だから頭の良いリオンなら分かってくれると思って、今こうして聞いているまで。
「えっと、そうだね……確かにそれは病気…の一種かもしれないね」
「なっ…!どうしたら治る!?」
俺はさっきよりもリオンに詰め寄ってしまう。
病気だと聞いてどうしようもない焦りが出てくる。
成長してからは今までに一度も病など患った事がなかったはずだが。
一体どんな病だというんだ……
「おっ落ち着いてエフラム…病気と言っても決して悪いものじゃないから」
「そう、なのか?」
「うん。つまり、エフラムはナマエの事を見たり考えたりすると、胸が苦しくなったりドキドキしたりする…って事だよね?」
苦しい…ドキドキ……
言われてみれば確かに苦しいのと同時にそんな感覚がしていたな。
現にあいつの事を思うと、心臓の辺りが軽く締め付けられる。
「ああ…間違いない」
「ふふ、じゃあそれは“恋”だね」
「恋…?」
そういえば昔、エイリークとターナが読んだ物語で恋がどーのこーのなどと言っていたな…
どんかものなのかは見当もつかなかったが。
その恋とやらを、俺が…?
「リオン、その恋っていうのは何だ?」
「うん…そうくると思ったよ」
リオンは苦笑いを浮かべながらも説明してくれる。
「恋っていうのは…たぶん、好きな人に自分を特別な目で見て欲しいとか、もっと一緒にいたい、親密になりたいとか……そんな風に思うようになる事じゃないかな」
「そっそうなのか?」
「うん。だって、そう思えるのはナマエだけだよね?」
俺はその言葉にただ頷いた。
リオンがこんなにも恋について詳しいとは…
毎日勉学に励んでいるあたりさすがだ。
やはり博識なだけあるな。
リオンは、俺の知らない事をいつもたくさん教えてくれる。
「…僕にも、よく分かるから……」
「?何か言ったか?」
彼が何かをボソリと呟いた気がして聞き返す。
だが、気のせいだったのか彼は首を横に振って笑った。
その瞳が少しだけ切なげに見えたのは…気のせいなのだろうか。
「ううん、何でもないよ」
「そうか?…じゃあ、俺はこれからどうしたらいいんだ?」
「うーん…君とナマエはもうかなり仲が良いし……思い切って想いを伝えてみるとか?さすがにそれは早過ぎるかな…」
胸の中にある想いをナマエに伝えたら、この苦しみから解放されるのだろうか。
あの瞳に、俺だけを映してくれるのか…
「あいつに好きだって伝えればいいんだな?よし、行ってくる!!」
「あ、エフラム…!?」
俺は早速この想いをナマエに伝えるべく、彼女の元に走り出したのだった。
「!ナマエ!」
城の中を探し回ると、廊下を歩くナマエの後ろ姿を見つけて呼び止める。
こちらに振り返る彼女の元に俺は駆け寄った。
「エフラム。どうかした?」
「あ、あぁ…お前に話したい事があるんだ」
好意を伝えようといざ本人を目の前にすると、さすがに緊張が襲ってくる。
ナマエの大きな目にじっと見つめられ余計に心臓の音が煩く感じてしまう。
さっきまでの勢いはどこにいったんだ…
「話したい事?」
「その、だな……お前は…“恋”をした事があるか?」
彼女は俺の質問に大きく目を開く。
「きっ急にどうしたの?」
「いっいや…ちょっと気になったんだ……さっき、リオンとちょうどその話をしていたからな」
「………」
ナマエは少しの間何も言わず黙っていた。
……何か思うところがあるのか…?
「…した事は、あるよ。元の世界でも」
「そっそうなのか?」
「うん…でも、それはもう過去の話。今は…また新たな恋をしてる、かな……」
心臓がドクン、と大きく脈打った。
それは…一体、誰に対してなんだ……?
一番知りたい事が恐怖で聞く事が出来ない。
「…エフラムは?誰かに恋…してるの?」
まさか自分にも聞かれるとは思わなかった。
これは…どう答えるべきなんだ…
いや、そもそもナマエに気持ちを伝えに来たから正直に言うべきか…?
……よし………
「……ああ、俺もその“恋”をしているらしい。ついさっき分かったんだ」
「つ、ついさっき?」
驚くナマエに俺はフッと笑って彼女の頬に手を触れる。
「リオンにな、ナマエの事を話してたんだ。気付けばずっとお前を見ている事や、お前を考えただけで胸が苦しくなったりする事とか…」
「え……」
「これが“恋“…なんだろう?」
そう尋ねれば、彼女の顔はみるみる赤くなっていく。
最初に考えていた伝え方とは随分と離れてしまったが…
この様子は伝わったみたいだな。
「ちょ、ずるいよ…そんな言い方…!」
「そうか?」
「そうだよ…!どうせならちゃんと言って欲しかった……」
ボソリと呟いたその言葉を俺は聞き逃さず、その希望に応えるためナマエの腰を抱き寄せた。
驚いたのか反射的に顔を上げた彼女の唇を自身の唇で塞ぐ。
そしてゆっくりと離せば大きく見開いたナマエと目が合い、俺は彼女の望む言葉を口にした。
「好きだ、ナマエ。俺が恋をしているのは、お前だけだ」
そう告げれば、ナマエは最初呆気に取られた様子から幸せそうに笑ってくれる。
その笑顔に俺の胸は無意識の内に締め付けられた気がして…
「ふふ…合格。私も好き、だよ…貴方に恋してる」
そう言ってナマエは俺の胸に顔を寄せてくる。
「お互い様…だな」
「うん、そうみたい」
そうやって笑い合えばもう一度顔を寄せ合いキスをした。
~end~
118/129ページ